00エニシダ の山 1 月 4 週
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★自由(じゆう)な題名(だいめい)
○清書(せいしょ)
○きのこは木の子
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【1】「香りマツタケ味シメジ」という言葉にあるように、私たち日本人は、秋になるとマツタケを楽しみたいと感じます。マツタケご飯に、土瓶蒸し、焼(やき)マツタケ、貴重で高級な味を年(ねん)に一度味わって、心も体も元気になるようです。【2】また、ふだんからシイタケ、エノキダケ、シメジ、ヒラタケ、マイタケ、エリンギなど、お料理に欠かせない素材となるきのこもあります。このように身近な存在であるきのこは、いったいいつごろから食べられるようになったのでしょう。
【3】高松の この峯も狭(せ)に 笠立てて
みち盛(さか)りたる 秋の香(か)のよさ
万葉集に収められた歌です。「笠立てて」はマツタケがカサを広げてはえている様子、「秋の香(か)」はマツタケの香りのことです。【4】この歌に見られるように、日本人は少なくとも奈良時代にはきのこを食べていたと考えられます。更に平安時代には、貴族たちの間で、季節をいろどる文化的行事としてマツタケ狩(が)りが行われたそうです。
【5】きのこは、光合成をしている植物と違って、光がなくても生きていくことができます。昔は、花を咲かせない植物であるシダやコケの仲間と考えられていたこともありますが、今は菌類として植物や動物とは違う生物だとされています。
【6】植物や動物は、食べたり食べられたりすることでつながり、バランスが保たれています。植物は光から栄養物をつくり出す生産者の役割を果たしています。動物は、ほかの生物を食べて栄養を吸収する消費者の役割を果たしています。【7】その植物の生産と動物の消費がうまく流れていくように、消費し切れなかったものを分解するのがきのこたち菌類の役割です。
きのこは、「大きな木にはえる小さな子ども」ではありません。【8】自然界の中では、植物や動物とならぶような大きな存在なので∵す。そう思うと、おなべの中でぐつぐつ煮えているエノキやシメジが「自然を大切にするんだよ」と語りかけるように思えてきます。
【9】同じように見えるきのこにも、いろいろな性格があります。のんきなエノキ、まじめなシメジ、じっとマツタケ、おいシイタケ、筋肉もりもりマッシュルーム。【0】
言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会 μ