言葉の森は、なぜ暗唱に力を入れているのでしょうか。
第一は、作文力をつけるためです。作文力は、借文力です。
第二は、読解力をつけるためです。「韋編三絶(いへんさんぜつ)、意(い)自(おのずか)ら通ず」と言われているように、繰り返し読むことによって理解の質が変わります。
第三は、勉強力をつけるためです。暗唱をしていると覚えることが苦にならないという気持ちになってきます。どんなに難しいことでも、気長に反復すればできるという確信がわくようになるのです。
そして第四に、暗唱は発想力もつけることができます。これは暗唱によって、左脳の言語脳と右脳のイメージ脳の連係がよくなるためだと思われます。
よく、丸暗記ではなく考える力をつけることが大事だということが言われます。しかし、
そこで言われるような丸暗記が役に立たないのは、それが断片的で量も少ないものだからです。
学力の本質は、全体の構造を丸ごと把握するぐらいまでレベルを高めた記憶です。その全体把握された記憶の土台の上に、様々な知識が蓄積され、自分なりの思考のが可能になるのです。
さて、長文暗唱では、覚える文そのものはかなり長くても、ひとまとまりの歌のようにすらすら言えるようになります。しかし、文の書き出しのところがなかなか覚えられません。書き出しの言葉を覚えるための方法が、イメージ記憶です。
イメージ記憶で大事なことは、第一に、単純な語呂合わせをすることです。
第二に、できるだけ絵になるようなイメージ化をすることです。
第三に、自分のよく知っているもの、例えば体の一部などにオーバーに結びつけるということです。
体の部分に結びつける方法では、数が限られていますが、これを自分の住んでいる場所などと組み合わせることによって、結びつけるパターンはもっと増やすことができます。
体と場所とイメージを結びつけるというのは、一種のエピソード的な記憶です。例えば、「あの道の角を曲がったときに頭の上に鳥のフンが落ちてきた」という経験をしたことがあれば、「道の角」と「頭の上」と「鳥のフン」が、しっかりと一つの全体的な経験として結びつきます。
「道の角」で「頭の上」に落ちてきたのは何ですか。「鳥のフン」です。
「頭の上」に「鳥のフン」が落ちてきたのはどこですか。「道の角」です。
「道の角」で「鳥のフン」が落ちてどこにですか。「頭の上」です。
「道の角」と「頭の上」と「鳥のフン」が、三つの異なる事象として結びついているのではなく、初めから一つのトータルな経験の三つの側面として把握されているのです。つまり
部分を組み合わせるのではなく、全体を先に把握するというのがイメージ記憶の方法です。
勉強とは、学問のトータルの全体を様々な知識や方法に分解し、その知識や方法を自分の頭の中で改めて全体に組み立て直すという過程です。これは人間が、食べ物を消化することになぞらえることもできます。食べ物の対象は、ご飯や味噌汁という全体です。それが消化作用によって、アミノ酸やブドウ糖に分解され、自分自身の体の中で改めて全体的なものとして構成され直します。
この消化の過程を細分化して消化しやすくするのが、スモールステップの学習法です。これに対して、
暗唱というのは、食べ物を丸ごと飲み込んで、あとでゆっくり消化するという方法です。
以下は、イメージ記憶の具体例として、港南台で生徒に説明した資料です。
イメージ記憶
1、まず、自分の体に順番(じゅんばん)をつけてみましょう。
2、書き出しの言葉をイメージ化して、自分の体にできるだけオーバーにくっつけましょう。
【小1・小2】の
![](https://www.mori7.com/izumi/enomi/pics/2004/123.gif)
の長文
ドッカーン…… | 休み時間に…… | ぼくたちの先生も…… | そのうちに…… | クレーンカーが…… |
![](https://www.mori7.com/mori/mori/kioku/kioku01.gif) | ![](https://www.mori7.com/mori/mori/kioku/kioku02.gif) | ![](https://www.mori7.com/mori/mori/kioku/kioku03.gif) | | |
頭(あたま)のてっぺんがドカーンと爆発(ばくはつ)した。 | 休んでいる小人がピューンと飛んできておでこにつきささった。 | バク(ぼく)が走ってきてひだり目にドスーンとぶつかってきた。 | | |
【小3・小4】の
![](https://www.mori7.com/izumi/enomi/pics/2004/123.gif)
の長文
一学期の…… | 今度の…… | 自分で…… | そのとき…… | ところが…… |
![](https://www.mori7.com/mori/mori/kioku/kioku04.gif) | ![](https://www.mori7.com/mori/mori/kioku/kioku05.gif) | ![](https://www.mori7.com/mori/mori/kioku/kioku06.gif) | | |
