言葉の森では暗唱の自習をしています。
ところが、教室で一斉に暗唱するときや、狭い家で兄弟一緒に暗唱するとき、大きい声は出せないが、自分の声はしっかり聴きたいということがよくあります。
暗唱の仕方の中には、聴いて覚える方法もあります。高速聴読がその方法ですが、人によっては聴くだけでは覚えにくいということもあるようです。
耳栓をして周囲の雑音が入らないようにしながら、内耳で聴く方法もあります。しかし、これも人によっては覚えにくいようです。
一方、先人の例を見てみると、シュリーマン、本多静六、貝原益軒、湯川秀樹など、みんな声を出して暗唱する方法でした。人間は、いったん自分の声として出した言葉を、聴くときにも言葉として認識するようです。難しく言うと、表現が感受性を規定しているのです。
そこで、昔、筆箱のふたで電話ごっこをしたのをヒントに暗唱フォンを作ってみました。将来はもっとスマートにヘッドセット型で自分の声が自分の耳に聴こえるような仕組みにしていていく予定ですが、とりあえずは紙で簡単に作る方法です。
【暗唱フォンの作り方】
A4の紙を2枚用意します。 | 1枚を二つに折ります。 |
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二つに折った線を基準に三つに折ります。 | 裏返してまた三つに折ります。 |
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片側の端を箱を作るように折り立ててホッチキスで止めます。 | 箱の長さの中間あたりを折り曲げてホッチキスで止めます。 |
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下半分の中間あたりをもう一度折り曲げてホッチキスで止めます。 | もう1枚の紙で同じものを作り合体させます。 |
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これをつけて暗唱すると宇宙人みたいで格好いい(かなあ)。 | これが実物の見本。小さい声でも、とてもよく聴こえます。 |
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(この文章は、構成図をもとにICレコーダーに録音した原稿を音声入力ソフトでテキスト化し編集したものです)
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9.2週に構成図を書く練習をしますが、これは来年1月からの本格スタートの準備として行うものです。
構成図の書き方はそれほど難しいところはないので、本格スタートから始めてもすぐにできると思います。
したがって、構成用紙の送られていいない海外の生徒は、今回の構成図の練習はしなくて結構です。
また、パソコン入力の生徒は、画像をウェブにアップロードする方法がわかりにくいと思いますので、パソコン入力の生徒は、構成図を書くだけで提出はしなくても結構です。
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ハワイで作文教室を開いている「あお」先生から、教室新聞が届きました。
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構成図を次の次の学期(1月)から本格的に指導していきます。
構成図は現在、中1以上の生徒対象に、白紙に自由に書くようになっています。これを今後、小3以上の生徒を対象に、構成用の枠が印刷されている構成用紙を使って書くようにします。(これまでどおり白紙に自由に書いてもかまいません)
9月2週の「山のたより」と一緒に構成用紙が1枚入っています。対象は小学3年生以上ですが、小学2年生以下の生徒にも入っています。小学2年生以下の生徒は、この構成用紙は使いません。裏に絵をかくような形で使っても結構です。
この構成用紙に、次のような要領で構成図を書き、作文と一緒に提出してください。
1、9月2週の「山のたより」に構成用紙が1枚入っています。
2、小学3年生以上の生徒は、作文を書き出す前に思いついたことを構成用紙に書いていきましょう。
3、9月2週の「言葉の森新聞」に構成図の書き方の例が載っていますので、それを参考にしてください。
4、なお、白紙に自由に書いた方が書きやすいという人は、この用紙の裏を使って書いてください。
【構成図の書き方】
構成図を書くときに大事なことは、思いついたことを自由にどんどん書くことです。テーマからはずれていても、あまり重要でないことでも一向にかまいません。
