学年別作文感想文の書き方













 
 
作文の書き方——小学1年生の作文  元の記事言葉の森 524
 このページは、現在内容を作成し直し中です。
 もとの内容をごらんになりたい方は、下記の書籍を参考にしてください。
小学生のための読解・作文力しっかり身につく本」(中根克明著 かんき出版)


作文検定12級レベル
小学1年生になったら、あったことを書いてみよう

■ここが大切
□いつ・どこ」の書き出し
 作文の書き出しを「いつ、どこ、だれ」などがわかるように書きます。必ずしも「いつ」と「どこ」の両方が入っている必要はなく、必要に応じて、日時や場所や主体が特定できていればよいとします。
□名前・数字
 どこかに出かけたときなど、場所などの名前(固有名詞)や日時などの数字を書いていくと、正確な文章になります。男の子は会話よりも数字や名前に関心か高く、女の子は数字や名前よりも会話に関心か高くなる傾向かあります。数字は縦書きで書くときには、漢数字を使うのか」般的です。
□会話
 そのときの会話を思い出して、描写的に書く練習です。長く書けない子の多くは、物事を説明的に書いています。会話を思い出すと、そのときの様子を具体的に長く書けるようになります。会話は、カギカッコを使い、行を変えて書くと読みやすくなります。
□「〇□○□」
 そのときの様子を、「カラカラ」「きらきら」など擬声語・擬態語を使って表します。音はカタカナ、状態はひらがなで書きます。
□思ったこと
 作文の結びに思ったことを書く練習です。これは、二つの意味があります。一つは、結びを「たのしかった」「おもしろかった」などの単純な感想でまとめずに、白分なりに思ったことを書いてまとめることです。「たのしかったと思いました」は、一年生ではよいとします。もう一つの意味は、将来意見文を書くときの構成に合わせて、結びには感想や意見を書く意識付けをすることです。

■作文を書き終えたあとに
 一年生は、この見本のようには書けません。まず、書いたことを褒めてあげましょう。間違いはたくさんあるはずですが、直すのは一つの作文で一ヶ所だけにとどめます。見本の作文は、見やすいように段落をつけていますが、一年生はまだ段落をつけて書く必要はありません。

■作文のお手本!
   ザリガニをつかまえたこと
 ぼくは、このあいだの日よう日、ちかくのせがみのいけにザリガニをつかまえにいきました。
 いっしょにいったのは、けんちゃんとみよこちゃんです。
 でも、いつもいるばしょに、でした。ザリガニは一ぴきもいませんでした。ぼくは、
「おかしいなあ。」
といいました。けんちゃんは、
「もう、にげちゃったんじゃないの。」
といいました。みよこちゃんは、
「じゅんくん、もっとふかいところにいってみたら。」
と、ひとごとみたいにいいました。
 ぼくは、「よし」とけっしんすると、ながぐつのまま、どろの中に入りました。
 ズブズブッとながぐつがどろの中に入りました。右の足をぬこうとカを入れたら、こんどは左の足がズボッとしずみました。
 ズボッ。ズブズブ。ズボット。ズブズブ。
となんどもくりかえして、あみをどろの中にいれ、やっとどろから出てきてみたら、りょうほうともはだしでした。
 でも、ラッキーなことに、あみの中には、どろだらけの小さいザリガニが三びきも入っていました。
 みよこちゃんは、
「やったあ。じゅんくんすてき。」
といいました。けんちゃんは、
「ようし、おれも。」
といったあとすぐに、
「いくのはやめとこう。」
といいました。
 いえにかえると、おかあさんがいいました。
「ながぐつは、どうしたの。」
 それから、くらくなったみちを、おかあさんとおにいちゃんとでながぐつをさがしにいきました。
 おにいちゃんが、どろの中からながぐつをひろってきてくれました。
 ぼくは、おにいちゃんすごいなあとおもいました。


■小学1年生の日記の書き方
 その日の出来事を、「名前・数字」「会話」「思ったこと」か入るように書きましょう。余裕かあれば、二年生の書き方で学ぶ「まるで……みたい」というたとえを入れなから書きましょう。散歩のときなどにお父さんやお母さんかたとえを使って話してあげるといいでしょう。勉強のように話すのではなく、お父さんやお母さん白身か楽しみなからたとえを使うことか大切です。
○月○日
 きょうは、たはらというおみせに、ザリガニのいれものをかいにいきました。
 ほくが、
「あ、あった。」
というと、おとうさんが、
「もっと大きいのにしよう。」
といいました。ぼくは、いちばん大きい入れものをかいました。ねだんは三九八○円でした。
 いえにかえって、水草も入れて、ジャングルみたいにしました。
 ぼくは、ザリガニがきもちよさそうだなあとおもいました。

■日記を書き終えたあとに
 家族で旅行に出かけても、日記に書いたのは、朝ごはんかおいしかったことだけということもあります。また、数日たつと、作文に書きたいという気持ちは急速に薄れていきます。親が書いてほしいことを無理にかせようとするのではなく、子供はそういうものだと思ってあきらめるしかありません。作文という形には残らなくて皇楽しい思い出は子供の心の中に残っています。

学年別作文感想文の書き方

 
作文の書き方——小学2年生の作文  元の記事言葉の森 527
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小学生のための読解・作文力しっかり身につく本」(中根克明著 かんき出版)


作文検定11級レベル
小学2年生になったら、たとえを入れて書いてみよう
▼ここが大切
▽題名の工夫
 低学年のころは、作文の題材を見つけやすいように、「きょうのこと」という題名で練習をします。題名の工夫とは、話の中心がわかるように工夫して題名をつける練習です。しかし、ただ題名をおもしろくすることだけを教えると、かえって内容のわからない題名をつけてしまうことがあります(「ドッカーン」「涙がぽろり」「大笑い」など)。一般的に題名の工夫は、「〇〇な□□」「〇〇の口□」「〇〇だった□□」のような形になることが多いので「〇〇な○○という形になるように工夫しよう」と指導すると子供に伝わりやすくなります(「地獄の遠足」「一番になった運動会」「かわいい金魚」など)。
▽どうしてかというと
 作文の中で、理由を説明する必要力ある場面で、その理由を書く練習です。
▽途中に思ったこと
 作文の結びだけでなく、途中にも思ったことを書く練習です。事実のところどころに白分の思ったことを入れると、文章に変化と奥行きが出てきます。
▽たとえ
 「まるで」「みたい」「よう」などとう言葉を使って、比揄を入れる練習です。
▽長い会話
 味のある会話を書くために、二行以上の長い会話を思い出して書く練習をします。
▼作文を書き終えたあとに
 ともかく、楽しく書く習慣をつけることが大切です。勉強のように間違いを直しなからだと、長続きしなくなります。どうしても間違いを直したいときは、たくさん褒めたあとに、ふと気がついたように一ヶ所だけという形にしておきましょう。間違いは、読む力をつける中で白然に直していくものです。見本の作文は、見やすいように段落をつけていますが、二年生はまだ段落をつけて書く必要はありません。
▼作文のお手本!
   お父さんにもらったカブトムシ
 わたしは、虫が大すきです。この間、お父さんがカブトムシを一ぴきもってきてくれました。どうしてかというと、会社の人にもらったからです。ずっと前は、やはり会社の人から、スズムシをもらってきてくれました。わたは、お父さんの会社っておもしろそうだなあと思いました。
 わたしは、そのカブトムシに「黒いいなづまハヤト」という名前をつけました。えさはバナナとリンゴです。お兄ちゃんが、「名前のわりに、食べているものが弱そう。」と言いました。
 ハヤトは、タ方になると、おがくずのベッドからコソコソと出てきて、おいてあるえさをおいしそうに食ぺていました。
 ところがある日、わたしがカゴを見てみると、ハヤトがよこになったままうごいていません。わたしは、目がまん丸になるぐらいおどろきました。
 わたしは、お父さんの言ったことを思い出しました。
「クワガタは二、三年生きるけど、カブトムシは、一年なんだよ。」
 手にとると、ハヤトは、もう虫のいきです。
 ぐったりしているハヤトをおこして、わたしは、バナナを口に入れてあげました。
 ハヤトはしばらくうれしそうにもがいていましたが、やがてだんだんうごかなくなってきました。
 わたしは、なみだをこらえて言いました。
「ハヤト、こんどは、クワガタムシにうまれかわってきてね。」
 できれば、オオクワガタがいいです。

