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解説集 ムベ の池 (印刷版 /印刷版 /ウェブ版 /最新版
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10.1週 
■中1 10.1週 ●けんか、テスト、私の名前
 全体を大きく四つぐらいの段落に分けて書いていきます。
 第一段落は、身近な実例と意見。「この前、私はお母さんと口げんかをしてしまった。しばらく口をきかなかった。」のように具体的な話を書いて始めます。そのあと続けて意見。「私はけんかはよいと思う。」または「悪いと思う」という意見を書きます。
 第二段落はその理由です。「けんかがよいと思う理由は、第一に、けんかをすることによって相手のことがよくわかることがあるからだ。」のように書きます。そのあと、続けて、その実例。「私は、この前友達のAさんとけんかをした。そのけんかを通して、Aさんがこういう気持ちだったのだということを初めて知った。」というような実例です。
 第三段落は、理由その2。「第二の理由は、けんかをするぐらいの気持ちがないと、自分らしく生きていけないからだ。」続いてその実例。「昔、ベトナム戦争で、ベトナムは大国アメリカと戦った。もしベトナムが戦争(けんか)しなかったら、ベトナムは独立国にはならず、自分の国に対する誇りももてなかっただろう。」というような実例です。この第三段落の実例は、できるだけ社会的な実例を書いていきます。データ実例のデータというのは、固有名詞や数字のことです。データ集やインターネットの検索を参考に、データを調べて入れていきましょう。データを入れる例「10代男性のストレス解消法(コニカ 1996年)というデータによると、1位はカラオケで15.3%である。カラオケというものは、自分で歌うものである。これを見ても、人間には自分を表現することが大切なのだとわかる。けんかも、ある意味で自分を表現することと言えるのではないか。」
 第四段落は、意見です。「確かに、けんかは相手を傷つけてしまうこともあるので、そういう点で避けられるものならば避けたほうがよい。しかし、人間は時にけんかをする必要があることもある。」意見の近くに名言を引用します。「『一人の敵も持たないものは一人の友も持たない』という言葉がある。けんかというのは、友達を作る一つの方法なのかもしれない。」
中1の「複数の理由」の考え方。
 一般に、「Aがよい」という意見を書くときは、「Bが悪い」という考えを想定しています。
 例えば、「けんかはよい」という意見の場合は、「けんかしないのは悪い」という考えです。
 複数の理由は、このAB二つを組み合わせて考えると思いつきやすくなります。
 (1)Aのよい理由 (2)Bの悪い理由 (3)Aでないことの悪い理由 (4)Bでないことのよい理由
 
