キンモクセイ の山 9 月 1 週
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★じゆうなだいめい
○すきなゲーム、こころにのこるたび
○おじいちゃんおばあちゃん
初めての二人だけの旅
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【1】夏休みに、私と弟の二人だけで、京都のおばあちゃんの家に行くことになりました。今年からお母さんが仕事を始めたので、子供だけで行くことになったのです。子供だけで新幹線に乗るのは初めてです。私は楽しみで仕方ないのに、お母さんは何だか不安そうです。
【2】「ほんとに寝ちゃ駄目よ。大丈夫ね。」
お母さんが何度も私の顔をのぞきこんで言いました。私は、自信満々で、
「大丈夫だよ。心配いらないから。」
と言いました。お母さんは、でもまだ不安そうな顔で、
「頼(たの)んだからね。ハルが寝ちゃったら早めに起こしてね。」
と繰り返します。【3】お母さんは本当に心配性(しょう)なんだからと心の中で思いました。
新幹線に乗るときは、いつもシウマイ弁当を食べます。私はシウマイが大好きなので、このお弁当は大好物です。売店で、シウマイ弁当とお菓子を買いました。【4】私はチョコレート、ハルはグミです。それを抱えて新幹線に乗り込みました。
ドアのところでお母さんがまた心配そうな顔をしたので、私とハルは、元気いっぱいに手を振りました。切符を見ながら席を探して、座るとすぐにお弁当を食べる用意を始めます。
【5】「いただきます。」
二人で手を合わせました。わくわくしながら蓋を開けると、シウマイが五つ並んでいます。まるで仲良く座っているみたいです。
「やっぱり新幹線に乗ったらシウマイ弁当だよね。」
私は、ハルに言いました。【6】ハルも、∵
「ぼくも大好き。」
と言いながら、一つ目のシウマイをパクリと口に入れました。私は、おいしいものは最後に味わって食べるのが好きです。お行儀が悪いと渋い顔をするお母さんもいないので、私は五つ全部を取っておくことにしました。
【7】私がとっておきのシウマイに箸をつけようとしたときです。ハルが、
「ああっ。」
と叫びました。驚いた私の足元を、コロコロとシウマイが転がっていきます。ハルの落としたシウマイでした。それも、最後の一つです。ハルは今にも泣き出しそうな顔をしています。【8】なんだかかわいそうになり、私は自分のシウマイを一つ、ハルにあげました。もしお母さんが一緒なら、お母さんが自分のシウマイを分けていたと思います。ああ、早く食べてしまえばよかったなあと残念に思いましたが、ハルがとても喜んだのでよかったです。【9】それに、通路をはさんで隣に座っていたおばあさんが、
「さすがお姉ちゃん、偉いわね。」
と声をかけてくれました。恥ずかしかったけれど、嬉しかったです。ハルは、シウマイのお礼だと言って、自分のグミを半分分けてくれました。ハルもいいところがあるなと思いました。
【0】本を読んだり、しりとりをしたり、なぞなぞを出し合ったりするうちに、いつの間にか京都に着きました。お母さんはまだ心配しているかなあ。京都に着いたことを早く伝えたいなと思いました。
(言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会 ω)