野菊
子供の勉強は、長期的な見通しを持つことが大切です。
受験という目標があると、そこにすべてを集中してしまいがちです。
特に、今は、塾でも競争を煽るようなかたちで大量の宿題を出したり、頻繁なテストを課したりするので、子供も親も、その塾のペースに流されがちです。
しかし、よく考えてみればわかるように、受験勉強で、あとに残るものはあまりありません。
受験の算数は、差をつけるための算数なので、難しい問題が出てきますが、その難しさはあとに残りません。
数学は、中学や高校でしっかり勉強すればいいのです。
苦労して中学受験の勉強をした子と、小学生時代のんびり遊んでいた子が、結局同じ大学に合格するということは、よくあります。
本当の勉強は、子供が自覚してから始まるので、中学3年生から高校3年生にかけての勉強が、最も大事なのです。
受験勉強で、あとに残るものはあまりありません。
そのかわり、小学生時代、本当にあとに残るものがあるとすれば、それは読書と作文と遊びです。
これらは、子供の感受性、思考力、表現力を育てます。
それが、最もあとに残る学力なのです。
塾に通うと、勉強時間が増えるので、初めのうちは作文の勉強との両立は難しいと感じる人もいると思いますが、その忙しい時間もやがて慣れてきます。
受験勉強中も、できるだけ、読書と作文の勉強は続けて、どうしても時間的に無理になったときだけ、いったん休会して、また、中学受験の合格後に再開すればいいのです。
言葉の森の作文は、高校3年生まで続けられます。
言葉の森には、小学1年生から作文の勉強を始めて、高校3年生まで続けている生徒が何人もいます。
うちの子2人もそうでした(笑)。
長い展望を持って、作文の勉強に取り組んでいきましょう。
クリサンセマム、ノースポール、寒白菊
昔、中国から日本に来た小6の男の子がいました。
中国の漢字は読めますが、日本語の文章の漢字は、中国の読み方とは違うのでなかなか読めません。
そのときに、読んでいるのは、ひらがなだけの絵本のような本でした。
そこで、作文の課題の長文を毎日音読してもらうことにしました。
そのままでは読めませんから、ふりがなのページで、全部の漢字にふりがなをつけた長文を印刷し直して渡しました。
https://www.mori7.com/musi/ruby.php
その子のお母さんが立派で、毎日必ず、その子に音読をさせてくれました。
音読と言っても、1500字ぐらいの長文ですから、読むのには5分もかかりません。
大事なのは、それを毎日続けることです。
すると、作文もどんどん上達し、中学3年生のころには、日本の中学生と同等かそれ以上の立派な文章を書けるようになり、第一志望の高校に合格しました。
外国人の子供が日本で勉強する場合、小学4年生ぐらいまでは勉強も比較的楽にできるようです。
わからないことがあっても、友達に聞けば、耳学問のような感じで理解できるからです。
しかし、小学5年生になり、抽象的な概念が出てくるようになると、耳学問だけではついていけません。
小学5年生以降は、自分で日本語の文章を読む力がなければ、勉強についていけなくなるのです。
勉強法は、単純です。
毎日、課題の長文を音読することがひとつで、もうひとつは毎日読書をすることです。
音読は、朝ご飯の前にすると続けやすくなります。
食卓に、課題フォルダを置いておき、音読をしてから朝ご飯を食べるようにすれば毎日できます。
読書は、学年の10倍ページが基本ですが、苦手なうちは、毎日10ページ以上を読むというようにすれば続けられます。
勉強の基本は、この単純なことを、1日も休ますに毎日続けることです。
そのためには、音読を近くで聞くことのあるお母さんは、子供がどんな読み方をしても褒め続けることです。
男の子は、特に、単調な勉強に飽きるので、ふざけて読んだり、早口で読んだり、中の言葉を言い換えて面白く読んだりということをします。
それをすべて褒めて、毎日の音読を続けさせるのです。
子供は、小学生のうちは、嫌々でも音読をしますが、中学生以降は音読をしたがらなくなります。
親も、中学生の子に、音読を強制することはなかなかできなくなります。
先ほどの中国から来た子供のお母さんも、子供が中学生になっても音読を続けさせるのはかなり苦労したと言っていました。
しかし、最もよい国語の勉強法は、この音読と読書です。
読書のレベルを上げるためには、毎日50ページ以上読むこと、物語文だけでなく説明文、意見文の本を読むことです。
中学生、高校生は定期テストがあるので、定期テストの2週間前からは、読書はいったん休んでもいいのですが、読書力のある子は、テスト前でも本を読んでいます。
この読書力が、学力の土台になるのです。