★けんか、テスト、私の名前
 いよいよデータ実例の引用を練習していきます。使えそうなデータを先に探してから、理由を考えていくということもできそうです。例えば、2004年の読売新聞のデータによる「人間関係における意識調査」。夫婦、親子間で本音を話しているかという問いに対して75%の人が「はい」と解答しています。本音を話すときには、時に、言いにくいことを言ったり、相手に対して耳の痛いことを言わなければならなかったり(その逆もありますが)するので、ケンカになることもあります。それでも、やはり自分にとって大切な人とは本音で語り合いたいもの。ここから理由を考えると、「ケンカをすることで、お互いに思っていることが理解できるからだ」や「ケンカをすることで本音が引き出せるからだ」などのように書けそうですね。
 また「ケンカは良くない」という主題で書く場合でも、このデータは使えそう。本音をお互いに理解し合うためには、冷静に話し合うことも必要……という流れで書くとしたら、「ケンカをすると、平静な気持ちで話すことができなくなるからだ」などの理由が考えられそう。色々な方向からデータが使えるようになるといいですね。
★けんか、テスト、私の名前
 「けんかはよくない」という是非の主題で書くこともできます。
 第一の理由は、「けんかをすることで、傷つけあうこともあるからだ」。仲直りできるけんかはよいですが、けんかをすることで、言わなくてもいいことまで言ってしまうということもあります。いたずらに傷つけあうようなけんかはよくないですね。
 第二の理由は、「けんかが暴力に発展することもあるからだ」。小さい子がけんかをすると、手が出てしまうということはよくありますが、例えば、国同士の争いは戦争に発展します。暴力が私たちにもたらす負の影響を考えてみるといいでしょう。力のぶつかり合いとなるようなけんかはやはりよくないですね。
 名言の引用は「戦争では、どちらの側が勝利を宣言しようが、勝者など存在しない。全員敗者である。」などが使えそう。
★けんか、テスト、私の名前
「私の名前」で書く場合
第一段落 自分の名前について、普段思っていることをさらっと書きます。続けて意見を書きます。「名前は~が良いと思う。」という形で考えてみましょう。たとえば、「名前は、子どもが将来成長した姿を思い描き、幸福に生きてほしいという願いをこめて付けるのが良いと思う。」
第二段落 理由の一 「子どもが名前に込められた親の思いを知り、誇りや愛着を持てるからだ。」自分の名前は、誰がどんな思いで付けてくれたのかを、聞いて書いてみましょう。
第三段落 理由の二 「思いつきや流行で付けた名前では、ありふれていて愛着が持てないからだ。」データは、2003年・2010年の名前ランキングが使えそうです。かわいい名前だからといって、クラスに何人も「ユイちゃん」や「ユウトくん」がいるとき、名前以外のところで個性を発揮したい気持ちになるかもしれません。
第四段落 反対意見への理解、名言の引用、是非の主題。「確かに、みんながかわいくて呼びやすいと思う名前は良いかもしれない。しかし……」名言は「人はその制服のとおりの人間になる。」はどうでしょうか。最後に、是非の主題を書いてまとめます。

10.2週 
●子供の世界は(感)
 意見:確かに人間の内的世界をかかわらせない科学的な見方の方が、世界を正確に表すことができます。実感としては、太陽が東から昇って西に沈むとだれもが感じます。その実感を克服するのが科学的な見方です。しかし、現代の社会は、科学的な正確さを求めるあまり人間の心の納得をないがしろにしている面もあります。「知識として理解するよりも心から納得することの大切さ」という主題で書いていきましょう。または、長文の冒頭にある「ふしぎに思うことの大切さ」を意見にして書いてもいいと思います。
 データ実例:「一ヶ月に読んだ本は○冊というデータがあるが、世界は広いから、一ヶ月に5.6冊ぐらい読んでいるだけでは、わからないことがたくさんある。むしろ、本を読むことによって更に不思議の世界は広がるのではないだろうか」など。
 名言:「自分の心のうちに持っていないものは、何ひとつ自分の財産ではない」などが使えそうです。
●子供の世界は(感)
 第一段落は、要約のあと、「不思議に思うことは大切だ。」などと意見化します。
 第二段落は、その理由1と実例。「その理由としては第一に、不思議に思うことによって、さまざまな新しい発見があるからだ。」など。科学の発達も、不思議に思う気持ちからスタートしたと言ってもよいでしょう。
 第三段落は、理由2と実例。「また第二の理由としては、不思議に思う気持ちがないと毎日の生活が楽しくないからだ。」など。何でもあたりまえだと思ってしまっては、刺激がなく、つまらない毎日になってしまうでしょう。新たな「不思議」を海外に求めるということで、「日本の年間海外旅行者数は1500万人を突破。」というデータ実例も挙げられそうです。
 第四段落は、反対意見への理解を示し、名言を引用してまとめます。「確かに、不思議に思うだけでは成長しない。しかし、『存在するものには、良いとか悪いとかを言う前に、すべてそれなりの理由がある。 』という名言があるように、不思議に思う気持ちを抱き、その不思議を解明しようとすることは必ずプラスになるはずだ。」
★子供の世界は(感)
第二段落 科学の発達が、不思議に思うことからスタートした例として、ニュートンの万有引力発見にまつわる話があります。ニュートンは、庭にあるリンゴの木を見ていて、リンゴは必ず地面に下に落ち、横や上に向かわないのはなぜかと考えました。そのことから万有引力の存在を思いついたと語ったそうです。

