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「絶対学力」と言葉の森の指導 as/671.html
森川林 2009/10/31 13:11 


 「12歳までに『絶対学力』を育てる学習法」という本があります。本の内容は、基本的に賛同できます。例えば、高速計算のような単純な作業ではなく考える勉強を、テレビのニュースはできるだけ見ない、絵をかいてイメージで考える、などです。
 しかし、音読や暗唱も、高速単純計算と同じ扱いで書かれていたので、この本の内容について一言説明を書いておきたいと思います。

 まず第一に、高速計算の批判の対象となっている公文式や百ます計算についてです。
 公文式や百ます計算などの勉強法は、歴史的な意味があって登場しました。それは、理解教育(個性教育)の行き過ぎに対する反省です。理解教育の偏重によって基礎となる技能が習得できてない子供たちに対して、習熟教育(模倣教育)を提案したという意義が公文式や百ます計算などの教育にはあります。しかし、それがその後、行き過ぎてきたのです。
 ところが、習熟教育を否定して理解教育を優先するだけでは、また同じような過去の歴史に戻るおそれがあります。
 習熟と理解を対立させるのではなく、理解のための習熟という考えをしていく必要があります。

 インド式九九なども習熟教育です。しかし、インド人に数学の得意な人が多いというのは多くの人の認めるところです。それは、インドの長い伝統の中で、習熟が自己目的化しない形で教育が行われているからです。
 もし、インド式九九という習熟教育が自己目的化すると、例えば次のような競争になるでしょう。「うちは、20×20までの九九ができる」「それならこっちは30×30だ」「こちらは10分で九九が言える」「では、うちは5分で言ってみせる」など。
 このような競争の仕方が、習熟自体の自己目的化です。高速教育は、高速が目的化しがちですが、それは伝統が浅いからです。これからは節度のある習熟教育が理解教育と共存するようになると思います。

 第二に、一律反復の教育ではなく、個別理解の教育の重要性ということを著者は述べています。しかし、この発想は、先生の力量に左右される教育で能率が悪くなる面があるのです。
 個別理解教育は、人のコストがかかります。それに対して一律反復の教育は教材のコストがかかるだけなので、能率を上げる工夫をすることができます。
 能率が悪い個別理解教育は、一斉指導になりやすいという矛盾を抱えています。つまり、学年別、能力別のクラス編成にして一斉に教えるような形でないと、多くの生徒を個別理解教育で教えることができないのです。それがこれまでの学校の一斉指導でした。この一斉指導に限界があったために、教材で個別化を図るという一律反復の教育が出ててきたのです。
 江戸時代の寺子屋教育も、一律反復の教育という形を取っていました。だから、世界でも類を見ないほど教育を普及させることができました。
 今後求められるのは、一律反復の教育を土台にした個別理解教育という、両方の教育の長所を統合する発想です。それが言葉の森の指導だとまでは、まだ言いませんが。(^^ゞ

 第三に、著者は、スポーツや音楽では反復は大事だが、勉強では反復は思考力を損なうと述べています。
 しかし、これに対して、言葉の森では、言語に関する技能はスポーツや音楽と同じだといつも述べています。言語、つまり語彙や文章を身につけることが、自分で考えるための材料になり土台になります。そのために必要な一つの方法が反復です。
 反復教育が問題になるのは、バラバラになった死んだ知識や語彙を蓄積することが目的になってしまう場合です。例えば、作者名と作品名をつなげるような知識、漢字の書き取りの知識、ことわざの知識など、要するにクイズ的な知識というものは、そのためにわざわざ長い時間を割けて覚えるようなものではありません。
 これらの知識をバラバラの知識ではなく、文章の文脈の中で理解するというのが大事です。例えば、漢字の場合でも、文章の中で漢字を書いたり読んだりする、ことわざでも文章の中でことわざを読んだり書いたりする、という勉強の仕方が大事なのです。しかし、文章が大事だといっても、それを読んで理解するだけでは勉強の内容として不十分です。そこで言葉の森では文章を自分の血や肉として身につける暗唱の指導を取り入れるようにしているのです

