ススキ2 の山 11 月 1 週
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○自由な題名
◎いたずらをしたこと
★たまごやきを作ったこと、びょういんにいったこと

○朝六時におきて(感)
 【1】朝六時におきて、列車にのりこみ、夜は十時にかえってきます。そのあいだじゅうが、うり子のしごとと、図書館での勉強と、化学の実験です。
 このようにしてすごす一日一日は、つらいことのようですが、エジソンにとっては、かけがえのないたのしみだったのです。
 【2】こういうと、エジソンには、少年らしいたのしみというものが、まるでなかったようですが、たった一つ、エジソンをむちゅうにさせたあそびがありました。
 電信あそびです。
 【3】そのころ、つまり、一八六〇年代のアメリカでは、電信がようやく実用化されてきていました。このあたらしい器具が、少年たちをとりこにしたのは、あたりまえのことで、それをまねた電信あそびは、大流行でした。
 【4】もちろん、エジソンもその一人でした。
 かれは、ありあわせのものだけをつかって、電信機をつくりました。電線の針金にぬのぎれをまき、それを鉄のしんにまきつけて電磁石とし、キーには、しんちゅうのばねをりようしました。【5】あきびんを、絶縁用の碍子にして立ち木にくぎでとめました。電池は地下化学実験室でおぼえた方法でつくりました。
 これらができあがったところで、エジソンはちかくの友だちの一人とのあいだに電線をひきました。
 【6】交信は、うまくいきました。信号で、おもうことをつたえる、おもしろいあそびです。だが、エジソンは、夜の十時でなければ、家へかえれません。
 【7】ところが、おとうさんのサムエルは、エジソンの健康をしんぱいして、十一時半よりおそくまでおきていることをゆるしません。なんとか、これをゆるめる作戦がひつようです。
 【8】ところで、サムエルは、毎晩、エジソンがもってかえる新聞をたのしみにしていました。ある晩、エジソンは、その新聞をもたずにかえってきました。
「わすれた? そいつはがっかりだな。」∵
【9】「そうだ、友だちのところに新聞があるから、ニュースをきいてあげようか。」
「こんな時間にかい?」
「まあ、見ててごらん。」
 エジソンが電信機にスイッチをいれて、キーをたたくと、それにこたえて、友だちが信号をおくってきます。【0】エジソンは、その電文を文章になおして、まちかまえているおとうさんにわたしました。
「なるほど、すばらしいことをやるもんだなあ。」
 夜おそくまで、ただ、いたずらあそびをしている、としかおもわなかったサムエルは、ほとほとかんしんしてしまいました。もう、「はやくねなさい。」といえなくなりました。
 おかげでエジソンは、夜おそくまで電信をたのしむことができるようになったのですが、やがて、このあそびから、かれのあたらしい道がひらけることになるのです。
 電信手というしごとです。

(「エジソン」 崎川(さきかわ)範行著 講談社 火の鳥伝記文庫より)