00ウツギ の山 10 月 3 週
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★じゆうなだいめい
○野山に出かけたこと
○むしをかうあり
○今、地球上には
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今、地球上には、百五十万種類を超える生物がいます。そのうちの八十万種類が昆虫で、四十万種類が動物で、残りの三十万種類が植物です。もし、世界が十種類の生物の村だったら、五種類が昆虫で、三種類が動物で、残りの二種類が植物ということになります。昆虫の種類がずいぶん多いということがわかります。もしかすると、昆虫がこの地球でいちばん元気よく暮らしていると言えるのかもしれません。そう言えば、ゴキブリなどは、元気のかたまりのようです。
生物は、約三十億年前に原始的な生物から進化してきました。進化の過程で絶滅した生物も含めると、今の生物の種類の百倍、一億五千万種類もの生物がいたと推定されています。
どの生物も自分が生きるのに都合のよい形をしています。例えば、キリンは首が長いので、遠くにいる敵を見つけたり、高い木の枝の葉を食べたりすることができます。ゾウは鼻が長いので、自分の鼻をホースがわりにしたり、鼻を手のように使ったりすることができます。三グラムしかないジネズミは、自分の小ささをうまく生かして生きています。逆に百三十トンもあるクジラも、自分の大きさをうまく生かしていきています。このジネズミとクジラがシーソーをしたとすると、つりあいを取るためには、一頭のクジラの反対側に、四千万匹(びき)以上ものジネズミがぶらさがらなければなりません。これぐらい違いのある生物がそれぞれ、自分の長所を上手に生かして生きているのです。
このように多くの種類の生物がいる理由を、昔は、神様が作ったからだと考えていました。しかし、いくら神様でも、百五十万種類もの生物を作るのは大変です。それでも、昔の人は、神様ならそういう神業ができると考えていたのです。
十八世紀に、ゾウの化石を研究した学者が、生物の中には既に絶滅したものがあるということを発見しました。ラマルクは、この∵考えを発展させて、生物の種(しゅ)が変化するという説を述べました。例えば、キリンは、高いところに生えている葉を食べるために、首を長く伸ばしているうちに、今のようなキリンになったと言うのです。
しかし、この説には重大な弱点がありました。確かに一頭のキリンの一生に関して言えば、高いところの葉を食べようとしているうちに、だんだんと首が長くなるということは言えるかもしれません。しかし、その首の長さがそのまま子供に受け継がれるかどうかということはわかりません。
みなさんのお父さんやお母さんが子供のときにしっかり勉強してくれたおかげで、あなたは生まれつき何でも知っていたということになれば、これほどいいことはありません。しかし、実際には、あなたはあなたでまた最初からお父さんやお母さんがしたのと同じ勉強をしなければなりません。こういうことを見ると、親の獲得した能力がそのまま子供に受け継がれるということはないようです。
ラマルクの説を批判する学者は、次のような実験をしました。まず、ネズミのしっぽを短く切ってしまいます。ネズミにはかわいそうですが、しっぽだけなので命には別状がなかったというところが少しほっとするところです。このしっぽを切ったネズミから生まれたネズミのしっぽも、また短く切ってしまいます。このようにして、何代もしっぽを短く切ったにもかかわらず、生まれる子供はいつもしっぽの長いネズミでした。
しかし、この実験は、ラマルクの説を批判するにはあまり確かなものとは言えませんでした。なぜなら、ネズミは自分から進んでしっぽを短くしようとしたのではなく、無理矢理しっぽを短くさせられたからです。この実験のために何匹(びき)ものネズミのしっぽを切った学者は今ごろ、「しっぽの実験はしっぽい(失敗)だったなあ」と思っているかもしれません。
言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会(Σ)