カタバミ
●動画:https://youtu.be/YldU3TvB7YA
勉強を能率よく進めるには、教材と学習法と時間配分が大切です。
しかし、忘れられがちなのが、環境です。
環境のひとつは、中学2年生まではリビングで勉強することです。
中学3年生になると、子供は自然に勉強の自覚ができるので、自分の部屋で勉強することもできます。
しかし、それまでは、みんなのいる中で勉強することが大事です。
これは、すでに子供が自分の部屋で勉強するようになってからは、リビング勉強に戻すことは難しいので、小さいころから、勉強はみんなのいるところですること、と決めておくことです。
リビングで子供が勉強する際、テレビやビデオやYouTubeなどの音声が出るものは、勉強の妨げになります。
特に、日本人の脳は、ほとんどの音を左脳の言語脳で処理するので、音が出る環境では、それが自然の音であっても、集中力がとぎれます。
家庭で、子供が勉強しているときに、家族がテレビを見る場合は、ヘッドホンで音が外に出ないように配慮してあげることです。
機械文明の中では、機械の弊害が出ないように、別の機械を利用するという工夫が必要です。
とりわけ、幼児期の子供に関しては、意味のある話しかけの音声は必要ですが、意味のないテレビやビデオの音声は、子供の人間的な脳の成長の妨げになります。
だから、DVDの教材の聞かせっぱなしなどは、よくないのです。
さて、もうひとつの大事な環境は、酸素です。
====
脳は体の中で最もたくさんの酸素を必要とする器官で、その重さは体重の2%程度なのに、エネルギーの消費は全体の20%近くを占め、呼吸の際に吸い込む酸素の30~50%を消費しています。
(FUJIFILMからだサイエンスラボより)
====
どのくらいのパーセントかは、研究によって異なりますが、大量の酸素を消費するということは共通しています。
個人的な話ですが、うちの子が小学生のとき、ドライアイスの煙が出るのが面白く、そのドライアイスをこたつのなかに入れ、しばらくそのこたつに入っていましたが、そのうち、「頭が痛い」と言って出てきました。
真似をしないようにしてください(笑)。
酸素の少ない環境では、脳の働きが低下します。
潜水作業で酸素が不足すると、単純な足し算などの計算もできなくなるという話を聞きました。
また、高山病は、死に至ることもありますが、それは結局、体が機能しなくなるのではなく、体全体をコントローする脳が機能しなくなるからです。
それだけ重要な脳を上手に活性化させるためには、豊かな酸素がある中で勉強や仕事をする必要があります。
中村天風氏は、夜寝るときは、窓を少し開けておくことが大事だと言っていました。
窓を締め切っていると、必ず酸素が不足してくるからです。
現在、室内の二酸化炭素を測定する機械が出ています。
私が、昔購入したのはこれですが、今は在庫切れになっているようです。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B091CHPB2G/
これを室内に置いておくと、人がたくさん入ってきたり、又は、話が盛り上がったり、又は、卓上コンロで料理をしたりすると、すぐに二酸化炭素濃度が1000ppm以上になりアラームが鳴ります。
それで、慌てて窓を開けると、通常の大気中の二酸化炭素濃度の420ppmぐらいに戻ります。
この二酸化炭素濃度は、機械を使わなければわかりません。
だから、締め切った部屋で一生懸命勉強していると、いつの間にか二酸化炭素濃度が高くなり、脳の機能が低下し、記憶力も理解力も低下してくるのです。
この二酸化炭素濃度をいつも測定することとは別に、もうひとつ大事なことは、深呼吸によって自分の意識で脳に酸素を送ることです。
実は、これが、いちばん大事なことです。
塩谷信男さんの「
自在力」という本があります。
ここに、呼吸法の方法と効果が載っています。
錦城ひかりさんの「正心調息法」の話も参考になります。
「正伝 塩谷式正心調息法」
https://www.youtube.com/watch?v=B1pvuHSNvlw
呼吸法については、YouTubeでバシャールも言っています。
「脳波が上がる「意外な呼吸法」(バシャール)」
https://www.youtube.com/watch?v=Dizf68ctZPA
ここからは、私(森川林)の推論ですが、脳に供給される酸素の量が少なくなると、人間の思考力などの高級な機能からまず酸素が供給されなくなり、次第に、人間の動物的な脳に酸素が供給されなくなるのだと思います。
