解説集 ベニバナ2 の池 (印刷版)
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印刷版は印刷物として生徒に配布されているものと同じです。
ウェブ版は書き込み用です。
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2024-09-14 00:00:00)以降に
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1.1週
●本当の豊かさ、ポイ捨て
物の豊かさと心の豊かさを対比して考えてみるといいでしょう。「ボロは着てても心は錦ー♪」という歌がありますが(水前寺清子。いつの話じゃ)、「衣食足りて礼節を知る」ということわざもあります。この二つの考えを総合化してまとめてみましょう。
構成図の書き方
構成図は、小3以上の生徒が書きます。小2以下の生徒は、絵をかいてから作文を始めるという課題になっているので、構成図は書かなくて結構です。
構成図を書くときに大事なことは、思いついたことを自由にどんどん書くことです。テーマからはずれていても、あまり重要でないことでも一向にかまいません。
たくさん書くことによって、考えが深まっていきます。したがって、構成図は、できるだけ枠(わく)を全部うめるようにしてください。しかし、全部埋まらなくてもかまいません。
枠と枠の間は→などで結びます。この矢印は、書いた順序があとからわかるようにするためです。作文に書く順序ということではありません。
構成用紙は、構成図の書き方に慣れるために使います。構成用紙を使わずに、白紙に自由に構成図を書いてもかまいません。
構成用紙を使って構成図を書きます。
| 頭の中にあるものをそのまま書くとき。
| 構成図で書くとき。
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初めに絵をかきます。(絵はどこにかいてもいいです)
| 思いついた短文を書きます。(どこから始めてもいいです)
| 思いついたことを矢印でつなげていきます。
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関係なさそうなことでも自由にどんどん書きます。
| 枠からはみだしてもかまいません。 | 全部うまったらできあがり。
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1.2週
●(感)完ぺき主義
今学期は、字数の目標が1200字なので、各段落300字くらいを目標に書いていきましょう。
第一段落は要約。
第二段落は意見Aと体験実例。完璧にやろうとする気持ちはとても大切ですね。試験勉強も落ち度がないように、完璧にしっかり準備するのがいちばんいいに決まっています。全力投球で完璧にやろうとすることは大切だという意見を裏付けるような、自分で納得がいくまでがんばって成功した例を挙げてみましょう。
第三段落は意見Bと社会実例(昔話)。しかし、完璧を目指すばかりに無理があってはかえってマイナスになってしまいます。ときには、ある程度で我慢することも必要でしょう。昔話実例は「牛とカエル」、「舌切り雀」などが挙げられそうです。「舌切り雀」では、欲を出して一番おおきなつづらをもらったおばあさんは、完璧を求めるあまりに(欲を出しただけかもしれませんが)失敗してしまいました。
第四段落は総合化の主題と名言の引用。「確かに、完璧を求めることも、無理をせずにほどほどに留めておくこともどちらも大切だ。しかし、一番大切なことは、何かに挑戦しようという意欲である。」名言は、「道は近くても、行かなければ到達しない。」「知識がはしごを作ったのではなく、二階に上がりたいという熱意がはしごを作ったのだ。 」「明日の朝が仕事を完成させて持ってきてくれるわけではない。」など。
●(感)完ぺき主義
受験コースの人は次のヒントを参考にしてください。
第一段落は、要約、又は状況実例と意見。「世の中の管理化が進むと、何でも完璧にやることを要求されるようになってくる。例えば、ほとんどの人が時計を持っていない国では、待ち合わせの時間に多少遅れてもお互いに文句は出ないが、日本ではそういうわけには行かない。」「しかし、そういう世の中だからこそ、人間はもっとゆとりを持って生きていくことが大切だ。」
