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読書ノートに四行詩 as/741.html
森川林 2010/01/17 19:49 


 読書は、自分の好きな本を自由に読むのがいちばんです。
 しかし、そうでない場合もあります。それは第一に、読むのが苦手な子にどう読ませるかという場合です。第二は、読むのが好きな子が更に実のある読み方をしたいという場合です。第三は、少し背伸びをして難しい本を読もうとする場合です。

 そこで、読書の工夫の仕方を四つ挙げたいと思います。

 第一は、付箋を貼りながら読む方法です。
 第二は、読書ノートを利用する方法です。
 第三は、問題集を読書がわりに読む方法です。
 第四は、たくさんの本を並行して読む方法です。
 これらの四つは、いずれも関連があります。

 まず付箋を用意します。これは市販の付箋を買うよりも、仮止め用のスティックのりを使って自分で作った方がふんだんに使えます。A4の紙1枚から200-300の付箋ができます。
 A4ぐらいの紙を用意して四つに切る。
横に二つに折る。上部を外側にそらしておくとあとではがしやすい。
 折ったところに仮止め用のスティックのりを1-2センチの幅でつける。
 のりをつけて折りたたんだ状態で、のりのついていない側から切り込みを入れる(数枚まとめて切ると能率的)
 のりのついている側の折り目を1-2ミリの幅で切り落とす。
 気に入ったところに付箋を貼りながら本を読む。


 1冊の本を読んで途中で中断する場合、この付箋をページの横に貼っておくと栞(しおり)の代わりになります。
 付箋を貼るのは、読んでいて「よくわかったところ」「おもしろいところ」です。おもしろいというのは、いい表現だと思った、いい実例だと思った、いい意見だと思ったというところですが、単純に自分でおもしろいと思ったところと考えておく方がわかりやすいと思います。
 付箋を貼りながら読むと、読みかけの本でもどこまで読んだかが外から一目でわかるので、つい最後まで読もうという気になります。これが付箋読書の一つの利点です。

 付箋読書のもう一つの利点は、再読しやすくなる点です。同じ本を二回目に読むときは、付箋を貼った箇所だけを読んでいきます。そうすると、一冊の本をより深く味わって読むことができます。
 付箋を貼った箇所をもとに、読書ノートに本の内容をまとめることもできますが、それは特に自分で深く把握したいと思った本だけです。本を読むたびに読書ノートをつけていては、かえって読書のペースが落ちます。
 しかし、せっかく読んだ本を何もしないでおくのはもったいないので、読書ノートには四行詩を書くようにします。

 四行詩の基準は三つあります。
 一つは、四行に分かれていることです。
 もう一つは、できれば、内容に創造や発見があることです。
 最後の一つは、これもできれば、たとえや名言や笑いなどの光る表現があることです。

 本を読んで四行詩を書く最も簡単な方法は、付箋を貼ったところの一文を四行に分けて書くことです。
 複数の文を四行に分けて書いてもかまいません。また、自分なりに四行の感想を書いてもかまいません。

 これを200字詰めの作文ノートに書いていく場合、1行目にその本の書名又はページ数と日付を書きます。2~5行目に四行詩を書きます。そうすると、作文ノート1ページを使ってちょうど2つの四行詩が書けます。
 書き方の例は、こういう感じです。(1ページに2日分、2つの四行詩を書いている場合。□はマス。実際には縦書き)

=====================
□□□P207        1月10日□
□ヘレン・ケラーは言った。
□「私は大学でたくさんのことを学んだが、
□そのあとたくさん学んだことを
□忘れなければならなかった」
□□□P310        1月11日□
□「小さな政府」は、。
□大きな無駄があったからこそ
□魅力のある
□メッセージであった。
=====================

