公立中高一貫校で作文入試が増えてきたためでしょうか。作文教室に人気が出ているようです。高校の推薦入試でも、大学のAO入試でも、就職試験でも、作文や小論文の課題が出されるようになっています。これから、作文力をつけることはますます重要になってくるようです。
しかし、作文教室はやや乱立気味です。いろいろな教室がありますが、どういうことを基準に選んだらよいのでしょうか。
◆重要な基準
1、長年続いているか
子供に作文を教えるということは、ある程度文章力のある大人であれば、数ヶ月間はだれでもできます。1年間教えるということも、努力すればできます。
しかし、子供が小学1年生のころから教えて、その子が小学5、6年生になるまで継続して教えられるかといえば、そういう人はあまりいません。たとえ教えることができても、子供が飽きてやる気がなくなるのが普通です。
教えることは簡単だが、継続して教えることは難しいというのが、作文教室の特徴です。そのため、長年続いている教室はきわめて少ないのです。また、親が先生代わりになって教えるということも難しいのです。
言葉の森は、最初に生徒募集を始めたのが1975年、会社法人の設立が1985年と、作文教室としては最も古くからスタートしています。長年続いているということが、信頼性の証です。
2、作文を専門的に教えているか
作文の勉強は、子供が飽きるので、専門的には行いにくいものです。そのため、作文を教えている教室の中には、漢字の書き取りや国語の問題をやることを勉強の中心にし、作文はときどき書かせるという形のところも多いようです。たまに作文を書かせるのであれば、子供が飽きても何とか続けることができます。
しかし、そのような単発的な教え方で作文の実力がつくかといえば、それは疑問です。作文は、系統的なカリキュラムで、前回に書いたものをもとに今回はどう書いたらいいかを教える中で実力がついていくからです。
言葉の森は、週1回の作文指導を行っています。言葉の森で受講を始める前に、週1回で子供が飽きないかとか負担が大きくないかと心配される方もいますが、毎週同じ曜日の同じ時間に作文を書くというペースで勉強することによって本当の実力がついてくるのです。
3、中学受験の作文高校入試の作文に対応しているか
作文の勉強の成果が直接に生きてくるのは、やはり受験の場面です。言葉の森の生徒は、受験を目的にせずに作文の勉強を始めたという子がほとんどですが、作文の勉強をしていてたまたま受験で作文の課題があったときに、それまでの実力がすぐに生かせるというのは強みです。
受験作文の課題は、初期のころはだれでも書けるようなものが多いのですが、受験生が次第に準備をしてくるようになるので、年を経るにつれてだんだん書きにくい課題になっていきます。現在の受験作文の主流は、複数の文章を読ませてその感想を書かせるようなスタイルのものです。また、受験生が予想もしないような突飛な課題を出すところも増えています。
言葉の森は、通常の作文指導のほかに、受験コースを設けています。これは、作文入試に取り組む生徒が、入試の5ヶ月前から週1回のペースで志望校の過去問に対応した作文を書く練習をするコースです。過去問がない場合でも、これまでの経験を生かして予想問題を作って指導します。言葉の森が受験コース用に準備している課題は約800題ですから、どのような問題にも即座に対応できます。
4、高校生の大学入試小論文まで指導しているか
少子化の進展によって、大学入試全体がじっくり採点する小論文形式のものに移行しています。また、大学側の事情によって、優秀な生徒を早めに確保する必要からAO入試や推薦入試を行うところが増えています。
ところが、大学入試の小論文を個々の生徒に合わせて個別指導しているところは少なく、ほとんどが小論文の書き方を一斉に説明する形で指導しています。
受験生の立場からすれば、文章の書き方を一般的に説明されても実力はつきません。また、何人かの文章の添削例を見ても、それが自分の実力に結びつくわけではありません。自分の書いた文章を個別に批評してもらうことが必要なのです。
言葉の森の小論文指導は、個人別・志望校別の指導です。長年の実績があるので、どんなに苦手な子にもその子に合ったわかりやすい指導ができるとともに、どんなに高度な課題にも応えることができます。早稲田大、慶應大、上智大など難関大学の小論文入試には、これまでに多数の合格者を出しています。また、小論文形式ではありませんが、記述式の国語問題が多い東大、一橋大など国公立の大学入試にも合格者を出しています。
しかし、高校3年生になってから受講を開始することは残念ながらできません。受験間際になってから受講する生徒に対応すると、言葉の森の通常の授業が圧迫されてしまうからです。ただし、小学生のときに言葉の森を受講していて、途中で受験や部活のためにいったん中断していた生徒が高校生になって再開するという場合には対応しています。そして、言葉の森にはそういう生徒がかなりいるのです。
