エニシダ の山 1 月 4 週
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○じゆうなだいめい
★清書(せいしょ)
○脳は大食漢
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脳は、人間の体の中で最もエネルギーを必要とする器官です。脳の重さは、体全体の重さのおよそ二パーセントを占めると言われています。たとえば、体重が五十キログラムの人間の脳の重さは、一キログラムになるというわけです。それほどの重さを占めているわけではありませんが、この脳は大変な食いしん坊です。人間が必要とする全エネルギーのうち、二十パーセントもが脳に使われています。しかも、ただの大食漢ではありません。なかなかのグルメなのです。どうしてかというと、脳がエネルギー源として取り込むのは、ブドウ糖だけだからです。また、脳は余分なエネルギーを蓄えておくことができないので、絶えずブドウ糖を補給し続ける必要があります。
ご飯やパンなどの穀類、ジャガイモやサツマイモなどのイモ類など、炭水化物と呼ばれるものはブドウ糖のもとになります。体を動かすためや成長のためだけでなく、脳の働きを活発にするためにも、きちんと食事を取ることは大切だと言えます。眠りから覚め、栄養不足(ぶそく)の脳にとって、とりわけ朝食は最高のご馳走です。
こんな実験結果があります。ラットを迷路に放り込むと、まず一目散に走り出します。しかし、人間のように高度な知能を持たないラットのことですから、すぐに道に迷い、あがき始めます。あがいているラットの脳内は、どんな状態になっているのでしょう。脳の中には様々な働きをする場所があり、それぞれが自分の役目を果たすために働いています。迷路は空間を認識する能力を必要とします。迷路に入れられたラットの脳内の空間記憶を司る部分のブドウ糖の値(あたい)は、通常よりも大きく落ち込んでいたそうです。それだけ脳がエネルギーを使ったということになります。注射によってブドウ糖を補給してあげたところ、迷路抜けの成績が上がったという結果も得られました。疲れきった脳が、ブドウ糖というエネルギーを補給したおかげで見事に元気を取り戻したのです。∵
歩く、走るという大きな動作を伴う体の動きと比べてみると、脳の仕事は、はっきりとは目に見えません。ですから、そんなにも多くのエネルギーを必要とするとは想像できないでしょう。しかし、多くのエネルギーが必要だということは、それだけ重要な働きをしているからにほかなりません。脳は大変な働き者です。私たちが眠っているあいだでさえひとときも休まずに働き続けます。脳の中は、神経細胞がぎっしりとつまっていて、体のすみずみまで命令を出しています。心臓の動きや呼吸でさえ、脳が命令を出しているおかげで一時(いっとき)も休まずに続けられているのです。
「Oh! No.()(オー、ノー)少し休みたいよ。」
そう思うこともあるかも知れません。それでも、脳は働き続けます。
言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会(ω)