たくさん書くことによって、考えが深まっていきます。
したがって、構成図は、できるだけ枠(わく)を全部うめるようにしてください。
枠と枠の間は→などで結びます。この矢印は、書いた順序があとからわかるようにするためです。作文に書く順序ということではありません。
構成用紙は、構成図の書き方に慣れるために使います。構成用紙を使わずに、白紙に自由に構成図を書いてもかまいません。
1月からの構成用紙の見本 | 構成用紙を使って構成図を書きます。 |
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頭の中にあるものをそのまま書くとき。 | 構成図で書くとき。 |
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初めに絵をかきます。(絵はどこにかいてもいいです) | 思いついた短文を書きます。(どこから始めてもいいです) |
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思いついたこと矢印でつなげていきます。 | 関係なさそうなことでも自由にどんどん書きます。 |
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枠からはみだしてもかまいません。 | 全部うまったらできあがり。 |
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【構成図のサンプル】
以下の構成図は、6.2週の課題で書いたものです。楽しく考えを深めている様子がわかります。しかし、あまりていねいに書くと時間がかかるので、もっと簡単に書いてかまいません。
▽小4の生徒
▽小5の生徒
▽中1の生徒
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通学教室で、付箋読書の指導をしています。みんな、よく読んできます。
付箋読書のよい点は、早く読めて記録が残ることです。早く読むといういうよりも、一目で把握するような読み方です。
これまでは、生徒の読んだ本の感想を先生が一人ずつ聞いていました。すると、かなり長い話になってしまい、生徒が並んでしまうことも出てきます。そこで、本の感想をしゃべるのではなく、書かせることにしました。
書かせるといっても四行詩です。なぜ四行詩かというと、
本を読んだら伝えたい内容があるはずであり、それを作品的に短時間で伝えるということが四行詩としという形でなら簡単にできるからです。
本の感想に限らず、誰でもひらめきが浮かぶことがあります。しかし、伝える手段がないと、ほとんどのひらめきは忘れてしまいます。
短歌や俳句を書く人なら、作品化して残すこともできますが、短歌や俳句は慣れるまではやや敷居が高いものです。また、説明的意見的なものは、短歌や俳句では書きにくいという面があります。
ブログなどを書いている人なら、思いつきをメモにしておき、あとで長い文章に仕上げることもできます。しかし、そういうことをする時間的な余裕のある人は限られています。
メモだけをして、思いつきを残しておくこともできないことではありませんが、その後の使い道がないことは、メモをする気にもなれないのが普通です。
そこで、四行詩が登場します。四行詩の利点は、作品性があることと短時間でできることです。
四行詩の条件はただひとつ、四行で書かれていることだけです。できれば、リズム感があることや、たとえや自作名言などの光る表現があることも条件ですが、これらはなくても構いません。
詩的なリズム感というのは、いわく言いがたいものです。現代詩には、詩的なリズムがあります。しかしそれは、韻を踏むとか五七五で書かれているとかいうはっきりしたルールにはなっていません。多くの優れた詩に接することによって、自然に感じてくるものなのだと思います。
(この文章は、構成図をもとにICレコーダーに録音した原稿を音声入力ソフトでテキスト化し編集したものです)
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長文暗唱の自習は、続けにくい面があります。父母アンケートでも、いくつかそういう声が寄せられていました。
うまく続けるためには、ルールを決めておくことが大事なようです。例えば10分間をタイマーで計る方法や、自分の声を録音してそれを聴く方法や、朝起きたら朝ご飯の前にやる方法など、ルールを決めておくと続けやすくなります。