すると、逆に考えれば、脳に豊富な酸素が供給されると、人間の人間らしい高級な脳以上のもっと奥にある更に人間的な脳機能が活性化されてくるのではないかと思います。
塩谷さんの「自在力」では、呼吸法によって病気が治ったとか、運がよくなったとかの話が実例入りで出てきます。
この本を著した当時の塩谷さんは、確か96歳ぐらいでしたから、書かれていることはほぼ真実だと思います。
なぜ、呼吸法だけで、健康になるとか、運がよくなるかというと、私の考えでは、脳が本来持っている人間の更に高度な脳機能が、酸素の供給によって活性化するからです。
そこまで考えを進めなくてもいいですから、まず、子供が勉強する環境では、二酸化炭素濃度を測定し、常に酸素の多いところで勉強することと、できれば、定期的に深呼吸をして酸素を供給しながら勉強を進めることが大切だと思います。
もうひとつ言うと、なぜ低学年のころの暗唱の勉強がいいかというと、暗唱を10分間していると、深呼吸を10分間しているのと同じ効果があるからです。
暗唱は、幼長から小2までがいちばん抵抗なくできる時期です。
もちろん、そのあとの時期でも暗唱はできますが、年齢が上がると、単純な音読ではなく、覚えようとする音読になるので、暗唱が難しくなるのです。
低学年の時期に、暗唱の勉強を利用して、子供の脳機能を活性化していってください。
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
勉強には、教材と学習法と学習時間の配分が大事ですが、もっと大事なのは、酸素の多い環境で勉強することです。
ひとつは二酸化炭素測定器、もうひとつは深呼吸、もうひとつは低学年の場合は暗唱の練習。
酸素で脳を活性化させて勉強していきましょう。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。勉強の仕方(119)
シオン
●動画:https://youtu.be/3ISqTcALt6U
答えのある問題に答えるのは、退屈な勉強です。
それは、誰でも同じ結果になるだけだからです。
しかも、大体答えられればいいものを、今は、1問単位で差をつけて、順位を決める教育が普通になっています。
人間は、競争に弱いので、特に10代のころは競争に敏感な時期なので、競争状態に置かれると、競争に勝つことがいちばんの目的になります。
しかし、大事なことは、同じ狭いルールの中で競争に勝つことではありません。
広い世界の中で、自分らしい創造を作り出すことです。
これまでの世の中で、競争が関心の中心になっていたのは、人間が欠乏の時代に生きていたからです。
しかし、理屈の上では、すでに人類全体の生産力は、人類全体の消費力を上回っています。
そのように見えないのは、無駄なところに生産力が使われているからです。
理屈の上では、欠乏の時代は終わっています。
現実がまだそれに追いついていない以上に、私たちの意識がまだそれに追いついていないだけです。
では、欠乏から自由になったときに、人間はどこに喜びを見出すかというと、それは競争に勝つことではありません。
多少の競争は面白いので、娯楽としての競争は、これからも続くでしょう。
しかし、競争が人間の主要な関心事になる時代は、過去のものになります。
人間の主要な関心は、競争から創造に移行するのです。
言葉の森では、今、国語、算数数学、英語などの教科の勉強も教えています。
しかし、私(森川林)は、個人的には、答えのある勉強など誰でもできるのだから、その勉強ができるようになったからといって、それがそれほど面白いことだとは思っていません。
成績がよくなれば、それは嬉しいことですがそれだけです。
そこで、私が担当している国語読解、算数数学、総合学力のクラスでは、4週目に、少し時間を割いてもっと面白い創造的な勉強の時間を作ろうと思いました。
具体的には、国語読解クラスでは、問題集から自分の好きな問題文を選び、それを57577の短歌で表現する練習です。
金曜日の国語読解クラス(中学生高校生)の作品例
====
中3の国語問題集P64の問題文から
間の文化
軽やかな家
仕切りなし
西洋の家
重苦しい仕切り
中3の問題集P62の問題文から
日本の常識
文化でつくられ
生活している
Why Japanese people?と外人さん
不思議さわかるよ
高1の問題集P46の問題文から
家庭での
仕事も食事も
変化して
生活時間
個人化してる
その他の問題集から
プロはすごい
でもはじめはみんな
同じライン
たいして差は
ないのでは
人間は
同じ行為で仲間入り
意識を向け
それからきっと
進化してきた
二つの自我
自分の都合が
いいように
自分の視野に
支配しようとする
