ブラックベリー
6月4週の創造発表クラスの授業の様子です。
それぞれ自分の好きな分野を研究して発表しています。
個人別の発表なので、分野はまちまちです。(まちまち過ぎ(笑))
発表のあとの質問と感想の時間では、それぞれの生徒がお互いに自分なりの考えを発表していました。
みんな、ほかの人のジャンルの違う発表をよく聞いていました。
この創造発表の授業が、これからの勉強の中心になります。
今はまだ、高校で探求学習の授業がある程度ですが、今後、大学の総合選抜型入試が広がるにつれて、個性と思考力と発表力が重視されるようになります。
言葉の森の生徒は、作文を書くことには慣れているので、小論文は大丈夫です。
自分らしい勉強をすることが、これからの子供の学習で大事なことです。
創造発表は、答えのない勉強なので、従来の考え方では不安を感じる人もいるかもしれませんが、未来の勉強と考えてやっていくことが大事です。
創造的な勉強の励みになるのは、一緒に勉強する友達の存在です。
創造発表クラスは、5人以内のクラスなので、全員に発言の時間があります。
学校の探究学習では、グループ単位の学習で、ひとりの発表時間もわずかです。また、質問や感想の時間も限られています。
5人以内の少人数で、発表と交流のある授業が重要なのです。
【みんなの発表】
あかかのくん 小6
「太平洋戦争のミッドウェイ海戦」
あおひたくん 中2
「小笠原諸島と小笠原丸」
まむあんさん 中1
「ロシア・ウクライナ戦争」
あうえあさん 中2
「波動について」
ヒメヒオウギズイセン
子供たちの読書記録を見ていて、少し気になるのは、「5分後にどうなった」のような短編が集まった本を好む子が多いことです。
もちろん、短編でもいいのです。
芥川龍之介の短編集は、読んだあとも印象に残ります。
https://www.amazon.co.jp/dp/4061471619/
ただ、そういう短編の文章だけ読んでいるのでは、ものたりないと思うのが普通です。
椎名誠さんは、活字中毒で、小さい活字でびっしり書いてある文章を見るとうれしくなったそうです。
私も、昔読んでいた新聞で、1面だけでなく2面も、場合によっては3面も活字だけが書いてある記事を見ると、「わあ、得した」と思ったものでした。
しかし、今はそういう人はまずいません。
短い文章でわかりやすく書かれていたり、途中で挿絵が入ったりしていないと、読む気が起きない人が多いのです。
本は、もともとの原典を1冊読み切ることが大事です。
「○分間で読める○○」のような本をいくら読んでも、身につくのは雑学的な知識だけです。
難しい本であっても、1冊を最後まで読み切ると、その本で自分が何を得たかがわかります。
それは、その本がわかるということよりも、そこから自分が何を得たかということがわかるということです。
そういう自分なりにわかったことが、その人の蓄積になります。
それは、雑学の知識の蓄積とは違うものです。
だから、中学生や高校生の人は、いい本を読む時間を作ってください。
そして、大学生になったら、原典をしっかり読んでください。
そういう本を読めるのは、20代で、たぶん20代の前半までです。
読書が大事だということを言う人はあまりいません。
お父さんも、お母さんも、学校の先生も、成績がどうしたということしか、たぶん言いません。
しかし、あとに残るのは、今やっている勉強ではありません。
残るのは、自分の読んだ本と、自分のした体験だけです。
だから、あえて、読書が大事だということを書きました。
ヤマモモ
●これからの勉強の方向
保護者の世代は、いい大学に入ることがそのまま社会的な成功に結びついていました。
そのために、受験時には、知識を詰め込む勉強をしました。
今は、その前提が大きく変わりつつあります。
ひとつは、一般入試よりも総合選抜入試が主流になっていることです。
もうひとつは、優秀な学生ほど、就職よりも起業を目指していることです。
このような変化を考えると、子供の教育の重点は次のようになります。
・まず、自分らしい個性を伸ばすことです。
・次に、読書力、特に難読力を身につけることです。
・更に、作文力を育てることです。
・そのための土台となる国語数学英語理科社会などの教科の勉強は、家庭学習を中心に8割できればいいと考えることです。
個性を伸ばす勉強は、創造発表とプログラミングです。
読書力、難読力をつける勉強は、国語読解です。
作文力を育てる勉強は、もちろん作文です。
教科の勉強は、基礎学力、総合学力、全科学力、国語読解、算数数学、英語です。
●読書力、国語読解力をつける