▼小学2年生の日記の書き方
 その日の出来事を「長い会話」「たとえ」が入るように書きましょう。出来事によっては、会話が入れにくい肘ものもあります・その場合は・会話のかわりに白分の思ったことを書きましょう。たとえが白分で思いつかないときは、お父さんやお母さんが教えてあげましょう。
○月○日
 今日は、お父さんとコオロギをつかまえに行きました。お父さんが、
「コオロギというのは、こういう草むらのところにいるんたよなあ。」
と言って草をふむと、コオロギがまるで花火のようにとびはねて出てきました。
 わたしは、コオロギが、
「たいへんだあ。大男がやってきたあ。」
と言っているみたいだなあと思いました・
▼日記を書き終えたあとに
 文章を書くときには、「書きたい」というエネルギーが必要です。書く前に、子供にいろいろな話を聞いてしまうと、子供は話をしたことで満足して、かえって書けなくなります。話をたっぷり聞くのは、書いたあとにしておきましょう。

学年別作文感想文の書き方

 
作文の書き方——小学3年生の作文  元の記事言葉の森 528
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小学生のための読解・作文力しっかり身につく本」(中根克明著 かんき出版)


作文検定10級レベル
小学2年生になったら、自分だけがしたことを書こう
▼ここが大切!
▽書き出しの工夫
 書き出しに、会話、色、音、情景を入れて、読み手をひきつけるような効果を出します。
▽自分だけがしたこと
 作文の題材には、できるだけ白分のしたことを書くことが大切です。それはそのほうがその人らしい作文になるからでず。例えは、サッカーの試合の話を響くときに、「Aくんがパスして、Bくんがシュートをして、点を取った」というような書き方ではなく、「(ほかならぬ)ぼくがシュートをしようとして空振りした」というようなことを書いていくということです。
▽声・顔・動作の様子
 会話の前後にその人の表情や動作を入れて書く練習です。
▽前の話・聞いた話
小学生が書く作文は、事実の経過を時間の順序で書く形になることが多いものです。このため、中心を絞って書くように要求すると字数が短くなってしまうという問題が出てきます。中心を絞りながら話題を広げていくために、前にあった話や聞いた話を入れる練習です。聞いた話は、お父さんやお母さんが話してあげ、事前に準備しておきましょう。
▼作文を書き終えたあとに
 子供が作文を書く前だけでなく、齧いたあとにも、親が経験した似た話を聞かせてあげましょう。子供の作文をきっかけにして、家族でいろいろな思い出話をするというイメージです。小学生のうちは、間違いを直したり書き方の注意をしたりするよりも、何しろ楽しく話をするということがいちばんの勉強です。見本の作文は、見やすいように段落をつけていますが、三年生はまだ段落をつけて書く必要はありません。
▼作文のお手本!
   七夕のねがい事
 ガサガサと音がして、げんかんが開きました。お母さんが、大きな竹をかかえて入ってきました。ほくが、
「わあ、すごい竹やぶ。何をするの。」
と聞くと、お母さんが、
「これは、竹やぶじゃなくて、竹。」
と言いました。
 お母さんとぼくと一年生の妹と二さいの弟で、竹のえだにいろんなかざりをつけました。ぼくは、おもちゃ箱からきら-きら光るシールを出してかざりにしました。まるで、クリスマスツリーみたいです。妹は、手をたたいて、
「ハッピーバースディトゥーユー。」
と歌っていました。
 夜になって、お父さんが帰ってきました。お父さんは、おどろいた顔をして、そのあとすぐにふざけて、
「ジングルベール、ジングルベール、すずが鳴る。」
と歌いだしました。
 ぼくは、お父さんとお母さんに、昔の話を聞いてみました。お父さんは、子どものころ、たんざくに「せかいせいふく」と書いたそうです。お母さんは、すきな子の名前を書いたと言っていました。
 それから、みんなでねがい事を書きました。
 お父さんは、まじめな顔をして、「みんながよろごぶいい仕事ができますように」と書きました。
 お母さんは、「家族みんながけんこうでありますように」と書きました。
 ぼくは、「レーシングカーがほしい」と書きました。
 妹は、「うさぎになりたい」と書きました。
 いちばん下の弟は、「わー」といいながら、「そ」という字を書きました。
 ぼくは、七タの日が晴れてくれるといいなあと思いました。

▼小学3年生の日記の書き方
 その日の出来事を、「前の話・聞いた話」「たとえ」が入るように書きましょう。お父さんやお母さんの「似た話」を聞かせてあげましょう。小学三年生のころは、年上の人を尊敬し、その人からいろいろなものを吸収しようとする時期です。心に残るいい話をしてあげましょう。
○月○日
今日は、七タなのに雨でした。
 ぼくは、
「天の川、見たいなあ。」
と言いました。
 お父さんに聞くと、昔、山に登って見た真っ暗な空に、本当に川のように星が広がっていたそうです。
 ぼくは、今度、ぜったいにお父さんに山につれていってもらおうと思いました。
▼日記を書き終えたあとに
お父さんやお母さんの子供のころの話をたっぷり聞かせてあげても、子供はその話をさらりとしか書かないことがあります。しかし、それでも子供の心の中には、その話がしっかり残っています。めげずに、いろいろな話をしてあげましょう。

学年別作文感想文の書き方

 
作文の書き方——小学4年生の作文   元の記事言葉の森 529
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小学生のための読解・作文力しっかり身につく本」(中根克明著 かんき出版)