何度も読んで暗唱できるようにするというのは、形として残らないので、張り合いがなくなりやすい勉強です。そこで言葉の森では、毎週授業の前に、先生が暗唱チェックを行っています。しかし、暗唱という勉強を初めてやる子も多いので、始めること自体に壁があるということもあるようです。
そこで、
暗唱用の自習用紙を作ることにしました。これは、A4サイズ1枚の紙を切り取り線で切って、10分間の暗唱カウンターとして使うものです。回数を数えるときにその回数の形が残るという点で、タイマーよりもわかりやすくなっています。しかも、片手で操作できるので簡単です。さらに、何日も続けて暗唱すると、その蓄積の結果も形として残ります。
通学教室では、9月から900字暗唱に挑戦する予定です。暗唱できた文章は、さらに暗写することも考えています。これによって、段落や読点も自然に覚えられるようになります。900字暗唱は、記憶術の練習にもなります。最初のうちは、作文にも使えるような文章を暗唱の長文として作る予定です。
通学教室で様子を見て、いずれ通信教室にも拡張していきたいと思っています。
自習用紙の使い方は、こちらのページに載っています。
https://www.mori7.net/mori/mori/annsyou.php
(この文章は、構成図をもとにICレコーダーに録音した原稿を音声入力ソフトでテキスト化し編集したものです)
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構成図の役割は、考えることです。書こうとするテーマに関する材料並べると、自分が書こうと思っている内容の全体構造が見えてきます。
それに対し、書きながら考える従来のやり方では、すでに全体像が分かっているものなら書けますが、そうでないものに関しては、暗闇を足元の近くだけを照らすライトを頼りに走るようなものです。その結果、途中まで書いて方向が違っていることに気づき、これまでのものを消して書き直すという結果になることもよくあります。
構成図があると、ゴールまでの道筋が見えるので安心して走ることができます。
構成図のこのような効用を生かすためには、作文を書く前に書こうと思っていることを網羅することが大事です。
子供によっては、書くことが分かっているから構成図なしですぐに書き始めたいという場合もあります。しかし、その結果、途中で書くことがなくなり書き続けられなくなることもよくあります。最初から構成図を書いて始めた方が、結局は長く速く書けたということも多いのです。
構成図があると、書こうと思っていることの作文化がすぐに始められます。
しかし音声入力の場合は、構成図と音声入力の間にもう一つの過程が必要になります。
これは、構成図に接続詞や助動詞を追加することです。例えば、構成図で「構成図があれば作文化が簡単→音声入力にはもう一つの過程が必要」と書いたとしたら、そこを「構成図があれば作文化が簡単(になります)→(しかし)音声入力にはもう一つの過程が必要(です)」などと編集するということです。編集する過程で順序を変えたり、省略したりするところも出てきます。
この方法によって、音声化が途中で止まることなく滑らかにできるようになります。
800-1200字の作文を書く場合にかかる時間は、構成図が5-10分、構成図の編集も5-10分、音声入力も5-10分というところです。
※構成図は、現在、通信教室の中学生以上、通学教室の小3以上の生徒を対象に行っています。
構成図は、10月から通信教室でも小3以上の生徒を対象に行う予定です。
※音声入力は、現在、通学教室の中学生以上の生徒を対象に行っています。
(この文章は、構成図をもとにICレコーダーに録音した原稿を音声入力ソフトでテキスト化し編集したものです)
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50字の暗唱は、すぐにできます。100字の暗唱は、十数回でできます。早い人は数回できるでしょう。時間としては大体5分から10分です。
300字になると、暗唱は急に難しくなります。しかし、それでも、2、30回で覚えられます。
ところが900字になると、暗唱はさらに難しくなってきます。これも、本当は回数を反復して暗唱できるようにしたほうがいいのですが、あまり壁が高いと挫折してしまう人も多くなります。
音読や暗唱の大切さは、シュリーマン、本多静六、湯川秀樹などの例を挙げて、多くの人によって紹介されています。しかし、ほとんどの人が実践できないのは、長い文章になると急に難しくなってくるためです。