高校生になって急に小論文を勉強する必要性が出てきたとき、小論文を指導してくれる予備校や塾を探してみると、志望校に合わせた課題で個別に指導してくれるところはほとんどありません。そこで、言葉の森で受講を再開するのです。
5、どんな先生が教えているかわかるか
作文教室の中には、有名な先生や肩書を持った先生が教えているところもあります。しかし、それらの先生がすべての生徒を指導しているわけではもちろんありません。作文指導は時間がかかるので、ほとんどの生徒はその有名な先生以外の先生が教えています。
ところが、その実際に教えている先生がどういう先生かはわかりません。いい先生であることは当然ですが、どういう先生かある程度わかったうえで受講したいというのが保護者の気持ちです。
言葉の森は、指導している先生がどういう先生でどういう指導をしているかわかるようにしています。また、電話指導で子供と直接話をするので、保護者と電話で連絡をとる機会もときどきあります。教えている先生と直接話をすることができるというのが、言葉の森の親身な指導の土台になっています。
6、通信は電話指導があるか
作文の勉強は、そのほかの国語、算数、英語などの勉強と比べて、スタートするときの負担が大きいという特徴があります。
子供がすぐに作文を書いて、あとは先生の評価を見るだけということであれば苦労はしません。しかし、ほとんどの場合、子供に作文を書かせることが大変なのです。
課題がやさしいときは、それでも無理矢理に書かせることができます。しかし、やさしい課題の作文をいくら書いても、作文の実力はつきません。その子にとって難しい課題に取り組むことで本当の実力がついていきます。
では、難しい課題を子供が自分の力で取り組むことができるでしょうか。ほかの教科であれば、答えや解法の説明を読んで自分なりに理解することができます。自分で理解できないときでも、近くにいる親が助けてあげることができます。しかし、作文の難しい課題は、ヒントをいくら見ても書けないときは書けません。それは、ヒントがその子に合わせたヒントではなく、一般的な生徒を対象にしたヒントだからです。
そのときに、電話指導の説明があれば、その子の理解度に応じた書き方をアドバイスすることができます。
言葉の森の通信指導の特徴は、電話指導があることです。もともと言葉の森は通学教室からスタートし、通学できない生徒のために通信コースを開設しました。指導の効果を維持するために、電話による指導が欠かせなかったのです。
言葉の森の電話指導は、担当の先生が毎週電話で説明をします。生徒の質問があるときだけ電話で対応するというのではありません。また、担当の先生の電話説明を聞いたあと、やはり途中で書けなくなったというときも、電話で質問をすれば追加の説明を聞くことができます。更に、欠席した場合のふりかえ授業も電話指導で行います。
言葉の森の生徒の作文提出率がきわめて高いのは、毎週の電話による指導があるからです。電話を聞いたあとすぐに作文を書くというスタイルで勉強ができるので、家庭でも楽に作文の勉強が続けられるのです。
7、読む学習に力を入れているか
作文の力は、作文を添削することによってつくのではありません。特に、小学校の低中学年のころは、書いたものをいくら直しても、それで作文が上手になるわけではありません。添削で作文が上手になるのであれば、日本中の子供のほとんどは作文が上手になっています。
赤ペンによる添削は、作文の指導法の一つですが、添削よりも大事なことは作文力の土台となる読む力をつけることです。読む力をつけながら添削するのであれば、添削が生きてきます。読む力をつける指導をどれだけ行っているかが、作文教室の評価の大きな基準です。
言葉の森は、作文力の土台をつける指導として、長文の暗唱と読書の自習を行っています。特に暗唱の自習は、毎週先生が電話で自習の進み具合をチェックするので、ほとんどの子が長い文章でもすらすらと暗唱できるようになります。暗唱は、単に文章を覚えるという勉強ではなく、暗唱することによって語彙と語彙とのつながりが広がり、考える力が育つことによって、文章を書く力がつくという学習なのです。
◆ちょっと重要な基準
8、無料体験学習が受けられるか
実際にどんな教材でどんな先生が教えるかということが、事前にわかれば安心です。
言葉の森は、電話指導による2回の無料体験学習があります。体験学習を受けたあと、まだ時期が早いと思えば、そのまま終了し、またしばらくしてから無料体験学習を受けることもできます。
無料体験学習の教材は、実際に受講するときの教材と同じです。指導する先生も曜日も時間も同じです。長文暗唱などの自習については時間がかかるので、入会が決まってから1ヶ月かけて少しずつ説明していきます。
何度も無料体験学習が受けられるというのは、指導の内容に自信があるからです。
9、休んだ場合の振り替えがの授業があるか
毎週の決まった授業だと、受講できない日も出てきます。かといって、授業の曜日や時刻が決まっていず、いつでも自由に提出していいということであれば、逆に提出率が低くなります。
