入試問題で、150字前後の記述問題が出ることがあります。
そのための勉強の仕方です。
第一は、過去問を使って、指定された枠に自分が普通に書いて何文字ぐらい書けるか数えておきます。
第二は、その字数を目標として、自由なテーマで書く練習をします。テーマは、お父さんやお母さんが出してあげるといいと思います。国語の問題集の長文を読ませて感想を書かせることもできます。
感想を書く場合は、対比する点を明確にして、「確かにAもあるが、Bだと思う」とか「AではなくてBだと思う」などと書いていくと焦点が絞れます。
第三は、指定の字数を書く際に、消しゴムを使ったり、途中で止まって考えたりしないということです。書くことを考えて一挙に書くという練習をしていきます。
150字前後の記述問題は、書くことに慣れていることが大事なので、内容よりもまずすばやく書けるということを目標に勉強していくといいと思います。
指定の字数が決められている場合は、できるだけその字数ぎりぎりいっぱいまで書くことが大事です。
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中学生の生徒から、学校で暗唱の宿題が出ているという話を何件か聞きました。英語の教科書を1ページを暗唱するとか、古文の一節を暗唱するとか、憲法の前文を暗唱するとかいう宿題だそうです。
宿題というよりも、その暗唱ができたら成績をよくするという形で行われているようです。できない子も当然いるという前提で出されている宿題だと思います。
これらの暗唱をするのに、言葉の森の暗唱の方法がそのまま使えます。
まず時間を計ってひととおり全文を読みます。
次に、10-20秒で読める範囲をいちばん小さいまとまりとして、句点などの切りのいいところで区切っておきます。この長さは、日本語でだいたい100字です。つまり400字の原稿を1分間で読むぐらいのスピードで読んで、100字約15秒がひとまとまりになるということです。英語の場合も同様に15秒ぐらいの長さを目安として区切っておきます。その区切りがわかるように、線などを引いておきます。
この最小単位の100字の文章を暗唱用紙などを利用して30回読みます。これで大体10分です。翌日は次の100字をやはり30回読みます。3日目に次の100字を読みます。4日目5日目6日目は、300字を通して10回ずつ読みます。いずれも時間は10分程度です。
暗唱用紙を使った自習の仕方
暗唱用紙のサンプル
300字の暗唱ができるようになったら、文の出だしをイメージを使って場所や身体に結びつけます。
イメージ記憶の仕方
イメージ記憶の例/日本語
イメージ記憶の例/英語
次の300字も同じような要領で1週間で暗唱します。次の300字も同じように1週間で暗唱します。
300字の文章を3つ覚えたら、次は900字を通して、イメージを思い浮かべながら1日4回暗唱します。こでも時間は10分程度です。900字4回の暗唱を続けていると、ほぼ1週間で900字全文が暗唱できるようになります。
毎日10分間、週6日で1ヶ月暗唱すると、合計の時間はだいたい4時間です。もっと早く覚えられる人もいるはずですが、このぐらいの回数をやったほうが暗唱は長持ちします。
貝原益軒は、100字の文章を100回読むという練習法を提唱しました。900字を100回読むと、やはり4時間弱です。単純に900字を100回暗唱するだけでも、文章は覚えることができますが、この方法だと暗唱ができるようになっているという感じがつかみにくいのです。暗唱は、途中まではなかなかできているような実感がわきませんが、後半になるにつれて、急速にできる感じがつかめるようになります。
この回数を利用した暗唱で、英語でも古文でも憲法前文でも、何でも簡単に暗唱できるようになると思います。
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言葉の森に問い合わせのある人の声で多いのが、「作文が苦手」「国語が苦手」というものです。
作文も国語も、勉強のさせ方がわからないという共通点があるようです。国語や作文は、得意な子はなぜ得意なのかわからないが得意で、苦手な子はこれもなぜ苦手なのかわからないまま苦手であるということになっています。
先日、あるお母さんから、「学校の宿題の作文を何日もかけてやっているので、親も子もくたびれてしまう」という話を聞きました。
こういうときの対策は簡単です。
子供に書かせようとするのではなく、親が全部作文に書くことを言ってあげてそれをそのまま書かせればいいのです。
作文の勉強は、必ずしも自分の力だけで書くこととは限りません。自分で書く力をつけることが勉強ですから、その手段として筆写や聴写をするのは十分に意味あることです。
自分で書かせようとして何日も書けるよりも、親の言ったとおりに書かせて、それで空いた時間を読書などにあてていく方がずっといいいのです。
作文の力、国語の力をつける方法は、実は単純です。
第一は、まず書くことです。それは、自分で作文を書くだけでなく、書き写しでもかまいません。頭と手が連動する練習をするということです。
第二は、読むことです。読む力がつけば、必ず国語力も向上します。読む際の基本は、子供の好きな本を、たとえ大人からレベルが低いと思われるようなものであっても、好きなだけ読ませてあげることです。そして、その一方で、子供に読んでほしい本は、読み聞かせをしてあげるか、毎日ページ数を決めて勉強として読ませるようにします。
