構成図のフォーマットを使って、小3以上の生徒に構成図を書いてもらいました。
これまでは、白紙に自由に書く形で、中学生以上が構成図を書くことにしていましたが、今後はもう少し早い学年から構成図をスタートするようにしたいと思っています。
構成図とマインドマップは、外見が似ていますが、本質的なところが違います。
それは、マインドマップが整理を目的としているのに対して、構成図は創造を目的にしている点です。
(つづく)
下記の例は、初めての指導で構成図を書いたので時間がかかっていますが、通常は7、8分で書き上げられます。
【小3の生徒の例】
【小5の生徒の例】
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考える力は、中高一貫校の受験に役立つだけでなく、将来の大学入試にも当然役に立ちます。
現在の大学入試の多くは、まだテストに現れる学力だけの評価になっています。もちろん学力があるということは当然の前提ですから、学力よりも大事なものがあるというのではありません。
学力は大前提として大切ですが、実は学力の先にあるプラスαがあるかどうかが、人間の本当の実力になってくるのです。このプラスαは、読む力、書く力、考える力のように言うこともできますが、それらの力の根本にあるのが、テーマのある生き方です。つまり、求めるものがあるような生き方を可能にするのが、読書と知的な対話だということなのです。
大学側でもこのことにだんだん気がついてきているので、今後、テストの形式は変わってくると思います。今はまだ、試行錯誤の段階なので、小論文や面接を取り入れる程度ですが、将来はこの取り入れ方も更に工夫されていくことが予想されます。
しかし、どのようなスタイルの選抜試験であっても、その子に考える力さえあればすぐに対応できます。
公立中高一貫校に合格する力を育てるのは、主に家庭での教育力です。公立校という条件から、受験勉強の訓練を特にしなくても解ける問題が出されるのが原則です。大事なのは、訓練よりも、生活の中で育っている力です。
受験勉強で得点を上げる練習は、学習塾などで勉強した方が能率のよい面もあります。それは、出題されそうな問題に特化した練習ができるからです。しかし、考える力を問う問題は、一斉指導ではなかなかできません。それぞれの子の力に応じて対応した問題を出す必要があるからです。そういう問題を出せるのは、家庭で一緒に生活している両親なのです。
そして、子供と知的な対話を楽しむような家庭に育った子供は、当面の受験や更に大学入試も超えて、将来の大きな可能性を持つようになると思います。
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子供時代はいろいろな体験をすることが必要ですが、その体験を深めるものは、その体験をしたときのその子のテーマです。
例えば、親に連れられてアフリカに行ってキリンの背中に乗って遊んだというような珍しい体験よりも、自分で何か欲しいものがあって、初めて隣町まで買い物に行ったというような体験の方が、その子にとってはテーマのある体験になります。
珍しい体験だけであれば、それは思い出にはなるだけですが、テーマのある体験をした子は、そこから新しい体験を発展させていくことができます
このテーマというものがどこから来るかというと、やはり読書や対話などを通した知的な想像力からやってきます。豊かな想像力を持っている子供は、普通に遊んでいるときでも、自分を物語の主人公の一員と見なして遊んでいる面があります。
小学生のころのいたずら好きな子というのも、この想像性ということから理解できます。いたずらをする子の多くは、単に悪いことをしようと思っていたずらをしているのではなく、いたずらという物語を演じています。その背景には、いたずらを楽しく描いた読書などの影響があります。
だから逆に、テレビやアニメなどで根の浅い物語ばかりを見ていれば、その子の体験のテーマも根の浅いものになります。
読書や対話によって多様なものの見方ができるようにするとともに、読書や対話を通してテーマのある体験をしていくということが、子供の考える力を豊かにしていきます。つまり、元になるのは、読む力をつけるということなのです。
そして、その子にどれぐらい読む力や考える力や豊かな体験があるかを見ることができるのが作文です。中高一貫校の作文試験は、このような背景から出されています。
(つづく)
