黄エニシダ の山 3 月 3 週
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○自由な題名
○この一年、新しい学年
★情報処理能力(感)
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情報処理能力――
これはまず、コンピューターのことを考えてください。コンピューターはいま、日進月歩しています。たとえばA、B、C、Dというふうにたくさんの情報があったとします。
古いコンピューターは、Bの情報は処理できるけれども、AやCやDの情報は処理できないとします。時間もかかる。でも新しいコンピューターで情報処理能力が高まれば、メモリーも大きいし、クリックすることもできる。AもBもCもDも、処理してしまいます。
病気というのも、結局、一つの情報にしか過ぎません。そうすると、古くて情報処理能力の低いコンピューターは、病気があってもその病気を情報処理することができないので、病気を解決することができません。
ところが、新しいコンピューター、情報処理能力の高いコンピューターは、AもBもCもDも、山積みする問題を一瞬のうちに情報処理してしまいます。病気という情報が処理されて、病気がなくなってくるわけです。
この情報処理能力が高い低いというのは、その人の病気に対する態度だけを見るのではなくて、その人がほかの人に対してどういう態度をとっているのか――ということが非常に大事になってきます。
つまり、自分のことだけを大事にするとか、好き嫌いが非常にはっきりしているとか、この人だったら好きだけど、この人だったら嫌い……。これも結局、情報処理能力が非常に限られているということになります。
この情報処理能力がうまくいかない一つの原因は、生まれたときの「三つ子の魂」という、小さいときの育て方によって変わってきます。小さいころに、お父さんとお母さんの一〇〇%の愛情と、自分が愛されているという気持ちを持って育っていない人は、このコンピューターの情報処理能力が低いまま、大人になってくるわけです。
お父さんが非常に怖い人で、いつもその顔色をうかがいながら大きくなってきたというケースでは、その人の心は、そこで傷ついたまま、大きくなってこないのです。体は大きくなってくるけれども、心が大きくなってきません。
情報処理能力が大きくなってこないので、こういう人たちが病気になったときに、それを自然に情報処理する能力がなくなってきます。病気という情報体を処理できなくなってくるのです。これは病気だけではなくて、たとえばその人の家庭が非常に不幸ばかりであるとか、あるいは事故を起こしやすいとか、あるいは何をやってもうまくいかないとか、そういうものにも通じてくるわけです。
病気とは、簡単にいえば、その人の情報処理能力の低さがそこで浮き彫りにされてくる――ということです。だから、その情報処理能力を高めてあげるという治療をすると、病気だけではなくて、ほかのことも処理できるようになってきます。
心の歪みを治すということは、これによって引き起こされる肉体的病気を治すことになりますが、あまりにも肉体的症状にこだわる方にはこうお話しします。
「私は、肉体的な病気というものにはあまり興味がありません。私が興味があるのは、その病気を通して、あなた自身の生活や人生をもっと楽しくする、幸せにすることです。それが私の治療なので、ここが痛い、あっちが悪い、という話は興味がないのです。だつてあなたは、あなた自身の肉体的病気だけを治したとしても、それだけで本当に幸せになれますか?」と。
私は、病気を通して、その人の人生がより豊かになるという形の治療を心がけています。病気を通して、患者さんとそのほかの人々の人生を豊かにするというチャンスを差し上げる、そういう治療を目指しているのです。
肉体的な病気治しは本当に通過点にすぎないのです。
(渋谷直樹著 「すべての存在へ」より)