長文 4.1週
1.【長文が二つある場合、音読の練習はどちらか一つで可。】
2. 【1】
四月五日に、
入学式がありました。ぼくは、
朝からうれしくてたまりませんでした。どうしてかというと、
早く一年生になりたかったからです。ぼくは、
黒いランドセルを
買ってもらいました。【2】
家の
中で
何度もランドセルを
背負って、
鏡に
映してみました。
入学式に
着る服は、お
兄ちゃんの
お下がりです。ぼくは、
服は
お下がりでも
気にしないけれど、ランドセルが
お下がりだったら
嫌だなと
思いました。
3. 【3】ぼくが
入学するのは、
北小学校です。ぼくの
家からは、
歩いて十
分くらいです。
お母さんは、
4.「ちょっと、
写真撮ろうよ。そこに
立ってみて。」
5.と
言って、ぼくを
校門に
立たせました。ぼくは、わざとサルのまねをして
変な
顔をしました。【4】
お母さんは、ぷうっとふくれて、
6.「もう、なんでそんな
変な
顔するの。
普通に、にっこりしてよ。」
7.と
言いました。
8. ぼくがにっこりしてカメラの
方を
向くと、
お母さんは、
何枚も
写真を
撮りました。【5】七、八
枚撮ったところでやっと
お母さんは
満足したようです。
9. 六
年生と
手をつないで、
体育館に
入りました。六
年生は
体が
大きくて、まるで
大人のようです。
10.【6】「
分からないことがあったら、ぼくたちに
聞いてね。」
11.などと、いろいろなことを
優しく教えてくれました。六
年生は
何でも
知っているのだなと
思いました。うしろを
見てみると、
お父さんや
お母さんたちがたくさんいました。【7】ぼくは
自分の
お母さんの
顔を
探しました。なかなか
見つからなくて、
何度も
振り返ってしまいました。
何度目かに
振り向いたとき、
お母さんが
手を
振っているのが
見えました。ぼくは
少し安心しました。∵
12. 【8】ぼくのクラスの
担任は、
坂井先生です。
男の
先生なので
嬉しくなりました。
鬼ごっこやサッカーをして
一緒に
遊べると
思ったからです。
坂井先生は、
少し太っていて、まるでドラえもんのようです。ぼくたちの
顔をみて、にこにこ
優しく話をしてくれます。
13. 【9】ぼくは、
先生の
目の
前の
席になりました。ぐるっと
教室の
中を
見渡してみました。
大きな黒板があります。
机も
大きくて、
幼稚園の
机とは
全然違います。
本当に一
年生になったのだなと、
不思議な
気持ちがしました。【0】
14.(
言葉の
森長文作成委員会 ω)∵
15. 【1】
焼肉屋さんでは、
鉄板の
上に
肉や
野菜を
乗せて
焼きますが、なぜ
鉄板の
上に
乗せるのでしょうか。
肉や
野菜を
直接火にかけて
焼くこともできるはずなのに
鉄板を
使うのはなぜでしょう。【2】それは、
肉や
野菜を
直接火にかけると、
焦げてしまったり、
火がついてしまったりすることがあるからです。【3】
鉄板を
火で
熱して、その
熱で
肉や
野菜を
焼けばちょうどよい
加減に
焼くことができます。
16. 【4】では、
鉄は
燃えないのでしょうか。
製鉄所の
高炉で
焼けば、
鉄も
真っ赤になって
溶けてしまいます。【5】また、
台所にある、スチールウールでできたタワシにガスバーナーで
火をつけると、
簡単に
火がついて、じわじわと
燃えてしまいます。でも、
鉄板は
燃えません。これはなぜでしょう。
17. 【6】
物が
燃えるためには、
物が
酸素と
結びつくことが
必要です。
鉄が
燃えるためには、
鉄の
表面積が
広くなって、たっぷりの
酸素と
結びつかなければなりません。【7】
細い鉄がぐるぐる
巻きになっているスチールウールのタワシは、
表面積が
広いために
空気中の
酸素と
結びつきやすく、すぐに
燃えてしまいます。【8】しかし、
鉄板は、
厚さがある
分、
表面積が
狭く、
十分に
酸素と
結びつくことができないために
燃えないのです。
18. 【9】
表面積の
大きさが
鉄を
燃やすのを
手伝っているというわけです。【0】
19.