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公立中高一貫校の入試問題は、内容がよく工夫されています。問題が工夫されていることに伴って、採点もかなり手間がかかるものになっています。しかも、手間がかかるだけではなく、採点の基準がはっきりしていないために、採点する側の心理的な負担もかなり大きいと思われます。
これらの問題を見ていると、いずれこのような形の入試問題を出すことには限界が来ると思われます。そして将来は、推薦試験のような形が取り入れられるか、あるいはこれまでの入試に近い要素が増えてくると思います。
今後も、考える問題を発展させる形で入試問題を作るとなると、次のような作文入試にする方法が考えられます。それは、言葉の森の作文の勉強でやっているように、構成、題材、表現をかなり厳密に指定して、その枠内で作文を書かせる形です。こういう形であれば生徒の実力もはっきりわかりますし、それ以上に評価もかなり客観的にできるようになります。
しかしもちろん、入試のスタイルが決まってくれば、そのような入試のスタイルに合わせて練習をしないと合格しにくくなるというような状況も当然生まれてきます。しかし、それはむしろ、考える力をつける形で受験勉強が進んでいくということで望ましいことだと思います。
さて当面、中高一貫校の入試では、今の考える良問が続くと見て対策を考えておく必要があります。考える問題に対する対策をとっておけば、それは受験ばかりでなく一生役に立つからです。
では、考える力をつけるためにどうしたらよいかというと、まず読む力をつけることです。読む力がそのまま考える力になっていると考えてもいいと思います。
体験を豊かにするということももちろん大事ですが、ただいろいろな体験をしていればよいというのでありません。お仕着せの体験は、単なるエピソードにしかなりません。
同じ体験をしても、考える力のある子は、より内面的に個性のある体験をしています。つまり、体験の外見ではなく、自分なりのテーマを持った体験をすることが大事だということです。(つづく)
(この文章は、構成図をもとにICレコーダーに録音した原稿を音声入力ソフトでテキスト化し編集したものです)
マインドマップ風構成図
記事のもととなった構成図です。
(急いで書いたのでうまくありません)
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ガンマ型の文章は、ストーリーのない説明的な文章です。科学や評論の文章がガンマ型の文章にあたります。学校教育の目的は、このようなガンマ型の文章を読む力を育てることにあるというのが外山滋比古氏の考え方です。
学生時代は勉強の中で、ともくかも説明的な文章を読まされていた人が、社会人になるとストーリー的なものしか読まなくなる、ということがよくあるようです。難しい文章は、若い時期に読んで読む力をつけておかないと、年をとってから新たに読むことがなかなかできません。
難しい文章を苦労して読むところに、考える力が育つというのが外山氏の持論です。確かに、外山氏の書く文章は、いずれもわかりやすく独創的な内容のものです。この独創性の背景にあるのが、難しい文章を読んだ蓄積なのだと思います。
言葉の森の暗唱の課題の中で、低中学年では物語的な文章と説明的な文章がまじっています。一般に、説明的な文章は、物語的な文章の二倍ぐらい読む時間がかかります。そのように時間がかかることによって、読む力が育っているのです。子供はやさしい文章の方を喜びますが、やさしい文章のところどころに難しい文章があるというような勉強が、考える力を育てる理想的な勉強の形になります。
アメリカの黒人と白人の能力の違いということで、外山氏は言葉の重要性を指摘しています。黒人と白人の間に見られる能力の違いは、遺伝的なものではなく、幼児期の会話の環境の違いだというのです。両親が知的な会話をするような家庭で育った子は、自然に考える力が育ちます。両親がアルファ型の会話しかしない、又は、テレビや漫画などのアルファ型の会話に囲まれて育ったというような子供は、やはり考える力が育ちません。学校や塾で勉強する以前に、はるかに大きな学力の基礎が家庭での会話の中で育っているのです。
家庭でガンマ型の会話をする方法として、言葉の森の長文暗唱の自習と毎週の作文を利用することができます。
自習で子供が説明文の長文を読んでいるときに、その長文の話題をもとにして、親が自分の体験や感想を話してあげるのです。このときに、「もし……だったら」「どうして……」「たぶん……」「今だったら……」「自分だったら……」などという言い方が役に立ちます。抽象的な話題について、親と子が抽象的に考えを膨らませて話してしていくことが知的な会話になります。こういう会話ができるように、長文暗唱は、子供部屋ではなく親のいるところで、また黙読ではなく声を出して読んでいくことが大切です。
