現代の勉強の性格は大きく変わりつつあり、従来の知識中心の学びから理解、そして身体化へとシフトしています。
この変化は、時代のニーズやテクノロジーの進化によるものです。
勉強には大きく3つの種類があります。
それは「知識の勉強」「理解の勉強」、そして「身体化の勉強」です。
これらは、それぞれの時代において異なる役割を果たしてきましたが、今後は身体化の勉強が中心となっていくと考えられます。
まず、「知識の勉強」とは、従来の教育における基本的な学びの形態であり、単に情報や事実を記憶し、知識を蓄積することが目的です。
かつては黒板と教室、そして教師がこの学びの中心でした。
しかし、インターネットの発展により、知識の習得はより効率的かつ迅速に行えるようになりました。
例えば、オンライン辞書や動画講義、Eラーニングプラットフォームなど、様々なツールを使うことで知識を手軽に得ることができる時代になっています。
その結果、知識の勉強が個人の生活や仕事の基盤であった時代は終わりを迎えつつあります。
次に、「理解の勉強」とは、単なる知識の暗記に留まらず、情報を自分の中で整理し、納得することを目指す学びです。
特に、数学や理科のような科目では、理解が深まることで初めて応用力が身につきます。
この理解の勉強において、重要なツールは詳しい解法の書かれた参考書や個別指導の先生です。
しかし、近年ではAI(人工知能)の導入により、理解の学び方も変わりつつあります。
AIは24時間365日対応可能で、初歩的な質問から高度な質問まで受け付けてくれるため、学習者が「分かったふり」をする必要がありません。
さらに、AIはどれだけ同じ質問をしても、常に丁寧に答えてくれるという利点があります。
このような環境での学びは、学習者の遠慮や恥ずかしさを軽減し、より深い理解を促進することが期待されています。
最後に、「身体化の勉強」とは、知識や理解を超えて、習得したことを自然な行動や習慣として身につける学びです。
スポーツや音楽、図工といった分野はこの身体化の勉強の代表例です。
これらの分野では、知識や理解だけではなく、身体を使って経験を通じて学びます。
ここで重要なのは、日本語力の身体化です。
特に抽象的な概念を自然に使いこなすことができるようになることが、思考力の向上に繋がります。
言い換えれば、日本語力を身体化することは、他の勉強をする上でも重要な基礎となります。
このように、現代の勉強は「知識」から「理解」、そして「身体化」へと段階的に進化しています。
知識を学ぶだけではなく、それを理解し、さらに自然に使いこなせるようになることが求められているのです。
身体化の勉強は、反復練習と時間の積み重ねが欠かせません。
具体的には、日々の読書や暗唱、発表、そして対話を通じて、自分の中に取り込んでいくことが大切です。
これからの時代、勉強の中心となるのは身体化であり、日々の実践が重要な役割を果たします。
したがって、これからの学習者は知識の蓄積に留まらず、理解を深め、さらにその理解を身体化することに努めていくことが必要になるのです。
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2024年10月保護者懇談会資料
ムラサキシキブとリンドウ
●サーバー障害のお詫び
9月下旬から10月にかけて、サーバー障害によりホームページの閲覧や送信が大幅に遅れるようになりました。
ご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。
原因は、海外からのDDOS攻撃という手法で、膨大なアクセスを言葉の森のサーバーに送りつけサーバーをダウンさせ、サーバーの中に入ろうとしていたということのようです。
対策として、遅いクエリを修正することと、新しいファイアーウォールを設定することで、対応しました。
●11月から新しいサーバーに移転――しばらくの間、一部のページしか使えません
11月から新しいサーバーに移転します。
OSも、プログラム言語も新しいバージョンになるので、直すところがかなりあります。
現在、全ファイルの修正を行っているところですが、複雑な作業になるため、11月からは、一部の必要なページだけを稼働することになりそうです。
とりあえず、現在ほぼ直っているところは、
・ホームページの表紙・オンラインクラス一覧表・個別れんらく板・検索の坂
までです。
このあと、
・作文の丘・山のたより・発表室連絡・読書記録・自習記録・確認テスト・暗唱検定・教材注文・森リンベスト・絵の実・森の掲示板・受講案内・体験学習
などのページを直す予定ですが、1日に2つぐらいずつしか直せないので時間がかかります。
10月29・30・31日は、サーバー移転のため、言葉の森のページはどこも使えませんので、この期間に振替授業に参加される方は、27日までに予習メモ、読書記録などをアップロードしておいてください。作文の送信は、11月1日以降にお願いします。
●ChatGPTを活用した新しい勉強法