言葉の森の授業の特徴は、休んだ場合も別の日にふりかえて授業を受けられることです。授業に柔軟性があるので、ほとんどの生徒が無理なく勉強を続けられるのです。
10、教材はオリジナルなものか
作文の勉強に関心を持つ人が増えてきたために、教材作成会社が準備する教材も豊富になってきました。しかし、出来合いの教材の弱点は、生徒の個別の要求に応えられないことです。
言葉の森の作文教材は、すべてオリジナルで、毎年新しい教材を追加しています。このため、生徒のどのような要求にも対応する指導ができるのです。
◆あまり重要でない基準
1、通信か通学か
通学の作文教室も増えてきました。通信よりも通学の方が続けやすいとだれもが思いがちです。確かに、添削だけの通信指導であれば、通学の教室の方が確実に作文を書く機会を増やせるでしょう。
しかし、大事なのは指導の中身です。作文を書かせることはだれでもできますが、作文の実力をつける指導はなかなかできません。それは、通信指導であっても、通学指導であっても変わりはないのです。
しかも、言葉の森の通信指導は、電話による先生の説明を勉強のスタートの合図として始められます。それは、通学教室で先生が説明をしてから書くことと全く同じです。また、書いている途中でわからないことが出てくれば、すぐに電話で質問することができます。個別の質問が簡単にできるという点では、通学教室でみんなの前で質問するよりもずっと個々の生徒に対応しやすい勉強になっています。
実際に、言葉の森の通信の生徒は、作文の提出率がかなり高いという特徴があります。意外なことに、わざわざ通わなければならない通学教室よりも、電話指導のある通信教室の方が続けやすいのです。
2、有名な先生がいるか
作文教室の中には、有名な先生が監修しているものもあります。それ自体はよいことですが、その先生が個々の生徒の指導にまで責任を持っているわけではありません。大事なことは、実際に指導にあたる先生がどのような指導をしているかです。
言葉の森では、担当する先生がその生徒の指導に責任を持ってあたります。また、個々の生徒の実力をつけるために、教室全体で対応しています。大事なことは、有名な先生がいるかどうかではなく、指導の中身です。
3、教材がカラフルで楽しそうか
作文教室の中には、カラフルな教材で楽しく勉強できそうなものもあります。楽しく勉強するのはもちろんよいことですが、ここで考えなければならないことは、小学校低中学年で楽しく勉強できるというのはどういうことかということです。
課題がやさしくて、すぐに取り組めて、先生が褒めてくれるという教え方であれば、小学校低中学年のころはだれでも楽しく勉強ができます。しかし、それで実力はつくのでしょうか。
楽しさは大事ですが、勉強を進める中では、必ずその子の実力を超えた難しい課題が出てきます。そういう難しい課題に取り組み、その課題を克服する中で作文の実力はついていきます。このように考えると、楽しい教材というのは、実力がつかなくてもよい教材となってしまう可能性もきわめて高いのです。
昔の子供たちは、モノクロの味気ない教材でみんな実力をつけていきました。確かに現代のようにビジュアルな環境では、カラフルで見た目のきれいな教材でないと子供は興味を示さないかもしれません。しかし、大事なことは外見ではなく、実際の勉強の中身です。
言葉の森の教材は、地味なことで定評があります。挿し絵もあまりなく課題集はホッチキス止めです。しかし、教材をなぜきれいに製本しないかというと、毎日のように教材を部分的に修正してよりよいものに改良しているからです。教材が地味で一見質素に見えるところに、指導の充実度が表れているとも言えるのです。
【関連ページ】
作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信
作文の通信教育の教材比較 その1
作文の通信教育の教材比較 その2
作文の勉強は毎週やることで力がつく
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前回の読書法の話に引き続いて、今回は作文の方法です。
作文を書く方法を考える前に、作文というものは何かということを考えておきたいと思います。
作文は二つの側面に分かれます。一つは作文の中身です。もう一つは作文の表現です。
中身について大事なことは、一つは創造的であることです。もう一つは、創造的ということではないが価値ある中身が書かれているということです。
表現について大事なことは、一つは速くわかりやすく書くということです。もう一つは美しく個性的に書くということです。
価値ある中身を書くためには、体験と読書によって作文に書く内容を充実させていく必要があります。ですから、いい作文を書くために、書くことを準備してくる、家族に取材してくる、長文や本を読んでおくなどということが大事です。
価値ある中身を書くために書くことをあらかじめ準備できるように指示するという方法が項目法です。
