付箋読書をすると、読むスピードが上がります。また、読み始めるきっかけが作りやすくなります。そして、最後まで読み終えることが多くなります。つまり付箋読書は読書をしやすくする効果があります。
暗唱の木を使うと、暗唱を始めやすくなります。また、その暗唱を最後まで続けやすくなります。
同様に、構成図を書くと、作文が書きやすくなります。
付箋読書、暗唱の木、構成図という方法に共通するものは、フィードバック効果が働いているということです。
通常、人間の行動は、意志があってから行動が始まり、その結果を見て再び意志が強化されるという流れで進んでいきます。しかし、読書、暗唱、作文などは、結果が残りにくいという共通点があります。読書や暗唱は形として残らず、作文は形としての結果が出るまでに1時間ほどの時間がかかるからです。
ところが、付箋や暗唱の木や構成図を使うと、予測される結果が先に形のあるものとして表示されるので、それによって意志が強化され、行動が起こりやすくなり、その行動がまた結果として現れるというサイクルが成り立つようになります。
読書の場合は、「読書をする」という目的が、付箋という形によって、「貼る」という行動を引き出し、読書のしやすさを生み出します。
付箋読書をしていると、読んだ結果が形として残るので、つい一挙に最後まで読んでしまうようになります。そして、読み終えたあと、付箋を貼ってあるところを再読すれば、更に深い読み方ができます。
暗唱の場合は、「暗唱をする」という目的が、暗唱の木という形によって、「折りたたむ」という行動を引き出し、暗唱のしやすさを生み出します。タイマーで計る形だと、どのくらいまで読んだかという途中経過がわかりません。
暗唱の木を折っていると、「今、何回だから、あと何回ぐらいですらすら言えるようになるだろう」という見通しが立ちます。また、暗唱の木が形としての残るので、「今日で何日目だから、あと何日ぐらいで何字まで暗唱できるだろう」という見通しも立ちます。
作文の場合は、「作文を書く」という目的が、構成図という形を通して、「材料を並べる」という行動を引き出し、作文の書きやすさを生み出します。作文を書くときは、原稿用紙に直接本番として書くので、書き出すための気合いが必要になりますが、構成図は作文のシミュレーションなので気軽に書き出すことができます。そして、
構成図を書くことによって、自分の考えがはっきりしてくるので、作文に取りかかりやすくなります。
以上のように、ツールの本質をフィードバックを助けるものと考えると、勉強に使うツールのいろいろな可能性が見えてきます。
(この文章は、構成図をもとにICレコーダーに録音した原稿を音声入力ソフトでテキスト化し編集したものです)
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通学教室で子供たちに付箋読書をさせています。
普通の読書では、一冊の本を読むのに数時間かかりますが、付箋読書は数十分で読み終えます。本の内容把握に関しても、自分が興味を持ったところは、どの子も確実に内容を読み取っています。
ところが、小学校1年生の子供のお母さんから相談がありました。「中身を読まずにただ付箋を貼っているだけのようだ」というのです。
しかし、これはこれでいいのです。
小学校1年生のころは、付箋を貼って読むスタイルが身につけばいいと割り切って考えておいてください。学年が上がり本格的な読書ができるようになれば、中身の伴う付箋読書ができるようになります。
それよりも大事なのは、早く本格的に読む力をつけることです。小学校1年生ではまだ本がすらすら読めないという段階の子も多いと思います。読書の嫌いな子は、本が面白くないからではなく、すらすら読めないから本が嫌いになっているだけです。
低学年の子に読む力をつけるためには、四つの方法があります。
第一は、普段の生活の対話の中で、長い文を使うということです。例えば「○○ちゃん、あれ取って」という言い方ではなく、「○○ちゃん、テレビの横にある箱を取って」とか、「○○ちゃん、先週スーパーで買ってきた、テレビの横にある青い箱をとって」というような言い方です。これは、準備の必要もなく、すぐにできることなので、きわめて簡単です。しかも、生活の必要性の中で出てくる言葉なので、子供もしっかりその内容を聞き取ろうとします。大事なことは、短い文をたくさん話すのではなく、一つの文を長くして話すということです。
第二は、易しくて面白い本をたくさん読むということです。その際、ひらがなだけの易しい絵本よりも、ルビのふってある漫画やゲーム攻略本のようなものの方が読む力がつきます。小学校の低学年のころは、漫画によっても読む力がつくのです。(高学年になると、そういうわけにはいきませんが)
対話の中で読む力をつける、面白い本を読んで読む力をつけるというのは、勉強の時間としてではなく、日常生活の時間として行えることなので、それだけ長く無理なく続けることができます。楽しく話して、楽しく読んでいるうちに、いつのまにか読む力がついていくというのが、低学年の理想的な勉強方法です。
第三は、もう少し勉強的なことで、本の読み聞かせをしていくということです。読み聞かせは、耳からの読書ですから、聞くことによって読む力がついていきます。読み聞かせによって、自分で読むことが億劫になるということはありません。読み聞かせによって読む力がついていくから、自分で読むことも楽にできるようになるのです。
第四は、暗唱です。読むのが苦手な子であっても、一つひとつの文字をゆっくり読ませて100字又は300字の暗唱をしていけば、スムーズに読む力がついていきます。
ただし、読むのが苦手な子に暗唱させるには、親の笑顔と褒め言葉が欠かせません。コツは、勉強のようにさせるのではなく、ゲームのようにさせるということです。それも、できなさそうなぎりぎりのところを目標にして、できるようにさせて大いに褒めるというやり方です。
このように読む力をつける一方で、毎週の付箋読書を続けていけば、やがて付箋読書も身のあるものになっていきます。
(この文章は、構成図をもとにICレコーダーに録音した原稿を音声入力ソフトでテキスト化し編集したものです)
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貝原益軒は、「空によみ空にかく」という暗唱の仕方を提唱しました。文字どおり指で文字を空中になぞるような書き方で書いたのだと思います。
この「空にかく」というやり方を、作文指導に生かすことができます。というのは、段落や読点や文のつながり方など、読むことは普通に読めても、正しく書くことができないという子が多いからです。これは、読書好きな子が、漢字は読めるが必ずしもその漢字が書けないということと似ています。
900字の暗唱は、長さとしてはひとまとまりの文章です。600字以上の文章になると、一つのまとまりのある内容が書かれているという印象を受けるからです。
そこで、600字から900字の文章を丸ごと暗唱し、それを暗写する学習というものを考えました。暗写というのは造語で、元の文章を見ないで書き写すという意味です。
読む力は、書く力に支えられています。読む力が土台となってその上に書く力が成長します。しかし逆に、書く力は読む力を規定しています。英語でも、自分がいったん口に出した単語は言語として耳に入ると言われています。つまり、言葉として言った経験がないと、言葉として聞けないということです。日本語の文章も、自分で書いたあとに読みが深まります。つまり、書き手の立場を了解しながら読めるようになるということです。
しかし、書く練習が大事だといっても、自分の好きな文章書くだけでは、同じレベルからなかなか抜け出せません。そこで、いい文章を書き写す、それも見ながら書く視写ではなく、暗唱したものを書く暗写という形で書くという勉強を考えています。
(この文章は、構成図をもとにICレコーダーに録音した原稿を音声入力ソフトでテキスト化し編集したものです)
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