解説集 ベニバナ の池 (印刷版 )
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1.1週
●本当の豊かさ、ポイ捨て
物の豊かさと心の豊かさを対比して考えてみるといいでしょう。「ボロは着てても心は錦ー♪」という歌がありますが(水前寺清子。いつの話じゃ)、「衣食足りて礼節を知る」ということわざもあります。この二つの考えを総合化してまとめてみましょう。
中2 1.1週のヒント ●本当の豊かさ
第一段落は、豊かになった現在の身の回りの様子を書いていきます。 第二段落は、物が豊かであることのよい面。「確かに豊かであるのはよいことだ。飢えや寒さに苦しまないことは人間が幸福に暮らすための最初の条件だ」 第三段落は、反対意見。「しかし、物がゆたかであるだけでは充分ではない。物とは違う心の豊かさもまた必要だ。昔話に出てくる桃太郎が退治した鬼は、確かに豊かな暮らしをしていたかもしれない。しかし、キビダンゴ一つで桃太郎についていった犬や猿やキジの方が、心は豊かだっただろう」 第四段落は総合化。「物の豊かさも心の豊かさも、どちらも大切だ。しかし何よりも大事なことは、そういう豊かな社会を、自分たちがこれから作っていくということだ」
Re: 中2 1.1週のヒント ●本当の豊かさ
貧しいけれども心の豊かな人の例は、昔話にたくさんあります。(そしてそれと対照的な、悪いおじいさんおばあさんの例も。)今回は、珍しく(?)「昔話実例」が入れやすい回と言えるでしょう。 たとえば、売れ残ったかさをお地蔵様にかぶせてあげた「かさこじぞう」、「舌切り雀」や「花咲かじいさん」、「浦島太郎」も、そもそもはいじめられていたカメを助けてやる話でしたね。
構成図の書き方
構成図は、小3以上の生徒が書きます。小2以下の生徒は、絵をかいてから作文を始めるという課題になっているので、構成図は書かなくて結構です。
構成図を書くときに大事なことは、思いついたことを自由にどんどん書くことです。テーマからはずれていても、あまり重要でないことでも一向にかまいません。
たくさん書くことによって、考えが深まっていきます。したがって、構成図は、できるだけ枠(わく)を全部うめるようにしてください。しかし、全部埋まらなくてもかまいません。
枠と枠の間は→などで結びます。この矢印は、書いた順序があとからわかるようにするためです。作文に書く順序ということではありません。
構成用紙は、構成図の書き方に慣れるために使います。構成用紙を使わずに、白紙に自由に構成図を書いてもかまいません。
構成用紙を使って構成図を書きます。 頭の中にあるものをそのまま書くとき。 構成図で書くとき。 初めに絵をかきます。(絵はどこにかいてもいいです) 思いついた短文を書きます。(どこから始めてもいいです) 思いついたことを矢印でつなげていきます。 関係なさそうなことでも自由にどんどん書きます。 枠からはみだしてもかまいません。 全部うまったらできあがり。
★本当の豊かさ、ポイ捨て
[ミニヒント] ハンス・クリスチャン・アンデルセンの創作童話の 「マッチ売りの少女」→彼女は売れ残ったマッチ一本ずつに火をつけ、自分の家族や、おいしそうな食べ物を思い出しながら、大みそかの雪の夜に天国へと旅立って行きました。 新しい年の朝、少女はマッチの燃えかすを抱えて幸せそうに微笑みながら死んでいました。彼女の心には、心の豊かさと、他の誰にも感じられないけれど、大きな満足感がありましたよね。
1.2週
●慰霊祭のたびに官僚たちの挨拶が(感)
