前回の読書法の話に引き続いて、今回は作文の方法です。
作文を書く方法を考える前に、作文というものは何かということを考えておきたいと思います。
作文は二つの側面に分かれます。一つは作文の中身です。もう一つは作文の表現です。
中身について大事なことは、一つは創造的であることです。もう一つは、創造的ということではないが価値ある中身が書かれているということです。
表現について大事なことは、一つは速くわかりやすく書くということです。もう一つは美しく個性的に書くということです。
価値ある中身を書くためには、体験と読書によって作文に書く内容を充実させていく必要があります。ですから、いい作文を書くために、書くことを準備してくる、家族に取材してくる、長文や本を読んでおくなどということが大事です。
価値ある中身を書くために書くことをあらかじめ準備できるように指示するという方法が項目法です。
作文を書く際に、「会話を思い出す」「たとえを入れる」「似た話を書く」「昔話の実例を入れる」などの項目指導は、今でこそいろいろなところでやられているようですが、言葉の森が初めてこの項目指導を行ったときは、いろいろな批判がありました。代表的なものは、「どうして、作文を書く前に『会話を入れて書く』などという指導ができるんだ。(書く中身がまだわかっていないのに)」というものでした。
今は、こういう批判はほとんどありません。言葉の森で勉強していることが、作品を書くということではなく、作文を書くための勉強をしているということがわかってきたからだと思います。そういう批判があった当時は、作文教室という言葉もありませんでした。
この項目指導をすると、作文を書くのが苦手だという子も、すぐに書けるようになります。小学校低中学年の場合は、「会話を入れて、たとえを入れて、思ったことを入れて書く」という簡単な項目指導だけで、子供は書く中身の方向がわかるのですらすら書き始めます。
この項目指導は、書くことを助けるので、苦手な子もすぐに書くための指導として使われます。しかし、学年が上がると次第に項目のレベルが上がっていくので、書くことが得意な子がもっと上手に書くための指導になっていきます。例えば、小学校高学年で「ことわざを書く」「一般化した感想を書く」という項目や、中学生で「複数の理由を書く」「名言を引用する」などの項目です。
子供たちの多くは、作文の書き方を系統的に教えられたことがなく、ただ書かされて添削をされるという教え方をされています。
そのため、小学校低学年のときに自分なりに自信を持って書いた作文が厳しく批評されるなどの経験を通して、書くことが苦手になってしまう子も多くいます。
そういう子が初めて言葉の森の教室に来ると、最初は緊張していますが、
項目指導を始めると見違えるように生き生きと書き始めます。項目指導で大事なことは、作文を書いたあとに、項目として指導したこと以外の批評はしないということです。
たまに、こういう教え方をする人がいます。「会話を入れて書いてごらん」と作文の指導をしたあと、子供が書いてきた作文を見て、「感想がちゃんと書けてない」「文がだらだら長すぎる」「点の打ち方がおかしい」などという評価をしてしまいます(笑)。これでは、子供がかわいそうです。指導していないことは評価しないのが原則です。少なくとも、批判になるような評価は、指導をちゃんとしてから行うことが必要です。
(つづく)
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これまで自分自身でやってきて実際に効果のあった読書法を5つ紹介します。これらの方法の長所は、いずれも手軽にできることです。
第1は、傍線法です。3色のペンで色分けをするとか、線の種類を変えるとかいうような複雑なことはせず、ただ、鉛筆で線を引きながら読んでいくだけの方法です。線を引くのは、面白いと思ったところ、よくわかったところなどです。重要なところに線を引くというのではありません。面白いとかよくわかったとかいうところに線を引きながら読んでいくと、再読するときに全体像がすぐに頭に入ります。国語のテストの問題文を読むときも、この方法で読んでいきます。すると、設問を見て問題文に戻ったときに、その問題文の必要な箇所が見つけやすくなります。普通の読書の場合も、傍線を引いた本は、再読するときの能率が上がります。傍線を引いた箇所だけを重点的に読んでいけばいいからです。
第2は、並読法です。読みかけの本が何冊もたまってしまうことがあります。これを同時に数ページずつ読んでいくと、たくさんの本を一度に読むことができます。人間の頭は同時に何冊の本を読んでも理解できるようになっています。読んでいるうちに自然にはかどる本が出てきますから、どの本も同じペースで進んでいくわけではありません。しかし、読みたい本がたまっているというストレスがなくなるだけでも効果があります。