 第四に、言葉で考えるのではなくイメージで考える、ということ著者は述べています。しかし、こういう考え方自体が言葉でなければ考えにくいように、物事が高度になると、イメージよりも言葉の重要性が増してきます。
 犬や猫もある意味でイメージで考えています。イメージで考えるのが効果的なのは、考える対象が具象的な時期の間です。例えば、算数の文章題で、「ドングリの数の2倍のクリがあり、クリよりも3つ少ないリンゴがありました」などという文章のときはいいのです。作文で言えば、「今日の朝ご飯」というような生活作文は絵になります。絵をかけばそれがそのまま文章になる時期の作文としてはこれで十分なのですが、小学校高学年からの考える作文になったときには、絵にはかけない話が増えてきます。ここでやはり言葉の力というものが必要になってくるのです。
 
 (この文章は、構成図をもとにICレコーダーに録音した原稿を音声入力ソフトでテキスト化し編集したものです)


 著書の糸山氏より、この記事に対する反論をいただきましたので、併せてご紹介します。2009/11/4
http://homepage.mac.com/donguriclub/kotobanomori.html
 貴重なご意見ありがとうございました。


 その後、言葉の森とどんぐり倶楽部の勉強法の比較について読者の方からご質問をいただきましたので追加します。2010/1/19

 上記の紹介ページに書かれている批判は、論点があまり整理されていないように思いました。
 ですから、ここでは特に返事を書かず、言葉の森のホームページで「反復教育と理解教育」についての記事を追加しました。
https://www.mori7.com/index.php?e=742

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糸山泰造 20091103  
「どんぐり倶楽部」の糸山です。
●ご参照下さい。
http://homepage.mac.com/donguriclub/kotobanomori.html

森川林 20091104  
 参照ページをありがとうございました。
 こちらで誤解しているところがあるかもしれませんので、あとでよく読んでお返事を書かせていただきます。

森川林 20100118  
 あとでお返事をと思っていましたが、上記の参照ページの批判内容があまり整理されていないので、そのままにしました。(^^ゞ

 いずれ機会を見て「反復教育と理解教育」について書いておきたいと思います。

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教育論文化論(255) 

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ことわざの加工 as/670.html
森川林 2009/10/30 18:54 


 小学校の高学年で、「ことわざの引用」という項目があります。

 小学生のころは、ことわざを引用することによって感想が深まる面がありますが、高校生ぐらいになると、ことわざの引用はかえってありきたりの表現になってしまうことがあります。
 そこで、練習するのがことわざの加工です。

 これは、多くの人によく知られていることわざを、別の場面にあてはめたり別の表現に言い換えたりして発展させる使い方です。

 例えば、「瓜のつるになすびはならぬ」ということわざは多くの人に知られているので、それを利用して、「瓜のつるになすびがなることもある」などと書きます。これは、不可能に見えたことも技術革新などによって可能になるなどという話のときに使えます。バイオテクノロジーの話題などで出てきそうです。

 「サルも木から落ちる」であれば、「木から落ちるサルはめったにいない」などと言い換えます。自分のよく慣れたことはめったに失敗しないものです。

 「ブタもおだてりゃ木に登る」であれば、「どんなにおだてても、ブタは木には登れない」です。能力を超えたことは、やはりできません。

 西堀栄三郎さんの著書のタイトルは、「石橋を叩けば渡れない」でした。

 ことわざは、世の中の真実を鋭くついた言葉ですから、それだけに正反対の言葉も真実になるのです。

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作文の書き方(108) 

記事 669番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/25
暗唱の意義と方法(漫画) as/669.html
森川林 2009/10/29 22:08 

子「どうして、暗唱(あんしょう)するの」
母「あーん、しょれはね」
^_^「……」

自分(じぶん)の音読(おんどく)した声(こえ)が耳(みみ)に入ると、

脳(のう)が、「これはのどと耳の両方(りょうほう)から来ているから大事(だいじ)な言葉(ことば)だ」と思う。

だから自分の言っていないことは、右から左に抜(ぬ)けることも多い。
母「勉強(べんきょう)してるの?」

同じ言葉をくりかえしていると、言葉がイメージとなって脳の金庫(きんこ)に保管(ほかん)される。

しかも、イメージは、いくらつめこんでも大丈夫(だいじょうぶ)。
「パクパク」

母「そして、脳(のう)が丈夫(じょうぶ)になるのよ」
子「そうなのう」

江戸時代の寺子屋教育の基本は暗唱

 寺子屋教育の基本は、百字の文章を百回読むことでした。この勉強法によって日本は当時世界一の識字率を達成していました。
(江戸時代の日本の識字率70~80%、同時代のヨーロッパの先進国の識字率20~30%)