言葉の
森長文作成委員会 Λ
長文 4.2週
1.
雨降って
地固まる
2. 【1】
土のじめんは、
雨が ふっているあいだは ぬかるんで、どうしようもありません。
3. でも
雨の やんだあとは、かえって
土が ひきしまって、まえよりも しっかりと かたまります。
4. 【2】このことから、 わるいことや むずかしいことが あったときに、それを うまく のりこえれば、まえよりも ずっと よくなる という いみです。
5. 【3】ともだちや かぞくの あいだで もめごとが おこって、おたがい いやなおもいをしながら ぶつかりあうことが あるでしょう。【4】でも そのけっか、おたがいのきもちが わかって、まえよりも なかよくなれることが あります。
6. 【5】くろうや こんなんに あっている
人を なぐさめたり、はげましたりするときに つかわれる ことわざです。
7. 【6】これと にた ことわざに「
雨のあとの
上天気」「あらしのあとに なぎがくる」が あります。
8.【7】「ぼくのはんが、 うさぎの せわとうばんのとき、うさぎが 一わ、にげてしまいました。『おまえが わるい』『ぼくのせいじゃない』と、いちじは
大げんかになりました。【8】みんなで さがしているうちに、やっと みつかったときは、だきあって よろこびました。【9】それからは、あまり きょうりょくてきでなかったはんが、とても なかよしになりました。
雨ふって
地かたまるっていうことかな。」【0】
9. 「ことわざものがたり二
年生」(
西本鶏介著 偕成社)より
長文 4.3週
1.
一寸の
虫にも
五分のたましい
2. 【1】
一寸(やく三センチメートル)しかない
小さなむしでも、からだの はんぶんに あたるぐらい、
大きなたましいを もっている 【2】ということから、どんなに
小さく よわいと いわれているものでも、こんじょうや かんがえを もっているものだという ことわざです。【3】五
分は、
一寸の はんぶんです。
3. 【4】ですから、どんな あいてでも けっして ばかにしてはいけません。
4. 【5】あいての よわいところをついて、いじめたり からかったりしていると、いつかは しっぺがえしされます。
5. 【6】じぶんよりも
小さくて よわいものを いじめるのは、にんげんとして いちばん さいていな おこないです。
6. 【7】にたような ことわざに「やせうでにも ほねあり」 というのが あります。
7. 【8】けんじくんの
子ども会の やきゅうチームは、まいとし 一かいせんで まけてしまいます。【9】「よわよわチーム」と いわれて、四
年生の
人が、
8.「
一寸のむしにも 五
分のたましいだぞ。らいねんを みてろ。」
9.と いいました。【0】
10. 「ことわざものがたり二
年生」(
西本鶏介著 偕成社)より
長文 4.4週
1.【長文が二つある場合、読解問題用の長文は一番目の長文です。】
2.
苦手な
虫の
名前は
何かと質問したら、
多くの
人はゴキブリと
答えることでしょう。
台所に
潜んでは、
夜中に
這い出してきて
住人を
驚かす、というよくないイメージを
持たれているゴキブリです。しかし、ほとんどのゴキブリは
人間と
直接関わりあうことなく、
朽木や
動物の
死骸など、
腐ったものを
食べてほそぼそと
暮らしている
野の
虫なのです。
3. ゴキブリは
生きている
化石と
言われており、
現在と
姿があまり
変わらない
化石が、
太古の
地層から
発見されています。ゴキブリは、
人家を
始め熱帯雨林や
砂漠など、
寒冷地以外の
様々な
場所に
生息してきました。
4.
人間の
住環境に
出没するようになったゴキブリは、
同じゴキブリの
中でも
特に雑食性の
強い種です。ゴキブリにとって
人家は、
豊富な
食料がほぼ
確実に
手に
入れられる
環境なのです。
彼らは
残飯だけでなく、
人間の
垢や
髪の毛といったものまで
食べてしまいます。このたくましさなくしては、
約三
億年近くも
絶滅することなく
現在まで
生き延びることはできなかったでしょう。
5.