10.3週 
●私に漫画「ドラえもん」(感)
 「ドラえもん」のひとつのテーマは、科学文明の便利さを過信する現代の日常生活への風刺にあった、というのがこの長文の主張です。確かにドラえもんの便利な四次元ポケットから、いつも思いがけない問題や事件が始まります。
 「科学文明の便利さを過信しないこと」が、意見の中心になります。みなさんの中にも、せっかくパソコンに保存していたデータが突然消えてしまったというほろ苦い思い出を持つ人もいるかもしれませんね。
 名言は、便利な科学が同時にトラブルの原因にもなるという意味で「84、理想に到達するための手段はまた理想への到達を阻む障害でもある」。機械よりもそれを使う人間の心や姿勢が大事だという意味で「12、カメラマンは、レンズのほこりを払うまえに目のほこりを払わねばならない」などが使えそうです。
●私に漫画「ドラえもん」(感)
 鉄腕アトムの時代に漫画に出てくる科学は格好よかった。しかし、ドラえもんに出てくる科学は、人間にうまくコントロールできない科学を表わしている。
 第一段落の要約のあと、「科学文明を過信しないことが大切だ」と意見化します。
 第二段落は、その理由1。「その理由としては第一に科学文明を過信しない方が人間らしく生きることができるからだ」。体験実例。「今年の夏は暑かったので、クーラーをがんがんつけていたら、風邪を引いてしまった。やはり、暑い夏は汗をかいていた方がよい」など。
 第三段落は、理由2。「また第二の理由としては、科学を過信すると重大なしっぺ返しが来るかもしれないからだ」など。その実例。「データによれば、世界の二酸化炭素排出量の割合(環境庁 1994年)は、1位 アメリカ 22.4%である。科学のプラス面の背後に、環境問題などへの大きなマイナスが隠れている。
 第四段落は、反対理解を入れる。「確かに、科学の発達は、人類の生活を快適にした。作文もパソコンで書くので、ずいぶん楽になった。しかし……」を最初の意見に戻る。
●私に漫画「ドラえもん」(感)
 科学によって発展を遂げた文明の力を借りずに生活するのは、もはや現代人には困難な世の中です。
 ドラえもんが現れるのはこれから何年も、何十年も、もしかしら何世紀先になるか分かりません(笑)。想像してみると楽しい日常が次から次へと思いつきそうですね。自転車に乗っていたおまわりさんはタケコプタ―で巡回!(どこで見ているか分からないから犯罪も減る!?)。暗記パンがあれば司法試験もみんなが合格!(英単語、数学の公式などは朝飯前♪)。富士山の頂上からのご来光を見るために、毎朝日本中の人々がどこでもドア―で現れるかも!? ……しかし、どこでもドア―で一気に頂上に出没した人には登山の真の苦しみ、楽しみ、達成感を知らないのですから、これは考えものです。
 身近なところで便利さや快適さに頼っている科学文明の産物を探ってみましょう。食器洗い機(停電とともに食器を洗う手段をなくし呆然とする未来人。) ウォシュレット(スイッチがなければトイレの使い方も分からない未来人。)
 私たち人間のもう一つの腕となり足となってくれる便利な機械を活用することは大切です。しかし、本文では「過信」への警鐘(けいしょう)が表現されていることに注目しましょう。

10.4週 
構成図の書き方
 構成図は、小3以上の生徒が書きます。小2以下の生徒は、絵をかいてから作文を始めるという課題になっているので、構成図は書かなくて結構です。
 構成図を書くときに大事なことは、思いついたことを自由にどんどん書くことです。テーマからはずれていても、あまり重要でないことでも一向にかまいません。
 たくさん書くことによって、考えが深まっていきます。したがって、構成図は、できるだけ枠(わく)を全部うめるようにしてください。しかし、全部埋まらなくてもかまいません。
 枠と枠の間は→などで結びます。この矢印は、書いた順序があとからわかるようにするためです。作文に書く順序ということではありません。
構成図は、原稿用紙や普通の白紙に書いて結構です。
構成図を書きます。
頭の中にあるものをそのまま書くとき。
構成図で書くとき。
初めに絵をかきます。(絵はどこにかいてもいいです)
思いついた短文を書きます。(どこから始めてもいいです)
思いついたことを矢印でつなげていきます。
関係なさそうなことでも自由にどんどん書きます。
はみだしてもかまいません。大体うまったらできあがり。

