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12月森リン大賞(中3-高社) as/757.html
森川林 2010/01/29 04:50 


 小1-小6、中1-中2と続いて、今回は中3-高校生社会人の森リン大賞を発表します。
 スペースの関係上、代表作を1点しか表示していませんが、上位の作品はどれも密度の濃いものばかりです。
 得点が同点の場合は、表現点(語彙の多様性)の高い作品の方が上位になっています。



12月の森リン大賞(中3の部44人中)

一輪の優しさ
マロン

 日本人には他と比較したがる傾向がある。それが,日本の貿易や経済,文化を急速に発展させた,という面もある。しかし,日本は今も欧米に近づこう、真似しようと必死になっている。そして「国際化」ばかりを鵜呑みにして自らを見失っているのが現状である。私は,他の国や文化を基準にするのではなく,日本を中心とするような生き方をしたい。

 そのための方法としてはまず,まわりに流されない,ということが挙げられる。

 日本には,世界に誇れるものが沢山ある。私たちは直ぐに欧米のものに飛びつこうとするが,周りのものをよく見渡してみると,日本独特の良さがあふれていると思う。例えば,歌舞伎や能楽,浮世絵,華道や茶道は,外国では体験できない。これらの伝統に私たちはもっと自信を持って良いのではないだろうか。

 また,昔からの伝統的なものだけではなく,現代の日本のファッションなどもそうである。今,日本の流行や文化は海外の人からも絶大な人気を誇っている。安くてかわいい洋服。アニメやキャラクター文化,品質の良い電化製品。これらをもっと広めて,日本を基準とさせても良いのである。

 しかし,もっと身近なところにも日本の良さがある。それは言葉である。私たちはクラスに帰国子女がいると,それだけでその人を特別な存在だと感じてしまう。英語を流暢に話すことはもちろん私たちの憧れである。しかし,英語を話すことの前に,私たちはもっと日本語を知るべきである。きれいな尊敬語を話せるほうが,ただ闇雲に英語を話せることよりも良いのではないか。私は,まずは日本語をもっと大切にしていきたい。

 二つ目の方法は,日本が独自の基準を持っていた時代を見直すことだ。ヨーロッパの歴史だけでなく,いろいろな国の歴史を幅広く学び,あらゆるものを把握することが大切である。

 聖徳太子は,「日出づるところの天子,書を日没するところの天子にいたす,つつがなきや云々」といった手紙を隋の皇帝に送った。小さな日本が当時大国であった中国に対しても堂々とした手紙を出し,日本の良さ,存在を主張したのである。

 このような日本の歴史を知ることで,日本中心の世界に一歩近づくと思う。聖徳太子の時代の日本のように,どんな国に対しても自信を持っていたい。

 確かに,他国と比較したり,真似したりすることは大切である。明治維新のとき,欧米は日本にとっては絶対的な存在であった。このような考えが欧米への短期間のキャッチアップを可能にしたことも事実である。また,他国との比較は自分自身を見つめることにもつながる。しかし,「自分が考えるとおりに生きなければならない。そうでないと,自分が生きたとおりに考えるようになってしまう」という言葉がある。このように,私たちはもっと日本の良さを見直し,誇りを持って生きていくべきだ。

 最近人気のあるアートフラワー。私は豪華なバラで出来た花束はとてもきれいであると思う。でも,茶室に飾られている一輪の花には日本人独特の季節感や優しさが感じられる。私はそんな日本の優しさを大切にし,自分自身を基準とするような生き方をしたい。

順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1一輪の優しさマロン90127862898593
2前向きに生きようゆうちゃり~84115458666989
3精一杯生きるちな82105853778692
4「寝坊」と「腹痛」きへあ82140552586887
5言霊ゆりん8197561686787
6清書きこう80100146687893
7日本のふつうは書きことばチョビ79111873576686
8今を充実させて生きていくためにうまのすけ78107044798887
9言葉に想いを込めるメグ7897444566787
10読み方の愛 清書かせり7686347587290



12月の森リン大賞(高1高2高3社の部119人中)

栄光と憂い
カエル

「特許」patent…新規で有益な発明について独占権を付与すること。


 なにか新しいものを作り出したとき、発明者が持つ事のできる権利でその特許が認められると無断で同じものを作ったり、その製法は使えなくなる。特許を獲得できるような技術は社会全体に得をもたらすものが多い。その例としては、ノベールの作り出したダイナマイトが挙げられる。ダイナマイトがあることによって、ツルハシだけでは何時間もかかっていた工事が一瞬にして終えることだってできるのだ。このように、特許を獲得できるものには社会的に良い面がたくさんあるのだが、「特許」という縛りがあることで社会的な得になれていないケースもある。その特許を使うためには使用料が必要で、いくら世紀の大発明であっても発明者が生活や地位の「安定」を望むことで社会的な恩恵とはならなかったものもある。日本でだって、鎖国という形で新しい文化や、役に立つであろう製品などを受容し変化することを、畏怖し自らの「安定」のために排除していたこともあった。世の中は、変化よりも安定を求める傾向にある。だから私は、安定を求めすぎる日本の社会には問題があると思う。
 
