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解説集 ユーカリ2 の池 (印刷版 /印刷版 /ウェブ版 /最新版
印刷版は印刷物として生徒に配布されているものと同じです。ウェブ版は書き込み用です。 https://www.mori7.com/mine/ike.php
最新版には印刷日(2024-09-14 00:00:00)以降に追加されたもの(グレーで表示)も掲載されています。

10.1週 
●スポーツの勝ち負け、けんか
 大まかな意見の流れは、(1)身近な実利。(2)確かに、勝つことは大事だ。(3)しかし、楽しむことも大事だ。(4)しかし、いちばん大事なのは、そのスポーツの中で(勝つためであれ、楽しむためであれ)自分と相手が(技術的にも人間的にも)成長していくことである。確かに、スポーツに取り組んでいる最中は、スポーツの意義のようなことを考えているわけにはいかないが。
 昔話の実例は、社会実例の一種です。よく使われるのが「桃太郎」。
 「スポーツの勝ち負け」という課題では、「牛とカエル」などが書けそうです。子ガエルに、「牛のおなかはこんなに大きいんだよ」と言われたお父さんガエル。「それはこれぐらいかな」と自分のおなかをふくらませているうちにパンクしてしまいました。
 現代の子供は、意外と昔話を知りません。昔話を思いつかないときは、これまでに読んだ長文から似た例を選びましょう。
 「スポーツの勝ち負け」は、「スポーツは楽しむためにある。勝つことよりも参加することに意義がある」という考え方と「勝つために努力してこそ実力もつくし楽しみもある。スポーツの勝ち負けは大事だ」という考え方を対比して考えてみましょう。名言は、「ライオンは一匹のウサギを……」「私たちの幸福が……」などが使えそうです。
 オリンピックは勝ち負けがはっきりしているので、見ているほうも真剣に応援してしまいます。しかし、勝ち負けがあると、相手のミスを思わず喜んでしまうような場面も出てきます。勝ち負けがあるほうが面白いという考えと、勝ち負けなど考えずに楽しくやれればいいという考えがあります。複数の意見を比較しながら総合化してみましょう。
●スポーツの勝ち負け、けんか
 最初に、第一段落で身近な実例を書きます。「この前、体育祭で、うちのクラスと隣のクラスが決勝戦に残り、ぼくは燃えた。」のような実例です。
 次に第二段落で、意見Aを書きます。「確かにスポーツに勝ち負けは必要だ。」その理由も書きます。「勝ち負けがあることによって、人間は熱心に取り組むことができるからだ。」その実例も書きます。「リレーの練習で、勝敗に関係ないときんは、みんな適当に走っていたが、勝敗を決めるときには真剣だった。」
 第三段落で、意見Bを書きます。「しかし、勝ち負けにこだわるのはよくないという考えもある。」その理由も書きます。(理由が思いつかないときは、そのまま実例に進んでもいいです)「勝ち負けにこだわると、相手のミスを喜ぶような心理が生まれるからだ。」その実例。「この前、ワールドカップで、日本の対戦相手がミスをすると、思わずみんなで拍手をしてしまった。」
 第四段落で、総合化の主題を書きます。「このように、スポーツの勝ち負けには、いい面も悪い面もある。しかし、大事なことは、勝ち負けがよいか悪いかということではなく、その勝ち負けを通して互いが成長していけるかどうかということではないか。」反対理解。「確かに、人間は目先の勝ち負けにこだわってしまうという心理がある。しかし……」
 総合化の主題の考え方
 (1)Aという方法もよい。Bという方法もよい。しかし、大事なことはCという目的である。
 (2)Aという目的もよい。Bという目的もよい。しかし、大事なことはCという手段である。
 (3)Aという相手もよい。Bという相手もよい。しかし、大事なことはCという自分である。
 (4)Aという見方もよい。Bという見方もよい。しかし、大事なことはCという実行である。
 のように、二つの対立物を次元を超えて総合化するということです。
●構成図の書き方
 構成図は、小3以上の生徒が書きます。小2以下の生徒は、絵をかいてから作文を始めるという課題になっているので、構成図は書かなくて結構です。
 構成図を書くときに大事なことは、思いついたことを自由にどんどん書くことです。テーマからはずれていても、あまり重要でないことでも一向にかまいません。
 たくさん書くことによって、考えが深まっていきます。したがって、構成図は、できるだけ枠(わく)を全部うめるようにしてください。しかし、全部埋まらなくてもかまいません。
 枠と枠の間は→などで結びます。この矢印は、書いた順序があとからわかるようにするためです。作文に書く順序ということではありません。
 