この長文は、ちょっと読み取りにくいと思います。意見は「慰霊祭をするよりも、二度と戦争が起こらないような調査や研究をすることのほうが大事だ」ということになるでしょう。実際に戦争を体験した人たちは、「もう二度と戦争をしてはならない」と心から感じているのだと思いますが、戦争の体験がない若い人たちに、「だから、その体験を共有するために語り継ごう」ということだけでは、戦争を本当に止める力にはならないでしょう。「どうして戦争が起こり、どうしたら戦争を止めることができるか」という研究は、まだ十分に行われているとは言えません。反対理解も忘れずに。 戦争という大きな事例で考えると、話が抽象的になってしまうことがあります。身近な例、例えばけんかなどにあてはめて考えてみるとわかりやすいと思います。けんかをしたあとに、ただ後悔したり反省したりするだけでなく、どうしたらけんかにならなかったかをじっくり考えてみるということが大切だ、ということです。名言は、ぴったり合うものはありませんが、「未来には、ひとりでに……」「民主主義は、教科書には……」などをあてはめることができるでしょう。
中2 1.2週のヒント ●慰霊祭のたびに官僚たちの挨拶が(感)
第一段落は要約。 第二段落は、意見Aと体験実例。「戦争の悲惨さを後世に語り継ぎ、反省することは大切だ。深く反省することは、新しい出発の土台となるからだ。」体験実例は戦争の本や映画の話など。又は、ぐっと身近に友達とけんかしてしまった例、忘れ物などの失敗をしてしまった例などを書きます。「深く反省して、それからはそんなことはしないようになった」など。 第三段落は、意見Bと昔話実例。「しかし、どうしたら戦争にならないかを論理的に考え、対策を立てることも大切だ。」つまり、反省よりも、そういうことが二度と起きないように工夫をすることの方が大切だということです。よく、「すみませんではすまないだろう」と言うことがありますが、「すみません」と謝っている暇があったらその分実際に効果のあることを考えろということです。 「昔話の桃太郎は、どうしたら凶悪な鬼たちを退治できるかを具体的に考えた末、犬、猿、キジを家来にすることにしたのだ。(たまたま出会っただけのような気もしますが。)」又は、「さるかに合戦のかに軍団は、綿密な計画を立てたからこそさるを倒すことができたのだ。」 つまり、桃太郎の村の人たちは、鬼にさらわれた人の慰霊祭などを毎年盛大にやるかわりに、鬼を退治に行くという現実的な対策を立てたということです。深いなあ。 第四段落は、反対理解と総合化の主題と名言の引用。「確かに過去の戦争を反省することも戦争を回避するための対策を立てることもどちらも大事だ。しかし、いちばん大切なことは、「知識がはしごを作ったのではなく、二階に上がりたいという熱意がはしごを作ったのだ。」という名言があるように、私たちが平和を求める強い気持ちを持ち続けることである。」
Re: 中2 1.2週のヒント ●慰霊祭のたびに官僚たちの挨拶が(感
第3段落、「過ちを未然に防ぐ努力も必要だ。」という意見の「昔話実例」。 「3びきのこぶた」。最初に苦労して、笑われながらもれんがの家を建てた末っ子は、将来の災難を未然に防ぐことができたと言えますね。
●慰霊祭のたびに官僚たちの挨拶が(感)
「慰霊祭」という形で、戦争の犠牲者に対する残された人の気もちや感情をなぐさめる行いは平和な形ですね。しかし、感情を中心に考えると、今世界では、戦争の犠牲者の肉親の人の中には、憎しみを忘れないず行動にうつすということもあります。。これが「憎しみの連鎖」と呼ばれています。そしてこの「憎しみの連鎖」をたちきるためにも、犠牲者を出した戦いはいつどうして始まって、どのように展開したかという、冷静な分析と研究をして、それを発表することが必要だとわかってきています。 「慰霊祭」は平和な方法ですね。
★慰霊祭のたびに官僚たちの挨拶が(感)
[昔話実例ミニヒント ] 山口勇子 原作の「おこり地蔵」 ⇒広島のある横丁に、「笑い地蔵】と親しまれている小さなお地蔵さんが建っておられた。真っ青に晴れ上がった空に、敵の飛行機が現れたかと思うと、グーンと高度を下げて広島の町の真ん中あたりに爆弾を投げつけた。原爆が投下された瞬間です。) 横丁のお地蔵さんも、横なぐりの爆風に吹き飛ばされて、ズデーンと焼けた砂の上に落ちてそのまま埋まり、笑った顔だけが地面にのぞいていた。…(中略)……おびただしい怪我人の中で、「かあちゃん! 水が飲みたいよう! 」と言いながら苦しんでいた女の子を見ているうちにいつの間にか、お地蔵さまの顔は。まるで何者かをにらみつける仁王の顔になった。 見開いた地蔵の目にいっぱい涙が溢れてきたのを飲みながら、少女が息を引き取った。いっぱいにくいしばった地蔵の顔が、グラッ! と大きく揺れた。そして、もう耐え切れんという具合に、グサグサ! グサグサ!と小さな粒になって崩れ落ちると、あたり一面に散らばってしまった。というお話です。(きっとお地蔵さまは、皆に「争いごとをしないように」と、笑顔を向けて戦争反対を強く唱えていたのでしょうね……。)