 まず、第一の原因として今まで日本という国は、戦争や内戦などの混乱が続いてきたため、その反動として「安定」な生活を欲するようになったからだ。日本という国は、歴史の教科書を開けてみると戦国時代という時代があるほど、戦というのはごく身近に当たり前のようにあったのだ。そして、今となっては歴史という言葉で語られるようになっては来たが「戦」がなくなってきたのもここ数十年の間で、百年前はまだ戦時中だったのだ。そんな中で、人々は戦争というものはいかに無益で、悲惨なものか心にしみたのであろう。だから、そんなことを二度と繰り返さないためにも変化よりも「安定」をえらんだのだ。
 
 第二の原因として日本は島国であったために無理に変化をしなくても、生活することが出来たからである。陸続きの大陸では、すぐ隣の国は全く異なる文化だったり宗教だったりした。しかし、陸続きであるために異文化や異民族との交流が行われやすかったのである。その点日本は、海に囲まれているため他国の文化と触れ合う機会がなかったのだ。だから日本は独特な文化や進化の仕方をしてきた。ほかの島国でもそうだ。オーストラリアやガラパゴス諸島といった島国は独自の生態系を保ち、大陸では見られないような生物が見られる。島国というのは、必要以上の変化を必要としないのである。
 
 確かに、ノーベルの開発したダイナマイトは「安定」より社会への貢献を重視し特許を申請しなかった為に工事の為だけでなく戦争に使われてしまいノーベルは苦悩し続けたという話も残っているほどだが、「大切なのは何を使うかではない、どう使うかである」という名言のように、使い方次第で人々に安心を与え社会に貢献するものにもなりえるのである。そのためにも、たくさんの人に知ってもらい人々の生活に変化を与えることが必要なのである。人間というのは変化を恐れ、怖がり、避けて歩く。だがそれではいけない。人は変化を遂げてこそ成長し学ぶのだから。


順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1栄光と憂いカエル87130058758087
2日本人にはボランティア精神がターミネーター85147959739495
3日本のふつうの書きことば(感)まいう85112853908792
4本当の常識おめか84158657697383
5静と動紫式部83111459929884
6曖昧な人間関係キューピー82106148637495
7朝寝坊したこと(清書)きちう80107751758983
8Visionを広げるピカチュウ7985451757586
9ボランティアの広がり方いへゆ79102253586190
10経験と言葉しんご7580154536189


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12月森リン大賞(中1-中2) as/756.html
森川林 2010/01/28 04:04 


 引き続き、12月の森リン大賞を発表します。
 スペースの関係上、代表作1点しか表示していませんが、上位に入っている作品はどれも力作です。
 得点が同点の場合は、表現点(語彙の多様性)の高い作品の方が上位になっています。


※ 中1の1位の作品は優れていましたが、要約の部分も含まれていたので、代表作品としては掲載しませんでした。
 次回から、清書にする際は、要約は省略するか、自分の言葉に直して説明する形にしておいてください。

12月の森リン大賞(中1の部78人中)

言葉の意味
ハッピー・クローバー

 私は、実態に合わせて言葉を変えていくべきでなく、もとの意味を大切にするべきだと思う。その理由は二つある。

 第一の理由は、一々言葉を変えていたら、混乱が起こり、何だか分からなくなるからだ。最近では、カタカナや英語などで表す言葉が多くなったり、若者がよく使うような言葉が増えた。例えば、女子高生のことを「JK」 と表したり、空気が読めないことを「KY]と表したり、考えていくときりがない。私もよく、女子中学生のことを「JC」といったり、プロフィールのことを「プロフ」と略したりする。周りもみんな、普通の日常生活で使っている。でも母に、そういう言葉を使っていると、「何それ?」といわれることも多々ある。今、私達が普通に使っている言葉でも、相手を混乱させてしまっているかもしれない。

 先程述べた、プロフィールという言葉も、元々は自己紹介という意味だが、そういう若者の言葉で、一番気になるのが、「リスペクト」という言葉だ。「リスペクト」というのは、尊敬という意味だ。でも、
「尊敬しています。」
と言うのと、
「リスペクトしています。」
というのでは、感じ方が違うのではないだろうか。前者は、敬うっている様子が、とてもよく感じとれる。それに対し、後者は、あまり尊ぶ気持ちや敬っている気持ちが伝わりにくい。それに年配の方など、「リスペクト」という言葉自体分からなければ、混乱や、誤解をも招いてしまうかもしれない。だからやはり、言葉は変えるべきではない。

 第二の理由は、日本の文化や歴史に根づいた言葉は、慣れ親しんでいて、愛着があるからだ。ここ七年ぐらい、市町村の合ぺいが、相次いで、色々なところで行われている。山梨県にある、南アルプス市も、六年前に合ぺいした市だ。でも、この南アルプス市は、今までの市町村の名前と違い、カタカナで表されている部分がある。確かにそのほうが、みんなに覚えてもらうには、覚えやすいかもしれない。だが、元の市町村の名前にだって、色々な文化や歴史がある。昔から住んでいた人には、慣れ親しんできた地名である。それを、覚えやすい、分かりやすいからといって、カタカナの名前にするのは、少し問題があると思う。これと同じで、言葉だって、昔から慣れ親しんできたのに、それを実態に合わせて変えるのはどうかと思う。