ノーベル賞の湯川秀樹も小1から暗唱

 湯川秀樹と3人の兄弟は、それぞれ5、6歳から四書五経の素読をさせられました。そして、全員が学者になりました。
 そのときの勉強法は、論語を漢字のまま意味もわからないまま音読し暗唱するという方法でした。
 (芳樹(兄、冶金学者、東大教授)、茂樹(兄、歴史学者、京大教授)、環樹(弟、中国文学者、京大名誉教授))

暗唱を生かした著名人

 暗唱を自分の実際の勉強に生かした著名人には次のような人がいます。

□貝原益軒(1630-1714)……81歳のときに著した「和俗童子訓」で四書五経を毎日百字百回暗唱するという勉強法を提唱しました。益軒の影響は日本全国々に及び、江戸時代の日本の教育の大きな方向を決定しました。暗唱は子供だけでなく、大人にとっても価値があると述べています。

□塙保己一(1746-1821)……盲目でありながら当時日本全国に散らばっていた600冊以上の学術書を編纂するという偉業を成し遂げました。その伝記は、ヘレン・ケラーにも大きな影響を与えました。18歳のとき般若心経を1000日間暗唱するという誓いを立て、晩年まで折に触れて暗唱をしていました。

□シュリーマン(1822-1890)……独学で十ヶ国語以上をマスターしトロイアの都を発掘しました。そのときの勉強法が、外国語を辞書にも文法書にも頼らず大声で音読し暗唱するという方法でした。生まれつき弱かった記憶力が、この勉強法で改善したと述べています。

□本多静六(1866-1952)……林学博士。暗唱の勉強法で東京農林学校(今の東大農学部)を首席で卒業しミュンヘン大学経済学博士号を取得しました。大学1年生のとき数学で赤点を取りましたが、一念発起し数学も丸ごと暗唱するという方法で学年トップになりました。子供時代、家の仕事を手伝いながら文章を暗唱するという勉強法をしていました。大学には作文の点数がよくて合格できたと述べています。

□野口悠紀雄(1940-)……経済学者。自身の中学高校時代の経験から英語の勉強法として音読暗唱を提唱しています。高校時代、英語は教科書をただ音読するだけで好成績を維持し東大工学部に合格しました。しかし、そのように単純な方法なのに実践する人が少ないと述べています。

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暗唱(121) 

記事 668番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/25
忙しくなっても、言葉の森だけは as/668.html
森川林 2009/10/28 21:55 


 小2のまだ入会して間もないお母さんから電話がありました。
「いろいろなことが忙しくなって子供が消化し切れないので、学校の先生に相談したら、『作文は学校でもやるから作文から休んだらどうですか』と言われた」と言うのです。^^;

 こういう方とは反対に、「忙しくても言葉の森だけは続けます」という方ももちろんいます。受験勉強が忙しくなって一時退会するときでも、「受験が終わったら、また必ず来ます」と言ってくれる方もいます。

 低学年のうちの作文指導は、言葉の森の学校も表面上あまり変わりません。しかし、学校では子供たちが高学年、中学生、高校生になったときの展望をもって指導しているわけではありません。作文力が本当に必要になるのは高学年になってからですが、それは言葉の森で低学年から続けているからこそスムーズに移行できるのです。

 今の世の中にはいろいろな習い事があります。英語やスイミングやピアノは多くの人が習っていますが、それらはいずれもある一時期に習えば済むものです。しかし、日本語の読み書きだけは、一生続く基本になる習い事です。
 我が家の二人の子供も、小1から高3までずっと続けた習い事は言葉の森だけで、そのほかはほとんど何もしませんでした。下の子は、小4から地域のバスケットボールクラブに参加していましたが、勉強的な習い事は言葉の森以外に続けたものはありませんでした。

 たぶん、今低学年の子供をお持ちのお母さんやお父さんも、子供が大学生や社会人になったときには、こう思うと思います。「結局、日本語をしっかりやっていればよかったんだ」と。