構成図は、原稿用紙や普通の白紙に書いて結構です。
構成図を書きます。
頭の中にあるものをそのまま書くとき。
構成図で書くとき。
初めに絵をかきます。(絵はどこにかいてもいいです)
思いついた短文を書きます。(どこから始めてもいいです)
思いついたことを矢印でつなげていきます。
関係なさそうなことでも自由にどんどん書きます。
はみだしてもかまいません。大体うまったらできあがり。



10.2週 
●最近、よく絵本を(感)
 第一段落は、要約です。

・絵本を開くと、忘れていた大事な感覚が甦ってくる。
・幼い者は、鋭い感受性で物事の最も本質的な部分を感じ取っている。それを表現すると、みな詩になる。
・すぐれた絵本は、詩と同じく物事の本質的で大切な部分を表現している。

 第二段落は、意見Aと実例。

「幼いころの感覚を思い出してみることは大切だ。」
幼いころ、草花で遊んだり泥んこ遊びをしたこと、祖父母から聞いた話など、思い出すと生き生きとした感覚が甦ってくることがあるでしょう。そのときでなければ味わえない、貴重な感覚です。たとえを使って表現してみましょう。

 第三段落は、意見Bと実例。

「大人としての感覚を身につけることも大切だ。」
中学生のみなさんは、大人と子供の間の微妙な時期です。大人としての感覚を身につける必要性を実感することがあるでしょう。大人になると、将来のことを考えながら今どう過ごせばよいかを考えることができるようになります。(昔話実例「アリとキリギリス」)また、自分の利益だけでなく周りのみんなの幸せを考えながら生きることができるようになります。(昔話実例「賢者のおくりもの」)

 第四段落は、総合化の主題です。

「確かに、子供時代と大人になってからのそれぞれに大切なことはある。しかし、本当に大切なことは、人間としてよく生きるためには何が必要かということだ。『私たちの人生は、私たちが費やしただけの価値がある』という言葉があるように、今までどのように生きてきたかが自分という人間にすべて反映されるのだと思う。」


10.3週 
●日本語は乱れているのか(感)
 第一段落は要約。内容にボリュームがあるのでまとめにくい。
 第二段落は意見Aと実例。「確かに、言葉は時代とともに変化していく。そうでなければ、その時代の表現に対応できないからだ。例えば、明治時代に大量に作られた漢語もある意味では流行語だったと言えるだろう。その時代に作られた経済、哲学、自動車などの言葉がなければ、日本語は近代化に対応できなかったはずだ。言葉の乱れとは、そう考えれば、言葉が時代に適応するための過渡的な現象と言える」
 第三段落は意見Bと実例。「しかし、言葉の乱れが単に言葉の貧困化でしかない場合もある。例えば、この長文にもあるように、『うっそー、マジー、むかつくー、ちょーナウイじゃん』(そんなこと書いてないだろ)などの言葉は、思考を停止した言葉とも言える。昔話の姥捨て山にもあるように、年寄りの知恵は尊いものだ。
http://www.mori7.net/kusa/mukasibanasi/index.php?id=10
伝統的な言葉の知恵を奪うような言葉の乱れには警戒するべきだろう。」
 第四段落は総合化の主題。「しかし、大事なことは、言葉の乱れを他人事の話として考えるのではなく、自分たちに責任のある問題として考えることだ。伝統を生かしつつ、新たに豊かな言葉を作っていくためには、まず私たち自身が言葉に対して豊かな感受性を持っていく必要があると言えないだろうか。」

