解説集 ムベ2 の池 (最新版)
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10.1週
●けんか、テスト、私の名前
けんかはよいか悪いかと考えてみましょう。「けんかするほど仲がいい」とか「ひとりの敵も持たない者はひとりの友人も持たない」などという言葉があるようにけんかもできるくらいのはっきりした自己主張というのは大切です。しかし、もちろんけんかでなく話し合いで解決できることであれば穏やかに話し合っていくことも大切です。意見と複数の理由で考えていきましょう。
●構成図の書き方
10.2週
●文明人は時計によって(感)
第一段落 要約に続いて意見をだします。
「私達は主体的に時間を使っていくのがよい。」
第二段落は、理由のその一を書きます。「自分で考えた過ごし方をすれば、充実感が得られるからだ。」そして、自分自身の体験談を書いていきましょう。みんなの休日の過ごし方はどんなものでしょうか。部活かな。のんびり昼寝?そういえば、この夏休みの過ごし方は、計画通りだったかな。うまくいっても、いかなくても、自分なりの満足や、反省を感じることができますね。
第三段落は、理由のそのニを書きます。「自分で獲得した時間は、大切につかうことができるからだ。」「収入増と労働時間短縮のどちらを選ぶか(朝日新聞社 1997年)」というデータ実例に、男性の49%女性の52%が、時間短縮を望んでいると言う結果が出ています。それだけ、自分の自由に使える時間を欲しているということですね。獲得した時間は、みんな考えに考えていろいろな用途にふりわけます。時間の使い方もうまくなります。
第四段落は、反対意見に理解を示しながら、自分の意見を主張します。「確かに、社会生活では決められた時間を守ることも大切だ。しかし「時間を作る第一の方法は、急ぐことではなく、どこに時間を使うか考えることである。」という名言もあるように、私たちは、主体性を持って時間を使い、充実した厚みのある時間を体験していくべきだ。
●文明人は時計によって(感)
第一段落は要約と意見。要約は、250字くらいを目安にまとめていきましょう。要約に続けて、「主体的に時間を使っていくことは大切だ。(是非)」などという意見を書きます。
第二段落は第一の理由と実例。主体的に時間を使うと時間を大切に使うことができるからだ。何か目的を持って時間を使おうとすると、時間を有効に使うことができます。逆に、漫然と過ごすと、結局は時間を無駄にしてしまいます。
第三段落は第二の理由と実例。主体的に時間を使わないと充実感を味わうことができないからだ。学校の授業でも、受け身で先生の話を聞くのでは何も身につきません。主体的に取り組んで初めて、授業の内容が身につくものです。ここには「収入増と労働時間短縮のどちらを選ぶか」というデータも使えそうです。収入増よりも労働時間短縮を望む人の方が多いのは、自分の時間を主体的に使って充実感を味わいたいという思いがあるからでしょう。
第四段落は、反対意見への理解と名言の引用。確かに日々の生活の中では、いつでも主体的に時間を使えるわけではない。しかし、「明日の朝が仕事を完成させて持ってきてくれるわけではない。」という名言があるように、できるかぎり主体的に時間を使っていくことが大切だ。
10.3週
●激しい雨が降りつづくなかで(感)
第一段落は、要約を200字ぐらいでまとめます。
山村の中で自然とともに暮らす前近代的な生活を、現代人は不自由な暮らしと感じます。(「場所」をもたない思考)しかし、豪雨などの自然災害でさえも、当然の自然の営みと受け入れることのできる生活こそが、実は自由な生活なのかもしれません。(「場所」をもつ思考)
続けて是非の主題。
「人間は自然の営みを受け入れて生活をするほうがよいと思う。」
「人間は、自然とともに生きていくのがよいと思う。」
第二・第三段落は、理由と実例。
「人間は自然の恩恵なしには生きられないからだ。」
「便利さを求めるあまり自然との共存を忘れると、痛いしっぺがえしが来るからだ。」
地球温暖化、オゾン層破壊など、環境破壊を例として書けそうです。また、現代人は清潔志向が強すぎて必要な菌まで殺菌してしまい、新たな病気を生み出しているというのは皮肉なことですね。データは「世界の二酸化炭素排出量」など。
第四段落は、反対意見への理解と名言の引用。
「確かに、便利な生活に慣れきった現代人が、自然とともに生きる生活に戻るのは難しい。しかし、現代人の生活は、悪天候で電車が止まれば不自由、地震などの災害が起これば成り立たなくなってしまう。『悪いことそのものがあるのではない。時と場合によって悪いことがあるのである。』という言葉があるように、自然災害さえも悪いことではないと思えるような生活が、本当に自由な生活なのだと思う。」