 これは堅い内容ですが、小中学生の場合はもっと柔らかい内容か出来事中心の四行詩になると思います。

 読書ノートに四行詩を書く場合大事なことは、読書をしてそのまとめとして読書ノートを書くのではないということです。
 本を読んでそのあとに書くという形だと、書いたから読書は終わりということになってしまいます。
 読書というものは、気に入ったら最後まで読みたくなるものですから、それを読書ノートを書くことによって打ち切ってしまうのはもったいないことです。
 同じ理由で、読書は勉強の最初や途中でするのではなく、最後にするものです。
 読書ノートをつける場合、最初に、前日までに読んだ部分の付箋をもとに四行詩を書きます。そのあと、その日の読書を始めるというふうにします。これなら、おもしろい本は心行くまで読み続けることができます。

 小学校の低中学年の子のお母さんから、どういう本を読ませたらいいですかと聞かれることがあります。
 日本の小学校低中学年向けの図書環境は充実しているので、書店や図書館に並んでいる本でどの本でもいいというのが答えです。
 特に、フォア文庫、青い鳥文庫、偕成社文庫など、シリーズ化されている本は、一度単行本になって評判がよかったものですから、どれを選んでも大きなはずれはありません。しかし、書名や表紙で選ぶのではなく、必ず中身を数ページ目を通してから選ぶことが大事です。

 ところが、小学校高学年から中学生や高校生にかけての良書は、あまり売れないせいか書店ではなかなか見つかりません。図書館を利用するというのが一つの方法ですが、もう一つは入試の問題集を読書がわりに読んでいく方法です。
 過去1年間分の入試問題集はかなり厚いので、背表紙をはがして40ページぐらいにホッチキスでまとめてきれいな表紙をつけます。問題文が途中で途切れてしまってもかまいません。問題文ですから、空欄があってもそのまま読みます。問題は解きません。難しい言葉があったら辞書で調べるよりも身近にいるお父さんやお母さんに聞きます。
 毎日6ページずつ読んでいくと1週間で40ページの小冊子が1冊分読み終わります。毎日10分程度の時間ですから、それほど負担はありません。
 読んだものを形として残したいというときは、読書ノートに前日までに読んだ分の四行詩を書いていきます。

 よく読みたい本がたくさんあって困るとか、易しい本ばかり読んで難しい本を読まないなどという相談があります。
 対処法は簡単です。読みたい本、又は、読む予定の本をずらっと並べて次々に数ページずつ読んでいきます。この場合も付箋を貼りながら読んでいくと、すぐにもとの本の読みかけのところまで戻れます。
 読みたい本を10冊ぐらい横に並べて次々に読んでいくと、そのうちに、自然にずっと読み続ける本が出てきます。その場合はその本をずっと読んでいきます。飽きたら気分転換にまた別の本を読みます。
 たくさんの本を並行して読んで頭が混乱しないかと聞く人がいますが、そういうことはありません。食事をするのに、ごはんを食べて、味噌汁を飲んで、たくあんを食べて、めざしを食べて、それで胃の中が混乱しないのと同じです。

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外勉から内勉へ as/740.html
森川林 2010/01/16 20:51 


 外食から内食へという流れが起きています。

 私の昼食のおかずは大体、近所のスーパーでキャベツ、セロリ、ホタテガイなどを買って、昆布つゆと酢とコショウをかけたものです。簡単です。あっという間に4、5人分の分量の野菜サラダができます。

 調理されたものは、防腐剤や着色料が入っているでしょうし、外食は雰囲気で行くようなものです。時間と健康と手間とコストを考えると、素材をそのまま生かして食べるというのがいちばんです。

 同様のことが勉強にも言えます。これが外勉から内勉への流れです。

 昔、高校入試のことで中学生の生徒の母親から相談を受けました。その相談は、「同学年の子がみんな塾に行き始めたので子供も不安になって塾に行きたいと言い出した。しかし、どの塾がいいか迷っている」というものでした。

 私の考えは、「塾に行くよりも、親が教えた方がいい」というものでしたから、家庭での勉強の仕方を説明しました。要は、過去問をやること、全国の入試問題を問題集として使うこと、数学は少し難しい問題集1冊を100%できるようにすること、たまに模試を受けることなどが大事で、それ以外の勉強はすべて回り道になるという話をしました。学校や学習塾などで、既にできる問題を解いたり、できなかった問題を90%ぐらい理解して済ませたりするような勉強はほとんど無駄なのです。ただ、みんながみんな自分で勉強できるわけではないので、そういう他からの手助けも必要だということです。