第二段落は、実例1。「私も、テストの勉強をしっかりやろうとがんばったことがあった。しかし、途中で時間が足りないことがわかり、途方に暮れていた。そのときに、母に『完璧にやろうとしないで、8割ぐらいを目標にすればいい』と言われ、気持ちを切り替えることができた。」
第三段落は、実例2。「私はバスケットボール部に入っている。試合などでミスをしたときには、お互いに『ドンマイ』などと声を掛け合うことようにしている。失敗をしないような完璧なプレーを目指すことも大切かだが、多少の失敗があっても気にせずに全体として成功に向かっていけるようなゆとりも必要なのだと思う。」
第四段落は、感想。「人間は、真面目な人ほど完璧を求めようとするところがある。しかし、必要以上の完全性は求めずに、ある程度の範囲でがんばっていけばいいのだと思った。」
1.3週
●(感)孤独について
第一段落は要約。
第二段落は意見Aと体験実例。「他者との触れ合いは大切だ。」「他者と協調することは大切だ。」人間は一人で生きているのではありません。いつも家族や友達などに支えられて生きています。体験実例は、友達と一緒に何かをやり遂げたこと、つらいときに家族に支えてもらったことなどについて書いてみましょう。
第三段落は意見Bと社会実例(昔話)。「しかし、一人になって、自分を見つめることも大切だ。」ときには一人になって、自分自身を見つめ、孤独を味わう時間も必要です。昔話の「一寸法師」が一人で旅に出たのも自分自身を見つめ直したかったからかもしれません。
第四段落は総合化の主題と名言の引用。「確かに他者との触れ合いも一人になって自分を見つめることもどちらも大切だ。しかし、いちばん大切なことは、「経験は、最良の教師である。」という名言もあるように、さまざまな経験を積み、より良い自分を目指して自分を高めていくことである。」ほかにもいろいろな結論を出すことができそうです。自分で考えてみましょう。
●(感)孤独について
受験コースの人は次のヒントを参考にしてください。
第一段落は、要約、又は状況実例と感想。「学校では、みんなと楽しくやれる明るい人に人気がある。しかし、みんなと楽しくやれなくても、自分の考えをしっかり持っている人は立派な人ではないかと僕は思う。」
第二段落は、実例1。「先日、クラスの話し合いで、みんなの意見と僕の意見がちょっと違ったので、僕は決心して自分の意見を主張した。そのときは一人きりになった気がしてちょっと不安だったが、意見を述べたあとはさわやかな気分だった。また、先日、ひとりで電車に乗って、母に頼まれた用事をしに行ったことがある。ふだんは父や母に頼っているが、このときは自分の責任で行動しなければならないので、どきどきした。しかし、無事に用事が終わって帰ってくると、自分が一回り大きくなったような気がした。」
第三段落は、実例2。「エジソンは、子供のころ、学校に行かずに自分の家で勉強をした。みんなの行っている学校に行かないと決心することは、エジソンにとってもそのお母さんにとっても勇気の要ることだっただろう。しかし、孤独を恐れないそういう勇気があったからこそ、将来、エジソンは立派な人間になったのだとも言える。」
第四段落は、感想。「人間は、仲間と一緒にいた方が安心できる。しかし、孤独を恐れずに、自分らしく行動することが大事なのだと僕は思った。」
2.1週
●(感)お正月
第一段落
要約します。1200字の四分の一、300字くらいをめどにするといいでしょう。
第二段落
ここで意見Aを書きます。
「お正月はめでたくない」という意見がある。
大晦日までせわしなく大掃除、おせち作り(最近はないのかな?)と忙しそうにお母さん、お父さんは動いていましたね。そしてみなさんも「いつまでもだらだらしていないで、窓ガラスでもふきなさい」などと用事をいいつかったことでしょう。「一日でいったいなにが変わるっていうの?」(笑)というように思った人もいると思います。ここではそういった体験実例とそれに対する感想を書きましょう。
第三段落
ここで意見Bを書きます。
しかし「お正月は節目として大切だ。」という意見もある。
昔の人は今ほど裕福な人は少なかったのです。それでも生きる支えとして一年の節目をつけ気持ちを新たにしていたのですね。これは生きるための手段だったのでしょう。
むかし話実例としては「かさじぞう」や「貧乏神と福の神」が使えそうです。
その後感じたことを書いていきましょう。
第四段落
総合化のまとめ。
ここで名言集からも引用しましょう。
お正月の意義に対する意見は賛否両論だ。しかし大切なことは前向きに人生を生きていこうとする人の心がまえではないだろうか。「世界中のどこかで、常に今、夜が明けようとしている。」という名言があるように、人の闇もいつまでも続くものではない。いつでもリセットがきく心構えが大切だ。
