セリ の山 3 月 2 週
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○自由な題名
○種まき
★春を見つけた、おどろいたこと
○パストゥールは狂犬病の研究から(感)
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【1】パストゥールは狂犬病の研究からはじめました。年に千人くらいの人しか死なないのですが、狂犬病は、おそろしい病気です。
なぜこの病気を選んだかというと、狂犬病はだれもが疑わない伝染病であったことと、この病気が人間の病気である前に犬、オオカミ、キツネ、猫、ウサギなどの動物の病気だったからです。【2】もちろん人間の体をつかって実験することなどできませんが、狂犬病だと動物を使った実験ができるのです。
しかしこの選択によって、大きな問題にぶつかることになりました。【3】狂犬病の原因となっている微生物は、顕微鏡ですら見ることができないほど小さなものだったのです。それはろ過性のウイルスとよばれるもので、つまり、もっとも目のこまかいろ紙も通ってしまうウイルスなのです。
【4】パストゥールは病原菌を見ることができないまま研究をつづけることになりました。もっと悪いことには、このウイルスは、大きな細菌のようにじゃがいもやスープや尿の中で培養することができません。【5】動物の体だけが繁殖できる場所でした。あきらめたほうがりこうかもしれません。でも、「幸運は大胆な人にほほえむ」ということばをみなさんはもう知っていますね。
パストゥールは犬小屋をつくって、つぎつぎと犬に狂犬病をうつしていきました。【6】狂犬病にかかった犬の脳をすこしとっては、つぎの犬の脳に注射するのです。
十日後、この犬はあわを吹いて、はげしくほえはじめ、そしてもがき苦しんで、死んでいきました。そのあとは、今までの方法を採用しました。【7】微生物を培養して、ひとつの培養基から、他の培養基へ微生物をうつしていくあのやり方です。こうして、狂犬病の培養基をいつでも手に入れることができるようになったのです。∵
つぎに、ウイルスを弱める方法を見つけなければなりません。【8】害のないものにするのですが、病気から動物の体を守ることができるものでなければなりません。かれは、むずかしいけれども効果的な方法をとりいれました。犬のウイルスをサルにうつすと、狂犬病がすこし軽くなるのです。【9】このサルから病原ウイルスをとって、またべつの犬にうつします。するとこの犬は毒性の強い狂犬病のウイルスに対しても免疫になります。反対に犬の狂犬病をウサギやモルモットにうつすと、もっと毒性の強い狂犬病になりました。
【0】パストゥールはまもなく、自分の実験室で、とても弱いものからたいへん危険なものまで、いろいろな強さの狂犬病ウイルスを持つことになりました。一八八四年八月、公式の委員会でパストゥールは、毒性を弱めた狂犬病ウイルスで免疫になった二十三匹の犬は、猛毒なウイルスを注射しても狂犬病にかからず、免疫にされなかった犬は、ほとんど狂犬病にかかったことを説明しました。
見えないウイルスを自由にあやつることが可能になったこの研究は、画期的なものでした。
「細菌と戦うパストゥール」(ブラーノ=ラトゥール)偕成社