11.1週 
●ミミズがある生態系に(感)
 内容:ダーウィンは、ミミズの研究に基づき、ミミズが有機土壌の形成に大きな貢献をしていると述べた。有吉佐和子は、ミミズの死が土の死につながるという農民の声を取材した。ロンドンでは今、ミミズを利用した生ゴミの処理を行なおうとしている。
 解説:目に見えるミミズの役割であっても、それが評価されるまでに多くの年月を必要としました。目に見えないバクテリアの役割などは、まだ十分に評価されているとは言えません。最近、寄生虫が人間の生活にプラスの役割も果たしていたのではないかという研究も出てきました。藤田紘一郎氏(東京医科歯科大学教授。「笑うカイチュウ」などの著者)よれば、これまでは寄生虫が人間の免疫系の主な対象となっていたそうです。しかし、社会全体が清潔になり寄生虫が駆除されると、免疫系の働く対象がなくなり、それがスギ花粉やダニ抗原に反応するようになり、花粉症やアトピー性皮膚炎が増えたという因果関係が推測されるということです。
 個々の農薬や化学肥料はそれだけを見ると強力に見えることもありますが、生態系全体の中で果たす役割まで考えに入れなければ、正しい評価をくだすことができなくなっているようです。
 考えを広げてみると、子供時代の遊びなども、人生という土を耕すミミズのような役割を果たしているのかもしれません。目立たないものが、全体的に見ると大事な役割を持っているという例を考えてみましょう。
 名言は「雑草とは……」などがぴったりかな。
中1 11.1週のヒント ●ミミズがある生態系に(感)
 第一段落は要約。その要約に続けて、「私は、(自然界にある)小さなものの役割を見直すことが大切だと思う。」という意見。
 第二段落はその理由。「その理由は第一に、人間がまだその役割を知らないだけだということがあるからだ。例えば、このミミズの場合もそうだった。私も昔、学校の花壇で植物を植えていたときミミズを見つけて、思わず叫んでしまったことがある。今考えれば、あのミミズも土を豊かにする役割を果たしていたのだ。」
 第三段落にもう一つの理由。「第二の理由としては、人間が自分のことだけを考えて行動してきたために、地球環境が破壊されてきたからだ。インターネットで地球温暖化のデータを調べてみると、『地球の表面温度は、この100年間で摂氏およそ0.4〜0.8度上昇した』ということがわかった。これは……」
 第四段落は、反対理解と名言の引用。「確かに、物事を大きくとらえることも大切だ。しかし、小さなものの果たしている役割も充分に考慮に入れていく必要がある。『雑草はまだその美点を発見されていない植物だ』という言葉がある。小さいものの役割を発見することが大事なのではないだろうか。」  
ミミズがある生態系に(感)
ミミズは日常よく目にする生き物です。都会でも意外と道路で干からびているのを見つけたりしますね。あまりによく見るので、こんなに重要な役割を持っているとは思っていなかったかもしれませんね。そんなところから、主題となる意見を考えてみましょう。
例:「ミミズのような小さな自然を大切にしたい」
「どんな生き物にも大切な役割があるのだということを理解していきたい」
「地球上のすべての生き物が助け合って生きているということを理解していきたい」