作文検定9級レベル
小学4年生になったら、表現を工夫して書こう
▼おさらいしよう! 三年生までの表現法
▽「いつ・どこ」の書き出し
▽名前・数字
▽会話
▽「○口○□」
▽思ったこと
▽題名の工夫
▽「どうしてかというと」
▽途中に思ったこと
▽たとえ
▽長い会話
▽書き出しの工失
▽白分だけがしたこと
▽声・顔・動作の様子
▽前の話・聞いた話
※前のページでくわしく解説しています。
▼ここが大切!
▽段落
 段落の目安は三文ぐらいです。「。」が三つぐらい続いたら、改行するかどうか確かめてみましょう。
▽です・ます
 実体験中心の作文は、過去形で書かれる形が自然に多くなります。ここに、現在形を入れて文章の流れに変化を持たせる練習です。「です」は、おもに物事を説明するときに使います。「ます」は、おもに事実を描写するときに使います。
▽自分だけが思ったこと
 結びに書く思ったことを、ありきたりの思ったこと(「楽しかった」「おもしろかった」など)で終わらせずに、自分らしい感想として書いていく練習です。
▼作文を書き終えたあとに
 段落がついているかを確かめましょう。段落をつけ忘れたら、消しゴムで消して直そうとする子がいます。ひとまず、段落を示す記号を書き入れるだけでかまいません。四年生のころは、家族の内緒の話を作文に書くことがあります。表現力がついてくるので、読む人を驚かせるようなおもしろい話を書きたくなるのです。外部に提出する作文の場含は、お父さんやお母さんがあらかじめ確認しておくことをおすすめします。
▼作文のお手本!
   牧場の子ブタ
 この間、遠足で牧場に行きました。
 いちばんおもしろかったのは、子ブタの運動場でした。わたしたちが行くと、子ブタが近よってきました。けんちゃんが、
「えい、目つぶし。」
と言って、子ブタの二つの鼻のあなに指を入れると、子ブタは、ブーと言っておこりました。
 わたしは、けんちゃんってひどいと思いました。でも、子ブタにかみつかれなくて、よかったです。
 子ブタたちは、この運動上で徒競走をします。係のおにいさんが来て、
「はい、ブーちゃんたち、ならんで、ならんで。」
と言いました。子ブタは、ブーブーと言いながら、ゲートの中にならびました。
 これから、いよいよスタートです。
「ようい、ドン。」
とゲートを開けると、子ブタたちは、いっせいに走り出しました。まるでころがるようにかけていきます。
 一位は、さっきけんちゃんが鼻のあなに指をつっこんだ子ブタでした。けんちゃんは、じまんそうに、
「な。おれのブタ、速いだろう。」
と言いました。すると、近くにいたたろう君が、
「さすが、兄弟。」
と言って、けんちゃんの鼻のあなに指を入れました。
けんちゃんは、
「ブー。」
と言って、たろう君を追いかけました.たろう君は、つかまって、
「ブタないでえ。」
と言っていました。
 わたしは、どっちもどっちだなあと思いました。

▼小学4年生の日記の書き方
 小学四年生は、事実中心の作文がいちばんのびのびと書ける時期です。読むことにも、書くことにも、たっぷり取り組んでいきましょう。三年生と同じように、その目の出来事を、「前の議・聞いた話」「たとえ」が入るように書きましょう。
○月○日
 今日は、学校で遠足の作文を書きました。
 わたしは、書くごとが、まるでポップコーンがはじけるように次々と出てきました。
 家に帰ってからお父さんに、昔はどんなとごろに遠足に行ったのか聞きました。そうしたら、お父さんは、やはり牧場で、子ブタをつかまえようとして、係の人におごられたと言っていました。
 わたしは.みんな変なのと思いました。
▼日記を書き終えたあとに
 四年生くらいの子は、おもしろいことが大好きです。家族や先生のことを瞥くときに、わざとふざけておもしろおかしく書くことがあります。楽しいことが好きな時期なのだと、大目に見てあげましょう。

学年別作文感想文の書き方

 
作文の書き方——小学5年生の作文  元の記事言葉の森 530
 このページは、現在内容を作成し直し中です。
 もとの内容をごらんになりたい方は、下記の書籍を参考にしてください。
小学生のための読解・作文力しっかり身につく本」(中根克明著 かんき出版)


▼ここが大切!
▽常体
 高学年になると、教科書の文章も、常体が多くなってきます。「でした・ました・です・ます」などの敬体を使わずに、「した・だった・である」などの常体で書く練習をしていきましょう。
▽いろいろな「言った」
 「言った」という言葉を使わずに会話を表します。「とさけんだ」「とつぶやいた」「とささやいた」などという言葉以外に、そのときの動作や表情で表す言葉もも使えます(「と笑った」「とほほえんだ」「とふりかえった」など)。
▽わかったこと
 小学五年生になると、物事を大きくとらえるカが出てきます。出来事を通して何を学んだのかといった大きい感想を書く練習をします。しかし、まだ抽象的に考える力が十分に育っていないので、ここでは、形だけ「わかったこと」が書けれぱよいとします。
▽動作・情景の結び
 作文の結びを、感想ではなく、動作や情景でまとめる練習です。余韻が残るように書いていきます。
▼作文を書き終えたあとに
 書き出す前の構成メモは、できるだけ簡単に書きましょう。書いているうちに、メモから離れて展開することになってもかまいません。五年生になると、書く内容が難しくなることもあり、作文かだんだん苦手になってきます。この苦手な時期は、中学二年生のころまで続きます。こういうときこそ、周りの大人がその作文のよいところを認めてあげることが大切です。苦手になるのは、書く内容が変化してくるためですから、読む力をつけて語菓力を増やしていきましょう。
▼作文のお手本!
   鼻血のサッカー
「けんちゃん、公園でサッカーしてるから来いよ。」
 武史君が、ぼくをよびにきた。ぼくは、
「オーケー。」
と返事をすると、すぐに出かけようとした。しかし、くつがない。昨日、どろんこになってあらってしまったのだ。
 ぼくは、お兄ちゃんの運動ぐつをはいてでかけることにした。ちょっとぶかぶかだった。
 公園に行くと、みんながいた。
「おうい、入れてくれえ。」
と、ぼくが走りながら言うと、しゅんすけ君がボールをパスしてくれた。
 ちょうど、いいコースだ。ぼくは走りこんでシュートをした。
 バシッ。スポーン。
 ゴールにつきささったのは、お兄ちゃんの運動ぐつだった。みんな、ずっこけた。ぼくは、やはり道具は大事だとわかった。
 ぼくは、はだしでサッカーをすることにした。今度は、くつを気にしなくていいので、身軽だった。
 本田君が、右のコーナー近くからセンターリングを上げた。そのとき、ゴールにいる玉田君が、
「けんちゃんのくつ、犬が。」
とさけんだ。公園に遊びに来ている犬が、ぼくのぬいだ運動ぐつをくわえていこうとしている。ぼくが、「あ、だめ」と言おうとしたとき、ボールがぼくの顔面にぶつかった。
 ぼくは、たおれた。たおれながら、みんなが、またずっこけているのが見えた。ぼくの鼻から、静かに鼻血が出ていた。


▼小学5年生の日記の書き方
 その日の出来事を、「常体」で、「い。ろいろな『言った』」と「たとえ」が入るように書きましょう。文末に変化を持たせる練習を通して、同じことでもできるだけ多様な表現で書くことを学びます。「思ったこと」も、「だろう」「かもしれない」「にちがいない」「のはずだ」などと変化を持たせることができます。
○月○日
 今日も、公園でサッカーをした。
 武史君は、
「また、くつのシュートをして。」
と笑ったので、ぼくは、
「とう、りゃあ。」
と、カンフーのように武史君をけるまねをした。
 今日は、ロングシュートも決まったし、ダイビングヘッドもばっちり決まった。
 ふふふ、これがぼくの本当の実力さ。

▼日記をを書き終えたあとに
 五年生になると、表現を工夫して書けるので、内容を少し脚色してしまうことがあります。嘘を書くというほどの意識はなく、悪気のない脚色ですが、そこはさりげなく、「真実をそのまま書くことが尊い」ということを話してあげましょう。

学年別作文感想文の書き方

 
作文の書き方——小学6年生の作文   元の記事言葉の森 532


作文検定7級レベル
小学6年生になったら、構成を考えて書こう
▼ここが大切!
▽体験実例
 白分らしい体験実例を書きます。できるだけ、個性、感動、挑戦の要素がある体験を書きましょう。
▽一般化
 作文の結びに大きくとらえた感想を書く練習です。例えば、「わたしの家族」という題名で作文を普いた場合、中学年では、「これからも楽しい家族でいたい」のようなまとめ方で終わることが多いものですが、高学年では、「家族というものは人間にとって、心のよりどころとなるものだ」のようなまとめ方ができるようになります。