また、作文で小3以上は題名が与えられた課題になっています。事前に次の週の課題がわかるので、その課題について、親の子供のころの話をしてあげたり、その課題に合わせたイベントを工夫してあげたりするのです。
例えば、「私の好きな遊び」という課題で、親の子供のころの遊びの話を聞かせてあげるというようなことです。そして、その遊びがどんなふうだったか実演してみせるのです。また、田舎にいる祖父母に電話で取材をすることもできます。作文を書くことを通して、家族の対話や体験の共有がしやすくなります。
ただし、せっかく話を聞かせたり実演したりしても、子供は意外と作文の中でそれをうまく生かすことができません。わずか一、二行で済ませてしまうこともあります。全然触れないこともあります。しかし、文章の形としては出ていなくても、子供の頭の中には確実にその会話や体験が残って蓄積されているのです。
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アルファ型の文章は、物事と結びついた文章です。「おなかが、すいた」「そこに、おやつがあるよ」「今日は、暑いね」「雨が降ってきた」というような文で成り立つ文章です。
それに対して、ベータ型の文章は、現実のものごとから離れた文章です。しかし、その離れた言葉自体に一つのストーリーがあるようなものです。例えば、「昔あるところにおじいさんとおばあさんがおりました」などという昔話は、ベータ型の文章です。
物語がすべてベータ型かというと、必ずしもそうとは言えません。アルファ型に近いベータ型の文章として、会話の多い物語文が挙げられます。
子供たちに人気のある本の中に、やはり会話がきわめて多いものがあります。内容的にも面白く子供にとっても読みやすいので、それらがよい本として薦められていることもあります。読書を楽しむという点でもちろんいいことですが、会話の多すぎる文章は読む力を育てるにことにはあまり役立たないということを理解しておく必要があります。
本を選ぶときの基準として、地の文がしっかり書かれている文章を選ぶことが大切です。会話だけで話が展開していくような形ではなく、会話の間の説明の文章が書かれている文章を選ぶということです。
漫画がなぜ読む力を育てないかというと、漫画に書いてある文章は、かなりアルファ型に近い文章だからです。つまり、絵の内容と結びついた言葉なので、その言葉によって考える力があまり育たないのです。
漫画や会話の多い物語が悪いというのでありませんが、本のような外見のものを読んでいれば、それがそのまま勉強としての読書になっているとは考えないことです。少なくとも、いくら文章を読んでも、その文章が読む力をつけることに結びつかないような文章もあります。更に言うと、アルファ型の言葉ばかりに囲まれていると、かえって読む力が低下していきます。
では、ガンマ型の文章とはどういうものでしょうか。
(つづく)
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一昨日、外山滋比古氏の本を5冊読みました。いずれもおすすめの本です。
「頭のよい子は『ことば』で育つ」 PHP文庫 571円
「思考の整理学」 ちくま文庫 520円
「ちょっとした勉強のコツ」 PHP文庫 533円
「日本の文章」 講談社学術文庫 880円
「『読み』の整理学」 ちくま文庫 560円
5冊全部足しても3000円ちょっとです。しかし、内容はその何倍も価値があります。
これらの本の中で、外山氏は文章を三つの分類に分けて考えています。アルファ型の文章、ベータ型の文章、ガンマ型の文章の三つです。
アルファ型の文章は、物事と直接結びついている言葉で、例えば家庭の中で、「そこにあるそれをとって」というような言い方の文章です。親子の会話はこういう形になりやすいのですが、こういう文章をいくらたくさん頭の中に入れても、考える力は育ちません。
家族でニュースなどを見て、時事的な話を、親が自分の体験や感想を盛り込みながら話していくと、それが子供にとってアルファ型を超えたベータ型の文章になります。このような親子の対話が、実は中高一貫高の入試の作文試験などに対するいちばん大きな対策になります。
一般に、子供との接触の多い母親はアルファ型の会話になりやすく、接触の比較的少ない父親はベータ型の会話になりやすい傾向があります。しかし、父親がベータ型の会話をする機会がない場合は、母親が子供との普段の会話の中で、意識的にベータ型が入るような話をしていくといいと思います。