11.2週 
●私たちが日常(感)
 詩的な言葉の大切さというのは例を見つけにくいかもしれません。詩を読んで「ああ、いい言葉だなあ」と思ったような例があればぴったり。もっと身近な例で言うと、「ふとんがふっとんだー」のようなダジャレは実用的な点から言えば無意味なものですが、学校の先生が授業の合間にそういう受けないダジャレを言うと勉強の雰囲気が楽しくなるなどの効果もあります。詩的な言葉にも、もっと目を向けようという主題で書いていきましょう。名言は、「雑草とはまだその美点が……」、言葉は伝達の手段ではなくそれ自体が生きた目的だという意味で「人は食べるために生きるのではなく……」(ちょっとむずかしいけど)、「存在するものには、良いとか悪いとかを言う前に……」など。
●私たちが日常(感)
 第一段落は要約。その要約に続けて、「私は、詩的な言葉を大切にするべきだと思う。」という意見。
 第二段落はその理由。「その理由は第一に、実用的な言葉ばかりではつまらないからだ。学校の授業でもただ事実だけを伝える授業はおもしろくない。私の学校の○○先生は……」
 第三段落にもう一つの理由。「第二の理由としては、詩的な言葉は言いたいことを印象強く伝えることができるから。データによると、宣伝にかける費用の第一位はトヨタ自動車で、その費用は70,000百万円以上にもなっているが、宣伝にも詩的な言葉が多く使われている。たとえば……」
 第四段落は、反対意見への理解と名言の引用。「確かに、事実をありのままに正確に伝える言葉も大切だ。しかし、詩的な言葉の良さにも目を向けるべきだ。『人は食べるために生きるのではなく、生きるために食べるのである。』という名言があるように言葉は事実を伝達するためにあるのではなく、その存在自体に意味があるものなのだ。」
私たちが日常(感)
本文中に出てくる「ことばの『実用的な』はたらき」と「ことばの『美的な』はたらき」を比較しながら主題を考えていきましょう。たしかに私たちの日常生活では「実用的な」はたらきばかりを重視しているかもしれませんが、実はみんな「美的な」はたらきをすることばが大好きなのではありませんか?
たとえば、だじゃれやなぞなぞなどは楽しいことばあそびですね。九九や歴史の年号を語呂合わせで覚えたりするのもことばあそびが好きだからかもしれません。
また、自分の好きな歌やついつい口ずさんでしまうコマーシャルソングなども思い出してください。
「美的なはたらきのことば」のよさがイメージできそうですね。
●私たちが日常(感)
 言葉の例に限らず、科学技術や芸術の話に結び付けてふくらませてもよい。
 例えば、落書きのような遊びの中に、ただ実物を模写するのとは違う新しい発見が生まれることがある。