山頭火(さんとうか)の句を連想するような作品が多かったです(笑)。
====
算数数学クラスでは、自分がこれまでに解いた問題を参考に、自分で新しいオリジナルな問題を作ってみることにしました。
月と火曜日の算数数学クラス(中学生)の作品例
====
(2/3,-13)(108,631)の二点があるときこの二点を表す一次関数を求める。
図形の問題
原価1000円の品物にx割の利益を見込んで、定価をつけたが、売れないので定価のx割引きで売ったら、360円の赤字がでた。
問題 <1次関数>
2点(0,b),(a,0)を通る直線の式を表して下さい。ただし、a,bは0でないものとします。
答え y=-b/ax+b
図形の問題
結構難しい問題もありましたが、作った人がわかりやすく説明してくれました。
====
総合学力クラスの英語の授業では、Google翻訳を利用して、自分が日本語で言いたいことを英文で言えるようにしました。
将来は、英語だけでなく、中国語や他の言語でも言えるようになるでしょう。
火曜日の総合学力クラス(小4)の作品例
====
今日はシチューをたべました
I ate stew today.
私の好きな動物はモモンガです。特にあのモフモフな毛が大好きです。
My favorite animal is the flying squirrel. I especially love that fluffy fur.
英語は、結局使えることが大事なので、自分が言いたいことを英語で言えるようにするのが、いちばんいいと思います。
====
英語だけでなく、ChatGPTなら、方言に直すこともできます。
例えば、
====
次の文章を大阪弁で表現して。
「僕は昨日海に行きました。すると一匹のタコがいました。」
「わて昨日うみに行ったんや。そしたら、タコが一匹おったわ。」
続いて、東北弁で言ってみて。
「わ、きのう海へ行ったんだ。そしたら、タコが一ぴきいたべ。」
横浜弁で。
横浜には特有の方言があるわけではありませんが、神奈川県の標準的な関東方言を使って表現すると以下のようになるかもしれません。
「俺、昨日海行ったんだよ。で、タコが一匹いたんだよね。」
====
今はまだ、答えのある勉強が教育の中心ですが、将来は、答えのない勉強が教育の中心になると思います。
その最先端の教育が、言葉の森のクラスで言えば、作文と創造発表とプログラミングのクラスです。
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
答えのある勉強から、答えのない勉強へ。答えのない勉強なら、誰でも勉強が好きになる。――教育の方向は、大きく変わりつつある。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。教育論文化論(255)
東京学芸大学附属国際中等教育学校(内部進学) N.Rさん
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。合格情報(27)
ホトトギス
教育を評価だと思っている人がいますが、本当は評価ではなく指導です。
しかし、長年教育に携わっていると、つい教育という仕事が評価だと思ってしまいます。
評価は目的ではなく、次の指導の出発点です。
では、何を指導し何を評価するかということです。
これまでの教育は、子供の外にあるものを評価の基準にしていました。
例えば、成績、点数、偏差値、順位、受験、結果など。
これからの教育の評価は、子供の外にあるものではなく、子供本人を基準にします。
例えば、思考力、創造力、共感力、そして、過程。
今は、そのちょうど過渡期にあたります。
過去に足を置きつつも、もう一歩先の足は未来に置いていくのです。
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。教育論文化論(255)
横浜国立大学附属横浜中学校(内部進学) M.Aさん
<担当講師より>
試験には作文試験もありました。よく頑張ってくれました♪
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。合格情報(27)
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。森リン(103)
コスモス
昔から、なぜみんな勝ち負けに夢中になるのか疑問に思っていました。
野球、バスケット、いろいろなコンクール、コンテスト、学校の成績、入試などなど。
みんな、勝ちでいいではないかと思うのです。
人間は、勝ち負けでがんばるのではなく、創造でがんばるべきです。
