セリ の山 2 月 1 週
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○自由な題名
○節分、マラソン
★楽しい夕食、ねるとき
家族でおなべ あったかい
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【1】「もうお肉取ってもいい?」
十月に入るころから、ぼくのうちでは日曜日の夕飯はほとんどなべ料理です。毎週となると、あきるのではないかと思われそうですが、なべ料理と言ってもいろいろあるのであきることはありません。【2】ぼくのお父さんは九州の博多の出身なので、
「やっぱり水炊きが一番うまいな。」
と、いつも胸を張っています。やわらかい鶏(とり)肉と、ものすごくおいしいスープを味わうとぼくもそうだなあと思います。
でも、今夜はお姉ちゃんがリクエストした「かいせんキムチなべ」です。【3】かいせんというのは、海でとれる魚や貝のことですが、ぼくのうちでは「かいせん」の時も豚バラ肉をいっしょに入れます。お母さんに聞いた話では、キムチなべにもいろいろな辛(から)さがあって、大人でもヒーヒー言うくらい辛(から)い本場のチゲなべから、中辛(ちゅうから)マイルドなキムチなべまでランクがあるそうです。【4】うちは、ぼくがまだあまり辛(から)いのは食べられないので中辛(ちゅうから)マイルドですが、五年生になったら、辛口に挑戦したいと思っています。
【5】なべをやると、部屋中があたたかい蒸気に包まれて、エアコンもいりません。暑がりのお姉ちゃんは、半そでになってしまうくらいです。なべに材料を順番に入れたり、煮えたものを教えたりする人を「なべ師」というそうですが、うちのなべ師はお父さんです。【6】お父さんはみんなに、
「長ネギはまだだ。いいと言ってからだ。」
「白菜がとろとろになったぞ。」
「豆腐をくずさないように取れよ。」
「そのはまぐりは、身が取れているぞ。」
「よし、そろそろ雑炊だな。」
などと指図します。【7】その様子はちょっといばっていて、まるで会社の部長とか社長みたいです。でも、お父さんの言うとおりにやる∵と絶対失敗しないのでプロだな、と思います。
なべ料理の時は、いつもの夕飯よりみんなおしゃべりな気がします。【8】ぼくがそう言うと、お母さんは、
「一つのなべをみんなでつつくから、連帯感が生まれるのよ。」
と言いました。その時ちょうどおねえちゃんが、
「見て、この白菜も連帯感が生まれてるよ。」
と、キムチのスープで赤くなった白菜をつまみあげました。【9】それは、はしっこがつながっていて、ぼくの家族と同じく四切れが万国旗のように連なっていました。お母さんはあせって、
「連帯感が大事!」
とごまかしました。湯気の向こうでお父さんも笑っていました。【0】
(言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会 φ)