▽書き出しの結び
 書き出しに使ったキーワードを、結びにも使ってまとめるという書き方です。書き出しの結びをするためには、書き出しの段階でユニークなキーワードが使われている必要があります。多くの場合、「書き出しの工夫」で、会話や情景や名言を書いたあと、その書き出しに対応した結びを書くような形になります。
▼作文を書き終えたあとに
 実例中心の作文から、主題中心の作文への過渡期が六年生の作文の特徴です。そのため、説明文は上手に書けるようになったのに、事実中心の作文ではかえって中心が決まらない作文に戻ってしまった、というようなことも起こります。六年生は中学受験などで忙しくなる時期ですが、本を読む時間をできるだけ確保して、説明や感想を書くのにふさわしい語彙力をつけていきましょう。
▼作文のお手本!
   わたしの家族
 バタバタとタロウがしっぽをふると、そのあとしばらくして、「ただいまあ」と、だれかが帰ってくる。
 わたしの家族は、四人と一ぴきだ。父、母、わたし、弟、そして犬のタロウである。犬は、本当は家族とは言わないだろうが、わたしが生まれたときからいるタロウは、わたしに
とっては家族と同じなのだ。
 あるとき、母がかぜを引いてねてしまったことがある。いつも朝ご飯とタご飯を作ってくれる母の代わりに、父が食事を作ってくれた。でも、それは、みそしるに粉チーズをふりかけたものや、にんじんを輪切りにしてみそをつけて食べるものだったりした。弟はうれしそうに食べていたが、わたしは少し悲しかった。わたしは、そのとき、家族というものは、たった一人の役割がちがうだけで、大きくふんいきが変化するものだというごとがわかった。
 また、あるとき、家族四人で旅行をすることになった。その旅行でぱ犬のとまれるホテルががかったので、タロウを預けていくことにした。三日間の旅行から帰ると、タロウはしっぽがちぎれるぐらい喜んだ。わたしたちが旅行中いつもタロウのことを思い出していたように、タロウもいつもわたしたちのことを考えていたのだろう。わたしは、そのとき、いつもは、いて当然のように思っている家族が、実はとても貴重なものなのではないかと思った。
 家族とは、人間にとって、いちばん心が休まるものだ。わたしも、すごくうれしいときや、すごく落ちこんだときには、真っ先に家族に話す。家族は、とんなことがあっても、無条件にわたしを受け入れてくれる。だから、わたしも、みんなをできるかぎリ受け入れてあげたい。そして、いつかは、地球のみんなが家族のようになれたらいいと思っている。
 人間がみんな、タロウのように白分の気持ちを表すしっぽを持っていれば、そういう地球にすぐなれるかもしれない。

▼小学6年生の日記の書き方
 その日の出来事を、「たとえ」「一般化」が入るように書きましょう。"高校生では、一般化を先に考え、その主題に合わせて実例を考えますが、小学生ではそこまで要求することはできません。実例を書いたあとに、そこから考えられる一般化した感想を書いていきましょう。
○月○日
 今日は、家族で温泉に行った。と言っても、それは白家製の温泉だ。父がバルコニーにビニールプールを出して、そこにお湯を入れて、みんなで入ったのだ。
 弟とタロウがプールの中に入っていると、まるでサルとアシカの兄弟のようだった。わたしは、思わずふき出してしまった。
 わたしは、人間って変なことを考えるなあと思った。(わたしも人間だけど。)
▼日記を書き終えたあとに
 大きい感想を書くカは、精神年齢に比例しています。六年生で大きい感想が無理なく書ける子は、半数ぐらいです。感想の深さを支えるものは、家族の中での対話です。お父さんやお母さんの話を聞く機会を増やしていきましょう。

学年別作文感想文の書き方

 
作文の書き方——中学受験の作文  元の記事言葉の森 533

作文検定5級レヘル
中学受験組は、意見を考えて書こう
 中学受験の作文課題は、構成を意識して書きます。ここでは四つのテクニックを紹介します。志望校の解答時間と設定字数で練習しましょう。字数は、できるだけ制限いっぱいまで書きましょう。
▼知っていましたか? 作文試験の状況
 作文試験は、公立中高一貫校、中学・高校・大挙の推薦入試で増えています。よく出るテーマは「○○時代にがんばったこと」です(テクニック1で対応)。時事的な問題が直接出ることはあまりありませんが、関連する話題はときどき出ます。ニュースを見ながら、家族で話しておきましょう。いろいろなテーマで一〇本ほど書いておけば、どれかを応用できるでしょう。
▼ここが大切!
▽複数の意見
 二つの異なる憲見について、それれ理解できる点を実例を入れなが書いていきます。
▽総合化
 総合化は次のような形で書いていきます(「漫画はよいか悪いか」という憲見文の場合)。「確かに漫画はよいという意見もわかる。例えば……。しかし、漫画はよくないという意見も理解できる。例えば……。だが、いちばん大事なことは、漫画自体がよいか悪いかということではなく、漫画以外の読書をどれだけしているかということでは愈いだろうか」。
 総合化は、AとBの意見の単なる折衷案にならないように、別のより高い次元でまとめるように考えていくことが理想です。しかし、総合化の考え方は難しいので、小学生の場合は、構成がわかりやすく甕いてあれぱ十分です。
▼作文を書き終えたあとに
 時間、字数、誤字をチェックしましょう。誤字には、低・中学年で習った漢字の間違いが意外と多いものです。間違えた字は、実際に手で何度も書いて覚えておきましょう。
▼記述問題のコツ
 決められた字数で書き上ける練習をしましょう。内容は、ただ「私はAだと思う」と書くのではなく、「私はBではなくAだと思う」のように、対比をはっきりさせましょう。
▼作文のお手本!
   勉強の大切さと遊びの大切さ
 ぼくの父や母が子供のごろは、放課後毎目のように友達と遊んでいたそうだ。しかし、今は、小学生のころから習い事に行く人が多く、ぼくも友達と遊ぶ時間は限られている。公園などで遊んでいる子を見ても、たいていは低学年で、ぼくたちのような高学年の子はあまりいない。しかし、先日のニュースで、日本の子供たちは、勉強に対する意欲が低いと言っていた。
 確かに、勉強が大切だという考えはわかる。勉強することによって、いろいろなごとができるようになるからだ。祖父や祖母の時代は英語の勉強が制限されていた。今、ぼくたちが祖父母と同じように英語の勉強ができなかったとしたら、外国の人との交流もできなくなってしまうだろう。同じことは、理科や社会なだ、ほかの勉強についても言えるはずだ。
 しかし、遊びが大切だという考えもわかる。それは、遊びによって身につけるものもあるからだ。先日行った修学旅行は、名前は「修学」だったが、実際にそこで何かを勉強したという感じはなかった。しかし、修学旅行の思い出が友達とのまくら投げだったとしても、人間は、そこで何かを学んでいる。ぼくも、修学旅行て、早くねた人の鼻にとんがりコーンをつめて遊んだが、やはり、そこで何かを学んだような気がする。
 このように考えると、大事なのは、勉強と遊びとどちちが大事かということではないように思える。形はちがっても共通することは、その中で、自分白身が成長することだ。よく学びよく遊べという言葉は、言いかえると、よく成長せよということなのかもしれない。

