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解説集 メギ の池 (印刷版 /印刷版 /ウェブ版 /最新版
印刷版は印刷物として生徒に配布されているものと同じです。ウェブ版は書き込み用です。 https://www.mori7.com/mine/ike.php
最新版には印刷日(2024-09-14 00:00:00)以降に追加されたもの(グレーで表示)も掲載されています。

1.1週 
 中1 1.1週のヒント ●ポイ捨て
 
 第一段落は、身近な実例と意見。「この前、私は近所の公園でゴミが捨てられているのを見た。」のように具体的な話を書いて始めます。そのあと続けて意見。「私はポイ捨てはよくないと思う。」という意見を書きます。
 第二段落はその理由です。「ポイ捨てがよくないと思う理由は、第一に、ポイ捨てはまたポイ捨てを呼ぶからだ。」のように書きます。そのあと、続けてその実例。最初にポイ捨てをした人は軽い気持ちだったかもしれませんが、一人が捨てると次々にゴミが捨てられるということはよくあることです。
 第三段落は、理由その2。「第二の理由は、ポイ捨ては地球環境にもよくないからだ。」データ実例は、「日本の年間ゴミ排出量は5020万トン。東京ドーム135杯分。」が使えそうです。
 第四段落は、反対理解と名言の引用。「確かに、だれでもゴミを持ち歩きたいとは思わないだろう。しかし、「問題とは、そこにあるものではなく、自分が作るものである。」という名言もあるように軽い気持ちでしたポイ捨てが大きな問題につながることもあるという点を認識すべきだ。」
 
 
構成図の書き方
 構成図を書くときに大事なことは、思いついたことを自由にどんどん書くことです。テーマからはずれていても、あまり重要でないことでも一向にかまいません。
 たくさん書くことによって、考えが深まっていきます。したがって、構成図は、できるだけ枠(わく)を全部うめるようにしてください。しかし、全部埋まらなくてもかまいません。
 枠と枠の間は→などで結びます。この矢印は、書いた順序があとからわかるようにするためです。作文に書く順序ということではありません。
 構成用紙は、構成図の書き方に慣れるために使います。構成用紙を使わずに、白紙に自由に構成図を書いてもかまいません。
構成用紙を使って構成図を書きます。
頭の中にあるものをそのまま書くとき。
構成図で書くとき。
初めに絵をかきます。(絵はどこにかいてもいいです)
思いついた短文を書きます。(どこから始めてもいいです)
思いついたことを矢印でつなげていきます。
関係なさそうなことでも自由にどんどん書きます。
枠からはみだしてもかまいません。全部うまったらできあがり。

 


1.2週 
●産業革命以来、機械は(感)
 これまでの建築は、芸術性と工学的な技術に重きが置かれていました。しかし今、建築は次第に人間の生物学的な面を重視するようになってきています。
 SFなどで出てくる未来都市は幾何学的なデザインのものが多いようです。一見、そういう幾何学的な都市の方が清潔で合理的で住みやすい感じがするかもしれません。しかし、もし実際にそういう都市に住むとしたら、何週間かたつうちにだんだんストレスがたまってくるでしょう。
 家で飼っている犬や猫も同じです。人間がきれいに敷物を敷いてやっても、必ずといっていいほどぐしゃぐしゃにしてから落ち着いて寝るようです。
 部屋の掃除をしたときなど、見た目はきれいでも、すごく使いにくくなってしまうことがあるでしょう。もちろん、あまり汚くても使いにくいのですが……。
中1 1.2週のヒント ●産業革命以来、機械は(感)
 第一段落は要約。その要約に続けて「整った外観よりもなじみやすいことの方が大事だ。」という意見。
 
 第二段落はその理由。「その理由は第一に、整いすぎた環境よりも、たとえ統制は取れていなくても慣れ親しんだ状態の方が落ち着くからだ。」ハムスターなどの動物は、人間がきれいに敷物を敷いてやっても、必ずといっていいほどぐしゃぐしゃにしてしまいます。それは、その方が落ち着くからでしょう。
 これまでは、「理由」というキーワードを文中に入れて、「第一にその理由はごちゃごちゃしている方が落ち着くからである」などと書いていました。これからは、「第一に、ごちゃごちゃしている方が落ち着くからだ。(理由)」という書き方でもいいです。
 
