解説集 黄エニシダ の池 (印刷版)
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1.1週
●自由な題名
〜テーマいろいろ〜
<新年って何?>
この時期のテーマとしては、やはり年が変わるということがあるでしょう。アジアの伝統を大切にする民族を除いて、世界中が新年を祝います。けれども、12月31日23時59分から1月1日0時との境目は何が違うのでしょうか?
私たちはなぜこれほどまでに年の変わり目を大事にするのでしょうか。「去年」も「新年」もその変わり目の瞬間にふと考えると、なんだか滑稽に思えてきたり、「何も変わらないじゃないか」と思ったり。
あなたにとっての、この作られた「新年」。どう思うか、どのような意味を見出すか、考えてみるのもおもしろいですね。
<年の変わり目には何をしますか?>
あなたは新年を迎えるとき、または今の年が終わろうとするとき、何を考えて、何をしますか? 紅白歌合戦を見るもよし、年越しそばを食べるのもよし。でも、なぜ紅白歌合戦や年越しそばを食べるのでしょう?
そういった恒例のイベントをしているときのあなたの気持ちはどんなものでしょう? そこから日本人にとっての「年越し」を考えていくとおもしろい作文が書けそうですね。
<我が流お正月>
ちなみに私(baba)は、大掃除をへとへとになるまでやった後、年越しそばを食べ、除夜の鐘を聞き、夜中に初詣に行きます。初詣でお屠蘇やらみかんやらをもらって帰ったら、布団にバタンキュー。翌朝は実家から送られてきたおせち料理を囲んで記念撮影。
元旦の午後はノートを開いて、昨年の思い出と今年の目標を書いていきます。伝統から離れた私のお正月は、一種の区切り。いいことも悪いことも12月31日24時59分で区切りをつけ、気持ちを新たに再出発。そして、またこの一年を生きていく覚悟を決めるときでもあります。
あなたはどうですか?
<他には>
お雑煮やおせち料理の話、我が家の習慣、世間の若者の流行など、時期にあったテーマから現代社会が垣間見れるような話題を展開するとおもしろいですね。
1.2週
●松下電器産業では(感)
第一段落は要約です。この文章で筆者が言いたいことは後半部分にあることを見抜ければグッドです。
「松下電器産業では昭和41年にコスタリカに工場を施設したが、従業員の誘拐殺傷事件を機に日本人を引き上げさせたところ、工場の成績がぐんと上がった。日本人がいたころはコスタリカの人々の仕事ぶりは芳しくなかったのに」というように要約できるでしょう。
第二段落では前の話や聞いた話を書きましょう。これひとつで作文を書くつもりで取り組むと字数が簡単に増えます。
例えば、誰かに指示されてやるのと、自分で考えてやるのとでは全く違う感覚を持ちませんか? 体験学習、文化祭、ボランティア活動、部活動、なんでもいいでしょう。自分の体験の中から話題をひろってみましょう。
私(baba)はいつでも受身の立場でやる気のない人間でした。それが学生時代にひょんなことから部活の部長に推薦されて部長になると、やる気ががぜんちがってきました。
第三段落では第二段落のエピソードの分析をしましょう。私は部長になって、責任というものを感じました。学生からも部内の後輩先輩からも卒業生からも「この期の部はどうなるんだろう」といつも見られています。自分自身の評価や能力にも関わってきます。全てを任されるということは、難しくプレッシャーもありますが、それ以上にやりがいもあるものです。
やる気のない受身の部員から、部をひっぱっていく積極的な部員になったのは全てを任された立場になってからでした。なぜ? だって、失敗も成功も全て自分に帰ってくるのですから。
それに、部長という立場に立つと全体を考えながら自分が動かなくてはなりません。指示を待つのではなく、全体を見渡して自分で考える。さらに後輩に指示を出す。工場の人々が全体を見渡しながら自分のやるべきことを自分で考えれば、それは確かにすばらしい結果を生み出すはずです。
