百人一首集 3  二〇一三年二月十四日 改訂
百人一首ひゃくにんいっしゅ勉強べんきょう仕方しかた  作文教室 言葉の森

 一にちに三しゅを、三十かいぐらい音読おんどくし、三しゅ続けつづ 暗唱あんしょうできるようにしましょう。かかる時間じかんは十ぷんぐらいです。

 続けつづ 暗唱あんしょうできるひとは、一週間しゅうかんで九しゅ、一か月 げつで二十七しゅ続けつづ 暗唱あんしょうできるようにしていきましょう。

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たきのおとはたえてひさしくなりぬれどなこそながれてなほきこえけれ 滝の音はたえて久しくなりぬれど名こそ流れてなほ聞えけれ 大納言公任 拾遺集
たきのおとは たえてひさしく なりぬれど なこそながれて なほきこえけれ 滝(タキ 名)の(ノ 格助)音(オト 名)は(ハ 係助)たえ(タユ 動 ヤ下二 用)て(テ 接助)久しく(ヒサシ 形 シク 用)なり(ナル 動 ラ四 用)ぬれ(ヌ 助動 完了 已)ど(ド 接助)名(ナ 名)こそ(コソ 係助)流れ(ナガル 動 ラ下二 用)て(テ 接助)なほ(ナホ 副)聞え(キコユ 動 ヤ下二 用)けれ(ケリ 助動 詠嘆 已)
  あらざらむこのよのほかのおもひでにいまひとたびのあふこともがな あらざらむこの世のほかの思ひ出にいまひとたびのあふこともがな 和泉式部 後拾遺集
あらざらむ このよのほかの おもひでに いまひとたびの あふこともがな あら(アリ 動 ラ変 未)ざら(ズ 助動 打消 未)む(ム 助動 推量・仮定・婉曲 体)こ(コ 代名)の(ノ 格助)世(ヨ 名)の(ノ 格助)ほか(ホカ 名)の(ノ 格助)思ひ出(オモヒデ・オモヒイデ 名)に(ニ 格助)いま(イマ 副)ひとたび(ヒトタビ 名)の(ノ 格助)あふ(アフ 動 ハ四 体)こと(コト 名)もがな(モガナ 終助)
  めぐりあひてみしやそれともわかぬまにくもがくれにしよはのつきかな めぐりあひて見しやそれとも分かぬまに雲がくれにし夜半の月かげ 紫式部 新古今集
めぐりあひて みしやそれとも わかぬまに くもがくれにし よはのつきかな めぐりあひ(メグリアフ 動)て(テ 接助)見(ミル 動 マ上一 用)し(キ 助動 過去 体)や(ヤ 係助)それ(ソレ 代名)と(ト 格助)も(モ 係助)分か(ワク 動 カ四 未)ぬ(ズ 助動 打消 体)ま(マ 名)に(ニ 格助)雲がくれ(クモガクル 動 ラ下二 用)に(ヌ 助動 完了 用)し(キ 助動 過去 体)夜半(ヨハ 名)の(ノ 格助)月かげ(ツキカゲ 名)
ありまやまゐなのささはらかぜふけばいでそよひとをわすれやはする 有馬山猪名のささ原風吹けばいでそよ人を忘れやはする 大弐三位 後拾遺集
ありまやま ゐなのささはら かぜふけば いでそよひとを わすれやはする 有馬山(アリマヤマ 名)猪名(ヰナ 名)の(ノ 格助)ささ原(ササハラ 名)風(カゼ 名)吹け(フク 動 カ四 已)ば(バ 接助)いで(イデ 感動)そ(ソ 代名)よ(ヨ 終助)人(ヒト 名)を(ヲ 格助)忘れ(ワスル 動 ラ下二 用)や(ヤ 係助)は(ハ 係助)する(ス 動 サ変 体)
  やすらはでねなましものをさよふけてかたぶくまでのつきをみしかな やすらはで寝なましものをさ夜更けてかたぶくまでの月を見しかな 赤染衛門 後拾遺集