 第三段落にもう一つの理由。「その理由は第二に、整いすぎた環境はかえって落ち着かないからだ。」部屋の整理整頓をしたら、どこに何があるかわからなくなり、かえって混乱してしまうことがあります。データ実例は、「日本の年間ゴミ排出量は5020万トン(データ)。こんなに豊かな生活では自然にごちゃごちゃするのも当然だろう」、又は「日本の年間海外旅行者数は1500万人を突破(データ)。人間は決まりきった生活よりも変化を求める。整いすぎた環境は息苦しくなるからだろう」など。「データ」というキーワードは、括弧書きで書くこともできます。
 
 第四段落は、反対意見への理解と名言の引用。「確かに見た目がきれいであることはいいことだ。しかし、「大切なのは、健康らしい外見ではなく、健康自身である。」という名言もあるように、外見よりも心地よさの方が大事だ。」
 
★産業革命以来、機械は(感)
 是非の主題「外見が整っているよりも、なじんでいることの方が大切だ」。
 第一の理由は、「なじんでいるものは使い心地がいいからだ」。建築に限らず、実例を考えてもよいと思います。新しいものや、外見のいいものは使いにくいというような経験を探してみましょう。例えば、野球のグローブ。新しい間は、なかなかうまく使えなくて困る、という話を聞いたことがあります。ある程度、使いこんでなじんだものの方がうまく使える、というような例、他にも挙げられそうですね。
 第二の理由は、「なじんでいるものの方が落ち着くからだ」。データ実例は、「子ども部屋の保有率」も使えそう。自分の部屋にいると、慣れたものに囲まれて、落ち着きますね。高校生になると8割以上が個室を持っているというデータがありますが、やはり、自分の部屋を持って、リラックスできる環境を持ちたいという人が多いのではないか、という展開ができそう! データ実例をただ引用するのではなく、自分が述べた理由に結びつけるように補足するようにしましょう。

1.3週 
●社会は個人から成り立つものと(感)
 「日本人の多くは世間の中で暮らしている」というところがこの長文のテーマです。電車の中でグループで騒いでいる人たちというのは、よくいるでしょう。そのグループの中という世間で生きているので、ほかの乗客という社会が見えなくなってしまうのです。会社ぐるみの汚職なんていうのも、会社という世間だけが視野に入って、社会というより大きな視野を持てないところから来るのでしょう。しかし、日本人の感覚としては、たとえ社会的に見て悪いことであっても会社のためにやったという人を評価するところがあるから難しいですね。学校の中でいじめなどが顕在化しにくいのも、「あいつがちくった」とクラスという世間から爪はじきされることが嫌だからということがありそうです。「個人」「社会」「世間」などという言葉をキーワードにして考えてみましょう。

 データ実例は、「世代別ストレス解消法」などが使えそう。「四季を代表する旬の食べ物」なども使い方によっては生かせるかもしれません。
中1 1.3週のヒント ●社会は個人から成り立つものと(感)

 
 第一段落は要約。その要約に続けて、「私は世間というものにとらわれすぎるのはよくないと思う。」という意見。
 
 第二段落はその理由。「その理由は第一に、個人の意見を持ちにくくなるからだ。」仲のいいグループの中で自分だけ違う意見を言うことはなかなかできないものです。そんな自分の体験を書いてみましょう。
 
 第三段落にもう一つの理由とデータ実例。「もう一つの理由は、みんなと同じような視野でしか物事を見られなくなってしまうからだ。ある調査によると、行きたい旅行先(日本交通公社 1997年)1位 オーストラリア 57.2% 2位 ハワイ 48.4% 3位 カナダ 47.6% 4位 スイス 45.6%というデータがある。これを見ていると、自分の行きたいところも周囲の影響を受けていることがよくわかる。」
 