第四段落では一般化の主題を書きましょう。例えば、人間とは自由を与えられると同時に責任も負わなくてはならないと思うものだ、など。自由とは不思議な言葉です。何をしてもいいという意味の一方で、何の保護もないわけですから飢えるのも自由なわけです。全ての自分の振る舞いは全て自分に帰ってきます。
1.3週
●退行催眼を使った実験では(感)
「カルマ」とか「前世」「催眠療法」などと聞くと、なんだか神秘的に思えますが、筆者が言いたいことは最後の段落、最後の言葉にあるのでしょう。要約はそれを中心にまとめるといいですね。
<要約>
「私たちはカルマを解消するために前世に遡って解決しようとするが、カルマとは現在の自分自身が作り出すものであり、現在のカルマを解消すると前世も変化することさえある。大切なのは今の自分なのである。」
こんな感じで要約するといいでしょう。要約のコツは具体例を省き、エッセンスだけを取り出すことです。
<体験実例や聞いた話>
私たちは誰しも何かしらの悩みを抱えていますね。「どうして私ってこうなんだろう」と悔しさや失望や諦めを感じたことがあるでしょう。第二段落ではそんなエピソードを書いてみるといいでしょう。
人間の行動や思考のパターンというのは成長過程である程度固定されてしまうといいます。催眠療法や前世療法ではそれを「カルマ」とよび解決していくのですが、筆者の主張するように「カルマ」とは今の自分が作り出しているものなのですね。
悩みを解決するためにいろいろな方法があることは確かですが、けっきょくのところ悩みの解決は今の自分自身にしかできない。そういったことをふまえて、第三段落では自分の悩みの分析をしてみるといいでしょう。
または、今の自分自身を変える努力をちっともしないで、前世療法や催眠療法などの神秘的なものにはまっていってしまっていく現代社会の人々の姿を考えるのもおもしろいですね。
例えばアダルトチャイルドという言葉が流行したとき、「私もアダルトチャイルド」と誰しも言っていたものです。「だから仕方がない。私のせいではない」。そこには逃げの姿勢が見え隠れし、そういう人々はいつまでたっても何も変わらずに何でも何かのせいにして生きるという風潮が話題になったことがありました。
<一般化の主題>
前世療法や催眠療法、「私はアダルトチャイルド」に頼る人は、自分に責任がないことで安心している。人は自分自身しか自分を変えられないと思わないと成長できないものだ、などと一般化してみることができますね。
2.1週
●近時、大学教師の悩みの種は(感)
授業中の居眠り、「内職」、おしゃべり、あくびなどは誰でも経験があるから書きやすいのではないでしょうか。エピソードが思い浮かびやすい分、その分析に力を入れてみるとおもしろい作文になりますね。
<第一段落>
要約はこの長文を読んだことのない人に内容を説明してあげる感じでまとめるとやりやすいですね。
「近ごろの大学生は授業中に堂々と内職やあくびをし、注意してもなぜ悪いことなのか分かっていない。これは、善悪を教えるという父親の役割が弱くなり善悪の感覚のない若者が育ってしまったためである」
<第二段落>
自分の体験を書いてみましょう。これだけで一つの作文を書くような感じで説明すると字数が増えますし、内容も生き生きとしてきますね。
私(baba)は高校生のときも大学生のときもよく「内職」も「あくび」も「居眠り」もしました。さすがに「内職」や「居眠り」は悪いこととは思っていましたが、「あくび」が悪いこととは微塵も思ってもいませんでした。
大学を卒業し教壇に立つ立場になって、「あくび」がいかに醜く失礼な行為であり、集中していないことを現していることなのかを知りました。確かに友達同士でおしゃべりしているときに、相手があくびをしたら「私の話、つまらないのかな。私と話すのが嫌なのかな」と思いますね。
教師も生徒も人間です。でも生徒でいるときって、教師は人間でなく教師にすぎないんですよね(^^;
<第三段落>
長文では父親が果たすべき役割を果たしていないということが原因として書かれています。みなさんはどう思いますか? 確かに授業中に限らず人前であくびをすることなどは、なぜいけないのか不思議に思いませんか?