第3は、フォトリーディング法です。フォトリーディングの解説がしてある本を1冊読むと、「なるほど速く読んでも大事なところは頭に入るのだ」と納得できます。それまで律儀に全文をひととおり読むという制約を自分に課していたのが、自由なスピードで読めるようになります。このことによってて読書のスピードが飛躍的に向上します。もちろん内容も十分に頭に入ります。
第4は、付箋読書法です。市販の付箋ではなく、手作りの付箋を貼りながら本を読んでいきます。手作りの付箋ですから、もったいないという感じがありません(手作り付箋の作り方は言葉の森のHPを参考にしてください)。図書館などで借りた本は、傍線を引けませんが、付箋読書であれば大事なところに付箋を貼りながら読んでいくことができます。付箋を貼りながら読んでいると、最後まで読みきることが多くなります。また、再読するときの能率も上がります。
第5は、問題集読書法です。これは、高学年の生徒の国語力をつけるための読書です。言葉の森の通学教室でも問題集読書を行っています。問題集読書を毎日6ページ読んで、感想として四行詩を書くという方法です。どの子もかなりよくやっています。
読書法のほかに、作文の方法でも、実際に効果のあったものがいくつかあります。
一つは、構成図法です。構成図を書いてから作文を書くという方法で、考えを深める過程の能率がかなり上がります。
もう一つは、音声入力法です。音声入力の方法を知っていると、時間が5分ぐらいしかないときでも、とりあえず書いておこうという発想ができるようになります。(つづく)
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小学校3、4年生の子なら、絶対に面白がるゲームです。もちろん、大人がやっても楽しいので、雨の休日などで、子供が退屈しているときにやってみてください。
「いつどこ作文」などと呼ぶ人もいます。「いつ、どこで、だれが、何を、どうした」という文をいったんばらばらにして、ほかの人の書いたものと組み合わせる遊びです。
普通は、「いつ」で一つ、「どこで」でもう一つと分けるようですが、「いつ」や「どこ」だけでは創造性が発揮できないので、あまり面白くありません。そこで、次のように分けます。
1、「いつどこでだれが」
2、「何をどうしたら」
3、「何がどうなったので」
4、「どうなった」
このほかに、「何をしながら」「何をしているときに」などをつけ加えることもできます。
例えば、4つの言葉でやるときは、1枚の紙を4つに切って、それぞれにひとつずつ書いていきます。
A.「いつどこでだれが」……きのう、屋根の上で、お父さんが、
B.「何をどうしたら」……おどりをおどっていたら、
C.「何がどうなったので」……ネコが魚をくわえてやってきたので、
D.「どうなった」……幸せになった。
という感じです。
元の文からでたらめに書いていく方が面白くなります。
こう書いた紙を、AならAだけで集めてまぜます。そのあと、ばらばらに組み合わせたABCDの文をひとりずつに配って読んでもらいます。小学校低学年の子がいる場合は、スムーズに読めるように、ちょっと時間をとって自分が読む文を心の中で読むようにさせておくといいと思います。
最初はコツがわかりにくいので、真面目なことを書く子もいますが、一度やると要領がわかり、みんながそれぞれ工夫したことを書くので盛り上がります。
しかし、あまり長い間やっていると飽きるので、2、3回で切り上げます。
知的な作文ゲームをしたあとは、体を動かす遊びです。(あまり知的でもありませんでしたが)
家の中でできる運動系の楽しい遊びの筆頭は、風船バレーボールです。風船を買ってきて、軽くふくらませます。あまりふくらませると、空中にふわふわ浮いてやりにくくなるので、風船の重みですぐに落ちてくるぐらいの空気の入れ方にします。
家の部屋の真ん中にビニールひもを1本はり、ネットがわりにします。ルールは適当です。1人が続けて打たない、3回以内に相手コートに返す、という簡単なものがいいと思います。3、4人でやると結構熱中します。もちろん、2人でもできます。その場合は、1人が続けて打てるのは3回までなどというルールにしておくとよいでしょう。
そのほかに、もっと本格的に家の中で遊びたいときにおすすめなのが、理科実験です。インターネットに、家庭でできる理科実験のページがありますから、その中で面白そうなものをやっていきます。スライム作りなどは簡単にできて面白いと思います。
ゲームやスポーツや実験に飽きたら、家族みんなでカラオケにでも行ってください。充実した休日になると思います。
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