今後の勉強は、AIを活用したものになります。
ChatGPTは、まだ検索の代わりに使うような利用が多いと思いますが、実は、あらゆることを教えてくれる一流の家庭教師のような存在です。しかも、無料です。
より高度な利用をするなら月額20ドルの有料になりますが、普通に使うだけなら無料でいいです。
将来、中学生や高校生などで、学校の定期テストや志望校の模擬試験を、ChatGPTを使って作るような子も出てくると思います(笑)。
これまでの過去問を読み込ませれば、そういうこともすぐにできます。
また、自分が苦手な分野の問題と似た問題を、ChatGPTを使って大量に作ってもらうこともできます。
英語などでは、音声でChatGPTとやりとりをして、そのあと、自分の話のどこを直したらいいか教えてもらうこともできます。
言葉の森でも、サーバー移転が一段落したら、AI森リンをはじめとして、AIを利用した学習システムを作っていく予定です。
13歳からは、Gmailでメールアドレスを作れるので、そのメールアドレスで、ChatGPTの無料アカウントを作っておくとよいと思います。
13歳未満でも、保護者の監督のもとで生徒個人用のメールアドレスを作ることはできます。
今後、AIの利用によって、勉強の仕方は大きく変わってきます。
子供たちの適応力は高いので、新しい技術には早めに対応できるようにしていくといいと思います。
●吸収する勉強から発表する勉強への転換
これまでの勉強は、知識を吸収しそれをテストで再現するという勉強でした。
今でも、多くの学校の試験は、そのパターンです。
すると、記憶力のいい子か、勉強時間を長くかけた子が、いい成績を取るようになります。
昔は、そういう勉強にも意味がありました。
しかし、これからは、そうではありません。
大学入試の総合選抜、高校の授業の探究学習などに見られるように、勉強の方向が大きく変わってきています。
同じようなことを言っている人がいました。
「東大の入試問題を見れば「頭のいい子」の条件がわかる…名門進学校の教諭が最も重視する"学力以外"の能力」
https://president.jp/articles/-/86772
ここに書いてあることは、簡単に言えば、「吸収するよりも発表すること」「読むよりも書くこと」が大事だというようなことです。
東大の入試は、確かに国語の選択問題は1問もありません。すべて記述問題です。
選択問題は、大学入試共通テストまでです。
読む力、選ぶ力よりも、書く力、表現する力が評価されるようになっているのです。
しかし、発表型の勉強は、優秀で意欲的な生徒でないと、かつてのゆとり教育のような勉強になりがちです。
また、子供自身も、発表型の勉強よりも吸収型の勉強の方が、勉強した気がする面があります。
言葉の森では、今後、子供たちが意欲的な発表ができるような仕組みを作っていきたいと思っています。
その主なやり方は、表彰システムを大幅に拡大することです。
●家庭での自学自習が勉強の基本――自習室を活用しやすくする方法を検討中
勉強は、学校や塾でするよりも、家庭で自分ひとりでするのが最も能率のよいやり方です。
しかし、小学生や中学生は、まだ勉強の自覚がないので、ひとりではなかなか勉強に取り組めません。
そこで、自習室をもっと活用しやすくし、先生がその子の勉強の様子を見て、自習室での勉強を指示するというようなこともしていきたいと思っています。
国語、算数数学、英語の確認テストを見ると、成績の悪い子が時どきいます。
今後、それぞれのクラスの授業を受けない人でも、問題集さえ購入すれば確認テストができるようにして、勉強のトータルなアドバイスをできるようにしたいと思っています。
●読書のレベルが、将来の学力のレベルになる
中学生や高校生で、読書の質が低い生徒がいます。
また、物語の本しか読んでいない子もいます。
逆に、小学校高学年で、読書の質が高い生徒もいます。
子供たちは、学校の勉強を第一に考えがちですが、あとになって残るのは読書の力です。
読書の質が低い、または、読書の量が少ない生徒は、学年が上がるにつれて成績が上がらなくなります。
それは、読書とは、思考力をつけるものだからです。
そのためには、難しい本を読む必要があります。
小中学生のころは、勉強にまだ考える要素が少ないので、勉強さえしていれば成績が上がるように思いがちです。
しかし、高校生、大学生になると、考える力がなければ、勉強だけしていても成果を上げることはできなくなります。
中学生以上の生徒は、やさしい本や物語の本だけでなく、できるだけ難しい説明文意見文の本も取り入れて読むようにしていくことが大事です。
ただし、難しい本を読ませようとして、読書量が低下しては、かえって読書力がつかなくなります。
複数の本を並行して読むような方法で、読書量は低下させずに、少しずつ難しい本を読むことに慣れていくといいと思います。
複数の本を読むには、付箋読書が役に立ちます。
https://www.mori7.com/mori/hp_senn_husenn.php?table=beb_article