11.3週 
●「ああすれば、こうなる」(感)
 内容:現在の中には「予定された未来」も含まれる。本当の未来とは何の予定もない未来である。現代社会は、子供たちの「定まらない未来」を奪っているのではないか。
 解説:現在のような高度に管理された社会にいると、人生にも教科書や予備校のようなものがあって、時間割やカリキュラムのようなものが立てられると考えがちです。ところが実際には、人生は行き当たりばったりと試行錯誤の連続です。その行き当たりばったりに生きている最中にこそ生きている面白さがあると考えられればいいのですが、つい、現在は未来のための準備期間だという考えてしまうことが多いと思います。未来のために現在を犠牲にして生きるのではなく、今この瞬間を生きていくことの大切さ、ということで主題化していくと書きやすいと思います。
 名言は「人が旅行するのは……」「私たちの人生は……」「子供は大人を小さくしたものではなく……」など。
中1 11.3週 ●「ああすれば、こうなる」(感)
 第一段落は要約。その要約に続けて、「私は、未来の準備のために生きるのではなく、今この瞬間を大切に生きることがよいと思う。」という意見。
 第二段落はその理由。たとえば、「その理由は第一に、先のことを考えても未来はどうなるかわからないからだ。」実例は、計画どおり、予定どおりにことが進まなかった話など。
 ほかには、「その理由は第一に、その時でなければできないことがあるからだ。例えば、どろんこ遊びに熱中することなどは、中学生になってからではできない。」
 第三段落にもう一つの理由。「その理由は第二に、未来のために今を犠牲にするのはむなしいからだ。」データ実例としては、「未来のために今やりたいことを我慢していたのではストレスがたまってしまう。」ということでストレス解消法のデータが引用できそう。
 第四段落は、反対意見への理解と名言の引用。「確かに予定を立てることは大切だが、「私たちの人生は、私たちが費やしただけの価値がある。」という名言があるようにそのときそのときを精一杯生きていくことが自分らしい人生をつくるのだ。」
●「ああすれば、こうなる」(感)
 将来の目標を立てて、今、自分は何をしたらよいかを考え、計画的に人生を生きるのは確かに良いことでしょう。今さえ楽しければよいという考えで、日々を生きていると、将来とんでもないしっぺ返しが来るかもしれません。「ああすればこうなる」をしっかりと考えて生きていくことは確かに大事なことです。
 しかしこの長文を読むと、人生はそれだけではないのだな、と思えてくるでしょう。ああすればこうなる。だから無駄なことはしない、自分の目標のために回り道は必要ない。それだけの生き方だったら、人生の余裕はまったくなくなってしまいます。「定まらない未来」があるからこそ、人生はおもしろいのでしょう。
 余裕のない生き方をしていると、「ああしてもこうならなかった」という事態には、とても対応できないでしょう。つまり、挫折に弱く、人生の予定になかったこと(たとえば病気、怪我など)が起きると生きる目標さえ失ってしまいます。
 思いもよらないことが起きるからこそ人生はおもしろい。そんな心の余裕や柔軟性を持った生き方をすることは大切だということをテーマに考えてみるといいと思います。
●「ああすれば、こうなる」(感)
 データ実例を入れるのが難しい課題かもしれません。使えそうなデータを探して、それに合うように理由をつけていくといいでしょう。例えば、収入増と労働時間短縮のどちらを選ぶか(朝日新聞社 1997年)のデータ。ここで見ると、男性・女性共に収入増よりも労働時間の短縮を望んでいることが分かります。ここから考えると、労働時間を短縮して「今」を楽しみたいという気持ちが表れているのではないでしょうか。ここから考えると、理由は、例えば「一度しかない『今』を楽しむことが人間にとって大切だからだ」のようになりそう。他にもいろいろな理由が考えられそうです。

11.4週 
構成図の書き方

12.1週 
●人は二足歩行で(感)
 内容:人は道具と言葉によって強くなり、自分が狩られる側に回ることはなくなった。しかし、野生動物と狩猟民族は日々生きるか死ぬかの生活の中で濃密な生の時間を過ごし、死もまた個体のエゴを超えたより大きな知恵の一部なのだという境地に達している。近代の宗教が目指しているものも、この野生動物や狩猟民族の精神なのではないか。
 解説:現代の便利な生活の中では死と直面することはほとんどありません。食卓に並ぶハンバーグにしてもフライドチキンにしても、そこに牛や鶏の生と死を見ることは容易ではありません。そんなことを考えていたら、おいしく食べられないし……^^;。このような生活の中では、自分の生もまた死と隣り合わせにあるのだという自覚を持つことは困難です。
 しかし、本当の人間らしい生活とは、いずれ死が来ることを深く自覚し、それゆえに充実した日々を送るというような生き方でしょう。生と死に限らず、人生には締め切りと勝ち負けがあるからこそ充実した生活を送れるという面があります。死または締め切りの大切さということを主題にして複数の理由を考えてみましょう。
中1 12.1週のヒント ●人は二足歩行で(感)
 第一段落は250字くらいで要約。その要約に続けて、「私は、野生動物のように、死を意識して生きることは大切だと思う。」という意見。
 第二段落はその理由。たとえば、「その理由は第一に、死のような締め切りがあるからこそ物事に一生懸命に取り組むことができるからだ。例えば、テストという締め切りがなければ集中して勉強することができない。」
 第三段落にもう一つの理由。「その理由は第二に、死のような締め切りを自覚しないと計画性のない人生を送ってしまうからだ。」データ実例としては、平均寿命や将来なりたい職業についてのデータが引用できそう。例えば、「平均寿命の国際比較のデータを見ると、日本は男性77歳、女性84歳でいずれも世界1位である。しかし、このような寿命があるということがわかると、それに合わせて老後の計画なども立てられる。」
 第四段落は、反対意見への理解と名言の引用。「確かに死を克服しようとして人間の文化は進歩してきた。しかし、「限られた人生で、大事なことは、「何をするか」ではなく「何をしないか」である。」という名言があるように、人間は、「できる」ことを意識するよりも「できない」ことを意識したときに充実した人生を歩きはじめる。つまり、締め切りを意識するからこそ有意義な人生を送ることができるのだ。」
●人は二足歩行で(感)
 自分のことにひきつけて考えるのが難しい人は、現代社会のことを問題にするとおもしろいものがかけるでしょう。
例えば、課題文のテーマを「野生動物の濃密な生」とすると、現代社会の人間の生き方はそれとは全く正反対にありますね。
事例を挙げると…… 退屈な毎日 フリーターの増加 平和と豊かさが当たり前の日本 死を実感できない私たち すぐ自殺する現代人
 生きるか死ぬか(食うか食われるか)とは遠く離れた現代人の姿を具体的に思い浮かべて、ていねいに説明しましょう。→字数が増えるぞ。
 それについて自分が思ったことを自由に書いていきましょう。別に「人間と動物は違うんだから、これでいいのだ」でもいいんですよ(^^)。
●人は二足歩行で(感)
長文の中の「生きることではなく、ただ死なないことに、それほどの意義があるのだろうか」などをとらえて、「現代人も野生動物のように今生きている喜びを感じることが大切である」とすることもできます。「複数の理由」としては、「そのように考えると、今の生活の中に、感動や感謝を感じて楽しくなるからだ」また、「自分の命も他人の命も大切なものと実感できるからだ」などとすることができます。