 しかし、私は、今の言葉の森の週1回の指導には、まだ不十分な面を感じています。
 子供たちの中には、毎日欠かさず長文音読をして、読書をしている子もいます。しかし、家で読む練習は何もせず、ただ週1回作文を書いているだけの子もいます。
 この毎日の読む練習がない状態で、週1回作文を書くだけというのでは、やはり実力はなかなかつかないのです。

 そこで、この1月から、これまでの長文音読の自習を、長文暗唱の自習に切り替えました。暗唱であれば、やらなければできないということがはっきりするからです。
 しかし、暗唱という勉強スタイルは、お父さんやお母さんが若いころにやっているわけではないので、子供にアドバイスしにくいという事情がありました。自分の経験していないことを教えるというのは、なかなか大変なのです。

 暗唱は、ただの音読に比べると、一見難しいように見えますが、やり方さえ手順を踏めば実は簡単で、また、音読よりもずっとやりがいがあります。そして、音読よりも確実に実力がつきます。

 言葉の森のこれまでの長文音読という勉強法も、斉藤孝氏が音読の本を出すずっと以前から言葉の森で取り組んでいました。最初のうちは、音読ということに抵抗を感じる方も多かったのですが、次第に音読という勉強法が広がり、やがて言葉の森の音読の自習と学校の音読の宿題がぶつかるようになってきました。
 しかし、今、音読指導をしている学校は多いと思いますが、いずれもかなり形骸化していると思います。

 私の今の考えは、音読は真面目に繰り返して取り組めば効果はあるが、たまに数回読むぐらいでは効果らしいものは出てこないというものです。そして、ほとんどの音読は、そういう効果のない学習で終わっていると思います。

 通学教室では、今、作文を書く土台の読む勉強として、長文暗唱と付箋読書に力を入れています。
 この勉強法を通信でも行えるようにするのは、かなり難しいのですが、子供たちの実力向上を考えると、これらの読む勉強を避けて通ることはできません。
 来年から、この読む勉強を通信教室でも行えるように、今準備をしているところです。

 小学校低学年の子供をお持ちのお父さんお母さんは、忙しくなっても言葉の森だけは続けるということでやっていってくださるといいと思います。
 低学年で続けるということが、その後の難しい課題に取り組む土台になるからです。

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記事 667番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/25
森リン大賞(小1の部)  as/667.html
森川林 2009/10/27 14:19 
 9月4週の清書について、学年別の森リン大賞が決まりました。
 その中から、代表的なものをいくつかを紹介します。

9月の森リン大賞と上位入賞者(小1の部49人中)

H2Bくん、はっしゃおめでとう
とらたいがくん

 「しんぶんに、日本さい大のロケットってかいてあったよ。」

九月十一日、H2Bロケットが、たねがしま宇宙センターからうち上げられました。その日、学校のおともだちにもおしえてあげました。

「ロケットがはっしゃしたところは、ニュースに出るかなあ。早く見たいなあ。」

ぼくはいそいでいえにかえりました。

 その日の夕かんに、夜中のくらい中はっしゃするH2Bのしゃしんがのっていました。エンジンは、まるで大きな花火のように火がボーボーともえています。

「やったあ、うち上げせいこうだ!」

ぼくはうれしくて、母にもしらせてあげました。

 ぼくがおとなになったら、「H3Z」という名前の世界さい大のロケットをつくりたいです。このロケットには、宇宙のこうつうせいりをする人工えい星をのせてうち上げます。どうしてかというと、宇宙でロケットや人工えい星がぶつかって、つぶれてしまうとこまるからです。

 ロケットをつくるのは、ワクワクたのしそうだなあ。

順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1位H2Bくん、はっしゃおめでとうとらたいがくん6041636363951
2位うんどうかいおはなちゃん6038136353851
3位ばけものチップきちね5912238353559
4位げんきいっぱいのおしゅうじクリーム5940341353548
5位ドーナッツきてや5918136353450
6位やさしい人たちみるく5852434353366
7位キャンプきすわ5510634413340
8位ファーブルを読んできとひ5510634423240

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森リン(103) 

