小学校3、4年生の子なら、絶対に面白がるゲームです。もちろん、大人がやっても楽しいので、雨の休日などで、子供が退屈しているときにやってみてください。
「いつどこ作文」などと呼ぶ人もいます。「いつ、どこで、だれが、何を、どうした」という文をいったんばらばらにして、ほかの人の書いたものと組み合わせる遊びです。
普通は、「いつ」で一つ、「どこで」でもう一つと分けるようですが、「いつ」や「どこ」だけでは創造性が発揮できないので、あまり面白くありません。そこで、次のように分けます。
1、「いつどこでだれが」
2、「何をどうしたら」
3、「何がどうなったので」
4、「どうなった」
このほかに、「何をしながら」「何をしているときに」などをつけ加えることもできます。
例えば、4つの言葉でやるときは、1枚の紙を4つに切って、それぞれにひとつずつ書いていきます。
A.「いつどこでだれが」……きのう、屋根の上で、お父さんが、
B.「何をどうしたら」……おどりをおどっていたら、
C.「何がどうなったので」……ネコが魚をくわえてやってきたので、
D.「どうなった」……幸せになった。
という感じです。
元の文からでたらめに書いていく方が面白くなります。
こう書いた紙を、AならAだけで集めてまぜます。そのあと、ばらばらに組み合わせたABCDの文をひとりずつに配って読んでもらいます。小学校低学年の子がいる場合は、スムーズに読めるように、ちょっと時間をとって自分が読む文を心の中で読むようにさせておくといいと思います。
最初はコツがわかりにくいので、真面目なことを書く子もいますが、一度やると要領がわかり、みんながそれぞれ工夫したことを書くので盛り上がります。
しかし、あまり長い間やっていると飽きるので、2、3回で切り上げます。
知的な作文ゲームをしたあとは、体を動かす遊びです。(あまり知的でもありませんでしたが)
家の中でできる運動系の楽しい遊びの筆頭は、風船バレーボールです。風船を買ってきて、軽くふくらませます。あまりふくらませると、空中にふわふわ浮いてやりにくくなるので、風船の重みですぐに落ちてくるぐらいの空気の入れ方にします。
家の部屋の真ん中にビニールひもを1本はり、ネットがわりにします。ルールは適当です。1人が続けて打たない、3回以内に相手コートに返す、という簡単なものがいいと思います。3、4人でやると結構熱中します。もちろん、2人でもできます。その場合は、1人が続けて打てるのは3回までなどというルールにしておくとよいでしょう。
そのほかに、もっと本格的に家の中で遊びたいときにおすすめなのが、理科実験です。インターネットに、家庭でできる理科実験のページがありますから、その中で面白そうなものをやっていきます。スライム作りなどは簡単にできて面白いと思います。
ゲームやスポーツや実験に飽きたら、家族みんなでカラオケにでも行ってください。充実した休日になると思います。
■小学校低学年の作文は学校でも家でも教えられそうだが……
小学校低学年のころの作文は、学校でも教えられますし、家庭でも教えられます。それは、低学年のころの作文は、直すところが多いからです。
しかし、作文の書き方の間違いを全部直していって、上手な作文は書けるようになるのでしょうか。おかしいところを直していけば自然にうまくなるというのであれば、作文の苦手な子は一人もいなくなります。しかし、現実には、作文の得意な子はごく一部で、大多数の子供が高学年や中学生になると作文が苦手になってきます。それは、作文を直すことと、上達させることは違う指導だからです。
■直す指導よりも、どう書いたらいいか教える指導が大事
言葉の森の作文指導は、直す指導よりも、どう書いたらいいかを教える指導を中心にしています。小学校低学年のころは、その指導内容も簡単です。小学校1年生の作文は、「会話を思い出してみよう」「たとえをつかってみよう」「思ったことを書いてみよう」などが指導項目ですから、だれでも簡単にできます。
しかし、この指導の先に、小学校3年生で感想文の指導が入ってきます。また、小学校5年生で説明文の感想文の指導になります。中学生になると、意見文の指導が入ってきます。学年が上がって課題が難しくなると、書ける子と書けない子の差が激しくなってきます。こうなると、言葉の森以外の作文指導では、書ける子の指導しかできなくなってくるのです。
■言葉の森以外の作文指導は、指導ではなく評価だけ
例えば、小学校高学年や中学生での読書感想文の指導は、学校ではほとんど行いません。夏休みの家庭での宿題になっているだけです。同様に、言葉の森以外の通信指導では、公立中高一貫校の受験作文指導でも、生徒が全員一律のテキストを見て自力で書くしかありません。書いた作文に対して赤ペンは返ってきますが、書く前にどう書いたらいいかをその子の実力に応じて教える指導はしていません。
言葉の森の作文指導は、担当の先生がそれぞれの子供に電話で説明する形の指導ですから、課題が難しくなればなるほど本領を発揮してきます。小学校低学年のころは、課題が易しいので電話指導の有無はそれほど大きな差とは感じられないかもしれませんが、高学年になると、個別の電話指導があることが決定的な差になってくるのです。
■難しい文章を読む力をつける
作文力は、作文の指導をすることだけで伸びるものではありません。作文を植物の花にたとえると、その根にあたるものが読書力や読解力で、葉にあたるものが多様な経験や知識です。作文という花に表れた結果だけを見て、その結果を直したり褒めたりするだけでは作文力はつきません。根にあたる読む力や考える力を育て、葉にあたる経験や知識という作文の材料を豊富にすることで、初めて作文の花の部分がしっかりと咲いてくるのです。
言葉の森の作文指導の特徴は、長文音読や長文暗唱や読書指導で読む力を育てることを重点にしていることです。
■低学年から始めると生活習慣の一部になる
作文の勉強を始める時期として小学校低学年(できれば1年生)からがよいというのは、実際に、低学年から始めた子の方が、圧倒的に勉強が長続きし上達しているからです。
作文力の必要性を感じるようになるのは、受験で作文が必要になる小学校高学年や中学生になってからです。高校生になって大学入試の小論文で必要になるということもあります。しかし、作文力が必要になるころには、作文の課題も難しくなっているので、難しくなってから始めた子は、作文の面白さを感じることができません。その結果、上達も遅く、長続きもしなくなってきます。
小学校低学年から作文の勉強を始めると、毎週1回作文を書くということが生活習慣の一部として定着します。また、課題の長文を読むことも毎日の勉強の習慣となっていきます。簡単にできるころから始めていると、課題が難しくなっても、それまでの延長で苦もなく書いていくことができるのです。
■作文の勉強で得られる豊富な副産物
作文の勉強には、作文だけにとどまらない副産物があります。第一は、書くことに抵抗がなくなり、書くことが好きになり得意になることです。文章を書くことに抵抗がなくなるということは、大学生や社会人になったときに、大きな力になります。
第二は、小さいころから書き続けた作文が、楽しい思い出になることです。子供が小学校1年生のころにどんなことを感じたり考えたりしていたかということは、大きくなってしまうと忘れられてしまいます。しかし、作文という形で残っていれば、それがそのままその子の成長の記録となります。
第三は、作文を通して親子の知的な対話が増えることです。子供が課題の長文を音読していれば、その長文をもとに似た例や感想などが話せます。作文や感想文の課題に合わせて、両親の小さいころの経験を話してあげれば、子供の視野が広がります。小学校低学年のうちからこのような親子のコミュニケーションを大事にしていると、子供が大きくなってからも対話のある親子関係ができてくるのです。