2.2週
●(感)内村鑑三のこと
第一段落は300字程度で要約。
第二段落は意見Aと体験実例。「自分の信念を貫き通すことは大切だ。」体験実例は、自分を曲げずに自分の考えを押し通したため、後悔しなかったというような話。レストランで食事を注文するときでも、学校の部活を選ぶときでも、他人の意見に流されないことは大切ですね。
第三段落は意見Bと社会実例(昔話)。「しかし、他人と協調することも大切だ。」昔話実例は、各々が好き勝手な行動をするのではなく、力を合わせて協力したという意味で、「さるかに合戦」「桃太郎」などが挙げられそうです。
第四段落は、総合化の主題と名言の引用。「自分の信念を貫き通すことも、他人と協調することもどちらも大切だ。しかし、 「何事もしない者だけが失敗もしない。」という名言もあるように、失敗を恐れずに物事に取り組むことである。」など。
2.3週
●(感)尊敬する人物
第一段落は長文の要約です。
「人間は、それぞれが持っている天分を生かして生きるしかないのだから、他人の天分にそんなに感心することはない。人を尊敬することよりも人を理解することのほうが大切である。どんな人間にも欠点はあるが、それが分かってこそ人を理解することができる。」
第二段落は一つ目の意見。
「短所があっても、それをあまり気にせずに明るく生きることは大切だ。」
短所を気にしすぎて失敗した話、逆に短所を気にせずにがんばって良い結果につながった話など、体験実例を入れてみましょう。
第三段落は二つ目の意見。
「しかし、まったく短所を直そうとしない態度にも問題はある。」
ここに昔話実例を入れましょう。
「昔話の『三匹の子ぶた』に出てくるお兄さんぶたは、面倒くさがりの性格がわざわいして、わらや木の家を作って失敗した。しかし二度目はその失敗をくりかえさないで、弟を見習ってレンガの家を建てた。」
第四段落は総合化の主題です。
「だが本当に大切なのは短所をどうするかということではない。『短所をなくすいちばんよい方法は、今ある長所を伸ばすことである。』という名言があるが、まず自分の短所や長所を理解し、人間としてよりよく生きる方法を考えることが大事なのだ。」
●(感)尊敬する人物 昔話実例
『アリとキリギリス』も使えそう。来る冬に向けて、着々と食料を備蓄するため、せっせと働くアリをバカにするキリギリス。楽天家と言えば聞こえはいいですが、キリギリスは生来の怠け者。いくらアリが説教をしても、キリギリスの短所は直せず、結局キリギリスは、冬に痛い目をみたのです。
3.1週
●(感)規格はずれ
第一段落は長文の要約です。
「電機メーカーの工場の部品はすべて規格が統一されている。それと同じように学校には規則があり、規格に合った人間のほうが良いように思われる。しかし、社会に出て役に立つのは人間の規格はずれの部分であり、そこが人間のおもしろいところだ。」
第二段落は一つ目の意見。
「自分の規格はずれの部分に劣等感を持つのではなく、前向きに考えることが大事だ。」
たとえば人並みはずれた食いしん坊であれば(笑)、将来「フードファイター」として大食い選手権で立派に活躍できるかもしれません。
第三段落は二つ目の意見
「しかし、規格はずれの部分が周りの人を不愉快にさせたり、迷惑をかけてしまうこともある。ある程度周囲の人のことを考え、合わせることも大事だ。」
自分の個性を生かしつつも、周りの人とうまくやっていく協調性は必要でしょう。昔話実例は、「北風と太陽」などが使えそうです。
「北風にも太陽も、それぞれの個性を生かした方法で旅人の上着を脱がせようとした。しかし太陽が成功したのは、相手を不愉快にさせなかったからかもしれない。」
第四段落は総合化の主題です。
「だが本当に大切なのは、規格に合っているかはずれているかということではない。自分の個性を、より社会に役立つ形で伸ばしていくことが大切なのだと思う。」
3.2週
●(感)伝統について
第一段落は要約。全体の四分の一くらいの字数を目安に長文の内容をまとめます。
第二段落は、意見A。「伝統を守り続けることは大切だ。」学校の伝統、さらには日本の伝統を守り、後世に伝えていくことは大切なことですね。時代をこえて伝えられてきたものには、それなりの良さがあり、重みが感じられます。昔からあるお祭りの話、伝統芸能の話、自分が所属する部に代々伝わる奇妙な習慣の話(笑)など身近なところから実例を挙げてみましょう。