記事 666番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/25
森リン大賞(小3の部) as/666.html
森川林 2009/10/26 20:14 
 9月4週の清書について、学年別の森リン大賞が決まりました。
 その中から、代表的なものをいくつかを紹介します。

9月の森リン大賞と上位入賞者(小3の部133人中)

たいまつの明かりのもと、鵜飼が水にもぐって魚を捕ります!
ダイヤモンド

 夏休み最後の土曜日、京都の宇治川へ鵜飼(うかい)を見に行きました。鵜飼というのは、鵜(う)という鳥を使って魚を捕る方法で平安時代に始まった夏の伝統行事です。

 宇治川に着くと、鵜に魚を捕らせる人、鵜匠(うしょう)の話が聞けました。宇治川にいる鵜は、海鵜(うみう)という種類で遠いシベリアからやってくる渡り鳥だそうです。水にもぐってすばやく魚を捕る習性を利用して鵜飼漁法が古くから行われてきました。体重は約三キロと聞いてカモより少し大きいくらいかと思ったら、羽を広げたらその幅は一二0センチ、勢いもあってびっくりしました。

 夜七時、屋根つきの木の観覧船にぶら下がるちょうちんの明かりだけであたりは真っ暗。いよいよ向こうの方に見えてきた鵜飼船が目の前に来ました。たいまつの火の粉で船に乗っているぼくの顔は熱いし、八羽ほどの鵜が勢いよく水にもぐり込むときの水しぶきで顔もぬれます!鵜が魚を捕ったしゅん間、鵜匠は鵜の首を引っ張る縄をたぐり寄せ、鵜を手に取ると、鵜の首をしぼるように押してあっという間に鵜の口から魚を取り出すではありませんか。それも一、二秒の早わざです。

「わー、すごい!」

と観覧船から大きな歓声と拍手でわきます。

鵜の首に一本ずつ巻かれている縄は、魚を飲み込んだ鵜がその魚を食べてしまわないようにするためのものです。縄の結び方や引き方がきつすぎると鵜は息がしにくくなってしまいます。逆にゆるいと、飲み込んだ魚はそのまま鵜のお腹の中に入ってしまいます。この縄の引き加減は鵜匠にとって一番難しいそうです。ぼくが鵜匠だったら、魚を捕った鵜の頭を思いっきりなでてあげるだろうなあ。

 みなさんも是非、迫力満点の鵜飼を見に来て下さい。

順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1位たいまつの明かりのもと、鵜飼が水にもぐって魚を捕ります!ダイヤモンド7671938607857
2位目指せ!将棋王!ねいろ71108040445157
3位ぼくのすきなゲームパルキア70146338496148
4位すきなゲームみゃんこ7076544415759
5位好物ファミリー夏みかん70118043395051
6位好きな食べ物はバラバラスヌーピー7068846364653
7位一番すきな食べ物はきゅうりさやか7064748404450
8位大人気お父さんの手打ちそばもあも6960145354354
9位ベイブレードしゅわきち6855041365148
10位「アルフレッドのゆいごんじょうは…」を読んでなるちゃん6889344373856

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森リン(103) 

記事 665番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/25
森リン大賞(小6の部) as/665.html
森川林 2009/10/25 19:37 
 9月4週の清書について、学年別の森リン大賞が決まりました。
 その中から、代表的なものをいくつかを紹介します。

9月の森リン大賞と上位入賞者(小6の部153人中)

文化的カプセルは「柔らかめ」で
ことのは

 もしわたしが海外旅行に行くことになったら、文化的カプセルを破ってその国を楽しめるだろうか。ハワイ、アメリカ、フランス、オーストラリア、中国など行きたい国はたくさんある。わたしはどの国に行くとしても、その国の言葉をどのくらい話すことができるか、言語をよく知っているかと言う「言葉の習得度」によって、行動が変わってくると思う。英語やフランス語、各国の言葉がペラペラで、何を言われても迷うことなく対応できるようになっていれば外国人とも気軽に付き合うことができるはずだ。アメリカやイギリスをはじめ、ヨーロッパ諸国の文化にも興味がある。しかしわたしもやはり日本人だからなのか、現実的に考えてみると尻ごみしてしまいそうなのだ。日常生活でも、フレンドリーに接しなくちゃいけないとしじゅう気をもんでいるのに、海外に行ったらどうなってしまうのか。この狭い日本でできないことが、広い外国でできるのだろうか。母国語が違う相手にコミュニケーションできるかと言われれば、不安が三分の二を占めてしまう。言葉が通じなかったらどうしよう、話が合わなかったらどうしよう、と不安要素があふれかえっているからだ。だが、勇気を一回出せばその国の文化やしきたりが分かるのではないだろうか。同じ国の人と固まっているよりも、その土地の人や他の国から来た人などと知り合った方が楽しい。外国人との壁なんて気にせずに、その国独特の物を見つけて帰ってこようと楽に考えればいいのである。