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● AI技術の進化と教育の変化
AI技術の発達によって、これからの教育は大きく変わっていきます。
従来の教育は、知識や記憶を積み重ねていく「積み上げ型」が主流でしたが、これからは「創造」と「発表」を重視する「山頂型」へと移行していくと考えられます。
積み上げ型の教育は、学んだ内容が次のステップの基礎となる一方で、学習の成果が見えにくく、達成感を得づらいという課題がありました。
しかし、AIの導入によって、教育のゴールを先に設定し、その後に必要な学びを補うという新しい学習の形が可能になります。
● 各教科と積み上げ型学習の課題
積み上げ型の学びの代表的な教科として、算数・数学やプログラミングが挙げられます。
これらの科目は、基礎の積み重ねが大切ですが、その一方で、特に初期段階の学習が退屈であることも事実です。
算数や数学は四則計算のような基礎から順に学ぶカリキュラムが整備されているため、学習の初期段階で行き詰まることは少ないですが、プログラミングでは学習の進め方がまだ確立されていない部分もあります。
たとえば、ビジュアルプログラミングのScratchから、コードを書くJavaScriptに移行する際に、多くの学習者がつまずいてしまうことがあります。
英語は積み上げ型の側面を持ちながらも、生活の中で使う「手段」としての性格が強いため、将来的にはAIによる通訳や翻訳などのツールがこの役割を代替する可能性があります。
理科や社会科は、理解することで学びが完結するため、読書のように知識を吸収する科目と考えられます。
国語、つまり日本語の学習は、単なる知識ではなく、考える力や表現力を育む重要な教育であり、今後の学びの中心になると考えられます。
● AIによる学習スタイルの転換
従来の積み上げ型学習では、新しい知識を積み重ねても、なかなか目に見える成果を感じられないことが多くあります。
しかし、AIを活用することで、このような学びを「山頂型」に切り替え、まずは結果を出すことを優先し、その後で理由を学ぶという流れが実現可能になります。
学習途中でわからないことがあっても、AIに質問すれば解決でき、積み上げ型の学びに戻る必要はありません。
必要なときだけAIに頼り、より深く知りたい部分だけを掘り下げて学べば十分です。
このように、学習が山頂型に変わることで、教える先生や教科書、そして学校という「教える場」の存在意義が再考されるかもしれません。
AIを活用して、自学自習を進めることができれば、子供たちは自分のペースで学び、知識を活用する力を伸ばせます。
そして、学校は学ぶ場というよりも、創造したものを発表する場としての役割を果たすようになるでしょう。
● 反転学習の本格的な普及と創造的学習への移行
この新しい学びのスタイルは、かつて「反転学習」と呼ばれていたものの進化版ともいえます。
反転学習とは、授業で教えるのではなく、自宅で学び、学校ではその学びを深めたり発表したりする形の学習法です。
AIを利用することで、この反転学習はより意味のあるものとなり、子供たちは創造と発表を重視した勉強に取り組めるようになります。
ただし、多くの子供たちや学校がこの変化についていけていないのが現状です。
現在、中学生たちの学びの多くは、宿題をこなし、テストで良い成績を取るためのものであり、そのために時間をいかに効率的に使うかが求められています。
私自身も、かつて「1分1秒でも惜しい」と感じながら勉強に励んでいた記憶がありますが、それが知識と記憶の積み上げに基づく勉強だったからだと、今になってわかります。
本当の勉強は、何時間も何日もかけて考えるものです。
AIを活用した新しい学びのスタイルは、子供たちが創造的に考え、自分の考えを表現し、それを発表するものになります。
これからの教育では、知識を蓄えるだけでなく、考える力を伸ばし、創造力を育むことが求められるようになります。
● 未来の教育と学びの姿
AI技術を活用した教育の進化により、これからの子供たちの勉強は、知識や記憶のためだけのものではなく、創造と発表のための学びへと変わっていくでしょう。
自学自習のスタイルを確立し、AIにサポートを受けながら、自分のペースで学びを進めることが当たり前の時代が来るでしょう。
そして、学校は知識を教える場所ではなく、創造と発表の場へと変わり、子供たちは自らの考えやアイデアを発信する経験を積むようになるでしょう。
こうした変化が、これからの新しい教育のスタンダードとなっていくと思います。
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■ 家庭での自学自習の重要性
勉強の基本は、家庭での自学自習にあります。
現在、世の中には解法がていねいに説明された参考書が数多く出回っているため、自分で学ぶ環境は整っています。
そのため、答えが存在するような学習内容については、必ずしも塾や家庭教師に通い、人から教わる必要はありません。
