ススキ2 の山 10 月 3 週
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○自由な題名
○野山に出かけたこと


★決心したとおり(感)
 【1】決心したとおり、エジソンは、グランド=トランク鉄道の新聞うりになりました。それは、新聞のほかに、雑誌・くだもの・キャンデーなどを、列車内でうるのです。そのきょりは、ポートヒューロン――デトロイト間百キロメートル、三時間です。【2】そこで、毎朝七時にポートヒューロンを発車して、十時にデトロイトにつきます。
 デトロイトにつくと、この汽車は夕がたまでやすみ、そして、夜の九時半ごろ、ポートヒューロンにかえります。それは、エジソンにとって、ながいひまな時間でした。
 【3】この列車は、三両編成で、手荷物車と喫煙車と婦人用普通客車からなっていました。手荷物車は、荷物室・郵便室・喫煙室の三つにくぎってあり、この喫煙室はつかわれていませんでした。エジソンは、このへやをあてがわれたのです。【4】かれは、そこへ、客にうる品物をもちこみました。
 こんな列車ですから、朝のりこんで、お客に新聞やたべものをひととおりうると、もうひまです。十時から夕がたまでは、デトロイトの図書館で勉強します。【5】けれども、列車内の往復六時間をぼんやりすごすなんて、そんなことは、エジソンにはできません。
 そこでかんがえついたのが、車内実験です。じぶんにあてがわれた車室を、化学実験室にしようというわけです。
 【6】しかし、こんなことは、しゃしょうにそうだんしたらおしまいです。そっとやらなければだめです。かんがえついたあくる日、じぶんの家の地下室から、薬品や実験用具をこっそりもちこみました。
 【7】じょうぶなからだをおじいさんから、事業の才能をおとうさんから、そして、勉強への熱情をおかあさんからうけついだのか、少年エジソンはつかれしらずに、しごとと勉強をつづけるのでした。
 【8】朝はやくから列車うり子、化学実験、図書館がよいをするだけでなく、ポートヒューロンに、助手のオーツをつかって、やさいとくだものの店をひらきました。デトロイトの市場でやすい品物を見∵つけると、すかさず仕入れてきて、ポートヒューロンの店でうるのです。【9】そうして、十二さいの少年が、一日八ドルから十ドルの収入をあげるのです。
 そのうちの一ドルを毎日おかあさんへ、そしてのこりは、本・薬品・実験器具の費用にしました。実験室は、みるみる道具がそろってきました。
 【0】いったい、いまエジソンがうちこんでいる化学実験と、かれの商売と、どんなつながりがあるのでしょう。
 なんのつながりもないように見えますが、じつは、エジソンという人物にとっては、きりはなすことのできないかんけいがあるのです。それは、その後のかれの発明をかんがえればすぐわかるでしょう。
 電灯・電車・蓄音機・映画・ラジオ……そのほか、どれをとってみても、世の人々にちょくせつやくにたつものばかりです。みんな社会と、ちょくせつむすびついています。そういうものが発明できたのは、エジソンがすぐれた事業家の性質をもち、また、商売というものをよく知っていたからです。

(「エジソン」 崎川(さきかわ)範行著 講談社 火の鳥伝記文庫より)