子供たちの読書力が低下しています。
挿絵の多い絵本のような本や、短編集のような短い文章を読む子が増えています。
読書は娯楽ですから、それはそれでいいのです。
しかし、中学生からは、説明文、意見文のしっかりした読書をする必要があります。
そのために、小学生時代は、毎日の読書習慣をつけておくことが大事です。
読書記録を見て、同学年の生徒がどういう本を読んでいるか時々確かめてみるといいと思います。
▽読書記録
https://www.mori7.com/teraon/ds.php (現在15,508件)
●作文力は必須
公立中高一貫校では、作文試験があるところがほとんどですが、私立中学では、作文試験はあまりありません。
それは、採点のための時間が取れないためです。
高校入試でも、作文試験が増えていますが、数百字の記述試験でお茶を濁しているところもかなりあります。
ただし、トップ校は、記述の量が多い試験や、本格的な作文試験があるところが多いです。
大学入試では、特に総合選抜型の入試では、作文はほぼ必須です。(作文と小論文は同じ意味で使っています)
これらの事情を考えると、作文試験は、評価が大変だから、できるところとできないところがあるとわかります。
また、大学入試では、教科の成績で足切りをして、ある点数以上になった人だけ作文を評価するといところもあると思います。
ただし、今後はAIテクノロジーによって、機械で採点された作文のうち、ある点数以上になったものだけを人間が採点するというふうになります。(森リン採点と同じ仕組みです)
すると、今後は、作文試験が、入試の中心になると思います。
作文力のわかりやすいひとつの基準は字数です。
小学6年生以上は、毎回1200字以上書く力をつけることが目標です。
ただし、作文力は、短期間でつくものではないので、少しずつその目標に近づくように勉強していってください。
学習グラフを見て、作文の字数がどのように推移しているかを確認するといいです。
▽学習グラフ
https://www.mori7.com/gs/
●国語読解と算数数学と英語は自主学習が基本
教科の勉強は、教科書と参考書と問題集を使えば、ひとりでできます。
答えを見てもわからないところだけを、先生に質問すればいいのです。
大事なことは、毎日の家庭学習として、国語読解、算数数学、英語の勉強をしていくことです。
1冊の問題集を5回繰り返すことを目標に、その問題集を完璧に自分のものにする勉強をしていってください。
●未来の学習、創造発表
総合選抜型入試の時代には、個性と思考力と発表力が重要になります。
教科の点数は8割取れていればいいので、あとは自分らしいものを表現する力が基準になります。
創造発表クラスは、個性を生かし、自分なりに考えたことをみんなの前で発表するクラスです。
今は、予備校でも、総合選抜型の入試に対応した授業を行っているところが出てきています。
小中学生の時代から、創造性と思考力と発表力を育てることが、未来の勉強になります。
●能率のよい基礎学力、総合学力、全科学力
国数英理社の勉強は、いい教材があれば、家庭でひとりで進められます。
しかし、ひとりで勉強するためには、勉強の進捗状況をチェックしてくれるところと、質問に答えてくれるところが必要です。
基礎学力は小123が対象、総合学力は小456が対象、全科学力は中123が対象です。
週1回の授業で能率よく勉強し、余裕のある時間は、読書や創造発表に力を入れていくといいのです。
●プログラミングは、発展する教材で
プログラミングの教室は、ロボット作りやゲーム作りなど、特定の分野に絞ったものが多いと思います。
すると、プログラミングの技術を発展させるということができなくなります。
難しいのは、Scratchなどのビジュアルプログラミングから、HTMLやJavaScriptやPythonなどのコードプログラミングに移行するときです。
言葉の森では、常に新しい教材で、プログラミング学習が先に進めるようにしています。
●再び読書について
学校の勉強は、普通によくできているように見える子でも、読書力には大きな差があります。
読書と言っても、小学校低学年で絵本のようなものばかり読む子や、高学年や中学生で物語文の本ばかり読む子がいます。
もちろん、読書は娯楽なので、何を読んでもいいのですが、思考力のある子は、説明文や意見文の本を自然に読むようになります。
この読書力の差が、将来、高校生、大学生、社会人になったときの学力の差になります。
家庭では、少なくとも毎日読書の時間を設けるようにしてください。