1個の楽器があたまにドーンとぶつかってきた。 | コンドルが飛んできて、おでこをガスガスとつっついた。 | 自動車(じ)がブンブン(ぶん)と走ってきて左目にドシンとぶつかった。 | | |
【小5・小6】の
![](https://www.mori7.com/izumi/enomi/pics/2004/123.gif)
の長文
先生は…… | 私は…… | 小さな目ですが…… | しわの中の…… | でも、先生の…… |
![](https://www.mori7.com/mori/mori/kioku/kioku07.gif) | ![](https://www.mori7.com/mori/mori/kioku/kioku08.gif) | ![](https://www.mori7.com/mori/mori/kioku/kioku09.gif) | ![](https://www.mori7.com/mori/mori/kioku/kioku10.gif) | ![](https://www.mori7.com/mori/mori/kioku/kioku11.gif) |
(担任の)先生が頭のてっぺんで授業をしている。 | タワシ(わたし)がおでこをゴシゴシとこすっている。 | チーター(ちい)が走ってきて左目をひっかいた。 | ワシ(しわ)がバサバサと飛んできて右目に爪を立てた。 | 電話(で)が鼻の穴に入ってきて、もしもし(も)と言っている。 |
【中・高】の
![](https://www.mori7.com/izumi/enomi/pics/2004/123.gif)
の長文
A few…… | What is…… | That was…… | the biggest…… | Tell…… |
![](https://www.mori7.com/mori/mori/kioku/kioku12.gif) | ![](https://www.mori7.com/mori/mori/kioku/kioku13.gif) | ![](https://www.mori7.com/mori/mori/kioku/kioku14.gif) | ![](https://www.mori7.com/mori/mori/kioku/kioku15.gif) | |
冬(few)の雪ダルマが頭のてっぺんに乗っている。 | ホワイト(What)歯みがきチューブの中身がおでこにくっついた。 | ザーッと(that)雨が左目に降ってきた。 | ビッグマック(biggest)が右目に飛び込んできた。 | |
文の書き出しだけをイメージ化して体にむすびつけていきましょう。
3、続きの文章も、書き出しの言葉をイメージ化しておきましょう。
書き出しの言葉をイメージ化しておくと、暗唱する文章が900字になってもすぐに思い出せます。
そのために、まず300字を何十回も音読してすらすら言えるようにしておくことが大事です。
このあと、1・2・3の文章の続きも、書き出しの言葉をイメージ化しておきましょう。
4、来週は、4・5・6の文章だけを暗唱してきましょう。
来週は、4・5・6の文章だけを暗唱できるようにしてきましょう。
その際、文章を暗唱をしながら書き出しの言葉のイメージも考えておきましょう。
(この文章は、構成図をもとにICレコーダーに録音した原稿を音声入力ソフトでテキスト化し編集したものです)
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受験コースの保護者の方から、「過去問は文章課題なのに、題名だけの課題をやるのはなぜか」というご質問がありました。
言葉の森では、問題の形式は二次的なもので、問題のジャンルが最も大事だと考えています。というのは、問題のジャンルに出題者の発想の傾向が出るからです。
問題の形式は、出題者の意思で時々変化することがあります。また、公立中高一貫校入試は年数が浅いので、パターンが変わる可能性があります。ですから、出題されそうなジャンルに合わせて、本人が内容を考え、父母と話をしておくことが最も大事な対策になります。
内容ができていれば、形式の変化にはすぐに対応できます。目安としては、いろいろなジャンルで10本作文を書いておくことです。そうすれば、どのような形式の問題が出ても大丈夫です。
志望校の入試説明会では、次のようなことがよく言われます。「作文をよく見て評価します」「文章が読み取れているかどうかを見ます」。
しかし、テストする立場からいうと、実際にそういう評価は時間がかかるのでなかなかできません。また、テストを受ける立場からいうと、短時間でそのような要求を満足させる作文はまずできません。
ですから、実際の試験では、
1、課題文のキーワードを押さえておく
2、文章に一貫性を持たせる、
3、できれば内容を充実させておく
ということが目標になります。