作文を書く際に、「会話を思い出す」「たとえを入れる」「似た話を書く」「昔話の実例を入れる」などの項目指導は、今でこそいろいろなところでやられているようですが、言葉の森が初めてこの項目指導を行ったときは、いろいろな批判がありました。代表的なものは、「どうして、作文を書く前に『会話を入れて書く』などという指導ができるんだ。(書く中身がまだわかっていないのに)」というものでした。
今は、こういう批判はほとんどありません。言葉の森で勉強していることが、作品を書くということではなく、作文を書くための勉強をしているということがわかってきたからだと思います。そういう批判があった当時は、作文教室という言葉もありませんでした。
この項目指導をすると、作文を書くのが苦手だという子も、すぐに書けるようになります。小学校低中学年の場合は、「会話を入れて、たとえを入れて、思ったことを入れて書く」という簡単な項目指導だけで、子供は書く中身の方向がわかるのですらすら書き始めます。
この項目指導は、書くことを助けるので、苦手な子もすぐに書くための指導として使われます。しかし、学年が上がると次第に項目のレベルが上がっていくので、書くことが得意な子がもっと上手に書くための指導になっていきます。例えば、小学校高学年で「ことわざを書く」「一般化した感想を書く」という項目や、中学生で「複数の理由を書く」「名言を引用する」などの項目です。
子供たちの多くは、作文の書き方を系統的に教えられたことがなく、ただ書かされて添削をされるという教え方をされています。
そのため、小学校低学年のときに自分なりに自信を持って書いた作文が厳しく批評されるなどの経験を通して、書くことが苦手になってしまう子も多くいます。
そういう子が初めて言葉の森の教室に来ると、最初は緊張していますが、
項目指導を始めると見違えるように生き生きと書き始めます。項目指導で大事なことは、作文を書いたあとに、項目として指導したこと以外の批評はしないということです。
たまに、こういう教え方をする人がいます。「会話を入れて書いてごらん」と作文の指導をしたあと、子供が書いてきた作文を見て、「感想がちゃんと書けてない」「文がだらだら長すぎる」「点の打ち方がおかしい」などという評価をしてしまいます(笑)。これでは、子供がかわいそうです。指導していないことは評価しないのが原則です。少なくとも、批判になるような評価は、指導をちゃんとしてから行うことが必要です。
(つづく)
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これまで自分自身でやってきて実際に効果のあった読書法を5つ紹介します。これらの方法の長所は、いずれも手軽にできることです。
第1は、傍線法です。3色のペンで色分けをするとか、線の種類を変えるとかいうような複雑なことはせず、ただ、鉛筆で線を引きながら読んでいくだけの方法です。線を引くのは、面白いと思ったところ、よくわかったところなどです。重要なところに線を引くというのではありません。面白いとかよくわかったとかいうところに線を引きながら読んでいくと、再読するときに全体像がすぐに頭に入ります。国語のテストの問題文を読むときも、この方法で読んでいきます。すると、設問を見て問題文に戻ったときに、その問題文の必要な箇所が見つけやすくなります。普通の読書の場合も、傍線を引いた本は、再読するときの能率が上がります。傍線を引いた箇所だけを重点的に読んでいけばいいからです。
第2は、並読法です。読みかけの本が何冊もたまってしまうことがあります。これを同時に数ページずつ読んでいくと、たくさんの本を一度に読むことができます。人間の頭は同時に何冊の本を読んでも理解できるようになっています。読んでいるうちに自然にはかどる本が出てきますから、どの本も同じペースで進んでいくわけではありません。しかし、読みたい本がたまっているというストレスがなくなるだけでも効果があります。
第3は、フォトリーディング法です。フォトリーディングの解説がしてある本を1冊読むと、「なるほど速く読んでも大事なところは頭に入るのだ」と納得できます。それまで律儀に全文をひととおり読むという制約を自分に課していたのが、自由なスピードで読めるようになります。このことによってて読書のスピードが飛躍的に向上します。もちろん内容も十分に頭に入ります。
第4は、付箋読書法です。市販の付箋ではなく、手作りの付箋を貼りながら本を読んでいきます。手作りの付箋ですから、もったいないという感じがありません(手作り付箋の作り方は言葉の森のHPを参考にしてください)。図書館などで借りた本は、傍線を引けませんが、付箋読書であれば大事なところに付箋を貼りながら読んでいくことができます。付箋を貼りながら読んでいると、最後まで読みきることが多くなります。また、再読するときの能率も上がります。
第5は、問題集読書法です。これは、高学年の生徒の国語力をつけるための読書です。言葉の森の通学教室でも問題集読書を行っています。問題集読書を毎日6ページ読んで、感想として四行詩を書くという方法です。どの子もかなりよくやっています。