 第四段落は、反対意見への理解と名言の引用。「確かに仲間同士で助け合うことはよいことだ。しかし、「自分が考えるとおりに生きなければならない。そうでないと、ついには自分が生きたとおりに考えるようになってしまう。」という名言もあるように、世間にとらわれずに視野を広げ、自分の価値観をしっかりと持つことが大事だ。」
 
 
 
●社会は個人から成り立つものと(感)
データ実例は、「日本人の品格と道徳観」も当てはまりそうです。「日本人が元来持っているもの 」として「謙虚さ」「礼儀正しさ」「思いやり」があげられていますが、これらは「世間」の中で培われた特質かもしれません。「世間」も、悪い面ばかりでなく、「人情」と「世間みなで子どもを育てる」というところもありました。そして、続く「日本人が元々持っていないもの 」としてあげられているものが「個人主義「実力主義」「合理主義」というのは、やはり日本人自身が「世間」を気にして、個人として社会をつくっていこうという意識が無いという自覚をうかがわせていますね。

2.1週 
●本質的な問題に(感)
 内容:人間が本質的な問題に気づき正しい判断力を持って成長していくためにはいろいろなものが必要だが、中でも、家庭での人間的な愛情に満ちた躾が大切だ。

 解説:キレル中学生が最近ときどき問題になります。みなさんの学校でも、よくキレル人がいるでしょう。え、私がそうだって?(笑)

 人間の成長は家庭での愛情と躾によって支えられているようです。と言っても、自分の家庭のこと以外はなかなかわかりませんから、自分の家庭の話のほかには、伝記や物語などを例として実例をさがしてみるといいでしょう。

 エジソンは学校には行きませんでしたが、お母さんが本や実験道具を用意して、エジソンが成長することを助けました。勝海舟は子供時代、犬に噛まれて死にそうな大怪我をしたとき、お父さんが何日も抱きしめて看病しました。

 意見文として書くときは、意見をできるだけ単純にすっきりと書くことがわかりやすい文章を書くコツです。この場合の意見は、「家庭での愛情と躾が大切だ」で、反対意見への理解は、「確かに素質のようなものもあるが」となるでしょう。複数の理由で構成してみましょう。
 中1 2.1週のヒント ●本質的な問題に(感)
 第一段落は要約。その要約に続けて、「子供の成長には家庭での愛情のある躾が大切だ。」という意見。
 
 第二段落はその理由と体験実例。「第一の理由は、子供は親からの愛情ある根気強い躾によって善悪を判断する力を身につけるからだ。」
 
 第三段落にもう一つの理由とデータ実例。「第二の理由は、親からの愛情を受けなかった子供は、他人にも愛情を与えることができないからだ。」
 
 第四段落は、反対意見への理解と名言の引用。「確かに子供にはそれぞれ生まれながらに持っている素質というものもあるだろう。しかし、「ロバが旅に出たところで、馬になって帰ってくるわけではない。」という名言もあるように、親の愛情ある躾がなければ子供は立派な成長を遂げることはできない。」
 
 
データは
 数字の草で、「携帯電話の加入者数」「ストレス解消はカラオケ」などをもとに、「人間には、他の人とのコミュニケーションや愛情の交流を求める気持ちがある」と書くといいかも。
●本質的な問題に(感)/データ集の使い方
 理由としては、「子供は親を通じて学ぶことが多いからだ」というのも言えそう。この理由においてのデータ実例としては、「一ヶ月の小遣いの平均」のデータが使えそうですね。
 最初にお小遣いをもらったときには、お小遣い帳をつけるように両親から言われたという人も多いのではないでしょうか。初めて自分で自由に使えるお金を持たされたときに学ぶことは、きっと多いと思います。使いすぎてしまって足りなくなってしまった、なんてこともありそうですね。
 お母さんやお父さんも、お小遣いの額を決めるときに、色々悩んだと思います。多すぎてもダメ、少なすぎてもダメ……、社会人として自立する前に、まずは家庭でお金の使い方を学ばせる。そのために、色々考えて出したお小遣いの額、というのが、きっとこの平均額なのでしょう。

