サツキ の山 4 月 4 週
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○自由な題名
○家族(かぞく)で出かけたこと
★清書(せいしょ)
○フロンとオゾン(感)
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【長文が二つある場合、読解問題用の長文は一番目の長文です。】
大昔の鳥の祖先は、ほかの動物と同じように四本足を使って歩いていました。長い年月のあいだに、前足が翼に進化し、今のように空を飛べるようになったのです。鳥は、爬虫類の仲間から進化してきたので、トカゲの前足の骨組みと鳥の翼の骨組みは、たいへんよく似ており、この二つをくらべると、前足が翼に変わったことがよくわかります。また、前足だけではなく、体をおおっている羽毛の一部も翼に変わりました。風に向かって進むと、何枚も重なった風切羽(かざきりばね)によって、鳥は体を空中に浮かせることができます。
しかし、翼だけがいくら立派でも、飛ぶことはできません。翼を動かす部分も大事です。鳥の胸の骨には大きな出っ張りがあり、船底(ふなぞこ)のような形をしています。そこに、翼をはばたかせる筋肉がついています。鳥の胸の筋肉は、たいへん発達しており、この筋肉の力で大きな翼をはばたかせることができます。
自由に空を飛ぶためには、体が重くてはいけません。普通、体を作っているもので、いちばん重いのは骨です。そこで鳥の骨は、竹のように中が空洞になっていたり、スポンジのようにスカスカになっているなど、体を軽くするための工夫が見られます。しかし、スカスカの骨といっても、すぐ折れてしまうような弱いものではなく、たいへんかたくて丈夫にできています。
また、体全体を軽くするために、骨の数も少なくなっています。あごの骨は歯と一緒になって、くちばしに変わりました。歯がないため、鳥は食べ物をすべて丸のみにしてしまいます。「鵜のみ」にするのは、鵜だけではなかったということです。ただ、そのままではたいへん消化が悪いので、おなかの中で食べた物を砕くことができるようになっています。その役目をするのが砂肝(すなぎも)です。砂肝(すなぎも)は砂嚢とも呼ばれ、その名のとおり砂が入っています。砂粒(すなつぶ)によって∵食べ物をすりつぶすのです。
変わっているのはくちばしだけではありません。背骨の数も少なくなっていて、しかも棒のようにまっすぐです。首が自由に動くのに比べて、背骨は自由な動きがほとんどできません。羽(は)づくろいをする鳥を見ると、体全体をひねることができないので、首だけをぐるりとうしろに回しています。しかし、そのおかげで、空を飛ぶときに体が安定する上、離着陸の衝撃から体全体が守られるようになったのです。
体を軽くしなくてはいけない一方で、鳥は飛ぶために多くのエネルギーを必要とし、どんどん食べ物を食べなくてはなりません。そこで鳥は、食べてすぐエネルギーに変わるような食物をとるようになりました。多くの鳥は草食ではなく肉食です。植物性のものを食べる鳥もいますが、種子や果実など、すぐにエネルギーになるものを食べます。
鳥は、少しでも体を軽くするために、もう一つ工夫をしています。それは、フンをためこまないということです。もし、鳥が便秘になったら大変なことです。フンの重さで飛べなくなってしまうからです。公園などでハトにフンをかけられてハッと驚いても、「フン!」などと憤慨せずに、「フーン、飛ぶためには仕方がないのだな」と優しく理解してあげましょう。
言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会(κ)∵
【1】冷蔵庫がまだあまり普通の家庭にはなかったころ、冷蔵庫には、毒があって危険な物質が使われていました。この物質は、液体からガスに変わるときに周りを冷やす性質を持っていました。
【2】しかし、このように危険な物質を、家庭におく冷蔵庫に使うわけにはいきません。そこで、何かいい方法はないものかと、研究が行われました。その結果、フロンという新しい物質が見つかりました。
【3】フロンは、色も匂いもない物質で、安定した性質を持っています。性質が安定しているということは、ほかのものといっしょにしても、ほとんど反応を起こさないということです。また、燃えることもないので、火事の心配がありません。【4】さらに、簡単に液体にしたりガスにしたりできるので、取り扱いも楽です。そして、安く作ることができるのも、大きな長所でした。
こうして、フロンは「20世紀最大の発明」として歓迎され、世界中で使われるようになっていきました。【5】フロンは、まさに時代のフロンティア(最前線)でした。
日本では特に、精密機械の工場で、部品を洗うのに使われました。普通の水にはゴミやほこりが溶けこんでいるため、精密機械の工場では使えなかったのです。
【6】しかし、こんなに長所ばかりがあると思われたフロンに、意外な欠点があることがわかってきました。地球の上空にあるオゾン層を、フロンが破壊するということがわかってきたのです。
【7】フロンの長所である安定した性質が、逆に欠点にもなっていたのです。フロンは壊れにくく、ほかのものと反応もしないため、そのままガスとなって空気中に出て行きます。【8】そして空の高いところまで行くと、太陽の強力な紫外線によって初めて分解されることになります。そのときに、フロンから出た塩素がオゾン層を壊していくのです。∵
【9】オゾン層は、太陽の強力な紫外線から地球上の生き物を守っているバリアのようなものです。このバリアが壊されると、紫外線が地球上に降り注ぎ、生き物に大きな害を与えます。【0】こうして、ヒーローだったはずのフロンは、いつの間にか悪者(わるもの)になってしまいました。
しかし、人間が破壊したものは、人間の手によって修復できるはずです。オゾン層を破壊することは、人間にとってオーゾン(大損)ですから、今、世界中でオゾン層を守る対策が進められています。
「フロンさん、元気出してね。君が悪いわけじゃなく、たまたまオゾン君と仲が悪かっただけなんだから。」
「うん、フロン、がんばる。フロンでも(ころんでも)ただでは起きないわ。」
「そう。オゾン君も、だんだん元気が出てきたようだから。」
「オイゾンも、これからがんばって、紫外線からみんなを守るでごわす。」
フロー、フロー、オゾン!
言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会(τ)