1.3週
●一流ホテルの、いかにも(感)
要約のヒントはありません。自分で第3週の長文を線を引きながら3回以上くりかえし読んで、大事だと思ったところを3ヶ所ぐらい選んで、それらの文を意味が通じるようにつなげていきましょう。中学生の人は、要約の力もついてきていると思いますから、ただ要約するだけでなく、200字ぴったりに要約するというふうに自分で字数を制限して書いていくとよいでしょう。 この長文に対する意見の書き方は難しいと思います。長文そのものが意見を述べているわけではないので、自分で見つけていくことが必要になります。もちろんその見つけ方は人によって違います。書きやすそうな意見としては、「場所に応じた振る舞いが大切だ」「しかし、あまり無理する必要はない」というところでしょう。みなさんも、うちにいるときの言葉遣いとよその人に話すときの言葉遣いを自然に変えていると思います。しかし、あまり無理をして、「○○先生がおっしゃられましたように」なんて舌をかみそうな言い方をしてしまうときがあるでしょう。(この場合は、「おっしゃいました」か「いわれました」が正しくて、「おっしゃられました」は二重敬語です) 名言は、外見よりも中身が大切だという意味で、「自分の心のうちに……」「持ち物を気にするのは……」「ロバが旅に出たところで……」など。
中2 1.2週のヒント ●一流ホテルの、いかにも(感)
第一段落は要約。これから書こうとする作文全体の字数の4分の1ぐらいを目安に要約していきましょう。 第二段落は、意見Aと体験実例。「確かに、自分らしさは大切だ。私は、改まった席でも、できるだけ自分らしい服装や振る舞いで行動するようにしている。先日も、卒業式にランニング姿で登場してみんなに笑われた。(するなよ)」 第三段落は、意見Bと昔話実例。「しかし、その場に応じた振る舞いも大切だ。結婚式に黒いネクタイをしていく人はいないし、お葬式に真っ赤なシャツを着ていく人もいない。桃太郎も、鬼退治に行くときは、頭に鉢巻をしていった。」 第四段落は、反対理解と総合化の主題と名言の引用。「確かに、自分らしさも、その場に応じた振る舞いも、どちらもそれなりに大切だ。しかし、共通して言えることは、そこに周囲の人に対する思いやりがあるかどうかということである。『家とは、外から見るためのものではなく、中で住むためのものである』という言葉がある。中に住んでいる人にとっていちばん心地よい状態が大事なのである。」
Re: ●一流ホテルの、いかにも(感)
第3段落、「その場にあった振る舞いをすることも大切だ。」の「昔話実例」。 「こぶとりじいさん」。鬼の宴会に紛れ込んでしまったいいおじいさんは、そこでおもしろい歌や踊りを披露して、それがうけたために頬のこぶを取ってもらうことができました。まねをした悪いおじいさんの方は、その場に合った芸を披露できなかったため、もうひとつこぶをもらって帰る羽目になってしまいました。
●一流ホテルの、いかにも(感)
「自分らしさを大切にする」例としては、音楽や美術、文学などの芸術が考えられますね。美術の時間に自分が創作したものや先生のことばなどが例になりそう。反対に、「その場に応じたふるまい」は、型がきまっている「茶道」や「和食のマナー」などがあげられます。家庭科などでマナーについて学んだことがあれば。 「昔話実例」「シンデレラ」が、もし汚い格好のままお城に行っても、まず舞踏会には入れてもらえなかったでしょう!そして出会いのあとは、もう汚いかっこうをしていても、よかったのですよね(笑)。
●一流ホテルの、いかにも(感)