 また、「子供は小さいときから親の影響を色濃く受けて育つからだ」という理由に対してのデータ実例の引用には、乳幼児の就寝時刻のデータが使えそう。
「厚生省1997年データによると、全国の4歳未満の乳幼児の約4割が午後10時以降に眠るという夜型になっているという。これは両親の生活時間帯が子供に大きく影響しているということの表れであろう。子供は日常生活を送る上でも、精神面においても、親の影響を大きく受ける。だから、親は子供に愛情溢れる躾をしなければならないのだ。」

2.2週 
●新聞というものをまるで読まない(感)
 内容:私は新聞の行間と余白を読む。新聞は縁日のようなものである。偶然が潜むあちこちに散らばった情報に関心を呼ぶものが多い。

 解説:著者の主張は、新聞が正面から論じようとしているところよりも、行間や余白の部分におもしろさがある、ということですから、これをみなさんの人間関係や勉強などに当てはめて考えてみるといいでしょう。

 授業中でも、先生の授業を聞くよりも「この先生は、今日も同じネクタイだなあ」とか「隣の席のA君はノートをとるふりをして寝ているなあ」と行間や余白を見ていたほうが楽しいでしょう。また、先生の雑談の中に意外に印象に残るひとことがあったりするものです。
中1 2.2週のヒント ●新聞というものをまるで読まない(感)
 第一段落は要約。その要約に続けて「行間や余白といったものにもっと目を向けるべきだ。」という意見。
 
 第二段落はその理由と体験実例。「その理由は第一に、行間や余白のように一見役に立たないものが重要な役割を果たしていることがあるからだ。」(「理由」というキーワードが文中に入らない場合は括弧書きで入れておきましょう。)雑談などを交えためりはりのある授業の方が大事なことが頭に入るものです。また、そんな雑談で聞いた話が意外なところで役に立ったということもあるかもしれません。
 
 第三段落にもう一つの理由とデータ実例。「その理由は第二に、行間や余白というものがなかったら疲れてしまうからだ。」学校でも休み時間があるからこそ授業に集中できると言えるでしょう。データによると、男性、女性ともに、収入増と労働時間短縮のどちらを選ぶかという問いに対し、時間短縮を選ぶ割合の方が高くなっています。
 
 第四段落は、反対意見への理解と名言の引用。「確かに中身が充実していることは大切だ。しかし、「雑草とは、まだ、その美点が発見されていない植物のことである。」という名言もあるように、行間や余白の存在を侮ることはできないと思う。」
 
 
 

2.3週 
●科学は記述から始まる(感)
 実体があるからコトバが生まれるのではなく、コトバがつけられるからその実体があるかのように見えてきます。

 京都大学の霊長類研究所がサルの調査をしているとき、それぞれのサルに名前をつけました。その結果個体識別が容易になり、サル社会の研究が大いに進みました。海外ではサルに名前をつけるというような発想がなく、個体を識別して研究するという方法が確立していませんでした。そのため、海外の研究者の中には、「日本人はサルを個体識別する特殊能力がある(サルに近いから。おいおい)」と考えた人もいたようです。

 虹を七色に見る言語と二色に見る言語とがある、というような例は、ほかにもいろいろありそうです。

 コトバがあることによって世界の認識が豊かになる反面、コトバによってそのコトバで表わされたもの以外は見えなくなってしまうこともあります。雑草でも名前を知ると親しみがわき、道端で見かけると「やあ、チカラシバ君、元気そうだね」と話しかけたい気になります。しかし、逆に、コトバに慣れてしまうと、「なんだ、チカラシバか」とコトバでかたづけてそのもののありのままの姿を見なくなってしまうようにもなります。
中1 2.3週のヒント ●科学は記述から始まる(感)