読書法のほかに、作文の方法でも、実際に効果のあったものがいくつかあります。
一つは、構成図法です。構成図を書いてから作文を書くという方法で、考えを深める過程の能率がかなり上がります。
もう一つは、音声入力法です。音声入力の方法を知っていると、時間が5分ぐらいしかないときでも、とりあえず書いておこうという発想ができるようになります。(つづく)
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小学校3、4年生の子なら、絶対に面白がるゲームです。もちろん、大人がやっても楽しいので、雨の休日などで、子供が退屈しているときにやってみてください。
「いつどこ作文」などと呼ぶ人もいます。「いつ、どこで、だれが、何を、どうした」という文をいったんばらばらにして、ほかの人の書いたものと組み合わせる遊びです。
普通は、「いつ」で一つ、「どこで」でもう一つと分けるようですが、「いつ」や「どこ」だけでは創造性が発揮できないので、あまり面白くありません。そこで、次のように分けます。
1、「いつどこでだれが」
2、「何をどうしたら」
3、「何がどうなったので」
4、「どうなった」
このほかに、「何をしながら」「何をしているときに」などをつけ加えることもできます。
例えば、4つの言葉でやるときは、1枚の紙を4つに切って、それぞれにひとつずつ書いていきます。
A.「いつどこでだれが」……きのう、屋根の上で、お父さんが、
B.「何をどうしたら」……おどりをおどっていたら、
C.「何がどうなったので」……ネコが魚をくわえてやってきたので、
D.「どうなった」……幸せになった。
という感じです。
元の文からでたらめに書いていく方が面白くなります。
こう書いた紙を、AならAだけで集めてまぜます。そのあと、ばらばらに組み合わせたABCDの文をひとりずつに配って読んでもらいます。小学校低学年の子がいる場合は、スムーズに読めるように、ちょっと時間をとって自分が読む文を心の中で読むようにさせておくといいと思います。
最初はコツがわかりにくいので、真面目なことを書く子もいますが、一度やると要領がわかり、みんながそれぞれ工夫したことを書くので盛り上がります。
しかし、あまり長い間やっていると飽きるので、2、3回で切り上げます。
知的な作文ゲームをしたあとは、体を動かす遊びです。(あまり知的でもありませんでしたが)
家の中でできる運動系の楽しい遊びの筆頭は、風船バレーボールです。風船を買ってきて、軽くふくらませます。あまりふくらませると、空中にふわふわ浮いてやりにくくなるので、風船の重みですぐに落ちてくるぐらいの空気の入れ方にします。
家の部屋の真ん中にビニールひもを1本はり、ネットがわりにします。ルールは適当です。1人が続けて打たない、3回以内に相手コートに返す、という簡単なものがいいと思います。3、4人でやると結構熱中します。もちろん、2人でもできます。その場合は、1人が続けて打てるのは3回までなどというルールにしておくとよいでしょう。
そのほかに、もっと本格的に家の中で遊びたいときにおすすめなのが、理科実験です。インターネットに、家庭でできる理科実験のページがありますから、その中で面白そうなものをやっていきます。スライム作りなどは簡単にできて面白いと思います。
ゲームやスポーツや実験に飽きたら、家族みんなでカラオケにでも行ってください。充実した休日になると思います。
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■小学校低学年の作文は学校でも家でも教えられそうだが……
小学校低学年のころの作文は、学校でも教えられますし、家庭でも教えられます。それは、低学年のころの作文は、直すところが多いからです。
しかし、作文の書き方の間違いを全部直していって、上手な作文は書けるようになるのでしょうか。おかしいところを直していけば自然にうまくなるというのであれば、作文の苦手な子は一人もいなくなります。しかし、現実には、作文の得意な子はごく一部で、大多数の子供が高学年や中学生になると作文が苦手になってきます。それは、作文を直すことと、上達させることは違う指導だからです。
■直す指導よりも、どう書いたらいいか教える指導が大事
言葉の森の作文指導は、直す指導よりも、どう書いたらいいかを教える指導を中心にしています。小学校低学年のころは、その指導内容も簡単です。小学校1年生の作文は、「会話を思い出してみよう」「たとえをつかってみよう」「思ったことを書いてみよう」などが指導項目ですから、だれでも簡単にできます。
しかし、この指導の先に、小学校3年生で感想文の指導が入ってきます。また、小学校5年生で説明文の感想文の指導になります。中学生になると、意見文の指導が入ってきます。学年が上がって課題が難しくなると、書ける子と書けない子の差が激しくなってきます。こうなると、言葉の森以外の作文指導では、書ける子の指導しかできなくなってくるのです。