やすらはで ねなましものを さよふけて かたぶくまでの つきをみしかな やすらは(ヤスラフ 動 ハ四 未)で(デ 接助)寝(ヌ 動 ナ下二 未)な(ヌ 助動 強意 未)まし(マシ 助動 反実願望 体)ものを(モノヲ 終助)②さ(サ 接頭)夜(ヨ 名)更け(フク 動 カ下二 用)て(テ 接助)かたぶく(カタブク 動 カ四 体)まで(マデ 副助)の(ノ 格助)月(ツキ 名)を(ヲ 格助)見(ミル 動 マ上一 用)し(キ 助動 過去 体)かな(カナ 終助)
  おほえやまいくののみちのとほければまだふみもみずあまのはしだて 大江山いく野の道の遠ければまだふみも見ず天の橋立 小式部内侍 金葉集
おほえやま いくののみちの とほければ まだふみもみず あまのはしだて 大江山(オホエヤマ 名)いく野(イクノ 名)の(ノ 格助)道(ミチ 名)の(ノ 格助)遠けれ(トホシ 形 ク 已)ば(バ 接助)まだ(マダ 副)ふみ(フム 動 マ四 用)も(モ 係助)見(ミル 動 マ上一 未)ず(ズ 助動 打消 終)④天の橋立(アマノハシダテ 名)
いにしへのならのみやこのやへざくらけふここのへににほひぬるかな いにしへの奈良の都の八重桜けふ九重ににほひぬるかな 伊勢大輔 詞花集
いにしへの ならのみやこの やへざくら けふここのへに にほひぬるかな いにしへ(イニシヘ 名)の(ノ 格助)奈良(ナラ 名)の(ノ 格助)都(ミヤコ 名)の(ノ 格助)八重桜(ヤヘザクラ 名)けふ(ケフ 名)九重(ココノヘ 名)に(ニ 格助)にほひ(ニホフ 動 ハ四 用)ぬる(ヌ 助動 完了 体)かな(カナ 終助)
  よをこめてとりのそらねははかるともよにあふさかのせきはゆるさじ 夜をこめて鳥のそら音ははかるともよに逢坂の関はゆるさじ 清少納言 後拾遺集
よをこめて とりのそらねは はかるとも よにあふさかの せきはゆるさじ 夜(ヨ 名)を(ヲ 格助)こめ(コム 動 マ下二 用)て(テ 接助)鳥(トリ 名)の(ノ 格助)そら音(ソラネ 名)は(ハ 係助)はかる(ハカル 動 ラ四 終)とも(トモ 接助)よに(ヨニ 副)逢坂の関(アフサカノセキ 名)は(ハ 係助)ゆるさ(ユルス 動 サ四 未)じ(ジ 助動 打消意志 終)
  いまはただおもひたえなむとばかりをひとづてならでいふよしもがな 今はただ思ひ絶えなむとばかりを人づてならでいふよしもがな 左京大夫道雅 後拾遺集
いまはただ おもひたえなむ とばかりを ひとづてならで いふよしもがな 今(イマ 名・副)は(ハ 係助)ただ(タダ 副)思ひ絶え(オモヒタユ 動 ヤ下二 用)な(ヌ 助動 強意 未)む(ム 助動 意志)と(ト 格助)ばかり(バカリ 副助)を(ヲ 格助)人づて(ヒトヅテ 名)なら(ナリ 助動 断定 未)で(デ 接助)いふ(イフ 動 ハ四 体)よし(ヨシ 名)もがな(モガナ 終助)









―1―
 
あさぼらけうぢのかはぎりたえだえにあらはれわたるせぜのあじろぎ 朝ぼらけ宇治の川霧たえだえにあらはれわたる瀬々の網代木 権中納言定頼 千載集
あさぼらけ うぢのかはぎり たえだえに あらはれわたる せぜのあじろぎ 朝ぼらけ(アサボラケ 名・副)宇治(ウヂ 名)の(ノ 格助)川霧(カハギリ 名)たえだえに(タエダエナリ 形動 ナリ 用)あらはれ(アラハル 動 ラ下二 用)わたる(ワタル 動 ラ四 体)瀬々(セゼ 名)の(ノ 格助)網代木(アジロギ 名)
  うらみわびほさぬそでだにあるものをこひにくちなむなこそをしけれ 恨みわびほさぬ袖だにあるものを恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ 相模 後拾遺集
