1昔、田んぼにはナマズやドジョウなどの生き物がたくさんすんでいました。しかし、戦後、これらの生き物は急速に減ってしまいました。その原因の一つは、田んぼの水路がコンクリートなどで固められたために生き物がすみにくくなったことです。2もう一つの原因は、田んぼに、強い農薬がまかれたためにやはり生き物がすみにくくなったことです。
田んぼには、稲を弱らせてしまう虫が発生します。たとえば、ウンカです。3梅雨のころ、雲に乗って中国からやってくるウンカは、日本の田んぼで数を増やし、稲の汁を吸ってつぎからつぎへと枯らしてしまいます。ひどいときは、田んぼの稲が全滅してしまうほどです。今年もウンカの大発生か。4ウンカ悪いなあなどと言ってはいられません。またヨコバイも、稲に病気をうつすやっかいな虫です。農薬をまくことで、一時的に害虫の力を抑えて増え方を横バイにすることはできますが、虫たちが農薬に抵抗性を持ち、やがて前よりも農薬に強くなってしまうという問題があります。
5また、農薬をまいたあと、逆にウンカが大発生してしまうこともあります。その理由は、農薬によって、ウンカやヨコバイを食べるクモやアメンボなどの天敵が減ってしまうからです。
6そこで、農薬を使わないで稲を育てる方法がいろいろと考えられてきました。その一つは、小ブナを田んぼに泳がせることで、害虫を食べてもらったり、草取りを手伝ってもらったりする方法です。7草取りは農家にとってはたいへんな重労働ですが、コイやフナが田んぼを泳ぎまわっていると、水がかきまわされてにごるので、雑草が生えにくくなるのです。小ブナのおかげで、農薬もほとんど使わずにすみます。
8田んぼにアイガモを飼って、害虫を食べさせるという方法もあります。アイガモは、稲の天敵であるウンカの卵まで食べてし
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