11.1週
●ひとは食べずには(感)
一段落目は要約→是非の主題へと展開。 誕生や病や死というできごとに限らず、調理という生きるための営みさえも、家庭の外で行われるようになった。 これは、私達の生に対する現実感覚に大きな影響を及ぼす。 私は、このような食生活のありかたは、よくないと思う。
二段落目、三段落目は、●複数の理由<構成>を、●データ実例、●長文実例<題材>によって述べます。
(よくないと思う)第一の理由は、生活の基本である食事がおろそかになると、家族のつながりもバラバラになると考えるからだ。
・データ実例……「手づくり料理に関する意識調査」と「男性の料理に関する意識と行動調査」によると、9割以上の男女が「食事は家族の団欒の場だ」と考えているが、夕食を家で家族と一緒に「ほぼ毎日」とっているという人は、女性で約8割、男性で5割。5年前と比べて、家族との食事機会が「減った・やや減った」と感じている人は男女とも2割程度。■2000年3月 東京ガス/都市生活研究所調べ
(よくないと思う)第二の理由は、次の世代に、食文化を伝えることができにくくなるからだ。
・長文実例……10.2週の長文、子どもに主体的な経験をさせることの大切さを「食事」を切り口に考えてもいいですね。
四段落目は、●反対意見への理解<主題>、「確かに、家族それぞれの行動範囲が多様化した現代、昔のような食生活を取りもどすことは簡単ではないが」のように。
●名言の引用<表現>「人は食べるために生きるのではない、生きるために食べるのである」(ソクラテス)を、引用しながら、自分の書いた意見に合わせた結びにしてみましょう。
●ひとは食べずには(感)
昔ながらの食生活の良さ、というところでデータ実例を考えてみましょう。例えば、ミツカンの「四季を代表する旬(しゅん)の食材」が使えそう。「旬」の時期には、その食材が最も美味しくなり、栄養価も高まると言われていて、まさにいいこと尽くし。養殖や促成栽培など、様々な科学技術の発達により、私たちの食卓には、季節に関係なく多種多様な食材が並びます。もちろん便利な面もありますが、逆に考えれば、どの季節でも同じものしか食べられないというのは、不幸せなのかもしれませんね。季節を愛でる気持ちを私たちは忘れているのかもしれません。
11.2週
●上野で絵を見たあと(感)
第一段落は、要約を200字ぐらいでまとめます。
・芸術において、作品は必ずしも絶対ではなく、受け取る人間の心とふれ合ったところに美が生まれる。
・物理学に「共鳴」ということばがあるが、外からの刺激が心の奥の音叉に達して共鳴したとき、「感動」が生まれるのかもしれない。
続けて是非の主題。
芸術を鑑賞するためには、自分の心の音叉が共鳴する必要があるということから、「自分の内面を磨いて、共鳴しやすい心を育てることが大切だ。(是非の主題)」
第二・第三段落は、理由と実例。
「共鳴する心を持っていないと、せっかく芸術を鑑賞してもよさが分からないからだ。」
「内面を磨くことによって、自分の世界が広がるからだ。」
芸術に限らず勉強でもスポーツでも、新しいことができるようになると、ものの見方が変わることがあるでしょう。
データ実例は、「一ヶ月に読んだ本」など。「データによると、高学年になると読書量が減っている。もっと読書をして自分を高めることが必要だ。」
第四段落は、反対意見への理解と名言の引用。
「確かに、『音楽は歯痛を治してはくれない』という名言があるように、芸術には実用性はない。しかし、芸術を鑑賞して共鳴できる心を持っていることは、人生において大切なことだと思う。」
●上野で絵を見たあと(感)
第一段落は要約。共鳴の大切さについて述べる。共鳴には、二つのもののかかわりが必要だ。
第二段落はその理由1。自分だけが受け入れる気持ちがあっても、共鳴は起きないからだ。実例:すごくおなかがすいていても、まずいものだったら食べる気はしない。(笑)
第三段落はその理由2。自分の側に受け入れる気持ちがなければいくらいいものでも共鳴しないからだ。実例:いい音楽を聴いても、テストが明日に迫っているときはあまり楽しめない。データ実例:10代女性のストレス解消法(コニカ 1996年)1位 カラオケ 16.4%2位 食べる 7.5%3位 長電話 5.6%となっているが、これらを見ても楽しみの本質は共鳴のようなところにあることがわかる。
第四段落はまとめ。確かに、だれにとってもいいものはある。しかし、自分と共鳴するものがいちばん大事だ。
11.3週
●じつは、「正しい」という言葉には(感)