【ミニヒント】 ☆イソップ童話の「いなかのねずみと町のねずみ」→二匹は、それぞれの家に招待しました。町のねずみは田舎の生活の、何もないことに退屈。田舎のねずみはまちの忙しさに目をまわします。二匹)は自分の家のよさを再確認し、自分にふさわしい場所へと帰っていくというお話。安心してのんびり暮らしている方が、びくびくしながら都会で過ごすより、居心地が良かったのでしょう。 ☆「忠臣蔵、刃傷松の廊下」→ご存じ、「殿中でござる!!」のあの場面。服装の違いや、江戸城内での不適切な振る舞いが、大きな事件を起こすきっかけとなり、今も語り継がれ、これまで、幾度となく、映画、化ドラマ化されています。
2.1週
●イスラエルを旅していたとき(感)
内容:イスラエルでは全員一致の裁決は採用しないと言われている。裁決を必要とする案件で全員が一致するというような事態は不自然だ。イエスとノーの差ははっきり分かれているものではなく、それぞれいくらかの割合で分かれている。そう考えると、全員一致の裁決を採用しないという考えには意味がある。 解説:イエスやノーをはっきりさせられないことというのは、ふだんの生活にもたくさんありますね。みなさんが洋服を買うときなども、「こっちにしようかなあ。それともあっちにしようかなあ」と迷うことがあるでしょう。この場合は、「色の面ではAが80%でBが20%だが、形の面ではAが30%でBが70%で、色と形とどちらのウェイトが高いかというと、色が40%で形が60%で……」という複雑な計算が頭の中で働くからです。 クラスで話し合いをするときなどは、全員一致で決まったことであっても必ずその決定を内心不満に思う少数者がいるものです。 しかし、日本では昔から全員一致を組織運営の原則とするという伝統もありました。村の方針を決める話し合いなどでは、多数決で決めずに何日も何ヶ月も話し合いを続けることによって最終的に全員一致になるまで話をするというやり方が採られていたようです。みなさんの中にも、「多数決で決めたことなら反対者がいてもゴー」という割り切り方に抵抗を感じる人が多いでしょう。日本人は、「一応、かたちの上だけでもみんなが賛成してくれなきゃ」というメンタリティを持っているようです。 全員一致のよい面、悪い面ということで考えていきましょう。総合化は、「全員一致か否かという結果ではなく、そこにいたるまでの話し合いの過程が大切だ」という感じになるかな。
中2年 2.1週 ●イスラエルを旅していたとき(感)
第一段落は要約。これから書こうとする作文全体の字数の4分の1ぐらいを目安に要約していきましょう。 第二段落は、意見Aと体験実例。「確かに、多数決で物事を決めることは大切だ。」 第三段落は、意見Bと昔話実例。「しかし、全員一致になるまで話し合うことも大切だ。昔話の桃太郎でも桃太郎と家来たちが全員一致で鬼征伐に向かったからこそ力をあわせて鬼を退治することができたのだ。」 第四段落は、反対理解と総合化の主題と名言の引用。「確かに、多数決にも全員一致まで話し合うこともどちらにも良さがある。しかし、「議会の目的は、議論を殴り合いの代用品にすることである。」という名言もあるように一番大切なのは話し合いの過程である。
●イスラエルを旅していたとき(感)
【昔話実例のミニヒント】 「ネズミの会議」で猫の被害に悩んだネズミたちが会議を開いたとき「猫に鈴をつければいいのだ!!」と、発言したネズミがいました。「それはいい考えだ。」と全員一致で決まりそうになったとき、一匹が「じゃあ、誰が、猫の首に、鈴をつける役目をするの?」と言い出し、皆、黙り込んだ・・・・・・・というお話がありまね。 そのあと、ネズミたちは、猫を撃退する方法をはなしあったかどうか・・・・?は、物語には書かれておりません。^^; でも《全員一致の裁決は採用しない≫という実例に使えそうですね。
2.2週
●文化もパーソナリティも(感)