人前で大口を開けてあくびをする私を見て母は私を戒めましたが、なぜいけないことなのか分かりませんでした。でも、他人(特に若い女性)が人前であくびをしているのを見たとき、「なんて醜く、だらしがないんだろう」と思い、それからは自分も気をつけるようにしました(といってもオバサンになった今では元の木阿弥ですが ^^;)
日本の習慣やマナーの考え方は「人からどう見られるか」ということに集約されます。長文の筆者は父親の役割の弱化を主張していますが、他にも原因はありますね。例えば昔ながらの枠組みが解放された、自己解放ができて他人の視線を気にしないようになった、価値観が多様になった、など。
<第四段落>
一般化の主題です。人間とは規範から解き放たれると自由奔放になるものだ、人間とは教えられないと他者の思いや目を気にしないものだ、父親とは子供が成長するうえで重要な存在だ、など。エピソードの分析次第でいろいろな一般化ができますね。
2.2週
●私はいじめと、生徒のいさぎよく(感)
<第一段落>
要約は、「ここが一番大事なところだ」という文を見つけ、それを中心にまとめるといいですよ。具体例などは省くか、一言で書いてしまいましょう。
「私は潔くない生徒を殴る。そうすると人間関係が逆に深まる。いまの学校現場には、教師が生徒を殴るとか生徒同士の殴りあいがあまりにも少ない。荒れた生徒に最もつらいのは教師に存在を無視されることである」
<第二段落>
教師や親に殴られたり、殴り合いのけんかをしたことはありますか? 女の子はないかもしれませんね。でも、親や教師に激しく叱られたり、友達とけんかすることはあるでしょう。そんなエピソードを思い出して書いて、そのときの気持ちをくわしく見つめてみましょう。
逆に無視された悲しい経験がある人はそのことを書いてもいいですが、無理はしないでくださいね。
<第三段落>
ここでは第二段落のエピソードをさらに分析するといいでしょう。「叱られるうちが花」といいますが、親や教師が叱るというのはあなたのことを思って叱っているのです。これは叱る立場になると分かるでしょう(^^)。
けんかもそうですね。「あんなやつ、どうでもいい。ほっておけ。無視、無視」と思っている相手とはけんかなどしませんね。
つまり、叱る、叱られる、けんかするというのは、心と心のぶつかりあいなのです。ぶつかりあいは心の触れ合い一種ですね。相手の存在を認めるということですね。
逆に無視されたら、自分の存在を否定されることになります。これほど悲しいものはありません。家や学校、友達仲間で、まるで自分がいないようにみんながふるまったら……。
これを掘り下げていくと、自分とは他者が認めてこそ存在するものなのだという一般化の主題が出てきますね。
<第四段落>
エピソードとその分析から一般化の主題を書きましょう。人間は心のぶつかりあいをしてこそお互いを理解しあえるものだ、人間は他人がいるからこそ自分の存在を確認できるものだ、人間とは他人に認められてこそ自分も認められるものだ、など。
2.3週
●千葉ドーナツ事業の研修に(感)
<第一段落>
このような物語的な文章の要約はストーリーの骨組みだけを抜き出しましょう。もちろん重要な文はどれなのかを見分け、それを組み込まなくてはなりません。映画や本のあらすじを書くような感じで要約してみましょう。
「ダンキンの社員がアメリカにドーナツ研修にいったときにライバル会社である西部の社員と出会い交流した。西部の社員は自分は東大出身なのにこんな仕事をさせられてと不満をもらした。ダンキンの社員はその言葉を聞いて、勝てると思った。」
<第二段落>
前の話や聞いた話を頭の中から探してみましょう。サッカーや野球の試合を見ていると、明らかに強いチームが負けることがありますね。きっとやる気の問題なのでしょう。ナイトゲームでは勝つけれどデイゲームでは負けるという例もあります。テストもやる気次第で得点や偏差値が変わったりしませんか?
<第三段落>
第二段落で取りあげた事例を分析してみましょう。人間なら才能や性格、チームならどれだけ強い選手や有能な監督がそろっているかで優劣が決まります。けれども、その優劣が逆転することは多いものです。
それは取り組む姿勢の問題なのではないでしょうか。相手チームをバカにして試合に臨めば実力が発揮できずに負けますね。相手チームは強いチームと闘うということでやる気まんまんなのですから。
また「こんな問題かんたんさ」と思っていると、ケアレスミスで失点したということはありませんか?
