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未来教育宣言(その1)――受験のための勉強を超えて、自分の向上のための勉強を as/5168.html
森川林 2024/09/21 06:00 


 現在の教育の問題点の第一は、受験のための教育が中心になっていることです。
 学校は、生徒に差をつけるために、間違えやすい問題を出します。
 生徒の人生にとって重要な問題を出すのではなく、間違えやすい問題を出すのです。

 すると、塾や予備校は、その入試問題に合わせて、間違えやすいところの勉強に力を入れます。
 学校側は、塾や予備校の対策を上回るように、更に間違えやすい問題を出します。

 子供にとって生きていくのに役立つような大事な問題ではなく、試験をする側にとって選抜しやすい間違えやすい問題を出すことを中心に教育が行われているのです。

 子供は、もっと本当に大切なことを中心に学ぶべきです。
 そうすれば、今よりもずっと短時間で必要な学力を身につけることができます。

 では、どうしたらいいかというと、今の受験勉強を超える方法を考えるよりも、受験がいずれなくなるという未来を考えることです。

 受験があるのは、受け入れる生徒に定員があるからです。
 生徒に定員があるのは、限られた場所に、限られた机と椅子があり、限られた先生が勉強を教える仕組みになっているからです。

 オンラインで勉強を行い、オンラインの友達どうしの自由な選択で一緒に学ぶクラスメイトを選ぶようになれば、受け入れる生徒の数を受験で選抜する必要はなくなります。

 今、受験に合わせて勉強している子供たちは、いずれ受験がなくなることを見越して、自分にとって大事だと思う勉強に力を入れていくことです。
 受験に合わせた勉強ではなく、自分自身の向上のために勉強するということです。
 将来、世の中に出たときにどういう実力をつけていくかということを考えて勉強していくのです。

 それには、幅広い教養も含まれます。
 しかし、それは受験のための教養ではなく、自分の将来の人生のための教養です。
(つづく)

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プログラミングの勉強の新しい展開、そして、いろいろな勉強もAIを利用したものになる as/5167.html
森川林 2024/09/20 11:50 


 なぜプログラミングの勉強が大事かというと、それは、自分らしい人生を送るうえで、プログラミングの技術が強力なツールになるからです。

 もし、人間が、会社などのある組織に入り、そこで自分に与えられた役割の仕事をするだけであるなら、プログラミングの能力は特に必要ありません。

 しかし、自分が新しい何かを思いついて始めようとするとき、その思いつきが新しいものであればあるほど、賛同してくれる人はいません。

 自分らしいことを始めるときは、誰でもたったひとりで始めなければならないのです。

 上司も、同僚も、部下も、参考にする人もいないし、読むべき本もほとんどありません。
 そういう中で、何かを始めるとき、自分の中で使える最も役に立つものがプログラミングの技術なのです。

 しかし、それはプログラミングを仕事の手段にするということではありません。
 プログラミングの仕事というのは、たぶん過酷なものです。
 自分のしたいことではなく、ほかの人がしてほしいことをプログラミングするだけですから、心理的に消耗することが多いのです。

 プログラミングを学習する意義は、プログラミングを仕事としてすることではなく、自分の本当にやりたいことをプログラミングの助けを借りてやることなのです。

 しかし、世の中は、AI技術の進展によって大きく変わりました。

 学校教育は、いつでも遅れがちなので、今は「情報」という教科を勉強し、それが大学入試にも出る時代になっています。

 しかし、プログラミングを中心にした「情報」という授業は、もう時代遅れになっています。

 江戸時代の終わりのころには、多くの人が馬術や剣術の練習をしていました。
 今でも馬術や剣術の練習自体はなくなっていません。
 それらは、オリンピックの競技にもなっています。
 しかし、生活の中心ではなくなってしまったのです。

 では、自分らしい人生を送るためのツールであったプログラミングは、これからどうなるかというと、それはChatGPTなどのAIを使える技術として変化していくのです。

 子供たちが学ぶAI技術は、まだ成熟してはいません。
 AIは、主にビジネスの用途として使われています。

 しかし、それはやがて教育の場に降りてきます。
 その活用の仕方は、AIに教えてもらうという受け身のやり方ではありません。
 AIを知的な友達として、自分自身が主体的に何かをする際のツールとして活用することなのです。

 このAI利用の方向に、プログラミングの学習もあります。
 ChatGPTに、どういうことをしたいのか指示すれば、そのプログラムを作ってくれます。
 そのプログラムを使うときに、ある程度のプログラミングの知識が必要になることもあります。

 しかし、大事なのは、プログラムを読むことや書くことではなく、そのプログラムを使って自分のしたいことをすることなのです。


 言葉の森には、現在、いろいろなクラスがあります。
 それらのクラスで、それぞれにAIが使えます。

 例えば、作文クラスでは、データ実例を探すときにChatGPTを使うことができます。
 また、自分の書いた作文を批評してもらうこともできます。

 国語読解クラスでは、自分向けの読解問題や記述問題を作って、自分の答えを評価してもらうこともできます。

 算数数学や英語も同じです。
 自分の苦手な分野の似た問題を作ってもらい、その答えを評価してもらうことができます。

 ChatGPTの得意分野は、外国語です。
 単語でも、文法でも、ヒアリングでも、スピーキングでも、AIはほぼ万能です。

 数学は、LLM(大規模言語モデル)の苦手な分野と言われていました。
 しかし、ChatGPTの新しいバージョンは、数学の問題も順を追って考えることができるので、数学が苦手だったAIは過去のものになりつつあります。

 もっとよく活用できるのは、創造発表とプログラミングの分野です。

 創造発表クラスは、自分の興味関心に基づいて、自由に研究し発表するクラスです。
 しかし、子供たちの学習レベルが高くないと、かつてのゆとり教育と同じような学習になってしまいます。

 自分の研究内容に知的な刺激を与えてくれるツールとしてAIを使うことが大事です。
 AIに教えてもらうのではなく、自分のしたいことをAIとの対話によって深めることに使うのです。


 プログラミングクラスでは、GPTsが使えます。
 GPTsとは、GPTを特定の目的に合わせてカスタマイズできる機能です。
 CPTsに、自分の使いたいデータを入れたり、自分なりのGPTを作ったり、それをプログラミングとして出力したりすることができます。


 言葉の森の勉強の目的は、思考力、創造力、共感力を育てることです。

 それは、旧来の、記憶の詰め込み、宿題の強制、テストによる競争、などと対極にある新しい学習の方向です。

 その新しい学習に、今後ChatGPTをはじめとするAIテクノロジーを使っていきたいと思います。

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