第三段落は、意見B。「しかし、伝統を打ち破ることもときには大切だ。」伝統に縛られず、新しいものを築いていくこともときには大切です。最近は、歌舞伎などの伝統芸能にも新しい趣向が凝らされているようですね。昔話実例は、誰も足を踏み入れなかった鬼が島に鬼退治に行った桃太郎の話などが挙げられそうです。
第四段落は総合化。「確かに、伝統を守り続けることにも、伝統を打ち破ることにもどちらにも良さがある。しかし、いちばん大切なことは、「自分の心のうちに持っていないものは何一つ自分の財産ではない。」という名言があるように、古いものであろうと新しいものであろうと自分なりに消化してから受け入れることだ。」
●(感)伝統について
【ミニヒント】昔話実例と名言の引用例
?「青い鳥」作(モーリス・メーテルリンク)
クリスマス前夜、貧しいチルチルとミチルのもとに、妖精があらわれます。魔法にかけられた二人は、 人間界にはないさまざまな国を、幸せの青い鳥を探して旅をしす。鳥は、とうとう見つからなかったけれど、もとの部屋に戻ってきた二人は、それまで飼っていた鳥こそ「青い鳥」であることに気づくのでした。→今の環境や、古い伝統や習慣からぬけ出したい、という気持ちに駆られて、二人は新天地を求めて、飛び出したのでしょうね。
?「ヘンゼルとグレーテル」(グリム童話)
ヘンゼルとグレーテルのきょうだいは、まま母に捨てられ、山の中で魔女につかまってしまいました。けれど、 協力(きょうりょく)して魔女から逃げ出すことができました。ヘンゼルを太らせて食べようとした魔女でしが、かしこいグレーテルが、ヘンゼルの腕の代わりに細い枝をさし出してだましたり、パン焼窯に魔女をおしこめてやっつけたりして、大活躍しました。→村人を困らせ続けた魔女を、勇気と知恵でやりこめたのは、きっと、殺されたくないという気持ちと、魔女に支配されていた世の中の風習や、伝統を打ち破りたいという、一心からだったのかもしれませんね。
☆また、名言引用については
19
「行動するためには、多くのことに無知でなければならない。」
47「脱皮できない蛇は滅びる」(ニーチェ)
51「できあがった規則をなんとか守ろうとすることよりも、実態に合わせて規則を変えていくことが、真に規則を生かす道である。」
なども、主題にふさわしい名言ですね。
3.3週
●(感)整とんということ
第一段落は要約。
第二段落は意見Aと体験実例。「見た目が整っていることは大事である。」自分の部屋などもきちんと整理整頓されて美しい方が気持ちがいいし、やる気も出ますね。
第三段落は意見Bと社会実例(昔話)。「しかし、見た目だけで判断してはいけない。」見た目が整っていればそれでよいというわけではありません。問題なのは中身です。昔話の「三年寝太郎」は、寝てばかりいる怠け者のように思われていたのですが、実は、寝ながら干ばつ対策を考えていたのでした。このように、見た目だけで判断してはいけない場合もあります。長文にもあるように、整理整頓して見た目が美しくなったのは良いけれど、どこに何があるかわからなくなったなどということは多くの人が経験しているでしょう。
第四段落は総合化の主題と名言の引用。「確かに、外見も中身もどちらも大事である。しかし、いちばん大切なことは、「家の批評ができるのは、建築家ではなくそこに住む人である。」という名言があるように、自分にとって今何を優先させるべきかを自分で判断することである。」
●(感)整とんということ 昔話実例
『一寸法師』。身長が一寸しかない一寸法師ですが、勇敢で、非常に頭も良い。小さい体をものともせず、また、時にはその小さささえ生かして、困難に立ち向かっていく一寸法師。その可愛らしい小さな外見で、鬼たちはさぞ油断したことでしょう(笑)。
●(感)整とんということ
【ミニヒント】
ペロー童話「幸福の王子」
生きていた頃の華やかさそのままに純金と宝石で作られた「幸福の王子」。 銅像となった今、 過去の贅沢(ぜいたく)しか知らない自分を反省して、一羽のツバメを使者とし、町に暮らす不幸せな人々のために、自らの身を削りながら宝物を分け与えてあげます。ツバメは純金を一枚一枚はがしていき、とうとう幸福の王子は完全に輝きを失い、灰色になってしまいました。 おかげですっかりみすぼらしくなった像は、町にふさわしくないと溶かされることとなりました。その後、神さまが天使たちの一人に「町の中で最も貴いものを二つ持ってきなさい」と告げると、その天使は、神さまのところに鉛の心臓と死んだ鳥を持って行きました。→外見よりも、弱者にやさしい王子の心が、もっとも尊い価値があるのというのに……ね。^^;