11.1週 
●本には実に様々なものが(感)
第一段落は、要約→状況説明。 結びに向けて、筆者の主張がたたみかけるように広がっていき、「ためらう」ことの価値で収束している流れを読み取り、自分自身の身近な体験と結びつけて考えればよいでしょう。
第二段落から第三段落は、●複数の意見<構成>。
・たしかに著者の意見や世界観にひたることは、読書の楽しみである。(意見A)
・しかし、偏った読書は、かえって思考の幅を狭めてしまう危険性がある。(意見B)
意見Bは他に、
・しかし、一つの世界観に傾倒しすぎる読書は、「ためらう」という思考吟味のプロセスを排除してしまう。
●長文実例<題材>は、10.2週の子どもの感受性の豊かさを述べた部分を引用し、青年期の偏った読書が感受性を損ねてしまうと、意見に合わせて展開してみよう。
●昔話の実例<題材>は、「裸の王様」。 王様が服を着ていないことに違和感をもったのは、子どもだったことから。
第四段落は、●反対意見理解<主題>から総合化をしていきます。
・たしかに、読書は傾倒することの楽しみと危険性を併せもつ。大切なのは、自分の実体験や生活と読書を結びつけ、ためらいを独自性のある意見に変える思考力を身につけることではないだろうか。
●名言<表現>は、「読書とは、自分の頭で考えることではなく、他人の頭で考えることである」、「ことごとく書物を信ずれば、書物を読まないのと同じことである」。
●本には実に様々なものが(感)
 第一段落は、自分の身近な読書生活・情報生活を書きます。「私もよく本を買う。それは……」
 第二段落は、情報の大切さ。「確かに、本は読むためにある。図書館で借りたものであっても、インターネットで調べたものであっても、その情報が使えればよい。私も、先日、調べ者があって……」
 第三段落は、読書の大切さ。「しかし、買うことが必要な本もある。特に感動した本は、自分で買って手元に置いておきたいと思う。例えば……」
 第四段落は、総合化したまとめ。「このように考えてくると、読書と情報とどちらが大切かというような考え方ではなく、何のためにそれを読むのかという目的が大切になってくる。同じ本を同じ人が、あるときは読書として読み、あるときは情報として読むということもあり得る。結局……」

11.2週 
●私は大学で長年(感)
 第一段落は要約。全体の四分の一くらいの字数を目安に長文の内容をまとめます。

 第二段落は、意見A。「成功の喜びを味わうことは大切だ。」何かを成功させた達成感は、自信につながります。一つのことを成功させ、自信がついたというような体験実例を挙げてみましょう。

 第三段落は、意見B。「しかし、失敗することにも良さがある。」長文にもあるように、失敗は成功のもとです。失敗を重ねることで多くを学ぶことができます。学校のテストでも一度間違えた問題は、二度と間違えないものです。昔話の「三匹のこぶた」でも、オオカミに襲われるという失敗があったからこそ最後にはお兄さんぶたも頑丈なレンガの家を建てたのです。

 第四段落は総合化。「成功の喜びを味わうことにも、失敗を重ねることにもどちらにも良さがある。しかし、いちばん大切なことは、「私たちの人生は、私たちが費やしただけの価値がある。」という名言があるように、成功も失敗も含めて自分の過去を大切に生きていくことだ(総合化)。」

11.3週 
●情報という言葉が(感)
第一段落は、要約および状況説明。 筆者は「読書」と「情報」をどのように対比し定義づけているか抜き出し、まとめていきます。 さらにあなた自身は、この長文の例に出てくる二人のどちらにあてはまるか考えてみましょう。

二段落目から三段落目は、●複数の意見<構成>。
・確かに、情報は早くたくさん持っていることに意義がある(意見A)。
たとえば、旅行にでかけるときのことを想像してみましょう。
行き先の気候、交通、治安、食べ物……など、最新の情報をなるべくいろいろなところから集めることが大切です。 その土地に関する歴史書を読み込んだところで、旅行プランを立てるにはあまり役に立ちません。
・しかし、読書をすることで、その人の考え方の土台ができる(意見B)。
また旅行の話になぞらえての説明ですが(笑)、たくさんのガイドブックにしたがってあちこちの名所旧跡を見て回るより、以前愛読した一冊の歴史書が、訪れた土地への理解や感動を生むという場合もあります。

●長文実例・昔話の実例<題材>を説明に用います。
11.1週に読んだ長文は覚えていますか?
読書は自分とは違う意見を溜めておくことで、懐が深くパワーのある知性を鍛える……などと、述べられていましたね。 今回書く意見に合わせて、取り入れてみましょう。
 昔話で思い当たるものを使ってもOK。

四段落目は、●反対意見への理解<主題>→総合化の主題。
 「確かに情報も読書も人間にとっては大切だ。 しかし、最も重要なのは、双方をうまく使い分けることだ」という展開にしてしまいそうですが、これは総合化とはいえません。 しかし以降は、さらに次元の高い意見を導いてみましょう。
読書によって作られたしっかりした土台にこそ、情報はおいしい実をつけるのではないでしょうか。 いくら情報をたくさん得ても、土台となる木が貧弱では倒れてしまいますね。