 こんなデータがある。外国語の定着度調査における理解度では、例えば「バックアップ」という言葉だと、七十六パーセントだ。でも、「コラボレーション」という言葉では、十八パーセントだ。やはり、元々の慣れ親しんだ言葉でないと、慣れるまでに時間もかかり、混乱も招く。

 確かに、実態と言葉があっていれば分かりやすい。ずっと変わらないままも、おかしい気もする。しかし、「自分の心のうちに持っていないものは、何一つ自分の財産ではない。」という名言もあるように、自分が慣れ親しんだ言葉を使ったほうが、実感がわくし、語源も分かる。私はこれから、若者の言葉でも、元々の意味を考え、大切にしながらつっかていきたいと思う。


順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1言葉ピプリー91128964808792
2言葉の意味ハッピー・クローバー88125861658193
3“生”と“死”hikari87132759778786
4締め切りで成長なまず大使87120168697586
5人間は締め切りがないと、必死になれない!!フラワ85106558758687
6他人に迷惑をかけない201系85124953678389
7二足歩行ひよこ85111454687596
8平等の上に成り立つ行列きとみ84139059637189



12月の森リン大賞(中2の部80人中)

all for one,one for all
ハーマイオニー

 宇宙飛行士ラッセル・シュワイカートは、宇宙空間で仕事をしているとき、機械の故障のため数分間何もしない時間を持った。そのとき地球を見て、「自分は『私』ではなく、地球の全生命の過去と未来を含めた『我々』なのだ」という意識を持ったという。シュワイカートが宇宙空間で体験したこの個体意識から地球意識への脱皮は、今すべての人々に求められているのではないか。

 確かに、自分の利益を考えることは当然だろう。人間はみな、富や名声、地位に対する欲望がある。自分が認められたい、自分が褒められたい、自分が目立ちたいと考えているものだ。私は長年クラシックバレエを習っていた。体験時、やや大げさに褒められて以来、すっかりバレエに夢中になった。最初の発表会、私は、いきなりセンターで踊らせてもらい、ますます調子に乗った。今思えば井の中の蛙だったが、気分良く熱心に練習したので、実際上達も早かったと思う。振り付けの覚えが速いと感心されたので、いつの間にかそれが自分の役割のように思え、人の振り付けまで覚えるようになっていた。事実、舞台に向けた稽古の中で、私は不在のメンバーに代わって踊り、役立つことができた。しかし、レベルが上がるにつれ、レッスンも厳しくなったし、オーディションに参加するなどして、上には上がいることも知った。ポジション争いも熾烈になった。上手な子には負けず嫌いな気の強い子が多く、おそらく誰もが「私が私が」と考えていたはずだ。だがそのエネルギーは、公演本番に向かって一つにまとまる力ともなった。皆が自分の技術を磨くことによって、全体のレベルアップにも繋がったのだ。このように、一人ひとりが自分のためを考えることによって、全体の利益に繋がるということもある。

 しかし、全体を見通し、その利益を考えることも必要だ。昔話の「桃太郎」でも、桃太郎が鬼退治に行ったのは、何も自分がヒーローになりたかったわけではなく、村全体の平和を考えたからにちがいない。犬や猿や雉もきび団子一つ貰いたいためだけに命をかけた戦いに向かって行きはしなかっただろう。私も桃太郎やシュワイカートのような崇高な気持ちとは言えないが、最近の体験で、自分のことは二の次で全体の成功を考えたことがある。今年の体育祭のメイポールだ。これは、「私が目立つ!」などと思っていてはとても出来るものではない。個の意識は抑え、一つのリボンの正確な頂点となり、声を出しながら周囲と歩調を合わせて動いていく。それはクラスのためでもあり、学年全体のためでもあり、また学校の伝統のためでもあった。(私の中から「学校の伝統のため」などという言葉が出てくること自体、自分でも驚きである。)本番で成功したときには、全員で歓喜に酔いしれた。人類みな兄弟といった気分だった。私はまさに、過去も未来も含めた「私たち」だったのだ。この経験によって、私個人の考え方や物事の捉え方も深まったように思う。つまり、みんなのために、とやったことは結局自分のプラスにもなると言えるのではないか。

 このように、自分の利益を考えることも全体の利益を考えることも大切だ。しかし、「私たちの幸福が、ほかの人々の不幸に支えられているのであってはならない」という名言がある。最も大切なことは、自分の利益の追求が他の人々の利益にも結び付くような社会を作ることではないだろうか。「one for all」の「one」になるのは、意外に心地よい経験だった。「all for one」と「one for all」は、反対の意味ではなく、一つの真実の表と裏なのかもしれない。

順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1all for one,one for allハーマイオニー91148164788989
2人生の司おむふ901554787410086
3言葉の行動かはふ84124554577686
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