チカラシバ の山 7 月 1 週
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○自由な題名
○けがをしたこと
★お父(母)さんの子供のころ、おふろ
○プールで遊んだこと
お父さんはムツゴロウ?
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【1】「ほら、えさがなくなりかけているぞ」
父の声が響きます。ぼくは、おととしから、フェレットを飼っています。フェレットというのは、イタチの仲間で、長い体をしています。ぼくのうちのは、タヌキのような顔をして、茶色とグレーの間のような毛の色です。【2】セーブルという種類で、最も多く飼われているそうです。どうして飼い始めたかというと、前に、動物病院の近くで、だれかがジャンパーの中に入れて歩いているのを見て、ほしくてたまらなくなったからです。お年玉やお小遣いを使わずに貯め、半分は父がお金を出してくれました。【3】父は、農家で育ったので、子どものころから動物に囲まれていたそうで、ぼくが生き物を飼うのは大賛成なのです。
最近、サッカーの朝練で世話をさぼりがちなぼくに、父は言います。
【4】「お父さんは学校に上がる前から、ヤギの世話を任されていたんだ。きちんと毎日、乳搾りをしないとヤギの具合が悪くなる。絶対に休めない仕事だったんだよ。牛小屋の掃除も大変だった。夏なんかむんむんしてなあ。【5】ほかの友達が誘いに来ても、仕事が終わっていないと学校にも行けなかったんだよ。でも、飼われている動物は、人間が世話をしてやらないと生きていけないのだから、しんどくてもがんばったよ。」
【6】ぼくより小さいころから、たくさんの仕事をしていた父はすごいなあと思いました。もしぼくだったら、寒い朝は起きられなかったかもしれません。父は、動物が好きだからこそ毎日がんばったのだろうなあと思いました。
【7】「お父さん、いやになったことないの?」
父は笑いながら、
「まあ、いやになることもあったけど、動物は慣れてくるとかわいいもんだからなあ」
と、フェレットのえさを継ぎ足しながら言いました。【8】そして、∵
「お前は自分が飼いたいと言って飼い始めたんだから、どんなことがあっても、世話をさぼっちゃだめだな。」
と、ぼくの方を見ました。ぼくは、ちょっと反省しました。朝はきついから、今日から、夜寝る前に必ず世話をしようと心の中で誓いました。
【9】父は、フェレットに指を舐めさせながら、
「お父さんの田舎では、こういうのを『めんこいなあ』と言うんだ。このイタチはどういう生い立ちなんだろな、なあんて。」
と、目を細めました。
ぼくは、もっともっと父の子どものころの話を聞きたくなりました。
(言葉の森長文作成委員会 φ)