▼中学受験でよく使う四つのテクニック
▽1、複数の実例と一般化
「私の○○」
(1)私の○○は……だ。(説明)
(2)この前、こんなことがあった。(実例)
(3)ずっと前、あん恋ことがあった。(実例)
(4)○○は、人間にとって……だ。(一般化)
▽2、二つの意見と複数の理由
「○○はよいか悪いか」
(1)○○はよいと思う。(意見)
(2)その理由は……だ。例えば……。(理由と実例)
(3)もう一つの理由は……だ。例えば……。(第二の理由と実例)
(4)確かに○○には……という悪い点もある。しかし、○○はよいと思う。(反対憲見への理解)
▽3、複数の意見と総合化
「○○のよい点悪い点」
(1)○○は……だ。(説明)
(2)確かに○○にはよい点がある。それは……。(意見と理由と実例)
(3)しかし、QQには悪い点もある。それは……。(もう一つの意見と理由と実例)
(4)だから大事なことは……である。(総合化)
▽4、一つの意見と複数の方法
「○○をどうしたらよいか」
(1)○○は……したらよいと思う。(意見)
(2)そのためには……だ。例えば……。(方法と実例)
(3)もう一つの方法は……だ。例えば……。(第二の方法と実例)
(4)確かに○○には……という面もある。しかし、○○は……したらよいと思う。(反対意見への理解)

志望校別受験対策の作文はこちらをごらんください。→志望校別の受験作文対策

学年別作文感想文の書き方

 
作文の書き方——中学生前半の作文   元の記事言葉の森 534

作文検定6級レベル
中学生の前半は理由を考えて書こう
 中学生の前半は、意見文の基本的な構成を身につけます。意見の理由を複数入れるとわかりやすくなります。各段落は同じぐらいの割合で書きましょう。字数の目標は六〇〇—一二〇〇字です。
▼ここが大切!
▽是葉の主題
 よいか悪いかをはっきりさせて主題を考える練習です。書き方は、「……がよいと思う」「……が大切だと思う」「……べきだと思う」のような形になります。
▽複数の理由
 意見に対する理由を考え、その理由に対応した実例を考えるという書き方です。理由を考えるということは、物事を抽象的に考えることなので、最初のうちは書きにくいかもしれません。
▽社会実例(データ)
 社会的な実例を書くときに、数字や固有名詞がわかるようなデータを入れて説得力のある文章を書く練習をします。
▽反難意見への理解
 自分の意見と反対の考えに対し理解できる点を書きます。意見を書くときの習慣にしていきましょう。
▽具体的読明の結び
 最後の段落で意見を書いたあと、その意見の裏づけとなる具体的な例を書いていきます。
▼作文を書き終えたあとに
 中学生の作文は、意見中心の文章になるため、小学生のころの作文よりも上手に書けなくなります。これを克服するためには、意見文にふさわしい実例や語彙を蓄積していくしかありません。文章を書くことがいちばん苦しくなる時期ですから、周囲の人は、よいところを見て励ましてあげることが大切です。そして、その一方で読むカをつけていきましよう。
▼作文のお手本!
   あだ名はよいか悪いか
 新しいクラスになって一週間もすると、みんなのあだ名がわかってきた。最初は、斉藤さんとか田中君とか呼んでいたが、だんだん、さいちゃん、たな君などと呼ぶようになった。そして、それにつれて、クラスの中でみんなの笑い声が増えていった。私は、あだ名はよいと思う。その理由は二つある。
 第一の理由は、あだ名て呼ぶと親しみが増すからだ。私も最初、自分の名前を坂田さんと呼ばれていたときには、白分でもよそ行きの言葉で「はい」と答えていた。しかし、あだ名でキャロラインと呼ばれるようになってからは、返事の仕方も白由になった。
 あだ名がよいと思う第二の理由は、あだ名はその人の個性を表すからだ。戦国武将のあだ名で有名なのは、秀吉の「猿」だが、秀吉にそのあだ名をつけた信長は、若いころ、「うつけ」と呼ばれていた。また、秀吉のあと、天下を取った家康は、「たぬき」と呼ばれていた。それぞれ、その人物の性格や雰囲気が伝わってくる。しかし、私だったら、もう少しいいあだ名をつけてあげたいと思う。
 確かに、あだ名には人を傷つける面もある。それは、あだ名が往々にして、その人の身体的な特徴をもとにつけられることがあるからだ。例えば、首が長い人をキリンと呼んだり、ロが耳まで続いている人をワニと呼んだり、上半身が黒くて下半身が白い人をバクと呼んだりするのは、本人を傷つけることになる。私はこれから、人を傷つけないようなあだ名を工夫していきたい。

▼中学生前半の日記の書き方
 その日に思ったことを、「社会実例(データ)」「反対意見への理解」が入るように書きましょう。日記に社会的な実例を入れるとき、固有名詞や数字などのデータがしっかりしていると説得力が出てきます。内容に関連のあるデータを調べてみましょう。
○月○日
 先日、あだ名の作文を書いたので、今日は、英語のニックネームを調べてみた。
 ロバートはボブ、ウィリアムはビル、マーガレットはメグ、エリザベスはべティなどの愛称で呼ばれているようだ。私のあだ名のキャロラインは、キャリーで、何だか荷車のような感じがした。
 確かに愛称は親しみがわくが、格調高さに欠ける気がしてきた。
▼日記を書き終えたあとに
 中学生は、白分の世界を持つ時期です。子供の日記であっても、プライバシーは尊重してあげましょう。中学生のころは、親子で共通に話す話題が乏しくなりがちです。調べたデータなどをもとにすると、新しいコミュニケーションがとれるようになります。

学年別作文感想文の書き方

 
作文の書き方——中学生後半の作文  元の記事言葉の森 535

作文検定4級レペル
中学生の後半は、方法を考えて書こう
 中学生の後半は、象徴的な題名を主題にする書き方を身につけます。体験実例も社会実例もできるたけ個性的ほ書きましょう。字数の目標は六〇〇—一二〇〇字です。
▼ここが大切!
▽生き方の主題
 象徴的な題名を白分の生き方に結びつけて書く練習です。象徴的な題名とは、「窓」「道」「空」などという題名です。その題名から連想して、どんな生き方をしたいかという形で意見を考えます(「私は、窓のように心を開いた生き方をしたい」など)。
▽複数の方法
 意見を実現するための方法を書きます。心構え的な方法と、社会的な方法の両方から考えてみましょう。
▽社会実例(伝記)
 社会実例として伝記から実例を選ぶ練習です。本を一冊読んでおくと、その一冊からいろいろな実例が引用できます。『福翁自伝』(福沢諭吉)、『フランクリン白伝』(フランクリン)、『氷川清話』(勝海舟)などを読んでおきましょう。特に明治時代は近代日本の原点を形成した時代ですから、その時代の伝記を読むと応用が広がります。
▽詩の引用
 多くの人に知られている詩、短歌、歌の歌詞などから表現を引用し、意見に合わせて加工して書く練習です
▼作文を書き終えたあとに
 中学生の後半は、小学五年生のころから続いた作文のスランプにようやく出口の見える時期です。中学生の後半に書く作文の中には、大人になったときに読み返しても感動するような優れたものがよくあります。それだけ、白分の言葉で物事を深く考えられるようになったということでしょう。しかし、書いている本人は、よく書けたという自覚がないことが多いので、周囲の人が温かく評価してあげることが大切です。
▼作文のお手本!
   森
 先日、田舎の祖父の家に行った。祖父の裏山にある森は、春にはタケ/コが出るし、秋にはクリやキノコが採れる、生きた白然のある森だった。確かに、都会の公園にも自然はある。しかし、生きたものという感じがしないのは、やはりそこに多様性がないからだろう。私は、白然の森のように多様なものを許容できる人間になりたい。
 そのための方法としては、第一に、外見だけで相手を判断しないことだ。私は昔スズムシを飼っていたごとがある。ある日、母と一緒にスズムシが鳴いているのを見ていたとき、かごの横をゴキブリが通った。そのとき、母は、「スズムシちゃん、いい声ねえ」と言った声のボリュームを急に上げ、「きゃあ。ほら、スリッパ」と、ゴキブリをたたこうとした。しかし、よく考えてみれば、スズムシもゴキブリも、同じ地球の仲間なのだ。
 多様性を持つ第二の方法は、互いの意見を交流させることだ。今、世界には、民族や宗教の紛争が続いている。その根底にあるのは、異なる価値観を持った人どうしの対話の不足である。人間は、意見の異なる人とこそ話を交わすべきなのだ。幕末の江戸城明け渡しの立役者、勝海舟と西郷隆盛は、それまでに一度しか会ったごとがなかった。しかし、その二人の対話が江戸を戦火から救ったのだ。
 確かに、白分の考えを純粋に貫こうとすることは尊い。しかし、それが白分とは異なるものを拒否することであってはならない。森のよさとは、多様なものを認めるよさである。「ミミズだって、オケラだって、アメンボだって」という歌がある。その歌詞の延長には、やはり「ゴキブリだって」森の中て楽しく生きているはずなのである。

