クリ の山 12 月 4 週
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◎じゆうなだいめい
★清書(せいしょ)
○いちばん貧しい人に
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「いちばん貧しい人に仕えるため、町に出て行こう。」
何不自由ない生活を送っていたマザー・テレサが、そう決心して修道院をあとにしたとき、持っていたお金はわずか五ルピーのみでした。今の日本のお金にしてみると、およそ百五十円です。たったこれだけのお金でいったい何ができるというのでしょう。しかし、マザーはあきらめません。神に与えられた自分の使命を果たすためにも、あきらめるわけにはいかないのです。
カルカッタの町には、多くの子供たちが表情もなく座り込んでいました。学校へ通うお金もなく、食べるものも満足になく、ただじっと座り込んでいるのです。
教育こそが貧しさから抜け出す鍵になると直感したマザーは、すぐさま子供たちを集めて青空教室を開きました。もちろん机もいすもありません。地面を黒板代わりにし、読み書きの基礎から指導していきました。
その噂はまたたく間に広まり、たくさんの子供たちがつめかけるようになりました。すると、マザーの活動に賛同し手助けをしてくれる強力(きょうりょく)な協力者が次々と現われました。
たった五ルピーしか持たないマザーが、その活動を大きく広げていったのは、こうした人々の愛によるところが大きいのです。
多くの心ある人々に支えられ、マザーなき現在も、マザーの活動はカルカッタの町にしっかりと根づいています。
私たちはみな、愛を持っています。ただ、十分に人に与える方法がわからないだけなのかもしれません。
「いったい、いつ、まずしい人々の貧困はやむのですか。」
そうたずねられたマザーは、
「あなたと私が分かち合いはじめたときに。」
と答えました。
言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会(ω)