言葉の森の受験コースの指導の重点は、(3)内容、(2)一貫性、(1)キーワードの順です。
また、言葉の森の指導の特徴は、構成的に書くようにアドバイスすることです。構成を意識して書くと、出来不出来の差が小さくなるからです。
(この文章は、構成図をもとにICレコーダーに録音した原稿を音声入力ソフトでテキスト化し編集したものです)
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海外生徒の新学期用課題フォルダは、明日発送します。
なお、同封した項目シールの絵柄が少しずれてしまいました。
使いにくいかもしれませんが、貼ってあることがわかればいいので、そのままお使いくださるようお願いします。
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9月21-23日が連休になってしまうため、今回の「山のたより」は、9.3-9.4週合併号にしました。
その際、火・水・木・金曜日の生徒には、読解問題が8.4週のまま送られてしまいました。
(これは、プログラムが、9.4週になるまでは8月の問題を表示するという仕組みになっていたためです)
火・水・木・金曜日の生徒には、後日、「山のたより 9.3-9.4週合併号(読解問題9.4週)」を再送します。<(_ _)>
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今日から新学期の教材の印刷が始まりました。プリンタが2台、ほぼ一晩中動きます。
言葉の森の教材は、すべてウェブのページとして印刷するようになっています。ですから、ブラウザがあればどこからでもリアルタイムで最新の教材を見ることができます。これが、言葉の森独自のクラウドシステムです。
10月からの新学期の教材の変更点は、次のとおりです。
1、読解問題を課題フォルダの中に組み込みました。
これまでは、読解問題を第4週の「山のたより」と一緒に送っていましたが、郵便事情により授業の週に届かない場合があることと、低学年の生徒の場合は一日で全部やりきるのは大変だという問題がありました。そこで、あらかじめ教材の中に組み込むことにしました。
2、構成図の用紙は、10月の住所シールと一緒に送ることを検討しています。
9.2週に、構成用紙による構成図の書き方を練習しました。この構成用紙は、当初1月から教材として送ることを考えていましたが、早ければ10月の住所シールと一緒に送れると思います。
小学3年生以上の生徒は、構成図を書いてから作文を書く形になります。
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9月12日、13日と、パシフィコ横浜で、船井幸雄さんの話を聞いてきました。これから予想される生活恐慌を乗り越えて新しい世の中を作るためには、「天の理」で生きることが大切だという話でした。
この「天の理」は、今考えている「読書作文暗唱クラブ」の目指す方向と同じだと思いました。
読書作文暗唱クラブは、これからどんな不況が来ても、日本のすべての子供たちの完全な教育の機会を保障する教室にしていきたいと思っています。
「天の理」の第一は、単純化です。読書作文暗唱クラブの学習は、付箋読書、短作文、十分間暗唱と、だれでもできる全く単純な仕組みになっています。
第二は、自由化です。読書作文暗唱クラブの生徒には小中学生が多いので、全くの自由だとかえって子供たちは途方にくれてしまいます。しかし、方向は決めるが選択は自由という形にすれば、自立心旺盛な子供たちは更に意欲的に取り組めると思います。
第三は、質素化です。読書作文暗唱クラブの学習は、インターネットによる情報提供と、独自の指導ノウハウだけで運営しています。したがって、ある意味でコストはほぼゼロと考えていいと思います。
第四は、互助化です。読書作文は暗唱クラブは、地域で自分の子供の教育を真剣に考える人が中心になって生徒を募るという形が主になります。それをフランチャイズ方式で展開していく予定です。この運動の基本にある考えは、助け合いの精神です。
第五は、公開化です。読書作文暗唱クラブは、情報やノウハウの公開ともに、オープンソースで情報やノウハウそのものを発展させることを考えています。幸い、私が簡単なウェブ上のプログラムを作れるので、オープンソースの仕組みはすぐにできます。
第六は、万能化です。読書作文暗唱の学習は、国語力をつけます。その国語力は学力の基本なので、すべての教科の学力につながります。しかし、それだけでなく、具体的に英語の教材を追加すれば、英語の学力もつきます。数学の教材を追加すれば、数学の学力もつきます。それだけノウハウがシンプルで万能だということです。
「天の理」には、このほかに、ポジティブ化、ホ・オポノポノ化などもあります。いずれも、言葉の森の理念と共通しています。
今、港南台の教室で、付箋読書と四行詩、暗唱用紙を使った十分間暗唱、構成図を使った作文指導などを行っています。