▼中学生後半の日記の書き方
 その日に思ったことを、「したい」「なりたい」「べきだ」「問題だ」などと意見化し、「反対意見への理解」が入るように書きましょう。感想と説明だけの殺風景な日記にならないように、情景描写も工夫してみましょう。
○月○日
 今日は、久しぶりにいい天気だった。青く広がる明るい空に、筆でかいたような白い一筋の雲が浮かんでいた。
 私は、ごの空のようにいつも明るい心で生きていきたい。
 確かに、暗い現実があるときにそれを直視するごとは大切だ。社会の進歩は、否定的な現実を変革することで生まれる。しかし、そのときに、心まで暗くしてはならないと思った。
▼日記を書き終えたあとに
 中学生は、文章を書くことがスランプになりがちな時期ですが、中学生後半になると次第に自分の考えが確立してきます。意見や実例の材料となるものは、やはり読書です。書くことがないときは、無理に書こうとするのではなく、まず読むことに力を入れていきましょう。

学年別作文感想文の書き方

 
作文の書き方——高校生の作文  元の記事言葉の森 536

作文検定凖2級レペル
高校生になったら、社会問題と原因対策を考えよう
▼ここが大切!
▽社会問題の主題
 現代社会の問題として主題を考えていく練習です。自分も当事者である社会問題だと考えていくと、問題意識が鮮明になります。
▽複数の原因
 社会問題の原因を考えます。横軸として社会的原因を、縦軸として歴史的原因を考えるとよいでしょう。原因は、同じものになりやすいので、裏づけとなる実例を多様に膏きましよう。
▽白作名言
 結びの意見に、自分でつくった光る表現を書きます。「○○はAではなくBである」という形で書くと、常識の背後にある逆説の莫理が明らかになります。
▼作文を書き終えたあとに
 大学入試の小論文試験対策として、自分で書いた実例や表現を蓄積しておくことです。書いた作文は保存しておき、自分なりによく書けていると思うところに赤線を引いておきましょう。小論文試験の本番では、これまでに書いたいい実例やいい表現をできるだけ盛り込むようにすると、実力を一〇〇%生かせる文章が書けます。
▼作文のお手本!
   専門と教養
 大学の進路を選択する時期になると、受験に必要な教科とそうでない教科の取り組みに差が出てくる。しかし、理科や数学の苦手な文系の人に、真に専門を深めた文系の学問ができるだろうか。同様に、古典や文学の苦手な理系の人に、真に社会に役立つ理系の学問ができるだろうか。現代の日本では、能率のために、幅広い教養を忘れがちなところに問題がある。
 その原因は第一に、これまでの教養主義が社会の進歩についていけなかったからである。福沢諭吉は、漢学を捨てて蘭学を志した。それまでの伝統ある儒教的教養だけでは、幕末の世界の情勢に対応できなかったからである。私も授業中ときどき、重箱の隅をつつくような勉強に疑問を感じることがある。学問の先端が急速に拡大している現代では、教養も大胆に精選させていくべきである。
 もう一つの原因は、私たちの中にある他人志向の風土である。私たちは一人ひとりが自立した全面的な人間であろうとするよりも.それぞれが得意な分野を狭く持った集団生活を営もうとしがちだ。それは、白分の専門分野に安住することであり、言葉を換えれば、苦手な分野を他人に依存した集団生活でもある。
 人間には、目も耳も手も足もある。もし、目だけの人間がいるとしたら、それは妖怪の父親だろう。しかし、現在の社会は分業で能率を高めるために、目なら目だけの一つの能力に専門化した人間を求める傾向がある。『モダンタイムス』のチャップリンは、工場でひたすらねじを締め続ける。確かに、人間は、何にでもなれる。しかし、それは人間がねじ回しになっていいということではない。学問を深めるためには、専門を掘り下げるだけでなく、教養を広げることが大切なのだと私は思う。

▼高校生の目記の書き方
 その日に思ったことを、「反対意見への理解」「自作名言」が入るように書きましょう。文章を書くためには、ある程度外からの強制力が必要です。開始時刻と終了時刻を決める、図書館に行って書くなど、白分なりに書きやすい条件を工夫していきましよう。
○月○日
 小学校からの英語教育が進んでいる。
 確かに、日本人は、もっと国際感覚を持つ必要がある。そのための手段として、英語教育を進めることは必要だ。しかし、その前に、母語である日本籍をしっかり見につけることも大切だ。
 言葉とは、単なるコミュニケーションの道具ではなく、その人のアイデンティティーの土台である。
▼書き終えたあとに
 高校生で学力も文章力もある人の書く文章中に、意外と小学校中高学年で習った漢字の誤字があります。手書きの場合、あいまいな漢字はとりあえずカタカナなどで書いておき、辞書で確かめるようにしましょう。