うらみわび ほさぬそでだに あるものを こひにくちなむ なこそをしけれ 恨み(ウラム 動 マ上二 用)わび(ワブ 動 バ四 用)ほさ(ホス 動 サ四 未)ぬ(ズ 助動 打消 体)袖(ソデ 名)だに(ダニ 副助)ある(アリ 動 ラ変 体)ものを(モノヲ 接助)恋(コヒ 名)に(ニ 格助)朽ち(クツ 動 タ上二 用)な(ヌ 助動 強意 未)む(ム 助動 推量 体)名(ナ 名)こそ(コソ 係助)惜しけれ(ヲシ 形 シク 已)
  もろともにあはれとおもへやまざくらはなよりほかにしるひともなし もろともにあはれと思へ山桜花よりほかに知る人もなし 前大僧正行尊 金葉集
もろともに あはれとおもへ やまざくら はなよりほかに しるひともなし もろともに(モロトモニ 副)あはれ(アハレ 形動 ナリ 語幹)と(ト 格助)思へ(オモフ 動 ハ四 命)②山桜(ヤマザクラ 名)③花(ハナ 名)より(ヨリ 格助)ほか(ホカ 名)に(ニ 格助)知る(シル 動 ラ四 体)人(ヒト 名)も(モ 係助)なし(ナシ 形 ク 終)
はるのよのゆめばかりなるたまくらにかひなくたたむなこそをしけれ 春の夜の夢ばかりなる手枕にかひなく立たむ名こそ惜しけれ 周防内侍 千載集
はるのよの ゆめばかりなる たまくらに かひなくたたむ なこそをしけれ 春(ハル 名)の(ノ 格助)夜(ヨ 名)の(ノ 格助)夢(ユメ 名)ばかり(バカリ 副助)なる(ナリ 助動 断定 体)手枕(タマクラ 名)に(ニ 格助)かひなく(カヒナシ 形 ク 用)立た(タツ 動 タ四 未)む(ム 助動 仮定・婉曲 体)名(ナ 名)こそ(コソ 係助)惜しけれ(ヲシ 形 シク 已)
  こころにもあらでうきよにながらへばこひしかるべきよはのつきかな 心にもあらでうき世にながらへば恋しかるべき夜半の月かな 三条院 後拾遺集
こころにも あらでうきよに ながらへば こひしかるべき よはのつきかな 心(ココロ 名)に(ナリ 助動 断定 用)も(モ 係助)あら(アリ 動 ラ変 未)で(デ 接助)うき世(ウキヨ 名)に(ニ 格助)ながらへ(ナガラフ 動 ハ下二 未)ば(バ 接助)恋しかる(コヒシ 形 シク 体)べき(ベシ 助動 推量 体)夜半(ヨハ 名)の(ノ 格助)月(ツキ 名)かな(カナ 終助)
  あらしふくみむろのやまのもみぢばはたつたのかはのにしきなりけり 嵐吹く三室の山のもみぢ葉は龍田の川の錦なりけり 能因法師 後拾遺集
あらしふく みむろのやまの もみぢばは たつたのかはの にしきなりけり 嵐(アラシ 名)吹く(フク 動 カ四 体)三室の山(ミムロノヤマ 名)の(ノ 格助)もみぢ葉(モミヂバ 名)は(ハ 係助)龍田の川(タツタノカハ 名)の(ノ 格助)錦(ニシキ 名)なり(ナリ 助動 断定 用)けり(ケリ 助動 詠嘆 終)
さびしさにやどをたちいでてながむればいづこもおなじあきのゆふぐれ さびしさに宿を立ち出でてながむればいづくもおなじ秋の夕暮 良暹法師 後拾遺集
さびしさに やどをたちいでて ながむれば いづこもおなじ あきのゆふぐれ さびしさ(サビシサ 名)に(ニ 格助)宿(ヤド 名)を(ヲ 格助)立ち出で(タチイヅ 動 ダ下二 用)て(テ 接助)ながむれ(ナガム 動 マ下二 已)ば(バ 接助)いづく(イヅク 代名)も(モ 係助)おなじ(オナジ 形 シク 体)④秋(アキ 名)の(ノ 格助)夕暮(ユフグレ 名)
