サクラソウ(プリムラ・マラコイデス)
●動画:https://youtu.be/rd-j4KMc8e4?si=GgdY07uSpOPNlhsU
言葉の森の生徒は、東京都、神奈川県をはじめとして中学受験が普通に行われている地域に住んでいる子が多いです。
そのため、小学3年生や4年生になると、塾が多忙になるため、作文の勉強を続けるかどうか迷う人も出てきます。
特に、塾を始めたばかりの最初の数ヶ月は大変です。
そのうち、塾のある生活に慣れるとしても、最初のうちは、これまでの習い事と両立できるかどうか誰でも悩むものです。
しかし、以前、バイリンガルを育てるTLC for Kids代表の船津徹さんの記事を紹介したように、少なくともひとつの習い事は、続けていくのがいいのです。
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中学受験で「習い事をやめて塾に専念」を絶対やってはいけない理由
https://diamond.jp/articles/-/336184
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受験勉強で多忙な中でも何かひとつのことを続けたということは、その子の自信になります。
ある意味で、続けたことの勲章のようなものが残るのです。
また、どうしても続けられない時期があったとしても、そのときは、親子で話し合って、「受験が終わったらまた再開しようね」という受験のあとの話をして、いったん休むようにすることです。
逆に、「受験が終わったら、いくらでも遊んでいいからね」という空約束をすると、子供は本当に受験のあとに遊んでしまいます。
実は、受験のあとの勉強こそ本当の勉強なのですから、受験のあとも勉強は継続することが大事です。
言葉の森で、これまで教えてきた中で、しっかりした子は、小学生から作文の勉強を始めて、受験の間も作文を書き、中学生、高校生と作文の勉強を続けてきた子が数多くいます。
その中には、中学受験をするなど作文を教えている先生も知らなかった子が、受験勉強中も普通に作文の勉強を続けていて、「実は、桜蔭に受かりました」というようなこともありました。
高校3年生まで作文の勉強を続けてきた子の中には、東大、京大、早稲田大、慶應大、上智大などにそれぞれ合格した子たちもいます
こういうひとつのことを継続した子は、そのことが一種の勲章になります。
別に作文でなくても、音楽でも、ダンスでも、趣味の生き物飼育でも何でもいいのですが、しかし、将来のことを考えると、やはり継続する習い事としては、作文がいちばんいいと思います。
作文なら、考える力も、書く力も、長文を読む力もつくので、子供が社会人になってからも役立つ能力になります。
受験勉強中も、少なくとも作文の勉強は続け、受験が終わったら、国語読解、算数数学、英語、創造発表、プログラミングなどの勉強も始めていくといいと思います。
そして、中学受験をする予定のない小学5、6年生は、学校の勉強とスポーツ活動だけでは、頭がなまります。
小学校高学年の生徒も、オンラインでできる国語読解、算数数学、英語で、中学生の勉強を先取りし、創造発表、プログラミングなどで、創造的な勉強を始めていくといいと思います。
しだれ梅
●動画:https://www.youtube.com/watch?v=iU3EiokSr-s
作文通信教育講座のブンブンどりむが、今日も、朝日小学生新聞に広告を載せていました。週2回のペースですから、よくやっていると思います。
こういう広告を見て、作文の通信教育を始める人もいると思いますが、この通信教育は小学生までです。しかも、たぶん小学校低中学年までです。
その理由は、ブンブンどりむの監修者である齋藤孝さんが書いた「こども文章力」に載っている作文の見本が、小学3年生を想定しているからです。
私は、他人を批判するのは好きではありませんから、これまでこういうことは書きませんでしたが、この広告を見て、勘違いの作文の勉強を始めてしまう人もいるかと思い、あえて書くことにしました。
齋藤孝さんは、いろいろなものを引用するのは得意ですが、自分のオリジナルなものはほとんどありません。
作文指導についても、従来の低レベルの作文教育をまとめただけのもので、基本は穴埋め作文という形式です。
この穴埋め作文で作文指導ができるのは、小学校低中学年までですから、文章力のある生徒を高学年まで指導することは、まずできません。
しかし、作文指導に意義があるのは、小学5、6年生の考える作文に入ってからです。
そして、中学生、高校生の作文に進むことで、更に考える力がついていくのです。
齋藤孝さんの「こども文章力」という本は、最近出版された本ですから、斉藤さんの作文指導に対するひとつの到達点だと思います。
そこに唯一載っている、作文の見本は、小学3年生を想定したもので、次のような例文になっています。
私は、小学3年生の子供が、こういう作文を書いてきたら、まず褒めます。
作文教育の基本は、いいところを褒めることで、悪いところを直すことではないからです。
褒めることのひとつは、字数です。
小3の字数の平均は300から600字ですから、この作文のように800字も書いてきたら、それは本人がよくがんばったことだからです。
もうひとつは、表記のミスがなく、ていねいに書いているからです。見本だから、あたりまえですが。
しかし、子供には直接言いませんが、心の中では、この作文には限界があると考えています。
以前も書きましたが、それはこういうことです。
第一に、題材に個性も感動もありません。
第二に、「朝起きてから寝るまで」の作文のように構成が平板です。
第三に、結びの感想が「うれしかったです」のような浅い感想で終わっています。
第四に、たとえを使うというような表現の工夫がどこにもありません。
つまり、構成、題材、表現、主題の4つの分野で、それぞれに不十分なのです。
字数を埋めるために、出来事を順番に書いているだけの作文になっています。
つまり、この作文を書いているとき、子供は楽しそうに書いていたのではなく、真面目な義務感で書いていたような印象を受ける作文なのです。
「こども文章力」の見本の作文はこの小3の作品のひとつだけで、ほかには、小学校高学年の作文の見本も、もちろん、中学生の作文の見本もありません。
それは、齋藤孝さんには、たぶん、高学年の作文や中学生の作文の見本を書く力がないからです。
その理由は、作文教育に関する理論がないからです。
ちょっと厳しいことを書きましたが、これはたぶん本当のことです。
大事なのは、高校生まで作文の勉強を続ける展望で、小学校低学年の作文の勉強を始めることです。
小学3年生で、「こども文章力」の見本のような作文を書くことが、作文の勉強の目標なのではありません。
しかし、なぜ低学年から作文の勉強を始めるのがいいかというと、低学年のうちに毎週作文を書くことを習慣にすれば、高学年や中学生になって課題が難しくなったときも、習慣の力で作文の勉強を続けることができるからなのです。