そして、みんなでお祝いのお祭りをするのです。
勝って祝賀会ではなく、それぞれが個性的に発表したという祝賀会です。
そういう世の中がやがて来ると思います。
しばしば引用する「さかなクン」。
さかなクンも、この世界に生きているから、勝ち負けに参加することもあります。
しかし、本当の動機は、勝つことではなく創造を楽しむことにあったはずです。
勝ち負けがもたらすエネルギーは、恐怖のエネルギーです。
負けたくないから、勝たなければならなくなるのです。
今の世界で生きていくためには、勝ち負けのエネルギーをうまく利用することも大切です。
でも、それがピンとこない人も増えています。
詩人の工藤直子さんが、先生から受けたアドバイスは、「自分よりひとつ上の人をライバルとして、その人に勝つようにがんばるんだ」。
それを聞いた工藤さんは、そういう気持ちがわからなかったようです。
だから、みんな勝ちでいいのです。
創造発表クラスやプログラミングクラスは、数値の評価がありません。
作文も、もともと数値の評価はありませんでしたが、目標が見つけやすいように、項目指導をしたり森リン点を基準にしたりしました。
しかし、本当は、作文はもともと評価のないものです。
では、どこでがんばるかというと、自分らしい創造の喜びとしてがんばるのです。
そういう人が、これから増えてくると思います。
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。教育論文化論(255) 言葉の森のビジョン(51)
ハナカタバミ
ものとの付き合い方
あああさ
現代技術を特徴づけるのは豊富な工業製品の氾濫であろう。このような技術の持つ問題が、最近しばしば話題になる。とすれば、自然資源を有用な人工物に変換することによって豊かさを達成するという、あたかも自明と考えてきた命題は、多くの矛盾をはらむようになってきたと言わざるを得ない。技術による豊かな社会の実現という視点においては、製品所有は必然的なものではない。製品を所有するかレンタルするかの選択は、現代技術が持つ問題に本質的に影響を与えていく重要な視点である。私は、物の所有にとらわれない生き方をしていきたい。
そのための方法としては、第一に、物を所有するという行為が最大の価値であると考えないことである。私の友人に、あるアーティストの方を熱心に応援している人がいる。彼女は、その界隈に蔓延するある意識に疑問を持っているそうだ。それは、「グッズを買わなければファンではない」という意識らしい。その友人はまだ学生で、お金を稼ぐことが不可能である。また、彼女はあまりグッズに執着しない人間である。そのため、グッズにかける費用は熟考の上で最小限に抑えているということだった。しかし、あまりにも高頻度で先ほどの言葉を耳にしたり、SNSでグッズを大量購入したことを自慢げに投稿している人を見たりするため、我慢ならず腹が立っているという。確かに、グッズを購入することで売り上げに貢献できたり、一体感が感じられたりといったメリットはあるだろう。応援の気持ちがわかりやすく可視化されるため、満足感を得ることも可能だ。しかし、グッズが原因でファンの間に格差意識が生まれていることは確かに問題である。応援の仕方は人によって様々であり、グッズを購入することが全てではないだろう。CDや雑誌ならば購入以外にも、レンタルという手段もある。それが自分にとって本当に必要なものであるか、購入理由が明確で一貫性があるかよく考えることが大切である。
第二に、レンタルを習慣化することだ。私は幼い頃から読書が趣味であり、読書量も人一倍であった。しかし家の面積は限られている。欲しい本をその都度購入していては、いつか家が本で溢れかえってしまう。そのため私は、まずは図書館で本を借り、その中でお気に入りと認定した本のみ母に購入を頼むようになった。現在でも私は変わらずに読書家であるが、その習慣のおかげで私の家が本に埋め尽くされる事態は未だに発生していない。現物を購入することに慣れている人からしたら、レンタルに簡単に乗り換えることは困難であろう。しかし、レンタルは今後を十分に考慮した賢い選択であるため、進んで取り入れていくことが大切である。
確かに、レンタルが可能なものには限りがある。しかし、『限られた人生で、大事なことは、「何をするか」ではなく「何をしないか」である。』という言葉もあるように、私はものの所有のみにこだわらず、レンタルを上手に活用して日々を過ごしていきたいと思う。
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。森リン(103) 子供たちの作文(59)