 第一段落は要約。その要約に続けて「言葉を厳密に使うことは大切だ。」という意見。
 
 第二段落はその理由と体験実例。「その理由は第一に、曖昧な言葉では誤解を招くことがあるからだ。」一つの言葉から受けるイメージは人それぞれであるため、曖昧な表現では意思の疎通がうまくできない場合があります。友達との会話でも言いたいことがうまく伝わらなかったり、とんでもない誤解をしてしまったりすることがあるでしょう。そんな話を書いてみましょう。
 
 第三段落にもう一つの理由とデータ実例。「その理由は第二に、厳密な言葉で表現すれば誰にでもわかりやすいからだ。データによると携帯電話の加入台数は2002年12月末で73,514,100台となっているが、言葉だけが頼りのコミュニケーションではますます言葉を厳密に使うことが望まれるだろう。」
 
 第四段落は、反対意見への理解と名言の引用。「確かに曖昧な言い方をする方がふさわしい場面もあるだろう。しかし、「すべてに効くという薬は、何にも、たいして効かない。」という名言もあるように、厳密な言い方をする方が誤解がなく、わかりやすい。」
 
 
 
●科学は記述から始まる(感)/データ集の使い方
 「言葉を厳密に使わないとコミュニケーションがとりにくいからだ」という理由に対してのデータ実例としては、「外来語の定着度調査における理解度」が使えそう。定着度の低い外来語を使ってコミュニケーションをとろうとしても、言わんとするところはなかなか伝わらないでしょう。定着度の低い外来語は厳密な意味を特定することが難しい。そして、意味が曖昧なままでは、コミュニケーションをとることが難しい。誰もが意味を理解できる共通の言葉でのコミュニケーションが望ましいということですね。

3.1週 
●たしかブレーズ・パスカル(感)
 内容:人間にはだれにも「狂気」のようなものがある。我々が行動を起こすとき、心や体のなかの様々な傾向のものがある一定の方向を向く。それが進みつづけると歪みが生じ狂気が生まれる。この狂気が収まるともとの平静な状態が生まれるが人間はいずれ平静な状態に飽きてふたたび狂気を求める。狂気は否定するものではなく、狂気を反省する自覚が必要だ。

 解説:例えば、食事の例で考えると、いつも同じものばかり食べていると、だんだん飽きてきます。たまには変わったものを食べたいと思い、食べだすと止まらなくなり、おなかをこわしてまたもとの食事に、ということがよくあります。(あるかなあ)

 勉強でもスポーツでも同じです。試験や試合のように勝ち負けを決めるときには、ふだんの穏やかな練習と違って、真剣にがんばらなければなりません。この真剣さが狂気に近いものになることもありますが、本当の狂気になって、反則をしたりカンニングをしたりしてはなりません。

 人間にはだれにも狂気があります。狂気というと言葉がきついようですが、言い方を変えれば「変化を好む心とやりすぎる傾向」とでも言えるでしょう。偉大なことで、この狂気なくして完成したものはほとんどありません。エジソンが電球を発明したとき、フィラメントの材料を何千種も試験してやっと日本の竹を炭化させたものが最良だという結論にたどりつきました。途中で社員のひげも材料として試してみたそうです。(笑)このへんは狂気というよりもジョークに近いかもしれません。

 しかし、このような狂気も、その裏に冷静な自覚と反省がなければ単なる狂気で終わってしまいます。エジソンの狂気を支えたものは、「いい材料さえ手に入れば電球は必ず成功するはずだ」という理性的な見通しでした。この見通しがあるからこそ、度重なる失敗にもくじけずに実験を進めたのです。

 感想文の意見の中心は、「狂気の大切さ」または「冷静と反省の大切さ」になるでしょう。「人間には、狂気というのもが必要だ。その理由は二つある。……」というかたちで展開していくといいでしょう。
中1 3.1週のヒント ●たしかブレーズ・パスカル(感)
 第一段落は要約。その要約に続けて、「人間には狂気というものが必要だ。」という意見。(反対に「冷静に判断することは大切だ。」という意見でもいいです。)
 