第三は、模範になる文章を決めて暗唱することです。
この、作文、読書、暗唱の三つをするときに大事なことは、どこまでやるかという基準を決めることです。「やれるところまで」とか「できるだけ」とかいうあいまいな目標ではなく、作文なら例えば150字、読書なら50ページ、暗唱なら100字を100回などと決めていくことです。
ただし、現代の子供は、突然100字を100回の暗唱といってもなかなか実行できませんから、やりやすい字数と手順を考えてあげることも大切です。
作文力、国語力は、小学校時代はなかなか上がりません。小学生のころは、勉強の時間以外に家庭で読んでいる本の量や対話の量が子供によって大きく違うので、毎日数十分勉強するようなことでその生活時間の差を逆転することはできません。しかし、小学校高学年から中学生、高校生になると、生活の中での読み書きよりも、勉強としての読み書きの時間の方が国語の成績を左右するようになります。
国語という教科は、学年が上がるほど勉強によって力をつけやすくなる教科なのです。
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港南台教室では、9月から900字暗唱に挑戦してきました。一週目は300字を暗唱します。2週目はその次の300字を暗唱します。3週目はその次の300字を暗唱し、4週目に900字全部を暗唱します。毎日、10分の勉強で、だれでも1ヶ月で900字の暗唱ができるようになります。
ただし、4週目の暗唱チェックで1ヶ所でも読み違いがあると、更にもう1週間900字を毎日4回ずつ暗唱してくることになります。接続詞や助動詞も正確に暗唱するのですから、少し厳しいと思われるかもしれません。しかし、これは将来、英文の暗唱する場合に、複数形や冠詞の有無など日本人にとってはあまりなじみがないところも丸ごと覚えることと同じです。暗唱する場合は、できるだけ正確に覚えておく習慣をつけておいた方がいいのです。
歌を歌うときに、歌詞を1ヶ所も間違えないように、900字の暗唱をするときに、文章を完璧に暗唱できるようにすることはそれほど難しいことではありません。しかし、ほんのわずかのミスで再度暗唱するようになったときに、親は子供にどのように話をしてあげたらいいのでしょうか。大事なのは、暗唱というものに対する位置づけです。
まず第一は、ほとんど覚えた900字の文章を1日4回暗唱することは、実は意外に楽しいものだということです。暗唱は、毎朝のランニングと同じように、習慣になると頭のウォーミングアップになります。暗唱の目的を文章を覚えることと考えると、ほとんど覚えているものを、まだ覚えるために練習するという空しさを感じますが、暗唱の目的を頭をよくするための頭脳のランニングのようなものと思えば、毎日の暗唱は苦になりません。
第二は、同じところを繰り返すことによって、本当の実力がつくということです。現代社会では、大人も子供も先に進むことに価値を見いだしがちです。しかし、実は先に進むよりも、同じところたっぷり繰り返すことが実力をつけるためには大事なことなのです。中村天風の子供時代の剣術の修行は、同じ場所を何度も前後に往復してひたすら素振りをする練習でした。明治時代に四書五経をを暗唱した人たちは、大人になってからも折に触れてその暗唱を口ずさんでいました。塙保己一は18歳のとき、般若心経約300字を1日100回1000日間暗唱するという練習を自分に課しました。いずれも、できるようになったから完成なのではなく、できたあとも続けることに意味があったということです。
第三に、しかし、同じことを同じように続けることに飽きが来ることは当然あります。そのため、暗唱がすっかりできるようになった文章については、暗写をすることを目標に読んでいくようにします。暗写とは、全文を見ないでもそのまま書けるようにすることです。その際、読点の場所や漢字とひらがなの区別についてはそれほど厳密でなくてもかまいませんが、できるだけ原文どおりということを原則としていきます。また、この暗写と似ているもう一つの目標が、できるだけ早口で読むことです。覚えた文章を猛スピードで読むと、それがすっかり頭の中に定着します。
今回の900字暗唱では、暗写はしませんでしたが、次回は、暗写までを目標にしていきます。なぜ暗写をするかというと、読み言葉と書き言葉の間には、脳を使う場所の違いがあるからです。そのため、暗唱したことがそのまますぐには文章を書く力には反映しないのです。
ただし、900字の暗写をそのまますると、それだけで2、30分かかってしまいます。かといって、テスト形式の問題を作るとシステムが複雑になります。今考えている方法は、毎週の300字の暗唱のあと、自信のある文章100字分を暗写するというやり方です。
(この文章は、構成図をもとにICレコーダーに録音した原稿を音声入力ソフトでテキスト化し編集したものです)
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今日、体験学習に来た小2の男の子に、100字の暗唱をしてもらいました。
ルビは振ってありますが難しい漢字も多く、最初は何度も間違えながらやっと1回読み終えました。この分だと、10分間読んでも数回しか読めないというペースです。
しかし、今回は、暗唱用紙を使って30回読む練習にしているので、時間はいくらかかっても平気です。