生物には
天敵がつきものなので、もちろんゴキブリにも
天敵は
存在します。カエルやクモなどはその
代表ですが、
人家に
棲むゴキブリにとっては
殺虫剤やスリッパの
方が
恐ろしいかもしれません。
6. ゴキブリは
古来から
生き延びてきたことから、「
人類滅亡後はゴキブリが
地球を
支配する」と
考える人もいます。しかし、
多くのゴキブリは
森や
林の
自然の
中に
生息しているのですから、
地球の
環境が
破壊されればゴキブリもまた
影響を
免れることができません。ゴキブリだけがいいゴキブンで
生き延びることはできないのです。∵
7.
人間もゴキブリも、
同じ地球の
仲間です。
今度ゴキブリを
見つけたら、そっと
手に
乗せて
優しくなでてあげましょう。きっとゴキブリは
喜んで、もっとたくさんの
仲間を
連れてくるはずです。
8.
言葉の
森長文作成委員会(χ)∵
9. 【1】
約三
万年前、
日本列島は
大陸と
陸続きでした。
縄文人の
祖先は、
陸続きの
日本に
渡ってきた
古モンゴロイドであると
言われています。【2】
古モンゴロイドとは、アジア
大陸南部に
誕生した
蒙古人種で、ナウマン
象などを
追って、
日本に
渡ってきました。【3】この
古モンゴロイドが
旧石器人となり、その
子孫が
縄文人となったのです。
10. 【4】
一方、
紀元前300
年ごろ、
新モンゴロイドが
鉄器と
青銅器を
持って
日本に
渡来し、
弥生人と
呼ばれるようになりました。【5】この
新モンゴロイドが
古モンゴロイドと
混血を
繰り返しながら
今の
日本人になったと
考えられています。
11. 【6】
縄文人は、
四角い顔で、
眉毛が
太く、
二重まぶたで、
唇が
厚いのが
特徴です。
弥生人は、
面長で、
眉毛が
細く、
一重まぶたで、
唇が
薄いのが
特徴です。【7】このような
対照的な
特徴が
今の
日本人にも
現れていると
考えると、
同じ日本人でもさまざまな
顔の
人がいることも
納得できます。
12. 【8】また、
日本列島の
北端と
南端の
人々の
骨格や
顔つきが
似ているのは、
後から
日本に
来た
弥生人の
特徴が
薄まり、
弥生人より
前から
日本にいた
縄文人の
特徴が
色濃く残ったためと
言われています【9】。
日本列島の
北端と
南端の
人々の
祖先は、
率先して
日本にやってきた
縄文人の
影響の
方が
強いというわけです。【0】
13.
言葉の
森長文作成委員会 Λ
長文 5.1週
1.【長文が二つある場合、音読の練習はどちらか一つで可。】
2. 【1】
先週の
日曜日は、
母の
日でした。
私とお
姉ちゃんは、
何をプレゼントしようか
相談しました。いろいろ
考えて、ホットケーキを
作ることに
決めました。
お母さんに、
3.「
今日は
私たちがホットケーキを
作ってあげるよ。」
4.と
言いました。【2】
お父さんにも
手伝ってもらおうと
思ったら、
5.「
お父さんは、
食べる当番だよ。」
6.と
言ったので、みんなで
大笑いしました。
7. まず、お
姉ちゃんは、
玉子と
牛乳をボウルに
入れて
かき混ぜます。【3】
私は、ホットケーキミックスを
別のボウルに
入れました。そこへ、お
姉ちゃんが
玉子と
牛乳を
入れました。そのあとは、
泡立て器でかきまぜます。
8.「さっくり
かき混ぜてね。さっくりだよ。」
9.と、お
姉ちゃんが
指示します。【4】さすがにお
姉ちゃんだなと
思いました。お
姉ちゃんの
夢はパティシエになることなのです。
何回か
かき混ぜると、
生地はとろりとなめらかになりました。
10. いよいよ
焼きます。【5】ちょうどそのとき、
お母さんがのぞきに
来て、
11.「
大丈夫?