内容:私たちの支配者は過去の時代のように名前を持った権力者ではない。私たちの欲望は、今の時代の価値観に左右されている。大自然の中でも、その価値観から逃れることはできない。 解説:コード(CODE)は「法典、慣例、符号」などの意味でこの場合は「法典」というところでしょう。交換価値とは、「商品の金額に換算できる面」というぐらいの意味です。 似た話は、「もっと○○になりたい(やせたい、かっこよくなりたい、成績がよくなりたい、いい家に住みたいなど)」が、今の時代の価値観の反映であるというところで考えられるでしょう。美人という価値観でも、源氏物語に出てくる美人の顔と、浮世絵に出てくる美人の顔と、現代の美人の顔とではまったく異なるものです。 意見は、「今の時代の価値観に流されず自分の価値観を大切にしよう」または、「自分の持っている価値観が時代や文化に影響されていることを自覚しよう」と考えてみるといいでしょう。反対理解は、「その時代の価値観に合わせていきることも大切だが」。 名言は、「人はその制服のとおりの……」「自分が考えるとおりに……」「英雄が歴史を作るのではなく……(人間は時代によって作られる)」「未来にはひとりでにできる未来と……」など。
中2 2.2週のヒント ●文化もパーソナリティも(感)
第一段落は要約。 第二段落は、意見Aと体験実例。「自分自身の価値観に従って生きることは大切だ。」体験実例は、周囲の流行などに流されず、自分の考えで行動したこと。 第三段落は、意見Bと昔話実例。「しかし、その時代の価値観に合わせて行動することも大切だ。昔話の桃太郎でも、桃太郎が持っていたのがきび団子ではなく高級シュークリームだったら、犬、猿、キジは桃太郎を敬遠し、家来にはなっていなかっただろう。」 第四段落は、反対理解と総合化の主題と名言の引用。「確かに自分自身の価値観に従って生きることも、周囲の価値観に合わせることもどちらも大事だ。しかし、いちばん大切なことは、「未来には、ひとりでにできる未来と、自分で作る未来との二つがある。」という名言があるように、今のことだけを考えるのではなく、未来の価値観を自らの手で作っていくことだ。」
●文化もパーソナリティも(感)
【ミニヒント】昔話実例 死刑を告げられた娘は、心を病む王様に毎晩、不思議な話を聞かせる。いつしか王様は その娘の話を心待ちにするようになる。一夜に一話ずつ語られる、わくわくするような物語。そうして千一夜がすぎ、ついに娘は刑の執行を逃れ、自由の身となった。・・・・・・という「アラビアンナイト」のお話。王様の心の病気をなおしてあげなければ!ということで、「時代の価値観に合わせて行動することも大切」という第三段落の意見を書くときに引用できそうです。また、死刑にされそうな極限の状態の中でも、決して自分を見失うことなく、冷静に判断し、いっぱい興味深いお話をして王様の心を癒してあげることができたのでしょう。その時、その場に応じた必要性を、賢い娘は、見出したのかもしれませんね。 あと、芥川龍之介作「鼻」に登場す5....6寸ある滑稽な鼻をもった池の尾の僧である禅智内供(ぜんちないぐ)の話なども使えそうです。
2.3週
●私が本当に「日本」を身をもって(感)
内容:上野の博物館で縄文文化に触れて衝撃を受けた。現代の日本は欧米文化にばかり目をむけているが、欧米文化そのものが行き詰まりを自覚しつつある。現代の日本文化と縄文を基点とする日本文化の両方のきわどいバランスを取りながら進んでいきたい。 解説:「縄文文化のよさを見直そう」という芸術・文化の話で意見を書くことは難しいので、筆者の生き方に関連させて意見を書くのがコツ。「理想と現実のバランスをとることの大切さ」や「自分の信じた道を進むことの大切さ」など。反対理解は「これまでの常識や伝統を尊重することも大切だが」。 名言は、「自分が考えるとおりに……」「人間は求めているかぎり……」「脱皮できない蛇は……」「良い馬は長い坂を……」など。
中2 2.3週のヒント ●私が本当に「日本」を身をもって(感)
第一段落は要約。 第二段落は、意見Aと体験実例。「周りに惑わされることなく、自分の信じた道を進んでいくことは大切だ。」体験実例は、周囲の意見などに流されず、自分の考えで決断し、行動したこと。 第三段落は、意見Bと昔話実例。「しかし、周りの人の意見を取り入れることも大切だ。昔話の桃太郎でも、桃太郎はおばあさんに勧められたとおりきび団子を持って鬼征伐に向かった。このきび団子がなかったら鬼征伐は成功しなかっただろう。」 第四段落は、反対理解と総合化の主題と名言の引用。「確かに自分の信じた道を進むことも、周りの意見を取り入れることもどちらも大事だ。しかし、「知識がはしごを作ったのではなく、二階に上がりたいという熱意がはしごを作ったのだ。」という名言があるように、いちばん大切なのは目標を達成しようとする熱意だ。」