■言葉の森以外の作文指導は、指導ではなく評価だけ
例えば、小学校高学年や中学生での読書感想文の指導は、学校ではほとんど行いません。夏休みの家庭での宿題になっているだけです。同様に、言葉の森以外の通信指導では、公立中高一貫校の受験作文指導でも、生徒が全員一律のテキストを見て自力で書くしかありません。書いた作文に対して赤ペンは返ってきますが、書く前にどう書いたらいいかをその子の実力に応じて教える指導はしていません。
言葉の森の作文指導は、担当の先生がそれぞれの子供に電話で説明する形の指導ですから、課題が難しくなればなるほど本領を発揮してきます。小学校低学年のころは、課題が易しいので電話指導の有無はそれほど大きな差とは感じられないかもしれませんが、高学年になると、個別の電話指導があることが決定的な差になってくるのです。
■難しい文章を読む力をつける
作文力は、作文の指導をすることだけで伸びるものではありません。作文を植物の花にたとえると、その根にあたるものが読書力や読解力で、葉にあたるものが多様な経験や知識です。作文という花に表れた結果だけを見て、その結果を直したり褒めたりするだけでは作文力はつきません。根にあたる読む力や考える力を育て、葉にあたる経験や知識という作文の材料を豊富にすることで、初めて作文の花の部分がしっかりと咲いてくるのです。
言葉の森の作文指導の特徴は、長文音読や長文暗唱や読書指導で読む力を育てることを重点にしていることです。
■低学年から始めると生活習慣の一部になる
作文の勉強を始める時期として小学校低学年(できれば1年生)からがよいというのは、実際に、低学年から始めた子の方が、圧倒的に勉強が長続きし上達しているからです。
作文力の必要性を感じるようになるのは、受験で作文が必要になる小学校高学年や中学生になってからです。高校生になって大学入試の小論文で必要になるということもあります。しかし、作文力が必要になるころには、作文の課題も難しくなっているので、難しくなってから始めた子は、作文の面白さを感じることができません。その結果、上達も遅く、長続きもしなくなってきます。
小学校低学年から作文の勉強を始めると、毎週1回作文を書くということが生活習慣の一部として定着します。また、課題の長文を読むことも毎日の勉強の習慣となっていきます。簡単にできるころから始めていると、課題が難しくなっても、それまでの延長で苦もなく書いていくことができるのです。
■作文の勉強で得られる豊富な副産物
作文の勉強には、作文だけにとどまらない副産物があります。第一は、書くことに抵抗がなくなり、書くことが好きになり得意になることです。文章を書くことに抵抗がなくなるということは、大学生や社会人になったときに、大きな力になります。
第二は、小さいころから書き続けた作文が、楽しい思い出になることです。子供が小学校1年生のころにどんなことを感じたり考えたりしていたかということは、大きくなってしまうと忘れられてしまいます。しかし、作文という形で残っていれば、それがそのままその子の成長の記録となります。
第三は、作文を通して親子の知的な対話が増えることです。子供が課題の長文を音読していれば、その長文をもとに似た例や感想などが話せます。作文や感想文の課題に合わせて、両親の小さいころの経験を話してあげれば、子供の視野が広がります。小学校低学年のうちからこのような親子のコミュニケーションを大事にしていると、子供が大きくなってからも対話のある親子関係ができてくるのです。
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これは、言葉の森新聞に掲載した記事です。
1月に「その2」を出したあと、「その3」が出ていませんでした。(^^ゞ
公立中高一貫校の作文入試は大体終わりつつありますが、大学入試の小論文はまだこれからのところが多いと思います。これから小論文試験に臨む方は、言葉の森のこれまでの記事を参考にしていってください。
作文のコツの第六は、知性を感じさせる社会実例を書くことです。
作文の中に書いてある実例が体験だけだと、知的な印象が少なくなります。社会実例の元になるものは、読書です。本をよく読んでいる生徒は、自然にその本の中から実例を見つけてきます。読んだ本からの実例が書いてあると、知識の厚みを感じさせる文章になります。ニュースなどもいい実例になることがありますが、テレビでセンセーショナルに取り上げられた話題だけで書いていると、かえって普段テレビしか見ていないような印象になります。
受験勉強で社会を勉強していれば、その勉強から社会的な実例が書けそうなものですが、そうではありません。受験で勉強している内容はどちらかと言えば断片的な知識なので、文章の中に生きた形で生かすことが難しいのです。それに対して読書によって得た知識は、生きたまとまりの中にある知識ですから、文章の中に生かすことができます。