今後、短作文の学習を取り入れるようになると、日本の子供たちだけでなく、外国人で日本語を学びたいという人たちにも門戸を開けるようになると思います。
(この文章は、構成図をもとにICレコーダーに録音した原稿を音声入力ソフトでテキスト化し編集したものです)
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第4週の勉強は、読解問題(必須)、投稿(任意)、清書(任意)となります
幼稚園年長、年中の生徒は、これまでと同じように第4週も作文を書く練習です。
これまで、第4週の清書は、先生に送ってもらっていました。送られた清書の中から、学年別に入選作品が選ばれていました。
しかし、生徒数のわりに選ばれる入選作品が少ないという問題がありました。
そこで、これから、
手書きの清書は、先生には送らずに、直接コンクールや新聞などに投稿していただくようにします。
したがって、入選作品というものはなくなります。
一方、パソコン入力の清書の場合は、これまでと同じように「作文の丘」からインターネットで送信してください。
パソコンの清書から、自動採点ソフト森リンの点数をもとに、毎月の森リン大賞を選びます。この森リン大賞が、これまでの入選作品の代わりとなります。
なお、読解問題の時間がかかるため、投稿や清書の時間が取れない場合は、投稿や清書を省略してもかまいません。
清書の仕方
言葉の森に送る清書は、パソコン入力のものだけになります。このパソコン入力の清書から、その月の森リン大賞が選ばれます。
パソコン入力は、生徒が自分でできない場合は、お父さんかお母さんが代わりに入力してあげてください。
インターネットから送信する仕方は、「学習の手引」をごらんください。
https://www.mori7.com/mori/gate.php#129
(上記の#129は「学習の手引」の中の該当箇所で、2009年9月1日現在のものです)
送り方の簡単な手順は次のとおりです。
1、パソコンで作文を書きます。
2、書いた作文の文字画面をコピーします。
3、言葉の森のホームページの「作文の丘」に行き、生徒コードとパスワードを入れます。
4、本文のところにコピーしたテキストを貼り付けて送信します。
投稿のためのコンクール情報
▼第42回 音楽鑑賞教育振興 論文・作文募集
http://venture-plus.com/news/44531
テーマ:聴いてみつけた音楽の楽しみ
締切:2009年9月30日
対象:小・中・高校生
▼第23回 感動作文コンクール
http://www.rinri.or.jp/expressive_education02_23annai.html
テーマ:感動
締切:2009年10月2日
対象:小・中・高校生
▼日本語大賞
http://asiabiz.jp/newsasiabiz/2009/06/post_7253.html
テーマ:人と人とをつなぐ日本語
締切:2009年9月24日対象:小・中・高校生・一般
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言葉の森では、音読や暗唱の自習をすすめています。
その根拠として、これまで、貝原益軒、塙保己一、シュリーマン、本多静六、湯川秀樹などの例を挙げてきました。
ところで、インターネットで「暗唱、暗写」と検索していると、ちょうどいい記事を見つけました。英語の暗唱の例ですが、同じことは当然日本語にも当てはまります。
以下の記事は、下記のページからの引用です。
http://www2.netwave.or.jp/~rikuta/text.html
====引用ここから。====
私が小学生の頃、近所にとても評判のいい個人の英語塾がありました。
そこは、決して有名な塾ではありませんでしたが、
先生が、1学年5人までしか生徒を受け付けない、という方針をとられていて、
「あそこに通っている子は、みんな英語がよくできる。」と噂されているようなところでした。
私は、中学生になったら英語の授業が始まるから、と、
母の勧めもあって、中学入学前から、その英語塾に通うことになったのですが、
緊張しながら、1回目のレッスンに行ってみると、
そこで、先生に「これから、毎回、次に来るときまでに、英語の教科書の暗唱をしてもらいます。」と言われ、
初日は、アルファベットの大文字と小文字を習って帰りました。
私は 英語教室というと、新しく出てきた単語やフレーズをみんなでリピートしたりするのを
想像していたので、その、まるで寺子屋のような雰囲気にどぎまぎしながらも、
さっそく家に帰って、中学1年生の英語の教科書を開いてみました。
が、教科書の挿し絵から、どんな内容かなんとなく推測することはできても、
アルファベットを覚えたばかりで、とても文字が読める状態ではありません。
教科書にそった音声テープも購入しました。
が、テープを聞いてみても、 何を言ってるのか全然分からないうえ、
少し長いセンテンスになると、途中で舌がまわらなくなり、