低学年の子は、最初のうちは横にだれかがついていないとできないようです。そこで、私(森川林)は、横で色鉛筆を削りながら暗唱を聞くことにしました。
片道の15回まで読んでも、最初と同じペースです。しかも、あちこち間違えたり飛ばしたりします。それでも、読み終えたつど、「お、上手になったね」「うまくなったぞ。その調子」などと励ましながら暗唱を続けます。
残り10回ぐらいになると、自分でもだんだん終わりに近づいてきたことがわかるので、だんだん元気が出てきたようです。残りの5回で、つっかえながらも大体全文を言えるようになりました。
30回読み終えたあと、「わあ、すごい。よく読めたね。じゃあ、見ないで言ってみよう(笑)」と長文を裏返しにすると、「えー!」と言ったあと、間違いなくすらすらと言えました。
これには、子供も自分で驚いたようです。こういう難しい文章を自分の力で暗唱するという経験は、これまでなかったはずです。
この子のような間違えたりつっかえたりの読み方だと、多くのお母さんは、気長に褒めることができずに、途中であきらめてやめさせてしまうと思います。
勉強のコツは、ただ反復することです。それも、目先を変えて反復するのではなく、同じことを同じように反復するのが大事です。これは、小学生の勉強にとどまらず、中学生や高校生の勉強にもつながる重要なコツです。
貝原益軒は、100字の文章を100回暗唱するという勉強法を提唱しました。しかし、現代では、単に100回暗唱するというのはやはり子供にとって抵抗が大きすぎるでしょう。100回の暗唱には、30分以上かかるからです。
その点で、暗唱用紙を使った30回の暗唱は、だれにとっても無理なくできる方法になっているようです。
同じ日に、高校生と中学生の英文の暗唱もしました。こちらは、日本語換算で100字程度の短い文章ですが、中学生や高校生の子は、反復するよりも頭で覚えようとするので、逆にかえって暗唱するところまで行きません。だいぶ長い時間がかかって、やっと100字の暗唱ができました。
慣れてくれば10分以内で楽にできるものですが、反復というコツがまだわからないので、遠回りの勉強になっているのです。しかし、これも、やっているうちに自然にコツがつかめてくると思います。
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■漢字書き取りのページを作りました。
ひらがな、カタカナ、数字と、教育漢字、常用漢字を網羅しています。
これを筆記体のフォントで印刷して、その薄い文字の上を12色の色鉛筆を使って12回なぞると、漢字も覚えるし字も上手になる、という仕組みです。
https://www.mori7.net/mori/kakitori.php
江戸時代の人たちが達筆だったのは、文字をなぞって覚えたからです。現代に、そのなぞる練習法が伝わっていないのは、筆を使わなくなったからです。そこで、筆のかわりに色鉛筆を使うようにしました。
12回なぞると、自分でも驚くほど上手な字が書けるようになります。
■暗唱用紙を改良しました。
これで暗唱の木を作ると、昆虫や葉っぱが出てきます。毎日楽しく暗唱できると思います。
■暗唱フォンを改良しました。
両耳タイプですが、更に、折りたたむと薄くなり、かばんに入れてどこにでも持ち運べます。
材料は、A4の紙3枚、ホッチキスの針10本で、作成時間は3分ほどです。
▼暗唱フォンダブル改良型
△折りたんだ形(輪ゴムでとめてある)
△ススッ。
△カシャーン、カシャーン、カシャーン。
△シャキーン。おお!
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江戸時代の文字の勉強法は、手本を筆で何度もなぞって真っ黒になるまで書く練習でした。紙が真っ黒になると、乾かしてまたなぞります。頃あいを見て、先生が清書をさせ、その清書に朱を入れるという勉強法でした。
このなぞるというやり方によって、子供は、ただ文字を覚えるだけでなく、美しい文字の書き方も覚えていたのです。
現代の勉強法では、漢字はやはり書いて覚えますが、その回数はあまり多くありません。間違いなく正しく書けるようになれば、それでできあがりです。その完成度を見るためにテストをするという仕組みになっています。
欧米の人が日本語を勉強する際に、いちばん苦労するのが漢字だそうです。それは、やはり漢字を理解して覚えるという発想から勉強しているためだと思います。
習得の第一段階は、やはり理解です。第二段階は、記憶です。記憶して再現できるようになれば勉強は完成です。しかし、その先に、更に反復して血肉化するという勉強があります。
江戸時代の教育は、理解や記憶でとどまらずに血肉化するという目標で行われていたようです。
この勉強法を現代に生かすには、どうしたらいいでしょうか。
漢字の書き取りで言えば、まず、教科書体や筆記体のフォントを白抜き文字で大きくプリントします。その白抜き文字の上に、何色もの色鉛筆で何回も文字をなぞっていきます。
このような書き方をすれば、漢字を覚えるだけでなく美しい漢字の書き方も同時に身につくようになります。
なぞるという勉強法は、反復すること自体を目的にしています。だから、かえって飽きずに続けられます。理解や記憶という勉強法は、理解や記憶をするところまでを目的にしています。だから、かえって飽きやすいのだと思います。
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