●名言の引用、たとえ<表現>を織り込むのを忘れずに。 読書に関する名言は、選ぶのに迷うほどたくさんあります。探してみてください。
総合化のヒント追加。

【方法+方法→目的】
 情報という方法も読書という方法も大切だ。しかし、いちばん大切なのは、何のために情報と読書を得るのかという目的だ。

【手段+手段→結果】
 情報という手段も読書という手段も大切だ。しかし、いちばん大切なのは、そこからどういう結果を出すかということだ。

【目標+目標→過程】
 情報という目標も読書という目標も大切だ。しかし、いかに真剣に取り組むかという途中の過程が最も大切だ。

12.1週 
●日本の美術ということを(感)
第一段落は、要約と状況説明を書きます。
日本の美とは何か。それは、自然とともに過ごしてきた日本人の生き方と関わってくると述べられていますね。
さて、現在の生活と照らし合わせてみると、どうでしょう。

二段落目から三段落目は、●複数の意見<構成>。
意見AとBを反対の立場で構成してみると、たとえば、
・確かに、近代技術の進展とともに、人為的に作られた建物や製品にも美しさが認められるようになった(意見A)。
・しかし、日本人の心を動かすものとして、生命の美しさや自然の美にかなうものはない(意見B)。

●昔話の実例または長文実例<題材>を、この段落で用います。
昔話としては、「町のねずみと田舎のねずみ」が使えそうですね。

http://www.mori7.net/kusa/mukasibanasi/index.php?id=261&limit=30&offset=0&hennsyuu=

四段落目は、●反対意見への理解<主題>→●名言の引用<表現>、さらに総合化の流れで結びます。
反対意見への理解→総合化は、たとえば、
・たしかに、人為的なものにも自然のものにも美は存在する。しかし、大切なのは美の存在を見出す感受性を養うことだ。
このように、しかしから後を異なった次元で書いていきます。
名言は、「存在するものには、良いとか悪いとかを言う前に、すべてそれなりの理由がある」など。


12.2週 
●環境問題は(感)
今週は、環境問題について自分の考えをまとめておくよい機会です。
一段落目は、要約と状況説明を中心に書きます。地球環境問題は人間の欲望が大きな原因であること、都会と地方の対立、公徳心など、まず段落ごとにポイントを見つけてから考えてみましょう。

二段落目から三段落目は●複数の意見<構成>
意見Aと意見Bを対照的な立場から考えることで、土台のしっかりした意見を書くことができます。
・確かに私たち人間は、地球の環境に大きな負荷を与える存在である(意見A)
・しかし、私たち人間はまた、知恵をもって失われた地球環境を取りもどすこともできるはずだ(意見B)。
意見Aの負荷の例には、最近問題となっている環境のニュースを取り入れられるといいですね。(例)地球温暖化、ゴミ問題など。
意見Bには、●昔話の実例、長文実例<題材>を説明の材料として使ってみましょう。 「ハメルーンの笛吹き」というドイツの民話がありますが、私たちは、豊かさという笛吹き男のすすめるままに、二度と取りもどせない地球環境を失おうとしてはいないでしょうか。 これからは人間だけに与えられた知恵を活用し、物質的豊かさを見直すべきでしょう。
長文実例は11.2週からヒントを得られそうです。

●たとえ、名言の引用<表現>を忘れずに。名言は、四段落目に入れると、結びに重みを出すことができますね。

四段落目は、●反対意見への理解<主題>→総合化。
(例)確かに私たち人間は、地球に負荷を与える存在でもあるが、知恵をもって環境を取りもどすこともできる。 (名言)→今、もっとも大切なのは……。 

12.3週 
●アナウンサーの仕事で(感)
第一段落は、要約と状況説明。 「聞く」「聞き出す」ことの大切さや難しさを感じた体験を思い出しながら、今回のテーマ「聞く力」についてまとめましょう。

第二段落から第三段落は、●複数の意見<構成>。

(例)たしかに、自分の考えていることを話すことも大切だ。 なぜなら、自分に興味をもってもらうことで、相手の気持ちを引き出すことができる。

 しかし、相手のペースや立場を理解して聞くことで、その人の本音を引き出せる場合もある。

 ●昔話の実例、または長文実例<題材>で、意見に説得力を持たせます。

「きき耳ずきん」という昔話がありますが、老人が動物の声を聞くことができるようになったきっかけは、子ぎつねのピンチを救ったからです。

(昔話の草)

長文実例は、相手の立場に立つことの大切さをテーマにしたものを、これまで取り組んできた長文の中から探してみましょう。

四段落目は、●反対意見への理解<主題>、●名言の引用<表現>。

(例)たしかに、自分の考えを話したり、相手のペースへの配慮をすることで、聞く力を伸ばすことができる。 しかし、一番大切なのは、話を聞きだす技術そのものではなく、お互いの立場を超えた人間同士の信頼関係なのだ。