「価値観が多様化していることを認め合おう」よく聞く言葉ですね。 しかし、「自分にとっての正しさ」を追求も表明もしない姿勢では、本来が持つべき価値観(モノの考え方)すらないのです。
第一段落は、要約を。「正義」や「正しさ」を、どのように考えていけばよいかまとめます。そのあとは、是非の主題。「私は、自分が正しいと思うことをはっきり述べるのがよいと思う」
第二段落から第三段落は、是非の主題に対する●複数の理由<構成>。 ●データ実例・長文実例<題材>で根拠を示しておきます。
(例)第一の理由は、お互い正しいと思うことを述べ合うことで、相手の考え方を知り、心の幅を広げることができるからだ。 以前読んだ文に、『われわれはみんな心の奥に音叉をもっている。絵を見、音楽をきき、詩や小説を読む――そういう外からのいろいろの刺激は意識されない波となってこの胸中の音叉に達する。それによって、われわれは「心を動かし」、「感動し」、あるいは「心の琴線にふれた」と言う』とあった(長文/11.2週)。 したがって、さらに他の人とお互いの感動を話し合うことで、共鳴の幅がひろがるだろう。
第四段落は●反対意見への理解<主題>、●名言の引用<表現>。
(例)たしかに、自分が正しいと思う気持ちが強いほど、ひとりよがりに陥る危険性がある。 しかし、「自分が考えるとおりに生きなければならない。そうでないと、ついには自分が生きたとおりに考えるようになってしまう」という名言があるように、まずは自分にとって「正しい」とは何か、追求し、表明すべきなのだ。
●じつは、「正しい」という言葉には(感)
「自分が正しいと思うことを相手に伝えることで、相手とより親密になれるからだ」のように書いた場合。
データ実例としては、人間関係における意識調査(読売新聞 2004年)が挙げられそう。夫婦、親子間で本音を話しているかについて、 はいと答えている人は75%。 本音が言い合える、ということは、思っていることを洗いざらい話せるということ。自分が正しいと思うことを伝えて、相手と意見が食い違ったとしても、本音で話し合うことでお互いを理解し合える、と展開できそう。自分の意見をしっかり伝えることは、より深い人間関係を築いていくきっかけとなる、というように書けそうですね。
12.1週
●自然科学の中の(感)
第一段落 要約に続いて意見をだします。
科学者が行うことは、未知の土地に踏みこむ探検家のすることに似た点がある。自分のもつ研究に対する現状分析の結果や見通しが、大きな役割を果たす。科学の研究では、大方に受け入れられるような一般的な方法が適用される以前になされるべきことがある。方法を研究に用いることができるためには、科学者の心中に、研究の出発点を決めるある種の仮説とかアイデアがなければならない。研究の現場で実際に起こっていることと、あげられた成果の客観性の解釈とを混同してはならない。
「私達は自分だけの仮説やアイデアをたてて新しい分野に挑戦していくのがよい。」
第二段落は、理由のその一を書きます。「自分にとっての疑問や探究心がやる気を起こさせるからだ。」そして、自分自身の体験談を書いていきましょう。実際に自分で仮説を立てて解明していったものはないでしょうか。自由研究や理科の実験など、夢中になったことを紹介してみよう。
第三段落は、理由のそのニを書きます。「自分のやりたいことを見つけることが、生きがいにもなるからだ。」「収入増と労働時間短縮のどちらを選ぶか(朝日新聞社 1997年)」というデータ実例に、男性の49%女性の52%が、時間短縮を望んでいると言う結果が出ています。それだけ、自分の自由に使える時間を欲しているということですね。つまり、自分のやりたいことが仕事以外にあり、それを追究することで心身の健康を保っているのでしょう。
第四段落は、反対意見に理解を示しながら、自分の意見を主張します。「確かに、一般に通用する方法を重んじていくことも大切だ。しかし「知識がはしごを作ったのではなく、二階に上がりたいという熱意がはしごを作ったのだ。」という名言もあるように、私たちは、自分だけの仮説やアイデアをたてて新しい分野に挑戦していくべきだ。
12.2週
●常識という言葉を辞書(感)
第一段落は、要約→是非の主題を導きます。
常識は、辞書では、「一般の人が持っている、また、持つべき知識・理解カ・判断力」と解釈されているが、実は大変個人的な考え方の尺度だといえる。日本人にとって常識が必要になるのは、「世間」の世界である。→このような常識のあり方をどう考えるか、是非の主題(よい・よくない)によって示しておきます。
第二段落から第三段落では、●複数の理由<構成>。
(例)……是非の主題で「よくない」を立場にした場合。
・「常識」という言葉ひとつで、私たちはものごとをよく考えるのをやめてしまうことがあるからだ。