学年別作文感想文の書き方

 
読書感想文の書き方——小学校低・中学年の感想文  元の記事言葉の森 537

小学校低・中学年は、体験を中心にした書き方
 自分の体験を中心に「似た話」を書いていきます。「似た話」がないときは、[もし……だったら」と考えます。ぞれでも難しければ、お父ざんやお母さんが「似た話」を探してあげましょう。
▼感想文のお手本!
   「はなさかじいさん」を読んで 
▽1日目 
 やさしいおじいさんのうちのポチが、うらの畑で、「ここほれ。ワンワン」と鳴きました。おじいさんがそこをほってみると、大ばん小ばんがざっくざっくと出てきました。本の引用:一日目は、最初のほうの場面を書きます。
 ぼくのいなかのおじいちゃんのうちの犬は、地面によくあなをほってねています。ほねをもらうと、そのあなの中に、まるで大事な宝物のようにうめています。似た話:そのあと、「似た話」を書きます。子供本人が似た話を思い出すのは難しいので、お母さんやお父さんが「こういうこともあったじゃない」と話を広げるなどして助け舟を出してあげましょう。たとえや会話を入れると、「似た話」が長く書けます。
 犬は鼻がいいので、土の中にある金貨のにおいがわかるのかなあと思いました。でも、うちの犬は、まだ金貨をさがし当てたことはありません。思ったこと:一日目の最後に、簡単な感想を審きます。
▽2日目 
 ポチは、となりのいじわるなおじいさんには、がらくたのある場所を教えたので、ころされてしまいました。しかし、ポチをおはかにうめると、やがて木がはえてきて大きくなりました。本の引用:二日目は、本の真ん中あたりの場面を書いていきます。本の引用を簡潔に書くのは意外に難しいので、大人がヒントを言ってあげましよう。
 昔、公園から拾ってきたドングリを土の上に置いておいたら、いつのまにか芽が出ていておどろいたことがあります。似た話:「似た話」は、作文のように長く書きましょう。たとえや会話を入れて書くのがコツです。
 ポチをうめたとごろからはえてきた木は、ポチがうっかり食ヴぇたドングリだったのかもしれません。おじいさんは、その木がポチの生まれかわりだと思ったのでしょう。思ったこと:感想は短くてかまいません。
▽3日目 
 やさしいおじいさんがその木からうすを作ると、うすから、また大ばん小ばんがざくざく出てきました。しかし、いじわるなおじいさんがそのうすを使うと、またがらくたが出てきました。いじわるなおじいさんはおこってうすをもやしましたが、やさしいおじいさんがその灰をまくと、かれ木に花がさきました。本の引用:三日目は、本の最後の場面を書いていきます
 ぼくもようち園で、落ち葉を集めてやきいもを作ったごとがあります。灰のようないらないものでも、使い方によっては大いに役に立つというところが似ています。似た話:「似た話」が書けないときは、「もし……だったら」という言葉で想像した話を考えましょう。
 やさしいおじいさんは、ポチや白分にされたいじわるを次々といいものに変えていきました。いじわるなおじいさんも、最初にがらくたが出てきたときにそのがらくたをどう生かすかを考えれば、もっと楽しい生活ができたのではないかと思いました。思ったこと:さて、いよいよ締めくくりです。最後の感想は、本全体の大きい感想を書いていきます。感想は、「わかったこと」や「考えが変わったこと」を中心に書いていきましょう。この感想も、お父さんやお母さんがいくつかヒントを出してあげるとよいでしょう。

 1日で急いで書き上げようとすると、あらすじばかり長い感想文になってしまいます。1日400字のペースで、似た話をじっくり書いていきましょう。3日間で、1200字の充実した感想文が出来上がります。

学年別作文感想文の書き方

 
読書感想文の書き方——小学校高学年の感想文  元の記事言葉の森 538

小学校高学年は、実験や調査を中心にした書き方
 旅行に行ったり実験をしたり、親子のコミュニケーションを楽しみながら感想文を書いていきます。宿題とレジャーのコラボです。お父さんやお母さんも、本の中身を簡単に読んでおいてください。
▼感想文のお手本!

   「因幡の臼うさぎ」を読んで 
▽1日目 
 沖の島にいたウサギが、因幡の国へ行くために海をわたろうとしてワニに並んでもらった。しかし、ワニをだましたウサギは、皮をはがされてしまった。本の引用:一日目は、最初のほうの場面を書きます。
 わたしは、因幡の国を見るために、父といっしょに鳥取県に行った。鳥取県のとなりの島根県にある出雲大社には、オオクニヌシノミコトと白ウサギの銅像があった。
 わたしは、ワニの背中に乗って海をわたるというようなことが本当にできるかどうか、学校のプールで試してみた。ビート板を並べてプールのはしからはしまでわたろうとすると、一枚目でそのまま水に落ちてしまった。
似た話:「似た話」として、謂査や実験をしたことを書いていきます。文字の数を合わせるのは、感想文を全部書き終えてからでいいので、作文似た話と同じつもりでたっぷり書いていくとよいでしょう。たとえや会話を入れると、「似た話」が長く書けます。
 わたしは、ウサギは、ちえもあるし、体もびんしょうだったのだろうと思った。思ったこと:一日目の最後に、簡単な感想を審きます。
▽2日目 
 お兄さんの神様たちは、皮をはがされたウサギに、「塩水で体を洗って日に干すといい」と教えた。本の引用:二日目は、本の真ん中あたりの場画を書いていきます。本の引用を簡潔に書くのは意外に難しいので、大人がヒントを言ってあげましょう。
 わたしも、ケガをしたときに、塩水につけて日に干してみたらどうなるのかやってみたい気がしたが、考えるだけでも痛そうなのでやめた。よく虫歯のときに塩水がしみるというのと同じではないかと思った。似た話:「似た話」は、作文のように長く書きましょう。
 ウサギは頭がいいのに、そのときは痛みで深く考えられなかったのだろう。思ったこと:感想は短くてかまいません。
▽3日目 
 弟の神様であるオオクニヌシノミコトは、ウサギに、「体を真水で洗って、ガマの穂の上にねると治る」と教えてくれた。本の引用:三日目は、本の最後の場面を書いていきます。
 わたしは、ガマの穂を見たことがない。そごて、父が子供のころに遊んだという田舎の田んぼに行ってみた。しかし、まだ穂は緑色だった。帰りに園芸店に寄ると小さなガマのなえが売られていたので、それを買った。秋になったら、このガマがどんな穂をつけるか楽しみだ。似た話:「似た話」の実験や調査かうまくいかときも、そのうまくいかなかったこと自体を話の種にして書いていきましょう。
 ウサギはいろいろ苦労した分、多くのことを学んだ。もし、ウサギが沖の島でのんびり暮らしているだけだったら、災難もなかったかわりに進歩もなかったと思う。わたしは、出雲大社でとってきた銅像のウサギの写真をちょっと感心してながめた。全体の感想:さて、いよいよ締めくくりです。最後の感想は、本全体の大きい感想を書いていきます。感想は、「わかったこと」や「考えが変わったこと」など全体の感想を中心に書いていくのがコツです。この感想も、お父さんやお母さんがいくつかヒントを出してあげるとよいでしょう。

 1日で急いで書き上げようとすると、あらすじばかり長い感想文になってしまいます。1日400字のペースで、似た話をじっくり書いていきます。3日間で、1200字の充実した感想文が出来上がります。

学年別作文感想文の書き方

 
読書感想文の書き方——中学生の感想文  元の記事言葉の森 539

中学生は、資料を中心にした書き方
 子供自身で資料を集めます。しかし、書きたいことがある→その資料を探す」という発想をすると、時間がかかります。「資料を集める→書きたいことを組み立てる」という発想で進めましょう。
▼感想文のお手本!