読書をする時間がなかなか取れない人は、問題集の問題文を繰り返し読む練習をしていきましょう。国語の問題集を読書がわりに読むと、読解力もつきますし、表現力も豊かになります。
第七は、構成がわかるように書くことです。
実は、この構成重視の作文は、言葉の森の勉強でいちばんプラスになるところです。言葉の森の指導の仕方は、全体の構成をまず考えて、それから中身を埋めていくというスタイルです。このため、勉強を続けていると、自然に構成を意識して書けるようになります。
多くの受験生は、課題を見たとたんにまずとりあえず書き始め、書きながら先を考えるというスタイルで書きます。この書き方でももちろんうまくまとまることがありますが、読み手にとってはあまり読みやすい文章にはなりません。構成を最初に考えて書くと、「問題点は二つある。第一に……。第二に……」などという書き方ができるようになります。こういう構成の文章は、頭の中が整理されていないと書けません。採点する人は、このような読みやすい文章に好感を持ちます。
見た目の印象を読みやすく感じさせるために、段落の長さも大事です。考えが整理されていると、どの段落もバランスのよい長さでまとめられます。逆に、考えが整理されていないときは、極端に長い段落や短い段落が混じる形の文章になりがちです。
文章を書く力は、これからますます重要になってきます。そして、文章を書く力は、読む力に支えられています。受験のための勉強が終わったあとも、毎日の生活の中で読書をする習慣をぜひつけていってください。
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幼稚園から小学校1、2年生のころの子供は、親の言うことをよく聞きます。しかも、この時期は模倣の時代なので、与えられたことは何でもどんどん吸収します。
しかし、だからといって、いろいろな勉強や習い事をやらせすぎると、時間ばかりとられて結局何も身につかないことになってしまいます。
子供による向き不向きはありますが、共通して一つだけ大事なものを挙げるとすれば、それは国語力をつけることです。
では、国語力はどのようにして身につけるのでしょうか。
小さいころの国語力は、聞く力、読む力、書く力の順番でつけていきます。なぜ、この順番になるかというと、聞く、読む、書くの順で勉強的になるからです。また、聞く、読む、書くよりも勉強的なのが問題を解くことです。
勉強的なものは、どうしても量が不足します。聞くこと、つまりおしゃべりであれば、時間がたつのも忘れて熱中することができます。読むことも同様です。寝る時間になっても、読むのをやめられないというのはだれでもあります。書くことに関しては、我を忘れて書くというのは学年がもっと上がったときの話で、小さいころは書くことに熱中することはあまりありません。問題を解くことは、更に熱中できません。
子供たちは、起きている時間のほとんどを国語的に生きています。つまり、日本語によって感じたり考えたりしながら生きています。その膨大な国語的な生活時間の中で、たかだか15分や30分ドリルをやったからといって、国語力が向上するわけではありません。
国語力のある子は、問題集を解くような勉強などしていません。日常生活における国語的なやりとりが充実しているから自然に国語力がついているのです。
では、国語的な生活を充実させるためには、どうしたらいいのでしょうか。
よく言われるのは読み聞かせです。読み聞かせをたっぷりされて育った子は、国語力も思考力も向上します。
しかし、読み聞かせのいちばんの問題は、親の負担が大きいことです。親も日々の生活でくたびれているので、毎晩子供のために、自分にとって興味のない本を10分も20分も読んであげるというのは難しいことも多いのです。
そこで、おすすめするのが、読み聞かせではなく、お母さんの作った千夜一夜物語を聞かせてあげることです。人間は、創造的なことをしているときにはくたびれませんから、本を読んで聞かせてあげることよりも、お母さんがアドリブで作った物語を聞かせてあげる方がずっと長く話ができます。全部アドリブでやるほどの材料がないという場合は、種本を読んでおいて、それを思い出して話をすることもできます。日本にはたくさんの昔話がありますから、材料には事欠きません。昔話以外に、歴史上の人物の伝記やエピソードなども面白い材料になります。
しかし、読み聞かせは、夜寝ながらすることが多いので、あまり長くはできません。読み聞かせよりも大事なのが、日常の会話です。
日常の会話は、親も楽しみながら話すことができます。大事なことは、
1、ちょっと難しめの言葉も入れて、
2、短い文ではなく、長い文で、
3、単文よりも、複文や重文で、
4、楽しく、面白く、
話をすることです。
会話というと、大人はすぐに自分の知識を披露するような一方的な話をしがちです。子供に、「ねえ、豆まきって知っている? あれはね……」というような自分の知っている知識を伝えるような会話になってしまうと、話が弾みません。結論を出すことが目的なのではなく、会話を楽しむことが目的なのですから、その場で考えながら創造的に話をする必要があります。