<第四段落>
一般化の主題。結果を決めるのは持っているものではなく自らの姿勢である、など。
3.1週
●私たちは人を病気にさせる遺伝子(感)
<第一段落>
要約です。論理的にすっきりしているので要約しやすいですね。それでも苦手という人はこの長文をメモ用紙に図式化してみるといいですよ。
例えば「病気にさせる遺伝子と抑制する遺伝子→病気になるかどうかはバランス次第→バランスを崩すのは環境因子もあるが内部要因のほうが大きい→「病は気から」→遺伝子が内部要因を左右するのでは」などと話の筋道を図式化してみましょう。
<第二段落>
前の話や聞いた話です。心の状態で体調が崩れるということは今では一般的ですね。ストレスによる病気を診る「心療内科」というものも普及してきました。ストレスで胃や肝臓が悪くなったり、じんましんが出る人は多いものです。
興味深い話があります。風邪のウィルスは常に誰の体の中にも存在するそうです。でも、風邪の症状が出るのは体が弱ったときなのです。つまりバランスが崩れたときですね。学校や職場で風邪が流行っていても、うつる人とうつらない人がいますね。
<第三段落>
次は遺伝子と心の話です。日本人の体型は時代とともに変わっています。厚生労働省の調査を見ると、日本人の身長はどんどん伸び、顎は小さくなり、足も細く長く……つまり欧米人化しているということです。その原因として食生活や生活スタイルの変化がよく挙げられますが、それだけで人形のような体型の少女が増えたりするでしょうか。
顔つきまで違います。目は大きく、鼻は高く、顎は細く長い。やはり生活スタイルだけに原因を求めるのは無理があるでしょう。
そう考えると、やはり「こうなりたい」という心理が遺伝子に働きかけているのではないかと思います。
<第四段落>
一般化の主題です。人間の体は機械のようなものではなく、心と体、そして全体の微妙なバランスで保たれている。人間の体には心の状態が密接に関係している。そんなことがかけますね。
3.2週
●私たちはよくテイストという言葉(感)
<第一段落>
最後の文「遺伝子ONの世界が火事場のバカ力のように出てきた」に注目してまとめるといいですね。
「『科学者の成否はテイストで決まる』という人もいるくらいで、私は遺伝子暗号の研究でパスツール研究所と競っていたときに、中西重忠先生に誘われた。そのときこれで勝った!と直感し成功した」
<第二段落>
前の話や聞いた話です。冷静に考えると不利なのに、直感で「いける!」と思う経験はないですか。日々の生活にもありますね。電車の中でなんとなく立った前の人が次の駅で降りて自分が座れた、スーパーのレジで意外にも早く順番が回ってきた、試験の山勘があたった……。
<第三段落>
音楽、学問、スポーツ。様々な分野で成功している人にはやはり持ち前の抜きん出たセンスがあるのでしょう。真似をしようにも真似できない。どんなに努力しても真似できない。同じ世界で金メダルをとる人と予選落ちする人とではセンスの違いがあるのでしょう。
オリンピックの世界でなくても私たち日常にも同じことが言えます。得て不得手というものです。得意なことは「火事場のバカ力」でやる気に拍車がかかりますね。不得手なことは腰がひけますね。
センスとはそんなことまでにも影響して、結果を左右するのですね。
<第四段落>
一般化の主題です。人間には持ち前のセンスがあり、それを生かすことが人生を左右する。努力ではどうにでもならないものがある。などなど。
3.3週
●情報処理能力(感)
病気とは何だろう、健康とは何だろうと考えると、病気と健康の境目は曖昧なことが分かりますね。人間は生きているのですから心身に不愉快を感じることは当たり前です。それをどうとらえるか……その人の心のあり方次第ということです。
<第一段落>
要約です。情報処理能力という言葉にとらわれずに後半部分に注目して要約しましょう。
「人間の情報処理能力は育った過程の状況で決まる。病気になると情報処理能力の低さが浮き彫りにされてくる。心の歪みを治すということは、これによって引き起こされる肉体的病気を治すことになる。病気とは心が豊かになるチャンスであるべきだ」
<第二段落>
ストレスが強い状況におかれると体の不調が妙に気になったりする経験はありませんか? また、病気になったときに「なんでこんな目に遭わなくちゃいけないんだ」とイライラしたり落ち込んだりすることはありませんか?
心が大らかなとき、落ち着いているときは多少の体調不良でも「いつか治るさ」とどんと構えていられるものです。病気になったときも、心が落ち着いていると、病気という経験からいろいろなことを学ぶ余裕がありますね。
これは病気だけではありませんね。嫌なことや困難に陥ったときに、どういう対応をとれるか。それはやはり心のあり方でしょう。
<第三段落>
社会に視野を広げてみましょう。病院の待合室には朝早くからお年寄りが詰め掛けています。一見、健康そうに見えますがお年寄りの話を聞いていると病気自慢だったりしますね。
何のために病院にきているのだろうと思いませんか? 話がしたい、話を聞いてもらいたい。寂しいのですね。またはちょっとした体調不良にも不安でしかたがないのでしょうね。
現代のお年よりは孤独です。そんな状況を心得て、「老人科」などと診療科を設けている病院もあります。
<第四段落>
一般化の主題。心のあり方がその人の生き方を決める。心と体は密接に結びついている。エピソードの分析の仕方によって、いろいろな主題が出てきますね。