   「鶴の恩返し」を読んで 
▽1日目 
 ある日、若者は、わなにかかった鶴を助けてあげた。本の引用:一日目は、最初のほうの場面を書きます。
 ぼくは、野生の鶴を見たことがないので、日本の鶴について調べてみた。世界には三種類の鶴がいて、日本ではそのうちの七種類が見られるそうだ。タンチョウヅルは全長が一四〇センチメートルもあり、北海道の東部に生息している。このほか、冬になるとシベリアから渡ってきて、日本で越冬する鶴もいるそうだ。似た話:集めた資料は、データを正確に書くと説得力が増します。
 ぼくは、これらの情報から、この鶴は、シベリアから日本に来て、慣れない土地でわなにかかったのではないかと思った。思ったこと:一日目の最後に、簡単な感想を審きます。
▽2日目 
 助けられた鶴は、女の人に姿を変えて若者の家を訪ねてきた。そして、若者のために機を織リ、美しい布を作ってくれた。本の引用:二日目は、本の真ん中あたりの場画を書いていきます。本の引用を簡潔に書くのは意外に難しいので、大人がヒントを言ってあげましょう。
 ぼくは、鶴の機織りというごとから連想して、鳥を利用した産業を調べてみた。さすがに機を織る鳥というのはいないが、日本には、鷹匠や鵜飼いなど、鳥を利用した文化があるごとがわかった。また、羽根を使った製品では、羽根ペン、羽根飾り、赤い羽根、羽毛布団などがあった。似た話:関連のありそうな資料を幅広く集めていきましょう。集めた資料によって書く方向が変わってくることもあります。
 しかし、羽根を使って布を織るというのは、かなリ高度な技術を必要とするだろうと思った。思ったこと:感想は短くてかまいません。
▽3日目 
 若者は、女の人との約束を破って、機織りの様子を見てしまった。女の人は、最後の布を織ると、鶴になって飛んでいってしまった。本の引用:三日目は、本の最後の場面を書いていきます。
 ぼくは、鶴の値段と布の値段を調べてみようと思ったが、鶴をペットとして売っているとごろはなかった。また、布にもピンからキリまであり、簡単に値段を比較するごとはできなかった。
しかし、現代の人だったら、鶴の作った布をうまく工業化したかもしれない。
似た話:いい資料が見つからなかったときも、その見つからなかったこと自体が材料になります。
 若者も、鶴と協力して、機織りの仕事を発展させるごとを考えていけばよかったのではないかとぼくは思った。若者の好奇心は、約束を破る原因にもなったが、逆に社会を発展させる原動力にもなったはずである。全体の感想:さて、いよいよ締めくくりです。最後の感想は、本全体の大きい感想を書いていきます。感想は、「わかったこと」や「考えが変わったこと」など全体の感想を中心に書いていくのがコツです。現代の社会や自分の生き方などに大きく結びつけて書くとよいでしょう。


 1日で急いで書き上げようとすると、あらすじばかり長い感想文になってしまいます。1日400字のペースで、似た話をじっくり書いていきましょう。3日間で、1200字の充実した感想文が出来上がります。

学年別作文感想文の書き方

 
「桃太郎」を例にした感想文の書き方  元の記事言葉の森 1314


 みんながよく知っている「桃太郎」を読んで感想文を書く練習です。このような形で書いていけば、読書感想文は簡単です。
 感想文のコツは、似た話を長く書くことです。1日に書く分量を400字ぐらいにしておき、3日か4日で全部仕上げるようにすれば負担がありません。
 以下は、小学校5、6年生ぐらいで書く感想文の例です。
▼1日目
 緑の山と青い川、桃太郎が生まれたのは、こんな自然の豊かな村だった。しかし、その村は、毎年来る鬼のためにとても貧しい村だった。(情景などがわかるようにして書き出しを工夫する)
 ある日、いつものように、おばあさんが川で洗濯をしていた。すると、川上から大きな桃がドンブラコッコ、ドンブラコッコと流れてきた。(物語の序盤から引用する)
 ぼくは、一年生のころ、父と母と弟でキャンプに行った。キャンプ場には、きれいな川があり、その川の近くでぼくたちはバーベキューをした。食べたあとのお皿を洗うと、川の流れがすぐに汚れを運んでくれる。ぼくは、昔の人はこんなふうに川で洗濯をしたのかなあと思った。(自分自身の体験を書く)
 さて、その川のキャンプでのいちばんの思い出は、冷やしておいたスイカがいつの間にか流されてしまったことだ。夜冷やしておいて、次の日に食べようと思っていたスイカが、朝起きてみるとなかった。一緒に冷やしておいた父のビールはそのまま残っていたので、たぶん夜のうちに川に流れていってしまったのだろう。
 ぼくは、ふと、桃太郎の生まれた桃も、上流でだれかが冷やしておいたのではないかという気がしてきた。(この感想は主題に関係なくてもOK)
▼2日目
 桃から生まれた桃太郎は、一杯食べると一杯分、二杯食べると二杯分大きくなった。しかし、桃太郎はいつまでも食べては寝るだけで何もしようとしなかった。(物語の中盤から引用する)
 ぼくの小さかったころの話を、父と母に聞いたことがある。最初三千グラムで生まれたぼくは、一年たつころには、もうその三倍の十キログラム近くになっていたそうだ。ぼくの今の体重は三十五キログラムなので、生まれたときの約十倍になっている。そんなに大きくなるまで何杯ご飯を食べたかはわからないが、たぶん最初のころの桃太郎と同じようにぐんぐん大きくなっていったのだろう。(身近な人に取材する)
 母に聞くと、ぼくは小さいころ、自分から言葉をしゃべろうとせず、まるでお地蔵さんのようにいつもにこにこ人の話を聞いているだけだったそうだ(「まるで」という比喩は文章を個性的にする)。母は、そのことを少し心配していたらしい。たぶん、そのときの母の気持ちは、いつまでも食べて寝るだけの桃太郎を見ておじいさんやおばあさんが感じた気持ちと同じではなかったかという気がする(「たぶん」という推測は自然と感想になる)。
▼3日目
 やがて成長した桃太郎は、犬と猿とキジを連れて鬼を退治に出かけた。犬は噛み付き、猿は引っかき、キジは目を突っつき、桃太郎は鬼を投げ飛ばした。(物語の終盤から引用する)
 ぼくは、この戦いぶりを見て、ふとぼくたちのサッカーチームを思い出した。サッカーには、もちろん、噛み付きや引っかきはない。まして目を突っついたりしたらすぐに退場だ。しかし、足の速い次郎君、シュート力のある和田君、ピンチのときでもみんなを笑わせるケンちゃんなど、ぼくたちのチームは、それぞれの得意なところを生かす点で桃太郎のチームと似ているのではないかと思った。
 このことを父に話すと、父は、こんなことを言った。
「桃太郎がいなかったら、鬼には勝てなかったけど、桃太郎が四人いても、やはり鬼には勝てなかっただろうなあ」(長い会話をそのまま書くと味が出る)
 ぼくは最初、桃太郎だけが主人公で犬や猿やキジは脇役だと思っていたが、次第に全員がそれぞれの役割で主人公なのだと思うようになった。どうしてかというと、みんなそれぞれの長所があり、その長所でお互いの短所を補い合っているからだ(「どうしてかというと」などの接続語を使うと感想も長くできる)。(結びは、本の主題に関する感想を書く)
▼4日目
 鬼を退治し、宝物を持って村に帰った桃太郎は、それからどうしただろうか。きっと、もう鬼の来ない平和な村で、豊かな自然に囲まれて楽しく過ごしたにちがいない。おばあさんが洗濯をしているきれいな川の横で、犬や猿とキジと水遊びをしている桃太郎の姿が思い浮かぶ。(書き出しと結びを対応させる)
 いま、ぼくたちの街に、桃太郎が戦うような鬼はいない。しかし、ぼくたちの街には、桃太郎が暮らしていた緑の山や青い川もない。もし、桃太郎がいまここにいたら、人間にとって戦う相手は鬼ではなく、きれいな自然を取り戻すことになるかもしれない。そして、その桃太郎とは、たぶんこれからのぼくたちなのだ。(「人間」という大きい立場で考え、自分のこれからの行動に結びつける)


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