 その子は、その家庭での勉強法で翌年トップ高に合格しましたが、塾に行くよりもはるかに能率のいい勉強をしたと思います。お母さんも、最初はどうなるかと思ったがやってみると意外とできるものだと話していました。

 親が高校入試の勉強を始めると、最初の数ヶ月は中学生の子供よりもできません。昔やった数学や理科などはその後使っていない人がほとんどなので、すっかり忘れているのです。しかし、答えを見ながら子供と一緒に解いていると、どんどん勉強を思い出してきます。そのうちすぐに、自分が中学生や高校生だったときよりもできるようになります。これが年の功というものです。

 大学入試も基本は同じです。これは親が出てくる必要はありませんが、塾や予備校に通うよりも子供が自分のペースでやっていくのが最も能率がいいのです。特に、国立大志望で教科数の多い勉強をする場合は、独学を基本にやっていく必要があります。ただし、私立大で教科数の少ない入試の場合は、その私立大入試だけに特化した塾で勉強する方が能率がよいということもあります。
 自分のペースで行う勉強の仕方は、志望校の過去問をもとに、インターネットで合格体験記や参考書や問題集の情報を手に入れ、自分で勉強の計画を立て、ときどき模試を受けて軌道修正をしていくというものです。最初は試行錯誤でやらなければならないので、塾や予備校に通う方が近道のように思えますが、次第に自分で計画を立てた子の方が力をつけていきます。ただし、自分の力でやるとは言っても、漠然と高校の勉強を熱心に行ってそれがそのまま受験に結びつくというのではありません。大学入試のための勉強は、独自に計画をたてて取り組む必要があります。


 こう考えると、これからの塾の役割は、勉強そのものを教える場ではなく、家庭での勉強の仕方を教える場になっていくと思います。それは、学校についても言えることです。

 私は、小学校のころ学校に行くのが面倒でたまりませんでした。当時は不登校という言葉もなかったので、仕方なく学校に通っていましたが、授業中窓から外の景色を見てつくづく教室というのは牢獄みたいなところだと思っていました。授業が退屈でたまらないので、教科書に落書きばかり書いていました。中学や高校ではさすがに落書きはしなくなりましたが、授業が退屈なのは同じでした。たまに息抜きができるのは自分のペースでできるテストの時間だけで、それ以外は決められた机で授業を聞くということをずっと束縛に感じていました。

 たぶん、今の子供たちも同じような状況で学校や塾に通っているのだと思います。

 人間は、与えられたものを受け入れているときよりも、自分の意志で取り組んでいるときの方がずっとよく物事を吸収します。しかし、他人に教わることに慣れてしまうと、教えてくれないからできないという錯覚に陥ってしまいます。他人が教えてくれるのは、勉強の方向だけで、勉強の中身は自分で手に入れるものです。

 未来の勉強は、出来合いの授業を受けにいくという他人に依存したものではなく、自分でキャベツやセロリやホタテガイなどの材料を買ってきて料理するというもっと主体的なものになるでしょう。そのとき、学校や塾は、勉強を教える場ではなく、勉強の材料や方法を提供する場になっていくと思います。

1月20日追記

 家庭での勉強に関するご相談は、「質問の広場」で受け付けています。
https://www.mori7.net/nohara/situmonn/

 家庭で親が子供に勉強を教える場合、大事なのは「忍耐」と「笑顔」と「やり過ぎないこと」です。
 特に必要なのは忍耐で、一度教えてすぐに理解できる子はまずいません。同じことを何度も説明して初めて身につきます。いつも笑顔で教えてあげることが大事です。

 なお、高校生の小論文に関しては、第三者の目による客観的な評価が必要なので、自分だけで勉強することには限界があります。
 また、小中学生の作文について親が教える場合、長期間の指導はカリキュラムや教材がないと難しいと思います。

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