そこで、長文の暗唱に、記憶術を併用して覚える方法を提案することにしました。
900字の暗唱でいちばん難しいのは、文の出だしです。先生が生徒の暗唱チェックをするときも、出だしの一、二語を言えば、すぐに続きが出てくる子が多くいます。そこで出だしの一語を記憶術で覚えるようにしてみます。
まず
第一に、身近なもの、例えば自分の身体などを使って順番を決めます。そのほかに、家の中の部屋、家から学校までの道筋なども使えます。
1、頭のてっぺん
2、おでこ
3、左目
4、右目
5、鼻
6、左耳
7、右耳
8、口
9、のど
10、左肩
11、左ひじ
12、左手
13、右肩
14、右ひじ
15、右手
16、左胸
17、右胸
18、おへそ
19、左のおしり
20、左ひざ
21、左足
22、右のおしり
23、右ひざ
24、右足
などと順番をつけていきます。
900字の暗唱であれば右手ぐらいまでに終わるものがほとんどです。
第二に、出だしの言葉を、最初に思いついた連想でイメージ化します。あれこれ考えずに最初の思いつきを生かすことが大事です。
第三に、順番をつけた身体の部分に、そのイメージをできるだけオーバーに結びつけます。長い文のときは出だしの言葉のイメージと次のキーワードのイメージを結びつけてもいいでしょう。
なお、900字の暗唱が終わり、新しい900字の長文を覚えるときは、古いイメージは外しておきます。その方が混乱しません。
実例を元に説明してみましょう。
次の文章を覚えるとします。長くなるので最初の300字だけにしますが、同じ要領で900字まで覚えられます。
====
現代文明が、石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料に依存し、化石燃料を利用して成り立っているのに対して、江戸文化は、太陽エネルギーだけを使って成り立っていた。
具体的にいうなら、徹底的に植物に依存し、植物を利用した時代だった。
もちろん、植物以外の資源を利用する漁業や、鉱物を加工して金属や陶磁器を作る産業も発達したが、中心になるのはさまざまな形での植物の利用だった。
植物を育てる重要な作業にも、人力とわずかな家畜の力しか使わなかったが、考えてみると、人間は去年の太陽で育った穀物などを食べて動いているし、馬や牛も去年か今年の太陽で育った穀物やわら、草などで生きているから、結局は、産業も過去一、二年の太陽エネルギーだけを利用して成り立っていたことになる。
今のように石油で暖めるハウス栽培をすれば、真冬でも胡瓜やトマトを出荷できるし、大きな船で遠洋漁業に出れば、日本では獲(と)れない魚を獲(と)って来ることもできる。
ところが、太陽エネルギーだけを利用して植物栽培や漁業をやっていた当時は、それぞれの土地柄に合った作物を育て、季節の海産物を利用するほかなかった。
====
四つの文のそれぞれの出だしの言葉は、「現代文明が」「具体的に」「もちろん」「植物を」「今のように」「ところが」です。
これらの言葉を最初の思いつきでイメージ化し、そのイメージをできるだけオーバーに、リアルに、感覚的に、実感をこめて身体に結びつけます。
「現代文明が」→げ……→ゲンゴロウ→ゲンゴロウが頭のてっぺんをかじっている。「ガリガリ」。
「具体的に」→ぐ……ラーメンの具のシナチク→シナチクがおでこにペタリとくっついた。「あちちち」。
「もちろん」→もち……→おもち→おもちが左目にくっついた。「わあ、とれない」。
「植物を」→植物……→そのまま植物で→ベランダにあるゼラニウムの植木鉢が右目にぶつかって、葉っぱが目に入った。「いたたた」。
「今のように」→いま……→今川焼き→今川焼きが鼻の穴にささって、あんこがぐにゅっと出てきた。「ふがふが」。
「ところが」→ところ……→トコロテン→トコロテンが左耳につるりと入ってきた。なんだか冷たくて気持ち悪い。
このようにイメージを使って感覚的に覚えた記憶は、忘れようとしても簡単に忘れられません。
そこで、新しい記憶を開始するときは、前の記憶を一つずつ外していきます。
「頭のてっぺんのゲンゴロウが飛んでいった。やれやれ」「おでこのシナチクを取った。ああ、よかった」「左目のおもちも取った。これで安心」などというように、外すときもイメージを使っていきます。
いったんこのやり方を覚えれば、勉強にも生活にも、いろいろなところに応用できます。
(この文章は、構成図をもとにICレコーダーに録音した原稿を音声入力ソフトでテキスト化し編集したものです)
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