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割り箸を名刺で切る―勉強における想念力 as/836.html
森川林 2010/03/22 02:50 


 受験勉強の合格不合格ということについて、昔は不合格だった人に同情的で、不合格だったこともやがてプラスになると考えていました。その考えは今も変わりませんが、最近は少し考えが変わってきました。合格した人は、正しい路線だから合格したのであって、不合格だった人は正しくない路線だったから不合格だったのではないかと思うようになったのです。不合格だった人は、これまでのやり方が正しくなかったという自覚の上に、新たに正しい勉強をしていくことが大切です。

 苫米地さんの本を読むと、コンフォートゾーンという考え方が出てきます。人間にはホメオスタシスという恒常性を維持しようとする機能があり、無意識のうちに自分に最適な状況を選択してしまうのだそうです。不合格だった人は、不合格という結果になるような能率よく勉強できない状態を、自分のコンフォートゾーンに設定していたかもしれないのです。

 私の最近のテーマは、想念力です。想念が人生に及ぼす影響を考えて、いろいろなウェブを見ているうちに、割り箸を名刺で切るというページを見つけました。常識的な感覚では、割り箸のような木は、名刺のような紙では切れません。しかし、考え方を変えて、包丁で豆腐を切るようなつもりで切れば切れるというのです。

 そこで、自分でも早速やってみましたが、全然できません。名刺では無理そうなので、定規を使ってやってみたら、簡単にできます。でも、それではあたりまえです(笑)。今度は、名刺よりもちょっと丈夫なハガキでやってみましたが、ハガキでもやはりできません。

 しばらくやっているうちに、ふと気づきました。その割り箸を切ろうとするから切れないのです。割り箸のもっと先まで切るつもりでやれば切れるのではないか、と思いついたのです。「葉隠」に「介錯は土まで切るつもりで」と書いてあったのを思い出しました。(ちょっと物騒ですが)

 そこで、割り箸を50センチぐらいの太さがあるものと見なして、地面の近くまで切るつもりでハガキを降りおろすと、見事に切れました。しかし、断面が無理に折ったような状態です。二度三度やるうちに、真ん中からきれいに折れたように切れるようになりました。調子に乗ってやっているうちに、机の角にしたたか手をぶつけて怪我(笑)。

 次に、割り箸で割り箸が切れるかどうかやってみました。これも、簡単にできました。考えてみれば不思議です。同じ材質の割り箸なのに、一方は切られて、一方は切る役割になっています。さて、最初の名刺でやってみると、これもきれいに切れました。

 ここから、一つの教訓を得ました。勉強でいい点数を取ることや、受験に合格することを目的としていたのでは、今目の前にある割り箸を切ることを目的としていることと同じです。成績や受験の先にある、価値ある仕事をしたいという目的を持ったときに、初めて勉強や受験が当然のことのようにうまくいくのではないかと思いました。夢や目標を持つことは大事ですが、その夢や目標をできるだけ大きく、そして先の方まで持っていくことが大事なのです。

 合格の先にある何年後かの状態を臨場感をもって考えることができれば、合格という途中の過程は、自ずからコンフォートゾーンに入ってしまいます。勉強そのものを見て、勉強に取り組んでいては、その勉強が正しい路線で行われているかどうかはわかりません。しかし、勉強の先にあるものを見ていけば、勉強は自然に正しい路線にならざるを得ないということになっていたのです。



 ところで、無駄にしてしまった割り箸さん、ごめんね。
「わりかったなあ。バシバシ切っちゃって」

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匿名 20110922  
めっちゃいい事言ってるのに
最後のダジャレがヒドイですねw
あなたのような人好きですよ

森川林 20110926  
 はい、ありがとうございます。ヽ(`▽´)/

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競争の時代から創造の時代に―勉強の得意な人と苦手な人に as/835.html
森川林 2010/03/21 05:27 



 昔から、私は、競争して人に勝つということが好きではありませんでした。競争するぐらいなら相手に譲るという生き方をしてきました。今でも、2、3回押し問答をするような事態になると、まず相手に譲ります。譲らないときは、理屈で譲るべきではないと思っているときだけです。しかし、理屈でそう思っていても、相手がかわいそうなときはたぶん譲ると思います(笑)。

 だから、子供たちの受験にしても、その子の合格は願っていますが、心の中では全員が合格すればいいと思っています。

 さて、合格に価値があるのは、今の社会の中で、合格が指定席のイス取りゲームのイスと同じようなものと考えられているからです。しかし、本当はそうではありません。

 限られたイスを奪い合うのではなく、自分で座るイスを作ればいいというのが本当の道です。勉強とは、イスを奪うためにするのではなく、イスを作るために行うものだと考えればわかりやすいと思います。

 昔、ある進学校から東大を出て弁護士になった子がいました。その子が社会人になって、「自分は、結局、勉強しか得意なものがなかったから(こういう形で社会に出ることになった)」というようなことを言っていました。ほとんどの親は、勉強が得意ならそれで十分だと思うでしょう。しかし、本当に大事なのは、勉強プラスアルファのアルファの部分です。それは、オンリーワンの部分と言ってもよいでしょう。

 今、時代は、大きく変わりつつあります。これからの社会で必要なものは、勉強という知性だけでなく、個性を発揮する勇気と、周囲のすべての人に対する愛情です。

 しかし、もちろん勉強にも大きな価値があります。法律や会計やプログラミングも、収入のために仕事をするだけであればあまり楽しい仕事とは言えませんが、いずれ自分でプラスアルファの人生を歩くときの手段になると考えればやる気がわいてきます。

 大事なのは、勉強ではなく、自分らしいプラスアルファを育てることです。勉強の得意な人は、特にこのことをよく考えていってください。

 では、勉強の苦手な人は、どう考えたらいいのでしょうか。今の勉強は、受験で差をつけるための勉強になっているので、人生に大事なことを学ぶというよりも、点数の差がつきやすいことを学ぶという面があります。大事なのは、自分の人生を豊かにするための教養として勉強をしていくことです。他人から与えられる評価のために勉強するのではなく、将来自分らしい人生を作るための土台として勉強していくと考えてください。

 今、学校で勉強している内容は、人類が何百年も、時には何千年もかけて蓄積してきた知識の体系です。時々、「数学なんて役に立たない」とか「英語なんて何で勉強するのかわからない」という負け惜しみを言う人がいます(笑)。しかし、そういうことはありません。いずれ人生で役に立つと多くの人が合意しているから、今の勉強の体系ができているのです。また、今勉強していることがすべて役に立つような幅の広い人生を、みなさんがこれから作っていく必要があります。

 政治や経済や科学技術の難しいことは優れた専門家にまかせて、自分は自分に与えられた範囲の仕事を平穏にこなしていけばよいというのは、昔のピラミッド社会の発想です。これからは、すべての人がひとりひとり、自分個人や自分の家族の代表としてではなく、日本人や人類の代表として生きることが求められる時代になってくるのです。

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