  ゆふさればかどたのいなばおとづれてあしのまろやにあきかぜぞふく 夕されば門田の稲葉おとづれて蘆のまろ屋に秋風ぞ吹く 大納言経信 金葉集
ゆふされば かどたのいなば おとづれて あしのまろやに あきかぜぞふく 夕され(ユフサル 動 ラ四 已)ば(バ 接助)門田(カドタ 名)の(ノ 格助)稲葉(イナバ 名)おとづれ(オトヅル 動 ラ下二 用)て(テ 接助)蘆(アシ 名)の(ノ 格助)まろ屋(マロヤ 名)に(ニ 格助)秋風(アキカゼ 名)ぞ(ゾ 係助)吹く(フク 動 カ四 体)
  おとにきくたかしのはまのあだなみはかけじやそでのぬれもこそすれ 音に聞く高師の浜のあだ波はかけじや袖の濡れもこそすれ 祐子内親王家紀伊 金葉集
おとにきく たかしのはまの あだなみは かけじやそでの ぬれもこそすれ 音(オト 名)に(ニ 格助)聞く(キク 動 カ四 体)高師の浜(タカシノハマ 名)の(ノ 格助)あだ波(アダナミ 名)は(ハ 係助)かけ(カク 動 カ下二 未)じ(ジ 助動 打消意志 終)や(ヤ 間助)④袖(ソデ 名)の(ノ 格助)濡れ(ヌル 動 ラ下二 用)も(モ 係助)こそ(コソ 係助)すれ(ス 動 サ変 已)









―2―
 
たかさごのをのへのさくらさきにけりとやまのかすみたたずもあらなむ 高砂の尾上の桜咲きにけり外山の霞立たずもあらなむ 権中納言匡房 後拾遺集
たかさごの をのへのさくら さきにけり とやまのかすみ たたずもあらなむ 高砂(タカサゴ 名)の(ノ 格助)尾上(ヲノヘ 名)の(ノ 格助)桜(サクラ 名)咲き(サク 動 カ四 用)に(ヌ 助動 完了 用)けり(ケリ 助動 詠嘆 終)③外山(トヤマ 名)の(ノ 格助)霞(カスミ 名)立た(タツ 動 タ四 未)ず(ズ 助動 打消 用)も(モ 係助)あら(アリ 動 ラ変 未)なむ(ナム 終助)
  うかりけるひとをはつせのやまおろしよはげしかれとはいのらぬものを 憂かりける人をはつせの山おろしよはげしかれとは祈らぬものを 源俊頼朝臣 千載集
うかりける ひとをはつせの やまおろしよ はげしかれとは いのらぬものを 憂かり(ウシ 形 ク 用)ける(ケリ 助動 過去 体)人(ヒト 名)を(ヲ 格助)はつせ(ハツセ 名)の(ノ 格助)山おろし(ヤマオロシ 名)よ(ヨ 間助)はげしかれ(ハゲシ 形 シク 命)と(ト 格助)は(ハ 係助)祈ら(イノル 動 ラ四 未)ぬ(ズ 助動 打消 体)ものを(モノヲ 終助)
  ちぎりおきしさせもがつゆをいのちにてあはれことしのあきもいぬめり 契りおきしさせもが露を命にてあはれ今年の秋もいぬめり 藤原基俊 千載集
ちぎりおきし させもがつゆを いのちにて あはれことしの あきもいぬめり 契り(チギル 動 ラ四 用)おき(オク 動 カ四 用)し(キ 助動 過去 体)させも(サセモ 名)が(ガ 格助)露(ツユ 名)を(ヲ 格助)命(イノチ 名)に(ナリ 助動 断定 用)て(テ 接助)あはれ(アハレ 感動)今年(コトシ 名)の(ノ 格助)秋(アキ 名)も(モ 係助)いぬ(イヌ 動 ナ変 終)めり(メリ 助動 推定・婉曲 終)
わたのはらこぎいでてみればひさかたのくもゐにまがふおきつしらなみ わたの原漕ぎ出でて見ればひさかたの雲居にまがふ沖つ白波 法性寺入道前関白太政大臣 詞花集