創造的な話と同じように面白いのが、親の体験に基づく失敗談や自慢話です。こういう話でしたら、親も話していて楽しいし、子供も聞いていて楽しくなります。
この楽しい会話の中で、少し難しめの言葉も入れて、短い文よりも長い文で、単文よりも複文や重文を入れて話すようにすれば、それが問題集を解くよりもずっと効果のある国語の勉強になっているのです。
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記事にしていただき有難うございます。
勉強が出来るようにと取り組を重視するあまり、我が家は会話量が少ないのかもしれません。
一学年先取り学習、数検漢検、勉強させることに我武者羅で、年長まで継続してきてしまいました。
情報に振り回され、良いと言われるものは取り入れ、芯の無い教育方針となってしまった感があります。
情報に振り回されず、何が正しいく娘に必要と判断できる親でありたいのですが、なかなか難しいです。
手をかけてあげたことは決して無駄ではないです。
しかし、それは勉強の中身が身についたということよりも、親が手をかけることによって子供が親の愛情と関心の中で育つことができたということの方で、より価値があるのだと思います。
最低限の基準として、子供ができるだけ笑ったり喜んだりしている時間を増やすということだけを押さえておけば、あとは試行錯誤でいろいろやってみるしかないです(笑)。
幸福に生きるための手段の一つとして勉強があるのですが、今の社会では子供自身が勉強を最大の目的にしてしまうところがあるので、時々軌道修正をしながらやっていくといいと思います。
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低学年から言葉の森を始めた方がいいのですか、という質問をよく受けます。
この記事は、
「低学年から始める国語力対策」というタイトルで以前ほかのページに書いていたものですが、ホームページの記事としても検索しやすいように再度掲載しました。
「国語力がないから、社会や理科もすぐに理解できないようです。」
「計算は得意なのですが、算数の文章題が苦手です。」
「国語の記述問題がいつも白紙で困っています。」
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これらは、いずれも、小学校高学年以上の保護者の方からの問い合わせです。なぜ、このようなことが起こるのでしょうか。それは、低学年のうちから読んだり書いたりする勉強をおろそかにしてきたからです。
実は、この読み書きの力は、「国語」という教科の枠をこえ、すべての教科に関わる非常に大事な力なのです。国語力は、一朝一夕で身につくものではありません。毎日の生活の中で、地道に積み上げていかなければならないものです。
しかし、いったん身につけた国語力は、失われることなく、ずっと維持できます。これが国語力の特徴です。だからこそ、低学年のうちから最優先で取り組んでいく必要があるのです。
言葉の森では、読む勉強と書く勉強を並行して行っています。
低学年のうちは、読むことと書くことに慣れることが目標です。最初のうちは、長文音読もたどたどしく、作文も1行書くのがやっとというようなことも少なくありません。ここで大切なのは、ほめることです。保護者の方が不安に思われるのもよくわかります。でも、注意するのは逆効果です。
読むのも書くのも得意なのだという暗示をかけることが大事なのです。どの子供もその子供なりのペースで、必ず国語が得意になるはずなのです。たとえ、作文が1行しか書けなかったとしても、自信を持ってほめることです。
ほめられながら力をつけてきた子供は、自分は読むことや書くことが得意なのだという思いがあるので、その後も国語の勉強に積極的に取り組みます。中学年から始まる、長文の感想文課題も難なくこなしてしまいます。
逆に、注意され続けてきた子供は、読むことや書くことに苦手意識を持ってしまいます。一見整った作文を書いているように見えても、それは、素直な気持ちのこもった、その子らしい感性豊かな作文ではありません。
実際、作文が不得意ということで言葉の森に来る中学年の生徒は、自分が一生懸命書いた作文を注意されたことがトラウマになっている場合が多いです。
国語力は成長とともに自然に身につくものではありません。低学年のうちから、読むこと、書くことを生活の中に組み込んでおく必要があります。
こうして身につけた国語力は、受験のみならず、社会に出てからも、さまざまな場面で役に立ちます。毎日の10分間暗唱と週に一度の作文で、この一生の宝となる国語力を身につけることができるのです。
言葉の森の勉強は、ひらがなが書けるようになったら始められます。
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