 母は今までに、二回海外旅行に行ったという。一回目はインド、二回目はフランス。言語も文化も全然違う国だ。しかしどうやら母は文化的カプセルを持っていないようなのである。インドに行く時不安は全然無かったと言うし、フランスに行ったときもお金の不安ばかりで「言葉が通じなかったらどうしよう」とは思わなかったそうだ。わたしならずっと、言葉が通じるか、この国で過ごしていけるかと様々な不安を抱えたまま旅行をしそうだというのに。言葉が通じるか、という問題は学校で習う英語を使ったり、フランス語を書いたり、最悪の場合は日本語で話したりして切り抜けたそうである。母は尻ごみせずに、外国人と友好的な関係を築いたと言っていた。フランスではユースホステルが混んでいて、泊まることができなかったのでスウェーデン人の女の子と一緒にホテルを探したそうだ。なかなか行動派である。またユースホステルで宿泊できなかった台湾人の女の子とも仲良くなり観光をしたという。日本人とべったりくっつく、ということはあまりなかったようだ。しかし、知り合ってからずっと英語で話していた男の子が日本人だった、なんてこともあったらしい。すこし信じられないが、そこが旅行の面白い所なんだと思う。一方、インドでは文化的カプセルを持っていっても維持できないという。電車は時刻表どおりに来ないのが当然で、踏切は電車が通過しても開かないし、約束は簡単に破られ、何を言ってもみんな、「ノープロブレム、ノープロブレム」とニコニコ笑っているというのだ。物事が計画通りに進行していかない、そんな国らしい。文化的カプセルはかえって邪魔だという。その国によって社会も文化も違うので、文化的カプセルはなるべく柔らかめの物を持った方がよさそうだ。文化を分解しなければ、付き合っていけない人たちがたくさんいるのだから。

 日本人にとって文化的カプセルとは、破っていかないといけない、一つの課題であるとわかった。日本人は引っ込み思案な恥ずかしがり屋が多いので、海外旅行でも文化的カプセルを破ろうとしない。しかし、これが他の国の人だったらどうなのだろう。きっと海外でも、積極的にその土地の人と仲良くなろうとするはずである。日本人も見習って、積極的な性格になるべきだ。言葉や人種の壁を乗り越えて新たな文化や発見が得られると思う。外国人には色々感心させられる。海外旅行でなくても、その土地の人と親しくなれるよう内向きな自分の性格を直していきたい。

順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1位文化的カプセルは「柔らかめ」でことのは88164454656556
2位無用の用はるかぜ85113154616960
3位旅行の在り方闇の女帝81117951758354
4位日本人は(感)バービー80118846536451
5位手放せない 文化的カプセルsha hui79101649555250
6位フリースロー大会ゼウス7889238566853
7位私の長所・短所きのの7889736646443
8位日本と海外の違いサッカー少年78106638445748
9位安らぎマーブルチョコレート7887545595453

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記事 664番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/25
森リン大賞(中1の部) as/664.html
森川林 2009/10/24 09:51 
 9月4週の清書について、学年別の森リン大賞が決まりました。
 その中から、代表的なものをいくつかを紹介します。

9月の森リン大賞と上位入賞者(中1の部74人中)

人間の猿人化
本因坊

 日本人は、今、自分を飼育している。社会の動きの中で。今の日本人は、あまりにも管理されすぎているのだ。管理型社会。それがもたらす様々な悪い要因がある。その悪い要因が積み重なって、自分を飼育することになるのだ。自分をペット化したいと思う人間がどこにいるだろうか。また、自分がペットになったら、誰がその面倒を見るのだろうか。それらのことを考えても、自分を飼育するのはやめた方がよい。いや、やめなくてはならない。