●私が本当に「日本」を身をもって(感)
【ミニヒント】昔話実例 「聞き耳ずきん」というお話があります。 おじいさんは、子供たちにいじめられている子ぎつねを助けてやった。子ぎつねの親は、お礼として おじいさんに《きき耳ずきん≫を渡した。おじいさんがきき耳ずきんをかぶってみると、にわとりやふくろうの話がわかった。ふくろうは、長者の娘が病気になったのは桜の木が日陰に植えられているからだと話していた。それを聞いたおじいさんは、桜の木を日当たりのよい所に植えかえるよう長者に言った。娘の病気は治り、長者は村人たちに米を分けてあげた。……という内容です。 いきものに対しても、たいへん優しくて、思いやりのあるおじいさんは、また、ふくろうの助言を素直に尊重する柔軟な考えの持主だったわけですね。それを、長者に教えてあげたとき、彼も、娘の病気を治したい一心で、実行したからこそ、いい結果が得られたのでしょう。第三段落の、「しかし、周りの人の意見を取り入れることも大切だ。」という意見を書くとき、昔話実例として、最適なお話のようですね。
●私が本当に「日本」を身をもって(感) 昔話事例
「まわりの人の意見に耳を傾けることも必要だ」という昔話実例には、「アリとキリギリス」の話も使えそう。働き者のアリを尻目に「今を楽しむこと」を第一に考えていたキリギリス。せっせと働き続けていたアリを笑っていたキリギリスですが、冬を迎えて食べ物がなくなり、結局アリに頼らざるを得なくなります。もしも、勤勉なアリを見習っていれば(アリの「働いた方がいい」というアドバイスに耳を傾けていれば)、キリギリスも、もっといい冬を迎えられたのではないでしょうか。
3.1週
●学童のあそびには多くの想像力や(感)
内容:子供の遊びは年齢に応じて発達する。遊びの過程で子供たちは想像力や倫理観を身につける。おとなは子供の想像の芽をつまないようにしたい。 解説:小学校時代の自分の遊びを思い出してみましょう。お店屋さんごっことかお母さんごっことか学校ごっことか、いろいろなごっこ遊びをしたことがあるでしょう。このごっこ遊びの中で、他人の立場というものを理解する想像力が育っていきます。小学校中学年のころは、いろいろなものを収集する遊びがはやる時期ですが、これも、収集することを通して世の中にある事物を分類するという力が育つのだと言われています。スポーツなどでは、フェアプレイの精神やドンマイの精神(そんなのあるのか)などを身につけることができます。 もし、これらの遊びをほとんどせずに、計算練習と漢字書き取りだけをして育ったらどうなるでしょうか。日本に「よく学び、よく遊べ」ということわざがあるように、英語にも「All work and no play makes Jack a dull boy」(勉強や仕事ばかりして遊びがなければそれはジャックを愚鈍な少年にする)ということわざがあります。遊びの大切さというのは、洋の東西を問わず広く認識されています。 しかし、最近は、大学生の学力低下に見られるように、遊びすぎて勉強しないという現象もあちこちで見られます。「やっぱり子供時代は遊ばなきゃ」と力説する人ほど勉強が苦手という傾向があるようです。(笑) 勉強と遊びのそれぞれの大切さを論じながら、最後を総合化してまとめてみましょう。
中2年 3.1週 ●学童のあそびには多くの想像力や(感)