わたのはら こぎいでてみれば ひさかたの くもゐにまがふ おきつしらなみ わたの原(ワタノハラ 名)漕ぎ出で(コギイヅ 動 ダ下二 用)て(テ 接助)見れ(ミル 動 マ上一 已)ば(バ 接助)ひさかたの(ヒサカタノ 枕詞)雲居(クモヰ 名)に(ニ 格助)まがふ(マガフ 動 ハ四 体)沖つ白波(オキツシラナミ 名)
  せをはやみいはにせかるるたきがはのわれてもすゑにあはむとぞおもふ 瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれても末に逢はむとぞ思ふ 崇徳院 詞花集
せをはやみ いはにせかるる たきがはの われてもすゑに あはむとぞおもふ 瀬(セ 名)を(ヲ 間助)はや(ハヤシ 形 ク 語幹)み(ミ 接尾)岩(イハ 名)に(ニ 格助)せか(セク 動 カ四 未)るる(ル 助動 受身 体)滝川(タキガハ 名)の(ノ 格助)われ(ワル 動 ラ下二 用)て(テ 接助)も(モ 係助)末(スヱ 名)に(ニ 格助)逢は(アフ 動 ハ四 未)む(ム 助動 意志 終)と(ト 格助)ぞ(ゾ 係助)思ふ(オモフ 動 ハ四 体)
  あはぢしまかよふちどりのなくこゑにいくよねざめぬすまのせきもり 淡路島かよふ千鳥のなく声に幾夜寝ざめぬ須磨の関守 源兼昌 金葉集
あはぢしま かよふちどりの なくこゑに いくよねざめぬ すまのせきもり 淡路島(アハヂシマ 名)かよふ(カヨフ 動 ハ四 体)千鳥(チドリ 名)の(ノ 格助)なく(ナク 動 カ四 体)声(コヱ 名)に(ニ 格助)幾夜(イクヨ 名)寝ざめ(ネザム 動 マ下二 用)ぬ(ヌ 助動 完了 終)④須磨(スマ 名)の(ノ 格助)関守(セキモリ 名)
あきかぜにたなびくくものたえまよりもれいづるつきのかげのさやけさ 秋風にたなびく雲の絶えまよりもれ出づる月の影のさやけさ 左京大夫顕輔 新古今集
あきかぜに たなびくくもの たえまより もれいづるつきの かげのさやけさ 秋風(アキカゼ 名)に(ニ 格助)たなびく(タナビク 動 カ四 体)雲(クモ 名)の(ノ 格助)絶えま(タエマ 名)より(ヨリ 格助)もれ出づる(モレイヅ 動 ダ下二 体)月(ツキ 名)の(ノ 格助)影(カゲ 名)の(ノ 格助)さやけさ(サヤケサ 名)
  ながからむこころもしらずくろかみのみだれてけさはものをこそおもへ 長からむ心も知らず黒髪のみだれて今朝はものをこそ思へ 待賢門院堀河 千載集
ながからむ こころもしらず くろかみの みだれてけさは ものをこそおもへ 長から(ナガシ 形 ク 未)む(ム 助動 婉曲 体)心(ココロ 名)も(モ 係助)知ら(シル 動 ラ四 未)ず(ズ 助動 打消 終)②黒髪の(クロカミノ 枕詞)みだれ(ミダル 動 ラ下二 用)て(テ 接助)今朝(ケサ 名)は(ハ 係助)もの(モノ 名)を(ヲ 格助)こそ(コソ 係助)思へ(オモフ 動 ハ四 已)
  ほととぎすなきつるかたをながむればただありあけのつきぞのこれる ほととぎす鳴きつる方をながむればただ有明の月ぞ残れる 後徳大寺左大臣 千載集
ほととぎす なきつるかたを ながむれば ただありあけの つきぞのこれる ほととぎす(ホトトギス 名)鳴き(ナク 動 カ四 用)つる(ツ 助動 完了 体)方(カタ 名)を(ヲ 格助)ながむれ(ナガム 動 マ下二 已)ば(バ 接助)ただ(タダ 副)有明(アリアケ 名)の(ノ 格助)月(ツキ 名)ぞ(ゾ 係助)残れ(ノコル 動 ラ四 已)る(リ 助動 存続 体)









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