・「常識」が、周囲に対して自分の考えを押し付ける道具として用いられてしまうからだ。
・「常識」のおかげで、行動が限られてしまうからだ。
日常生活の中で、「そんなことは、常識です」と言われて、本心では納得していないのに、従わざるを得なかった体験を思い出してみましょう。
●データ実例、長文実例<題材>で理由に説得力を持たせます。
たとえば、携帯電話。 東京都内のある中学では、約4割の生徒が携帯電話やPHSを持っているそうです。(
http://www.crn.or.jp/LIBRARY/CYUU/VOL710/GIF/S5710030.PDF)
このデータをもとに、中学生が携帯電話を持つことは常識だと考えるかどうか。 結局は、その人自身どうしたいのかに左右されるでしょう。 これが常識だという答えは、簡単には出せないはずです。
長文実例を書くなら、11.3週で読んだ「正しさ」についての長文が生かせそうですね。
四段落目は、●反対意見への理解<主題>をおいたあと、再び最初の段落の是非の主題にもどってまとめます。 ●名言の引用<表現>も忘れずに。
(例)たしかに、自分が属する世間での常識をわきまえることは、友人や家族と快適に過ごすためには役立つ。 しかし、「井の中の蛙大海を知らず」と言う言葉もあるように……。
●常識という言葉を辞書(感)
「日本には、「世界」と「身内」の間に日本独特の「世間」があり、その世間に合わせた常識を持つことが大切だとされています。このことを、日本と世界の常識の違いという点から考えてみることができるでしょう。意見としては、「日本は、自国の狭い常識にとらわれずに、もっと世界の常識に合わせる努力をすべきだ」というような形です。
第二段落は、その理由1。「世界の常識に合わせないと困るからだ。」例としては、この長文の『お兄さんへのあいさつ』のようなことです。中学生になると、外国の先生が英語の授業をすることもあるでしょう。日本には、自分の意見を主張するよりも控えめでいることを美徳とする文化があるために、みんなが恥ずかしがってコミュニケーションがうまく進まないということもよくあります。
第三段落は、理由2。「世界の常識に合わせることが日本の文化にとってもプラスになるからだ。」例えば、相撲は少しずつ外人の力士が増えていますが、まだ国際的なスポーツとは言えません。相撲が世界に通用するスポーツになるためには、日本独特の習慣に、もしよくないところがあればそれを大胆に改める必要もありそうです。寿司などの日本独特の食文化も、海外ではいろいろなバリエーションがあるようです。それを邪道と考えるのではなく、日本の文化の発達と考えていく度量の大きさも必要です。
第四段落は、意見。「確かに、自国の文化を大切にすることはよいことだ。しかし、その自国の文化にとらわれて、自国の文化だけが常識と考えていては、世界との交流は進まないだろう。」名言は、「自国に対する……」あたりで。
12.3週
●二一世紀を資源循環型社会に(感)
第一段落は、要約と意見。「私は、循環型社会がよいと思う。」
第二段落は、その理由と実例。「その理由は第一に、無駄がなくなるからだ。この前、買い物に行ったら、品物を袋に入れたあとに更に大きい袋に入れて渡してくれた。結局その袋は両方ともすぐにゴミ箱行きになった。どうせ捨ててしまうのなら、自分で買い物カゴでも持って行った方が無駄がないと思った。」
第三段落は、理由2と実例。「第二に、使い捨てが増えると、人間の心も荒れてくるように思うからだ。先日、小さい子が買ったばかりのカードを、自分がほしいものではないからと言ってすぐに捨てているのを見た。ものを大切にすることは、人間を大切にすることにもつながるような気がした。」
第四段落は、反対理解と意見。「確かに、大量生産と大量消費は、人類を豊かにした。今の携帯電話やパソコンも次々と新製品が出てくるからこれだけ短期間で進歩したと言える。もし、物を大事にする人ばかりだったら、進歩はもっと遅かったに違いない。しかし、地球環境の制約がはっきりしてきたこれからの社会では、物を循環させて使う知恵を見直す必要があると思った。」
●二一世紀を資源循環型社会に(感)
データ実例は「日本のゴミ リサイクル率」が使えそうです。ごみを出さない工夫というのは、もちろん必要ですが、出てしまったごみをリサイクルしていくことも大切ですね。
厚生省のH6年データによると、昭和62年のリサイクル率は4.1%となっていますが、平成6年のリサイクル率は9.1%。昔に比べると、ゴミの分別も細かくなり、「資源ゴミ」という概念も定着しつつあります。とはいえ、ゴミの分別意識の高いドイツでは、実に20種類以上に分別すると言いますから、日本もまだまだ改善の余地はありそうですが……。