 第二段落はその理由と体験実例。「第一の理由は、狂気と呼べるような集中力がなければ何かを成し遂げることはできないからだ。」
 
 第三段落にもう一つの理由とデータ実例。「第二の理由は、平凡な毎日では退屈してしまうからだ。」ストレス解消法などのデータ実例を挙げます。
 
 第四段落は、反対意見への理解と名言の引用。「確かに冷静に判断することも大切だ。しかし、「行動するためには、多くのことに無知でなければならない。」という名言もあるように、何かを成し遂げるためには狂気も必要だと思う。」
 
 
 
●たしかブレーズ・パスカル(感)
 「冷静な判断が必要」という是非の主題で書く場合。
 一段落は、要約に続けて「冷静に行動することが大切だ。」
 二段落は複数の理由一。「冷静な判断に基づく行動の方が的確だからだ。」情熱というのも確かに必要ですが、熱に浮かされて行動すると、周りが見えなくなってしまい失敗することも多くなります。1970年代に起こった「オイルショック」の時には中東戦争をきっかけに、原油の価格が高騰しました。原油の高騰により、紙がなくなる! という噂に、当時の日本人は、高値でたくさんのトイレットペーパーを買い込んだそう。実は、当時、日本の紙生産は安定しており、「トイレットパーパーがなくなる」とは根も葉もない噂でした。噂に翻弄(ほんろう)された日本人は、冷静さを欠いていたのでしょう。身近なところでも、冷静さが必要だと感じた経験は少なくないはず。
 三段落は複数の理由二。「冷静に考えることで反省が生まれるからだ。」データ実例では、「食糧エネルギー自給率」などが使えそう。日本の食用農水産物供給熱量自給率は42%です。これはかなりの危機的状況! 万が一、戦争が始まって(もしくは何らかの災害で)、諸外国からの輸入がストップしたら……恐ろしいですよね。この数値を見て、率直に反省し、今後日本がどうしていくべきか考えるべきだ……というような展開が考えられそう。
 四段落はまとめです。「確かに何かをやり遂げるためには情熱も必要だ」(反対意見への理解)。「しかし、冷静な判断を欠いてしまっては、いい結果は得られない。やはり、冷静に判断し、行動することが大切だ 」。
名言は「限られた人生で、大事なことは、『何をするか』ではなく『何をしないか』ある。」などが使えそう。「何をしないか」を冷静に考えることが必要なのでしょう。

3.2週 
●日本人が、淡泊であるかわりに(感)
 「ごてごてしたものよりもあっさりしたもの」「理屈よりも直感」というのが日本人の美意識です。絵でも音楽でも食事でも、日本のものは全体に淡泊です。欧米の人にとっては、この淡泊さは理解しがたいものがあるようです。「古池や蛙飛び込む水の音」という俳句を欧米人に説明しても「だから、なんなんだ」と言われるだけでしょう。

 意見は、「理屈と直感」を対比させて考えてみましょう。
●日本人が、淡泊であるかわりに(感)
 第一段落は要約。その要約に続けて「理屈ではなく直感に訴えようとする日本的なコミュニケーションの取り方はよいと思う。」という意見。

 第二段落はその理由と体験実例。「その理由は第一に、相手の言いたいことを読み取ろうとすることで思いやりの心が育つからだ。」(「理由」というキーワードが文中に入らない場合は括弧書きで入れておきましょう。)

 第三段落にもう一つの理由とデータ実例。「その理由は第二に、短い言葉から想像を広げることで感受性が豊かになるからだ。」効果的に短い言葉を使うということで、企業の宣伝費のデータ実例が使えそう。

 第四段落は、反対意見への理解と名言の引用。「確かに物事を理屈で考えることも必要だ。」しかし、「辞書のような人間になることではなく辞書をうまく使えるような人間になることが勉強の目的である。 」という名言もあるように、短い言葉を効果的に使うことが大切だ。
●日本人が、淡泊であるかわりに(感)
 これから、日本が国際化するにあたって、大切なことは、直観に訴えるような日本的コミュニケーションではなく、理屈を大事にする方がよいという是非の主題でも書けそうですね。理由も色々と考えられそうですが、その場合に使えそうなデータ実例は、「新卒者採用で企業が重視した点」。最多とされたのは「コミュニケーション能力」。より多くの国籍の人と関わり合うためには、やはり、誤解が生じにくい理屈重視のコミュニケーションを大事にするべき、と展開できそうですね。

