チカラシバ2 の山 8 月 3 週
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★自由な題名
○小さいころから大切にしているもの
○おかしかったこと
★日本の国の歴史は(感)
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【1】日本の国の歴史は、そのまま日本民族の発展の歴史だと言うことができます。そのことは、わたしたち日本人にとって、大きな力となっているのですが、一方ではひろく世界の国々の人たちと交わっていくためには、かえってそれが損になっていると思われる点もあるようです。
【2】いったい日本人は、大むかしから日本民族だけでこの島国に暮らしてきたために、とかく日本のことだけを、おおげさに考えすぎるくせがあります。【3】「日本はりっぱな国だ」とか、「日本人はすぐれた民族だ」とか、「日本の文化はすばらしい」とか、日本人どうしでおたがいに自分の国をほめ合い、それで満足しています。もちろんお国自慢ということは、どこの国の国民だってあります。【4】祖国のわる口を言われるのは、だれだっていやなものです。しかし、外国のことやほかの民族のことはあまり知らないで、自分の国だけが特別すぐれていると思うのは、あまり感心できないことです。【5】「ぼくはそうは思わないな。日本のものなんか、みんなだめだ。外国のほうが、すべての面でずっとすぐれていると思う」あなたはそう言って反対するかもしれません。たしかにそう考えている日本人だって少なくありません。【6】しかし、そのような見方は、せま苦しいお国自慢を、ちょうど裏返しにしたものにすぎないのです。ただ+と−の両方の極端の違いで、どちらもかたよった見方です。もっと高い立場に立ってみれば、どの国だって同じことなのです。【7】そのなりたちも違えば、国のしくみも違うし、その国民の考え方だって違っているのですから、その国々でそれぞれすぐれた明るい面もあれば、同時に、その国として困っている面、暗い面だってあるのです。【8】日本人のものさしでそれをくらべてみようとするのが、だいいちむりなのです。見方がかたよってしまうからです。ですから、外国のことをよく勉強して深く知ることは必要ですが、すぐれているとか劣っているとか、ひどく気にすることはまったくむだなことだと言えるでしょう。
【9】ところで、同じ学校にかよっている友だちとはよく話が合うも∵のです。先生のかげ口、仲間のうわさ、教室での出来事、休み時間の楽しい遊び、クラブ活動、修学旅行、運動会──共通した話題はいくらでもあります。【0】ところが、あなたもきっと経験があると思いますが、たとえばほかの学校へ行っているいとこが遊びに来たとき、あなたの学校の中で起こった、とてもゆかいな出来事を話して聞かせようとすると、なかなかむずかしいことに気がつきます。毎日顔を合わせている級友ならば、簡単に「タヌキがね」といえばすむところを、「ぼくの学校にタヌキというあだ名の教師がいて、国語の担任なんだ。どうしてタヌキってあだ名がついたかっていうとね……」などと、いちいちくわしく説明しなくては、相手に話が通じない。その説明に骨が折れて、かんじんのゆかいな話のほうは、すっかり気が抜けてしまう。そんな経験をしたことがあるでしょう。
同じ民族だけで作られているこの日本の国にも、それに似たようなことがあるのです。
「日本人のこころ」(岡田章雄著 筑摩書房)より