ウツギ の山 12 月 4 週
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◎じゆうなだいめい
★清書(せいしょ)
○生きているものには
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生きているものには、すべて寿命があります。しかし、生物の体を作っている細胞のレベルで考えると、実は寿命がないのです。
例えば、アメーバは、自分の体を分裂させながら増えていきます。栄養がいいと、自分の体の一部を分裂させて、自分を増やしていきます。
このアメーバのような増え方をしている生物は、たまたま一つの個体が死んでも自分の分身は生きていますから、死んだことにはなりません。
実は人間にも、同じようなことが言えます。人間はアメーバのように分裂して増えるわけではありませんが、自分の細胞の一部を子供に伝えて生きています。だから、子供は、お父さんやお母さんに似ているのです。
このように細胞は無限に生き続けていきますが、人間の個体には寿命があります。どうして、このような寿命があるのかはわかりませんが、この理由は次のように考えることができるかもしれません。
例えば、もし何百(なんびゃく)年間も壊れない自動車があったらどうでしょう。古くなって、いろいろ改良したいところが出てきても、いつまでもその古い車に乗り続けなければなりません。物は壊れるから、また新しいものを作ることができるのです。
プラスチックは、人間が人工的に作ったものです。そのプラスチックの特徴は、腐りにくいことでしたが、その腐りにくさのためにいつまでも自然の中に残り環境を汚染するようになりました。壊れないものばかりで世の中ができていると、新しいものが登場できなくなるのです。
生物も似ています。寿命があるから、新しい生物が生まれ、その新しい生物が古い生物のできなかったことをできるようにしていくのです。∵
アメーバと同じような生き物にゾウリムシがいます。このゾウリムシは、栄養状態のよいときに自分を分裂させて増えていきます。しかし、七百回ぐらい分裂を繰り返すと、それ以上の分裂はできなくなり、突然すべてのゾウリムシが死んでしまいます。そうならないように、ゾウリムシはときどき別のゾウリムシと結婚して、今までの自分とは違う新しい子孫を作ります。と言ってももちろん、ゾウリムシがゲタムシやサンダルムシになるのではありません。ゾウリムシのまま新しい性質を手に入れるのです。
寿命があるということは、新しいものを生み出す条件だと言えるのかもしれません。
言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会(Σ)