 昔の日本は、こんなことはなかった。自由な遊び場がいくらでもあった。空き地なども多数存在し、草むらの中に秘密基地を作ったり、様々な遊びをした。例えば工事現場の土管などを使用して中を秘密基地にしたり、学校の倉庫などの中で食べ物を食べたり、ジュースを飲んだりした。この間最終章が公開された映画、「20世紀少年」でも、草むらの中に秘密基地を作っていた。私はこのような人たちがとても羨ましい。今の子供は、皆テレビゲームなどを持っていて、皆で遊びに行こうとする時も、必ず誰かが持ってきていて、ボタンを連打している。壊れないのだろうか。いや、そんなことはどうでもいい。私が言いたいのは、もっと大人に知られない所で秘密基地のようなものを作りたい、ということだ。そんな体験を全くしなかった私達が大人になった時、何か応用がきくのだろうか。

 私は、学校の帰りなどでコンビニなどに寄り道するのが好きだ。中学に入ってからは、やったことはないが、小学六年の頃は、毎日の様に友達と安い文具屋や、Family Martなどで時間をすごした。当時、塾に通っていたが、あまり塾に早く行きたくないという気持ちもあったのではないだろうか。たまに買い食いもした。その他にもヨドバシカメラなどのおもちゃ売り場で体験DSなどでも遊んだ。そういうゲームは、知らないうちに熱中してしまう。たまに時を忘れ、家に帰るのが遅れ、大目玉を食ったこともある。また、誰の口からどう伝わったのか知らないが、翌日、先生に指名されて叱られる。なぜ誰かということまで分かっているのだろうか。何時もそれが疑問だった。先生にばれると、今度は誰が先生に言ったかという話をしだす。それには私はついていけない。自分にとって目の上のたんこぶの人を、嘘でも本当でも適当に言っているのではないかと思う。そして、先生に叱られるごとに冤罪が起こる。実によくない。

 確かに、管理を受けた生活も、悪くはない。ある程度人間は監視されないと、仕事や勉強をやらない。しかし、たまには自由に過ごしたい時間もあるのではないだろうか。あまりに管理されすぎた生活をすると、だんだんストレスがたまる。最近では、電柱に監視カメラを設置したところもあるようだ。あまりにそれは酷い。やり過ぎだ。しかし、このことに慣れてしまった人が多くいる。これが自己飼育なのだ。人間は、管理をされて生きる動物ではなく、自分から何かやることを見つけ、それをやる動物である。一体、いつから退化しているのだろうか。そのうち、猿人にまで逆戻りしそうだ。管理を受けた生活、それが当たり前になっていること自体にとても問題があるように私には考えられてならない。

順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1位人間の猿人化本因坊88131455696453
2位まわり道に転がる光きとみ84103856565959
3位自己家畜化ゆうたん84131346555654
4位共通の気持ちピプリー83110946696363
5位アイデンティティの確立えらる81103750495260
6位他者とのつながりチョコ81109844475257
7位けじめの問題かまむ79106246647156
8位ミスターカービィ7984253625956
9位衰弱したアンデンティティひよこ7982246605757

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夢のない子供た 森川林
「宇宙戦艦ヤマトの真実」(豊田有恒)を読んだ。これは面白い。 7/17
記事 5099番
日本人の対話と 森川林
 ディベートは、役に立つと思います。  ただ、相手への共感 7/13
記事 1226番
日本人の対話と RIO
ディベートは方法論なので、それを学ぶ価値はあります。確かに、 7/11
記事 1226番
英語力よりも日 森川林
AIテクノロジーの時代には、英語も、中国語も、つまり外国語の 6/28
記事 5112番
創造発表クラス 森川林
単に、資料を調べて発表するだけの探究学習であれば、AIでもで 6/27
記事 5111番
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掲示板の記事1~10件
標準新演習算数 あかそよ
3の1はできました。 2は、答えを見るとなんとか理解できま 11/23
算数数学掲示板
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2024年11 森川林
●サーバー移転に伴うトラブル  本当に、いろいろご 11/22
森の掲示板
現在森リンベス 森川林
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森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
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手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習