ベータ型の言い方の一つが、仮定や想像の話です。「もしそれがこうだったらどうなるだろう」「たぶんそれはこうだったからそうなのではないか」というような話をしていくと、会話の言葉が自然にアルファ型を超えたものになっていきます。
また、低中学年の場合は、たとえを使って物事を表す練習もアルファ型を超える練習になります。例えば、お母さんが小学校低学年の子と散歩しているとき、目についたものを「まるで何とかみたいだね」というような言い方で表現していきます。お母さんがユニークなたとえを使っているのを聞いているうちに、子供のアルファ型を超えた思考力が育っていきます。
(つづく)
(この文章は、構成図をもとにICレコーダーに録音した原稿を音声入力ソフトでテキスト化し編集したものです)
マインドマップ風構成図
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今年中学生になった子のお母ささんから、勉強についての相談がありました。中学生になってからの最初のテストで、理科や数学は完璧なのに、国語だけB評価だったというのです。この子は、中学受験のときに学習塾に通っていましたが、やはり国語だけ成績が伸びなかったそうです。相談の内容は、中学受験は終わったが、今後大学入試で国語が足を引っ張るようになる気がするということでした。
確かにこのままでは、国語は苦手なままでしょう。それだけでなく、大学入試の英語などは国語力がかなり必要とされるので、国語以外の教科もやはり、国語に足を引っ張られる形になると思います。
そこで、アドバイスを、三つしました。
第一は、国語の模擬試験などが帰ってきたときに、親が点数にとらわれず、必ず中身を見てその問題を解いてみるということです。実際に親が子供の国語の問題を解いてみると、子供がどこで間違えているのかということがわかります。現実の姿を見ることによって、その後の対策が具体的になります。
第二は、解き方のコツを知ることです。これは言葉の森のホームページにいろいろな形で載っています。この国語の問題の解き方は、英語の問題の解き方とかなり共通性があります。また、小学生、中学生、高校生いずれにも共通するコツです
第三にいちばん大事なことは、日本語の文章を何度も繰り返し読むことです。このための教材として最適なのは、やはり入試の問題集です。中学生でしたら、たとえ中学一年生であっても、全国の高校入試の国語の問題集の問題文を読んでいくということです。この際に大事なことは、繰り返し読むことです。繰り返し読むことで、本当の読む力がついてきます。
読書の仕方で、速読という方法やフォトリーディングという方法があります。これらの方法の利点を一言でいうと、この方法を学ぶことが多読に結びつくということです。速読やフォトリーディングそのものに効果があるというよりも、その方法を使う過程で本を読む機会が増えるというところがいちばん大きな長所になっています。
なぜかというと、読書量の多い生徒と国語の成績のよい生徒の相関はかなり高いのですが、その読書量の多い子のほとんどは、速読やフォトリーディングという方法を身につけているわけではないからです。大事なことは、読むことであって、読み方ではありません。しかし、読み方を学ぶことによって結果的に読む量が増えるというところに、読み方を学ぶ意義があります。しかし、実は読む「量」よりももっと大事なのが、何を読むかという読む「質」です。例えば、高校生で読書量はあるが、読んでいる本のほとんどが小説だという場合は、国語の成績はあまりよくはないはずです。
さて、言葉の森での文章の読み方は、二つあります。
一つは、長文を部分的に暗唱して、その文章を自分のものにすることです。国語の入試問題のうち、特に物語文は、一つの文を一回で深く味わって読むような読み方が要求されます。そのような読み方を身につけるためには、暗唱で一つの文を徹底的に自分のものにしていく必要があります。
言葉の森で、もう一つ新しい読書の仕方として考えているのが、付箋(ふせん)を利用した再読型の読書です。これについては、また別の機会に具体的な話をしていきたいと思います。
(この文章は、構成図をもとにICレコーダーに録音した原稿を音声入力ソフトでテキスト化し編集したものです)
マインドマップ風構成図
記事のもととなった構成図です。
(今回はわかりやすく、構成図のフォーマットを使いました)
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