第一段落は要約。これから書こうとする作文全体の字数の4分の1ぐらいを目安に要約していきましょう。 第二段落は、意見Aと体験実例。「子供時代の遊びから得るものは多い。」(「意見」というただし書を忘れずに。)体験実例は自分が子供のころの遊びから学んだことなど。 第三段落は、意見Bと昔話実例。「しかし、勉強しなければ身につかないものもある。」たぶん昔話の桃太郎も、遊んでばかりいたのではなく、おじいさん、おばあさんから読み書きそろばんの教育を受けたからこそ犬、猿、キジを統率して鬼退治をすることができたのだ。(苦しい。^^;) 第四段落は、反対理解と総合化の主題と名言の引用。「確かに、子供時代には、遊ぶことも勉強することもどちらも大切だ。しかし、「子供は大人を小さくしたものではなく、それ独自の価値を持っている。」という名言もあるように一番大切なのは子供時代にしかできないことをたっぷりとしておくことである。」
●学童のあそびには多くの想像力や(感)
【ミニヒント】昔話実例として 子供のいない年寄り夫婦がさずかった子供は背丈が一寸(3センチ)しかない子供だった。 その子は京に上って侍になりたいと旅に出る。途中(とちゅう)さまざまな苦難(くなん)にあいながら、ついには鬼を退治(たいじ)してその宝物の打ち出の小槌(うちでのこづち)を手に入れる。願いどおり背も高くなって、お姫様と結婚して幸せに暮らしたと言う話。これは、言わずと知れた[一寸法師]のお話。 第三段落の「しかし、勉強しなければ身につかないものもある。」という意見を書くときに引用できそうですね。飲み込まれた一寸法師は鬼の腹の中を針で刺すと、鬼は痛いから止めてくれと降参し、一寸法師を吐き出すと山へ逃げてしまったわけです。体が小さい彼は、人一倍努力家で、学問や武術を学んだからこそ、とっさの判断や鬼と戦うときの裏技を身につけられるようになったのかもしれませんね。
3.2週
●二十年前、私は京都で(感)
内容:日本人の多くは、日本文化は外国人にはわからないという迷信を持っている。アメリカ人は、アメリカ文化は全ての国の人に通じるはずだという迷信を持っている。それぞれの立場に悪意はないが、相互理解の妨げになる。 解説:「自分の考えが唯一のものと考えない視野の広さを」という意見をAとすれば、反対意見のBは「他人にわずらわされず自分の世界を深く掘り下げていくのも大切だが」となるでしょう。また、Aの意見を「日本文化の閉鎖性を脱却し国際化を」と考えるのなら、反対意見のBは、「それぞれの文化の独自性を尊重することも大切だが」となるでしょう。 ことわざでは、「井の中の蛙(かわず)大海を知らず」など。
●二十年前、私は京都で(感)
第一段落は要約。 第二段落は、意見Aと体験実例。「自分の考えが唯一のものと考えない視野の広さを持つことは大切だ。」 第三段落は、意見Bと昔話実例。「他人にわずらわされず自分の世界を深く掘り下げていくのも大切だ。昔話の桃太郎でも桃太郎はおじいさんやおばあさんが止めるのも聞かず、鬼征伐に行くことにした。」 第四段落は、反対理解と総合化の主題と名言の引用。「確かに視野の広さを持つことも内側の世界を深めていくこともどちらも大事だ。しかし、いちばん大切なことは、「自国に対する賞賛が他国に対する軽蔑によって支えられているのであってはならない。」という名言があるように、互いに尊重し合えるように自分を高めていくことである。」
●二十年前、私は京都で(感)
ミニヒント】昔話実例 「たのきゅう」という愉快なお話があります。役者のたのきゅうが化け物につかまったけれど、変装の特技を見せたら 食べられずにすんだという話。第三段落の、「他人にわずらわされず自分の世界を深く掘り下げていくのも大切」という意見の昔話実例に、使えそうですね。役者さんは、自分が与えられた役の人物になり切ろうとして、自分の演技力を深く掘り下げ努力しする人が多いです。 あらすじは、次のとおりです。→役者のたのきゅうは、お母さんが病気だと聞いて急いで家に帰る。日も暮れて、暗い山道を歩いていると一人のおじいさんが現われる。そのおじいさんは大蛇が化けているのだった。おじいさんはたのきゅうを食べようとする。たのきゅうが自分の名前を言い、見逃してもらおうとしたところ、おじいさんはたのきゅうの名前をたぬきと聞き間違える。そこで、うまく何かに化けたら見逃してやると言う。役者のたのきゅうはお姫様や殿様に化けておじいさんを喜ばせる。すっかり感心したおじいさんは、彼ととうちとけ、この世の中で何がいちばん恐ろしいか、二人で話をする。たのきゅうは「お金」、おじいさんは「たばこのやに」と言う。家に帰ったたのきゅうは、村の人たちに、大蛇のきらいなたばこのやにを集めて大蛇をこらしめようと相談し、大蛇の住む穴にたばこのやにをぬりたくった。次の日、弱りきった大蛇はたのきゅうの家の前まで来ると、同じ目に合わせてやると、こばんをたくさん投げつけて逃げて行った。たのきゅうは、大金持ちになり、お母さんといっしょに幸せに暮らした。