しかし、学習を自ら進めるには自己管理能力が求められ、それが未熟なうちはなかなか独力では勉強が進まないのも現実です。
■ 子供にとっての学習環境と家庭の変化
子供が中学生までの年齢では、ひとりで勉強をする自覚がまだ育っておらず、教室のような仲間と一緒に学べる場があって初めて集中できることが多いものです。
高校生以上になれば、自己管理の意識が芽生え、自宅での学習もできるようになりますが、それまでは適切な環境づくりが欠かせません。
昔は、保護者や家族が家にいる時間が長く、子供が学校から帰宅した後、自然と勉強する習慣を家庭内で身につけやすい状況がありました。
しかし、現代では多くの家庭で保護者が仕事で帰りが遅くなるため、家庭内で子供の学習をサポートすることが難しくなっています。
■ 宿題とテストに依存しない自学の仕組み
その結果、子供の勉強は、宿題やテストといった「外部からの強制」に依存する傾向があります。
しかし、本来、学力を高めるためには、自分で選んだ教材を繰り返し学習することが大切です。
宿題やテスト対策のためだけに時間を費やしても、十分な力はつきません。
子供が自ら学ぶ習慣を身につけ、外部の強制ではなく、自己決定による学習を促す取り組みが必要とされています。
■ 言葉の森による自習室の活用と今後の展望
「言葉の森」では、自習室をさらに使いやすくし、家庭学習を支援する新たな方法を導入しようとしています。
具体的には、国語や算数・数学、英語などの授業で、生徒が次の週までに家庭で行う学習計画を立て、その計画を生徒・先生・保護者が共有します。
生徒は家庭でその計画に従って、自習室に入って勉強を進めます。
自習室では、Zoomのブレークアウトルームを利用し、100か所の個室で自由に学習ができます。
各個室はカメラをオンにした状態で利用し、他人の目を意識することで集中力を高めます。
しかし、もちろん他人に部屋の様子が見えることはありません。
このシステムでは、他の生徒とペンネームを通じて交流し、仲の良い友達と同じルームで勉強することも可能です。
学習の内容や時間は、事前に自習記録に登録することで、後から振り返ることができます。
また、タイマーを使って「この勉強は何分以内で終わらせる」といった時間制限を設けることで、集中力を高める工夫をすることが大切です。
ネットを通じた学習では、休憩の際に他のサイトを見ることもありますが、タイマーを使った計画的な休憩により、時間のコントロールができます。
このような自習室を小学校低学年から利用できるようにすることで、中学生や高校生になったときにも、同じように自学自習の習慣を続けられるようになります。
このような自習室を活用した学びのスタイルが、今後の勉強のスタンダードになると思います。
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個別れんらく板からの連絡について、これまで、先生からの連絡は、
「○○様←中根克明」などとなっていましたが、10月13日から、
「○○様←森川林(nane)」と、ペンネームと講師コードを併用したかたちになります。
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上智大学総合人間科学部心理学科 M.R.さん
<生徒さまより>
長年の作文の経験は受験準備中も受験日当日も常に生きていると感じ、本当にやっていて良かったなと思っています。辞めるまで毎週作文を見てくれて、前向きなコメントをくれたH先生には、感謝してもしきれないくらいです。本当にありがとうございました。
<担当講師より>
書くことが大好きで毎週欠かさず取り組んでいました。レッスンでも課題はもちろんのこと、作文以外の話も分かち合ったりしていました。合格報告を受け、我が子のことのように嬉しく感じています。
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受講停止又は退会の連絡は、20日までに連絡があった場合、その月の末で終了としていました。
しかし、この日程ですと、受講料自動振替を金融機関に報告する日程とぶつかることがわかりました。
そこで、10月より、受講停止・退会の連絡は、毎月15日までとさせていただきます。
よろしくお願いいたします。
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プログラミングの学習は、役に立ちます。
特に、自分で新しく何かを始めようとする人にとっては、ある程度のプログラミングの知識技能は必要です。
それは、自分で何かを始めようとする人にとって、車を運転できることがある程度必要であるのと似ています。
ところが、プログラミング学習の難しいところは、積み重ね型の学習であるために、最初のころの知識の習得に時間がかかることです。
見晴らしのいい尾根に上がるまでの間に、歩かなければならない単調なアプローチの距離がかなり長いのです。