手伝おうか。」
12.と
言いました。お
姉ちゃんは、
13.「
お母さんは
座ってて。
母の
日なんだから。」
14.と
言いながら、フライパンに
生地を
流し入れました。
15.【6】「
まん丸にするには、
高いところから
一気に流すんだって。」
16.と、お
姉ちゃんが
教えてくれました。みるみるうちに、フライパンに
生地が
広がっていきます。どうしてこれで
まん丸になるのだろうと、
私は
不思議に
思いました。∵
17. 【7】しばらく
待っていると、ホットケーキの
表面に
小さな泡が
出てきました。
泡が
全体に
広がったら、
ひっくり返す合図なのだそうです。
18.「そうれ!」
19.お
姉ちゃんが
思い切って
ひっくり返しました。ホットケーキは、ストンとフライパンの
上に
ひっくり返りました。【8】まるで
宙返りをしたようです。とてもおいしそうなきつね
色に
焼きあがりました。
私は、
20.「すごい。
お母さんが
作ったみたい。」
21.と
言いました。
22.
全部で八
枚焼きました。
私が
焼いたものは
失敗作です。うまく
ひっくり返せなくて
変な
形になってしまったからです。【9】でも、
お父さんは、
23.「この
変な
形も、なかなか
面白くていいなあ。」
24.と
言ってくれました。
25.
焼きあがったホットケーキは、メープルシロップとバターをたっぷりかけて
食べます。
お母さんは、
26.「おいしい、おいしい。
本当に上手にできたね。」
27.と、にこにこしながら
食べてくれました。【0】
28.(
言葉の
森長文作成委員会 ω)∵
29.一
銭を
笑う者は一
銭に
泣く
30. 【1】「一
銭」は、 一
円よりも やすい むかしの
お金で、いまは つかわれていません。【2】だから 一
銭を 一
円と おきかえて かんがえてみれば、よくわかるでしょう。【3】どんな
小さいお金でも、けっして そまつにしてはいけない という ことわざです。
31. 【4】かいものに いったとき、たった 一
円 たりなくても、かいたいものは かうことが できません。でんしゃのキップだって おなじです。
32. 【5】ゆうくんは かいものにいく とちゅう、ポケットから 一
円だまを おとしました。
33.「なんだ、一
円ぐらい いいや。」
34.と ゆうくんは ひろいませんでした。【6】ところが そのあとで けしゴムを かおうとしたら 五十一
円と いわれました。【7】でも、
お金は 五十
円しかありません。しかたなく 一
円を とりに いえへ もどりました。
35. 【8】こんなことに ならないためにも、
日ごろから
お金は たいせつにすることです。
36. 【9】どんな
大金も 一
円から はじまるのです。 だから このことわざは、せつやくや ちょちくを すすめるときにも つかわれます。【0】
37. 「ことわざものがたり二
年生」(
西本鶏介著 偕成社)より
長文 5.2週
1.うそも
方便
2. 【1】とかく にんげんは、じぶんを よく みせようとしたり、じぶんのほうが ただしいのだと おもわせたくて、つい うそをついてしまいます。【2】また、あいてを なぐさめ、げんきづけるために、うそをつくことがあります。
3. 【3】ながいあいだ
入院している おじさんを おみまいにいったら、すっかり やせて、
青白いかおを していました。
4.【4】「もう だめかもしれない。」
5.という おじさんに おとうさんは、
6.【5】「かおいろが このまえより いいから、だいじょうぶだ。」
7.と いいました。
8. 【6】うそと わかっていても、おとうさんを せめることは できません。【7】よわきになっている おじさんを はげましているのですから。
9. 【8】うそをつくのは わるいことだと おしえられてきましたが、ときと ばあいによっては、【9】ものごとを おだやかに おさめるために、うそをつくこともある という ことわざです。【0】
10. 「ことわざものがたり二
年生」(
西本鶏介著 偕成社)より
長文 5.3週
1.
過ぎたるは なお
及ばざるがごとし
2. 【1】このことわざは、
中国の
孔子という
学者が、
弟子や
政治家などと かわした
問答や
会話を あつめた『
論語』という
本から きています。
3. 【2】じゅうぶんな そなえは たいせつですが、なんでも
度を すぎるのは だめ。【3】つまり
度を すぎてしまっては、たりないのと おなじで、やっぱり よくない という おしえです。
4. 【4】けんこうのために といって、ジョギングを したり、スポーツジムに かよったりするのは よいことですが、【5】きゅうに はじめたり やりすぎたりして、
足や こしを いためたり けがをしてしまったりでは なんにもなりません。【6】どんなに ためになることでも
度を すぎるのは かんがえものです。
5. 【7】おなじいみの ことわざに「くすりも すぎれば どくとなる」が あります。
6. 【8】えいごにも「やきすぎは
半やきより わるい」という ことわざが あります。【9】まっくろになるまで やいた ステーキや パンは、おいしくありませんよね。【0】
7. 「ことわざものがたり二
年生」(
西本鶏介著 偕成社)より
長文 5.4週
1.【長文が二つある場合、読解問題用の長文は一番目の長文です。】
2.
