サツキ2 の山 4 月 2 週
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○自由な題名
○こわかったこと、何かを初めて食べたこと
★学校へ行く道、山さいつみ
○あし(感)
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あし
【1】二ひきの馬が、まどのところでぐうるぐうるとひるねをしていました。
すると、すずしい風がでてきたので、一ぴきがくしゃめをしてめをさましました。
ところが、あとあしがいっぽんしびれていたので、よろよろとよろけてしまいました。
【2】「おやおや。」
そのあしに力をいれようとしても、さっぱりはいりません。
そこでともだちの馬をゆりおこしました。
「たいへんだ、あとあしを一本、だれかにぬすまれてしまった。」
「だって、ちゃんとついてるじゃないか。」
【3】「いやこれはちがう。だれかのあしだ。」
「どうして。」
「ぼくの思うままに歩かないもの。ちょっとこのあしをけとばしてくれ。」
そこで、ともだちの馬は、ひづめでそのあしをぽォんとけとばしました。
【4】「やっぱりこれは、ぼくのじゃない、いたくないもの。ぼくのあしならいたいはずだ。よし、はやく、ぬすまれたあしをみつけてこよう。」
そこで、その馬はよろよろと歩いてゆきました。
【5】「やァ、椅子がある。椅子がぼくのあしをぬすんだのかもしれない。よし、けとばしてやろう、ぼくのあしなら、いたいはずだ。」
馬はかたあしで、椅子のあしをけとばしました。
椅子は、いたいとも、なんともいわないで、こわれてしまいました。
【6】馬は、テーブルのあしや、ベッドのあしを、ぽんぽんけってまわりました。けれど、どれもいたいといわなくて、こわれてしまいました。
いくらさがしてもぬすまれたあしはありません。
「ひょっとしたら、あいつがとったのかもしれない。」
と馬は思いました。
【7】そこで、馬は、ともだちの馬のところへかえってきました。そして、すきをみて、ともだちのあとあしをぽォんとけとばしました。∵
するとともだちは、
「いたいッ。」
とさけんでとびあがりました。
【8】「そォらみろ、それがぼくのあしだ。君だろう、ぬすんだのは。」
「このとんまめが。」
ともだちの馬は力いっぱいけかえしました。
【9】しびれがもうなおっていたので、その馬も、
「いたいッ。」
と、とびあがりました。
そしてやっとのことで、じぶんのあしはぬすまれたのではなく、しびれていたのだとわかりました。【0】
「新美南吉童話作品集」