その対応策として、プログラミング学習の導入部分を、興味の持てるゲーム作りにしたり、ロボット作りにしたりという工夫が数多く生まれました。
しかし、ビジュアルプログラミングで、自分なりのプログラミングを作れるようになった子も、その後、コードプログラミングに移行する段になると、その単調さに飽きてしまうことが多かったのです。
ところが、この積み重ね型のプログラミング学習が、大きく変わる可能性が出てきました。
それが、AIの活用です。
プログラミングの学習と似た事情は、数学の学習についても言えます。
子供がある時期に数学が苦手になると、それを得意教科にするまでがんばるということは、なかなかできなくなります。
それは、数学が、典型的な積み重ね型の学習だからです。
苦手になったときに、どこから手をつけていいかわからなくなるのです。
積み重ねが必要だということは、多かれ少なかれ、どの教科の勉強にもあてはまります。
しかし、それらが、AIの利用によって変わる可能性が出てきたのです。
積み重ね型の学習に対して、正反対の学習を山頂型の学習と呼びたいと思います。
スキーの練習のごく初期のころは、麓から山頂まで歩いて登る過程が必要でした。
今は、リフトで山頂まで行けますが、リフトのない山には行くことができません。
ところが、ヘリコプターで山頂まで行くという方法もあるのです。
スタートが山頂で、そこからゆっくり麓まで降りていくというスキーの仕方です。
プログラミングの学習における山頂とは、「こういうものを作りたい」というイメージです。
数学の学習における山頂とは、「この問題を解きたい」という目標です。
積み重ね型の発想をしているかぎり、そのイメージや目標を実現するためには、長い下積みの苦労をしなければならないというのがこれまでの考え方でした。
しかし、AIを利用すれば、すぐに自分の望むプログラミングを作ってもらえます。
数学でも、すぐに解き方を教えてくれます。
そのあと、そのプログラミングの詳しい意味を聞いたり、数学の解き方の更に詳しい説明を聞いたりしていけばいいのです。
聞くことにも、もちろん時間はかかります。
しかし、下から登っていく苦労に比べたら、上から下へ降りる苦労は、比較にならないぐらい小さなものです。
下から登るためには、麓を全部回る必要がありました。
上から降りるには、必要なところだけ下っていけばいいのです。
これが、山頂型学習の特徴です。
AIの利用によって、これからの勉強の仕方は大きく変わります。
AIは、答えを教えてくれるだけではありません。
もし、自分の苦手な問題があれば、それと似た問題を何問も作ってもらうこともできます。
英語の場合は、音声のやりとりもできるので、ヒアリングとスピーキングの勉強も同時にできます。
AIと英会話で話をしたあと、自分の言った英文のどこを直したらいいかを聞けば、丁寧に教えてくれます。
人間では、なかなかここまではできません。
AIは、勉強のすべての分野をカバーしている、自分だけの超一流の家庭教師です。
山頂学習ということで言えば、登りたい山の頂上にすぐに連れていってくれる空飛ぶ乗り物と言ってもいいでしょう。
では、実際に、プログラミング学習がどういうかたちになるかというと、まず、生徒は、自分の作りたいものをChatGPTに作ってもらいます。
すると、Pythonのプログラミングコードがわかります。
勉強好きな子なら、そのコードを読むために、AIに更に質問をするか、又は、Pythonの勉強を始めるでしょう。
この下り坂の勉強の仕方は、自分のしたかったことと結びついています。
ゲーム作りやロボット作りから、コードプログラミングに移り、長い登り坂を経て尾根に上がる勉強よりもずっと楽にできます。
しかし、そういうプログラミングの勉強をわざわざ始めなくても問題はありません。
こういう命令をしたら、こういうものができたから、次は、どういう命令をしてみようかと考えるようになればいいのです。
ちょうど、Midjourneyなどの画像作成ソフトの使い方と同じです。
言葉による入力と、画像による出力との間のブラックボックスがどうなっているかは誰にもわかりません。
作った人自身がわからないのが、深層学習の特徴です。
だから、わかることよりも、使えることが大事になるのです。
AIの活用に伴って、勉強のスタイルも変わってきます。
これまでは、答えのある知識を吸収することと中心に勉強が組み立てられてきました。
そのわかりやすい表現が、テストや宿題や点数や成績でした。
これからの勉強は、吸収するだけの勉強ではありません。
これからの勉強は、創造し発表することが中心の勉強になるのです。
言葉の森が今考えているのは、データベースとChatGPTを組み合わせ、山頂型学習で学力を身につけ、創造発表教育で、勉強の方向を吸収から創造と発表へと発展させる教育です。
これから、新しい勉強法を作っていきたいと思います。
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