3.3週 
●日本のある会社が香港で(感)
 内容:日本の会社が香港で、「日本語のできる人」を採用しようとしたところ、片言しか喋れない人も含めて多くの応募があった。これに比べて日本人には謙譲を美徳とする意識が残っている。日本人は他人を型にはめたがり、また自分も型からはみ出ないように謙譲の美徳を利用しているのではないか。

 解説:日本人の「謙譲の美徳」「相手を枠にはめる見方」「長所を伸ばさない文化」などについて考えてみましょう。これは、身近にたくさんの例がありそうですね。日本では、組織のトップになる人でも自分から進んでという例は少なく、みんなから推薦されて仕方なくというケースが多いようです。みなさんのクラスで役員を決めるときもそうでしょう。クラス対抗のリレー選手を選ぶときでも、足の速い人が立候補するようなことはあまりなく、みんなから、「Aさんがいい」と言われて仕方なく引き受けるというかたちが多いと思います。身近な例を通して、日本人はもっと自己主張をという意見でまとめてみましょう。もちろん、その反対の意見でまとめてもかまいません。
●日本のある会社が香港で(感)
 第一段落は要約。その要約に続けて「日本人はもっと自己アピールをしていくべきだと思う。」という意見。逆に「日本人の謙虚さは大事にしていくべきだと思う。」という意見でもいいです。
 第二段落はその理由と体験実例。「その理由は第一に、自分をアピールしないと相手に自分のことをわかってもらえないからだ。」
 第三段落にもう一つの理由とデータ実例。「その理由は第二に、自分自身が成長しないからだ。いつも遠慮して自分をアピールしないでいると、自分の能力を発揮できる機会を失い、能力に磨きをかけることができない。」データ実例は「仕事の目的」に関するデータが使えそう。「データによると、30代では、仕事の目的を収入と答えた人の割合が75%となっている。もっと自分をアピールし、自分の能力を生かしていくことができれば仕事も生きがいにつながるのではないか。」
 第四段落は、反対意見への理解と名言の引用。「確かに時には謙虚さも必要だ。しかし、「短所をなくすいちばん良い方法は、今ある長所を伸ばすことである」という名言もあるように、自分の良い面はどんどんアピールしていくべきである。」
●日本のある会社が香港で(感) データ集の使い方
 「自己アピールをすることで、自分のよさを理解してもらえるからだ」に対するデータ実例は、企業の宣伝費のデータが使えそう。宣伝はその商品(またはサービス)を、いかにいいもの(こと)か伝えるための手段です。各企業がこれだけの宣伝費をかけるのは、アピールがいかに大切であるかを表していますね。
 また、「仕事の目的」のデータ実例を引用してもよいでしょう。30代の75%は仕事の目的に「収入」を挙げています。収入をアップさせるには、自分の仕事の実力を正当に評価してもらわなければなりません。自分の実力を正しくアピールするということが必要ですね。
●日本のある会社が香港で(感)
 是非の主題を「日本人の謙虚さをもっと大切にするべきだ」にする場合。
 複数の理由一、「『能ある鷹は爪を隠す』という言葉通り、実力はひけらかすものではないからだ。」
 複数の理由二、「謙虚さは日本人ならではの美徳だからだ。」データ実例は「日本人の品格と道徳観」が使えそうですね。日本人が元来持っているものとして約75%の人が「謙虚さ」を挙げています。一方、日本人が元々持っていないものとして半数以上の人が「個人主義」を挙げています。自己アピールが個人主義に直接つながるとは言いませんが、日本人は元来、自分を他人に認めてもらうことを不得手としているのですね。
 まとめ。「確かに自分を正しく相手に理解してもらうことは必要だ」(反対意見への理解)「しかし、やはり謙虚さは日本人の品格において、大切な要素である。」