3.3週
●妖怪の中に「もののけ」という(感)
内容:妖怪「もののけ」がつくと、そのモノをむしょうに捨てたくなる。人類は、これまでモノを捨てずにむしろ拾うことを常態としてきた。産業革命で大量生産が可能になったときに、消費を上回る生産を守るために妖怪「もののけ」が利用された。妖怪「もののけ」の操作によって流通経済は円滑に進行している。 解説:Aの意見は、単純に「モノを大切に」。Bの意見は「経済を発展させるためには、古いモノを捨て新しいモノに置き換える新陳代謝も必要だが」となるでしょう。 名言は、「飽きるということも……(モノを捨てるということも確かに大切だが)」「限られた人生で大事なことは……(いろいろなモノを買うよりも買わずに済ます工夫を)」「自分の心のうちに……(モノよりも心のほうが大切)」「大切なのは健康らしい外見ではなく……(外見の豊かな生活よりも内面的に豊かな生活を)」などが使えそうです。
●妖怪の中に「もののけ」という(感)
第一段落は要約。 第二段落は、意見Aと体験実例。「もっとモノを大切にするべきだ。」 第三段落は、意見Bと昔話実例。「経済を発展させるためには、古いモノを捨て新しいモノに置き換える新陳代謝も必要だ。昔話の桃太郎でも桃太郎は、おじいさんおばあさんと一緒に暮らす村社会という古いモノを大切にする一方で、鬼が島に鬼退治に行くという誰も成し遂げたことのない新たな試みに挑戦した。」 第四段落は、反対理解と総合化の主題と名言の引用。「確かにモノを大切にすることも、経済発展のためにモノの新陳代謝を進めることもどちらも大事だ。しかし、いちばん大切なことは、「自分の心のうちに持っていないものは何一つ自分の財産ではない。」という名言があるように、心豊かに自分の満足する生活を送ることである。」
Re: ●妖怪の中に「もののけ」という(感)
第3段落、「経済の発展のためには新しいものを売っていくことも必要だ」の「昔話実例」。 「わらしべ長者」。わらしべを拾って持っていた主人公が、「それが必要だからこれと取り換えておくれ」というリクエストに応えているうちに、しまいに立派なお屋敷を手に入れるという話。 最初のわらしべにこだわらず、次々に新しいものに取り換えていったから、生活が豊かになったのですね。 (ただしこれは最初、「まず手に入れたものを大切にせよ」という観音様の教えに従って、という話もあるので、「物を大切にする」という「昔話実例」にも使えそうです。(笑))
●妖怪の中に「もののけ」という(感)
【ミニヒント】昔話実例
「ハメルーンの笛吹き」というドイツの民話があります。昔、ハメルーンの町はねずみに悩まされていた。ある日、背の高い男の人が市長を訪ねて来て、 ねずみを退治する代わりに千ギルダーをくれるように言った。その男が笛を吹くと、数えきれないほどのねずみたちが出てきて、川に飛び込み、溺れ死んでしまい町の人たちは大喜びしたというお話。
第三段落の、「経済を発展させるためには、古いモノを捨て新しいモノに置き換える新陳代謝も必要」という意見の昔話実例に、役立ちそうですね。
(笛吹き男は約束の千ギルダーをくれるように市長に頼むが、市長はお金を払うのが惜しくなり、ねずみたちは勝手に出て行ったのだと言う。笛吹き男は、笛を吹き、子供たちを岩山の穴の中へと連れていってしまった。子供たちは二度と戻って来なかった。)という続きの話は、むしょうに「千ギルダーを男にあげるのが、もったいない」という気持ちに駆られたケチな心を抱いた市長への戒めかもしれませんね。要求どおりの報酬を気持ちよく払ってあげれば、こんな結末にはならなかったはずなのに・・・・・・。