世界でいちばん
初めに
切手ができた
国は、イギリスです。それは、
今から二
百年近く前のことでした。
3.
当時、イギリスにはすでに
郵便の
制度はありましたが、
手紙の
重さと
送る距離によって、
値段が
変わっていました。つまり、
重いものを
遠くへ
送るほどたくさんの
お金を
払わなければならなかったのです。また、その
料金も、
受け取った
人が
払う仕組みでしたから、
受け取りを
拒否する
人もたくさんいました。なかには、
空の
封筒を
送り、
家族に
受け取りを
拒否してもらい、
自分が
元気なことをただで
知らせる
人もいたそうです。
4. ここに
登場したのが、「
近代郵便制度の
父」と
呼ばれるローランド・ヒルです。
彼はその
時、
郵便の
仕事をしているわけではありませんでした。しかし、
郵便を
前払い制にして、
料金を
安く、またどこへ
出しても
同じ金額にすることを
提案したのです。
5. こうして、
世界で
最初の
切手である一ペニーの「ペニー・ブラック」と、二ペンスの「ペンス・ブルー」という二
種類の
切手が
作られました。どちらも、
当時のイギリスのビクトリア
女王の
横顔が
描かれています。
6. この
切手は、
世界で
最初の
切手だったため、イギリスの
国名は
印刷されていませんでした。
その後、この
新しい郵便制度はヨーロッパ
中に、そして
世界中に
広まりました。しかし、イギリスだけは
現在でも、
切手に
国名を
印刷していません。これは、
世界の
先頭をキッテ、
最初に
切手を
作ったという、
誇りがあるからです。
7.「ヒルさん、
切手を
最初に
作ったときは、どんな
気持ちでしたか。」
8.「うまく
行くかどうかわからないので、どきどキッテしました。」
9.
言葉の
森長文作成委員会(τ)∵
10. 【1】みなさんのおじいちゃん、おばあちゃんはお
元気ですか。
11. 【2】
年をとると、
腰やひざが
痛くなったり、うまく
動かなくなったりします。【3】また、
目や
耳や
歯も
若いころとはちがって、だんだん
衰えてきます。
12. 【4】こうした
変化を
老化と
言いますが、
実際に
自分がなってみないとどんなに
不自由かわかりません。
13. 【5】
今、いろいろなところで「シニア
体験」といって、ひざにおもりをつけたり、
見えにくいメガネをかけたりして、お
年寄りと
同じような
状態を
作って、
生活の
一部を
体験するという
試みが
行われています。
14. 【6】
普段は、
特に意識しないでひょいとまたいでバスタブにつかっている
私たちですが、二キログラムのおもりを
足につけると、へりの
高さが
高いバスタブにはなかなか
入れません。
15. 【7】また、ぐるぐると
厚いサポーターをひざにまかれてトイレに
座ってみると、
立ち上がるとき、とても
苦労します。【8】そんなとき、
手すりがあると
助かります。
16. 【9】
生活に
使ういろいろなものを
作る会社では、このような
研究をして、お
年寄りが
安全で
暮らしやすい
製品を
開発しているのです。【0】
17.
言葉の
森長文作成委員会 φ
長文 6.1週
1.【長文が二つある場合、音読の練習はどちらか一つで可。】
2. 【1】
日曜日に、
西公園に
遊びに
行きました。
お父さんと
一緒にザリガニ
釣りをするためです。タコ
糸とスルメを
用意していきました。
西公園は、もうすっかり
夏です。ぼくたちは、
竿になりそうな
木の
枝を
探しました。【2】すぐにちょうどよい
大きさの
枝が
見つかりました。
早速、それを
拾って
池に
向かいました。
3.