12.2週 
●今日の都市生活に(感)
 解説:説明文なので、そのまま意見化することができない長文です。自分なりに身近な似た例にあてはめて意見を考えていきましょう。いろいろな考え方ができると思いますが、行列には身分や地位に関係なくみんなが平等に参加できるというプラスの面があるとともに、個人の創意や主体性を無視する不自由さもあるというところで意見が書けそうです。信号機なども同じ面があり、身分や地位に関係なくだれでも赤信号では止まらなければなりません(救急車などは例外)。しかし、車が一台も通っていないときに、わずか数メートルの幅の道路を、赤信号で止まっているというのも何か居心地の悪い感じがするでしょう。秩序を守ることの大切さというところで意見が書けるかな。

 名言は、行列がいちばん民主的に見えるが行列に並ぶ人はだれひとり決して満足していないという意味で、「36、すべてに効くという薬は、何にも、大して効かない」。場合によっては行列の秩序よりもその場に合ったやり方を臨機応変に使おうということで「48、できあがった規則をなんとか守ろうとすることよりも、実態に合わせて規則を変えていくことがしんに規則を生かす道である」。行列に並ぶと個々人の個性は失われるという意味で「62、人はその制服のとおりの人間になる」など。
中1 12.2週のヒント ●今日の都市生活に(感)
 第一段落は要約。その要約に続けて、「私は行列に賛成(反対)だ。」という意見。
 
 第二段落はその理由。「その理由は第一に、ルールを守ることによって物事がスムーズに進むからだ。」順番を守ることによって秩序が保たれている例は身近なところから見つけられそうです。
 
 第三段落にもう一つの理由。「その理由は第二に、ルールを守らないと混乱が起こるからだ。」データ実例は、ディズニーランドとディズニーシーの合計入場者数が3億人を突破などというデータが使えそうです。行列を作らなかったら大混乱になってしまうことは目に見えていますね。
 データ集にある「日本の年間海外旅行者数は1500万人を突破。海外からの日本旅行者は300万人台」なども使えそう。
 
 第四段落は、反対意見への理解と名言の引用。「確かに個々の事情を考慮しないことには問題があるが、「悪いことそのものがあるのではない。時と場合によって悪いことがあるのである。」という名言もあるように、行列本来の良さを認識するべきだ。」

 
 