リピートすることさえできません。
そこで私は、これでは翌週までに暗唱なんて到底できそうにない、と思い、
宿題として指示されたページの単語を、全部英和辞書でひいて、
その単語のカタカナ読みを、歌詞カードのように紙に書き写し、
毎日、その自分で書いたカタカナのルビの羅列を声に出して読んで、
なんとか最初の週は、丸覚えしました。
また、学校が終わって、塾に行くまでの間に忘れてはいけないと思い、
教科書の暗唱箇所の英文全部に、うっすらカタカナのルビもふっておきました。
が、2回目のレッスンのときに、自分ではなんとか暗唱ができたと思ったものの、
すぐに、先生に英文全部にルビをふって、ルビ文を暗唱していたことがバレてしまったため、
3回目からは、泣く泣くテープの音声を小分けに聞きながら、1文ずつ音読して暗唱する方法に
向き合うことにしました。
その後もしばらくは、テープを小刻みに聞いて、
かなり時間をかけて、しぶしぶ音読しながら暗唱していったのですが、
それでも 3ヶ月ぐらいたった頃、
英語の音声に慣れたのか、暗唱のコツが分かったのか、
いつのまにかその教室に一緒に通う同級生5人とも、
最初に比べるとずいぶん楽に、暗唱できるようになっていました。
また、英語の文章全体の抑揚や発音もずいぶんよくなっていました。
ちなみに教室では、毎回、みんなの前で順番に教科書を伏せて暗唱し、
途中でつまずくと次の人に順番がうつり、
課題の暗唱が終わった人から、意味があいまいな単語を個々に英和辞書で調べて、
自分の単語ノートに書いていき、
最後に、その日暗唱した英文を、教科書を見ながらノートに書き写していきました。
(中学1年生の最初の頃は、教科書を見ながら書き写すのが精一杯でしたが、
じきに、書くスピードも速くなり、テキストを見ないで書ける(暗写できる)ようになっていき、
中学2年生ぐらいからは暗唱と暗写がセットで、家庭での宿題になりました。)
私も含めて、その教室に通っていた同級生の5人とも、教科書の暗唱と暗写がとても効果を発揮し、
学校での英語の授業は、とても余裕を持って受けることが出来ました。
教科書全部を暗唱し、暗写もしているので、
まさに、毎回毎回、授業全てが、「復習」をやっているのと同じです。
ちなみに、宿題として指示された暗唱の量は、
最初は、英語量が短いので1単元ごとでしたが、
長くなってくると、1単元を2~3回分に分けた分量(2~3ページぐらい)でした。
また、必ず、その単元を全部暗唱し終えたときには、
復習として、その単元を最初から全部通して暗唱と暗写をすることが宿題になり、
さらに、夏休み、冬休みには、教科書の最初から、それまで暗唱した単元まですべてが
暗唱の課題にされ、1学年が終わった春休みには、教科書1冊丸々暗唱と暗写をやりました。
これは、はたから見ると、とても大変なことのように感じるかもしれませんが、
当時中学生だったということと、
塾で暗唱し、さらに学校の授業でも細かく習ったあとの暗唱になるので、
その単元のイラストを思い出せば、するする英文が思い出されてきて、
さほど苦労することなく、暗唱することができました。
また、学校の英語の中間テストや期末テストなどの成績も、
その塾に通う5人全員ほとんどずっと満点で、
みんな、いつのまにか、暗唱のおかげでこんなに英語で楽をできるんだ、という意識が芽生え、
はりきって、暗唱という方法をとるようになっていきました。
その後、高校に入ってその教室をやめたあとも、
私は、英語の学習方法は、中学のときと同じようにやっていこうと思いました。
暗唱になれていたので、高校の教科書を見たときにも、
そんなに長いものに感じなかったのです。
具体的には、授業で習うより先に教科書にそったテープを聞き込んだあと、
意味が分からない単語を予め英和辞書で調べ、
暗唱したあと、最後に暗写で仕上げていく、という方法ですが、
それを繰り返しているうちに、
高校1年生頃には早くも、学校の英語の試験以外に、
暗唱によって英語力がついていることを実感することがおこりました。
1年生の夏から、アメリカの同い年の女の子と文通するようになり、
2週間に1度のペースで手紙を出し合うようになったのですが、
最初、英文レターの本を参考に、時間をかけて手紙を書いていたのに、
いつのまにか 思ったことを自分なりに英語で自由に書けるようになっていたのです。
====引用ここまで====
日本人が英語の暗唱や暗写で勉強できるとすれば、逆に、外国人が日本語を勉強するときに、日本語の暗唱や暗写という方法が使えます。
これは、帰国子女などで日本語が苦手な人にも使えますし、日本語が既に自由に使える人がより上手な日本語を身につける際にも使うことができます。
暗唱というと、これまでは方法論がなく、ただ覚えるまで根性で反復するようなやり方が主でした。
しかし、言葉の森の暗唱用紙を使う方法でやれば、だれでも楽に暗唱できるようになると思います。
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