今日の都市生活に(余談)
国による行列に対する考え方の違いが、終わりの方に出ていましたが、日本国内でも、関東と関西では行列事情がかなり違います。私は関西に数年住んでから、東京に行きましたが、東京の人たちがバス停できっちり1列に並んでいるのを見てたいそう驚きました。関西、たとえば京都では、バス停では人はごちゃごちゃと団子状態で待っています。いざバスが来ると、扉に近い人から、勝手に乗り込んでいきます。あまり秩序はありません。そこに存在するのは、先着順ではなく、「運」です。大阪の地下鉄でも、降りる人が全部降りきらないうちに、少しでも隙間があると、どんどん乗ってきます。東京の人は、エスカレーターでも、急ぐ人のために右側をあけて一列で乗るため、エスカレーター乗り場でまた行列になっていたりします。秩序ということに関して、同じ日本人でも、認識の違いがあるようです。「郷に入っては郷に従え」ということですね。身近なところでは、どんなところに行列ができるか、その場の秩序ということについて、考えてみよう。

12.3週 
●方言で「つるべ」(感)
 内容:言葉の正しさを論ずる時にとかく語源が引き合いに出されるが、語源の通りでは社会情勢の変化のために合わなくなるものが多い。そうかと言って社会の変化に合わせていちいち言葉を言いかえるのも大変なことだ。結局、言葉は各人の言語意識によって動いて行くようである。

 解説:言葉は時代によって変わるという話です。今どき、学校に下駄をはいてくるような人はいませんが(いたら、かなり危ないけど)、学校ではときどき「下駄箱にちゃんと靴を入れて」などと言うことがあります。言葉の森の教室でも、先生が「さあ、みんな黒板を見て」と言うと、「先生、ホワイトボードでしょ」とちゃかす人がいつもいます。

 実態からかけ離れた言葉を使い続けるのも問題ですが、実態が変わったからといってすぐに言葉の方も変えるというのも問題です。これは、ことばにかぎらず、いろいろな規則や習慣にもあてはまりそうです。

 名言は、「40、存在するものには、良いとか悪いとかを言う前に、すべてそれなりの理由がある」。「48、できあがった規則をなんとか守ろうとすることよりも、実態に合わせて規則を変えていくことが真に規則を生かす道である」。
中1 12.3週のヒント ●方言で「つるべ」(感)

 第一段落は要約。その要約に続けて、「私は実態に合わせて言葉を変えていくべきではないと思う。」という意見。もちろん、変えていくべきだと言う意見でもいいです。
 
 第二段落はその理由。「その理由は第一に、頻繁に言葉を変えると混乱が起こるからだ。」実例は、この長文にも書いてあります。
 
 第三段落にもう一つの理由。「その理由は第二に、日本の文化に根づいた慣れ親しんだ言葉には愛着があるからだ。」
 
 第四段落は、反対意見への理解と名言の引用。「確かに実態と言葉が一致している方がわかりやすいこともある。しかし、「自分の心のうちに持っていないものは何一つ自分の財産ではない。」という名言もあるように、自分になじんでいる言葉を使った方が実感がわくのではないか。」
 
 
●方言で「つるべ」(感)
「言葉は変えていくべきだ」という賛成例として。現在は「日本海側」「太平洋側」と呼ばれている日本列島だが、かつては「裏日本」「表日本」と呼ばれていた。だが、日本海側を「裏」と呼ぶことは差別ではないかということで今は呼びかえられている。他にも「めくら」「つんぼ」は「目、耳の不自由な人」「女中」は「お手伝いさん」など、「人に対する思いやり」が言葉を変えていくこともある。英語に親しくない人のために、カタカナ語をなるべくわかりやすい日本語に変えていく運動もそのひとつだろう。たとえば「インフォームドコンセント」を「納得診療」としようなど。が、この日本語訳には「納得」していない人もいるそうで、まだまだ議論は続いている。つまり「ただいま言葉変化中」なのだ。
●方言で「つるべ」(感)
変わらない日本語には、「ことわざ」もありますね。「一寸の虫にも五分の魂」を「3.3センチの虫にも5パーセントの魂」では、スーパーの割引セールの文字のよう?!