池には、たくさんのハスの
葉があります。のぞきこんでみると、
水の
中でハスの
茎にしがみついているザリガニが
見えました。
4.【3】「
お父さん、あそこあそこ。あそこにいるよ。」
5.と、ぼくが
指をさすと、
お父さんも
池をのぞきこみました。
6.「どれどれ。
今日はたくさん
釣れそうだな。」
7.と
嬉しそうです。
8. リュックサックからタコ
糸とスルメを
取り出して、
竿の
準備を
始めました。【4】
お父さんは、
9.「
葉っぱと
葉っぱの
間に
投げ入れろよ。」
10.と
言って、ぼくに
竿を
渡してくれました。ぼくは、
狙いを
定めて
竿を
投げ入れました。
思ったところにスルメが
入りました。
11. ほんの十
秒くらいで、スルメが
引っ張られました。【5】ザリガニがスルメに
気づいて
食いついたのです。
お父さんは、
12.「そらきた。」
13.と
声をあげました。
14.「まだ
引くな。ザリガニがしっかり
食いつくまで、もうちょっと
待てよ。よし、
今だ。
引け。」
15.と
指示します。【6】
今だと
言われたところで、くくっと
竿を
引っ張りあげると、ザリガニがスルメに
食いついていました。
16.「やった!」
17.ぼくは
思わず声を
上げました。∵
18.
釣り上げたザリガニを
捕まえようとすると、ザリガニはハサミを
大きく上げ、
尻尾を
丸めて
後ずさりします。【7】まるで「こっちに
来るな」と
逃げているようです。ぼくは、ザリガニの
顔をじっと
眺めてみました。
丸くて
真っ黒な
目をしています。よく
見ると、なかなかかわいい
顔です。
19. 一
匹つかまえたあと、
同じようにして、ぼくたちは
次々とザリガニを
釣り上げました。
20.【8】「これで五
匹目だ。」
21.と、ぼくが
言うと、
22.「それ、こっちもまた
釣れたぞ。」
23.と、
お父さんが
言います。ぼくは
何度か
場所を
移動して、
少しでもたくさん
釣れるように
工夫してみました。
24. 【9】
帰るときに
数えてみると、ぼくと
お父さんの
釣ったザリガニは、
全部で十七
匹でした。
持ってきたバケツの
中で、ザリガニたちはガサガサと
音を
立てていました。【0】
25.(
言葉の
森長文作成委員会 ω)∵
26.たつ
鳥 後を
濁さず
27. 【1】ピクニックなどに いくと、おべんとうの からばこや、おかしの はいっていた ふくろなど、ごみが でますね。 その ごみを きちんと きまった ごみばこに いれていますか。【2】ごみばこが なかったら、ごみを いえまで、もって かえりますか。
28.
水鳥は、
水を よごさないで とびたちます。【3】「
水鳥の とびたったあとの
水べは にごっていない」と いうことから、たちさるときには あとかたづけをして、きれいにしておくこと といういみの ことわざです。【4】ピクニックなどに いっても、このことわざのように きちんと かたづけてから かえりたいものですね。【5】「つぎにくる
人に めいわくを かけたり、いやな おもいを させたりしないように
気をつけましょう」ということです。
29. 【6】このことわざには、「しごとや たかい
地位を しりぞくときには、いさぎよく やめていくこと」という いみも あります。
30. 【7】まわりの
人たちに めいわくがられているのに、 いつまでも そのしごとや
地位に しがみついているのは、みぐるしいことです。
31. 「とぶとり あとを にごさず」とも いいます。
32. 【8】おばあちゃんは、ながいあいだ すんでいた いえから マンションに ひっこすことに なりました。とても ふるくなった そのいえを、いっしょうけんめい そうじ しました。にわにも ざっそうが 一
本も はえて いません。
33.【9】「もう、すまないのに どうして きれいに するの。」
34.と わたしが きくと、
35.「たつとり あとを にごさずと いってね。ながいあいだ おせわに なった いえだから きれいに してから ひっこしたいの。」
36.と おばあちゃんは いいました。【0】
37. 「ことわざものがたり二
年生」(
西本鶏介著 偕成社)より
長文 6.2週
1.もちは
もち屋
2. 【1】おもちは、もちやさんが ついたものが いちばん おいしいということから、その みちの せんもんかに まかせるのが いちばんいい という いみの ことわざです。【2】たとえば ひっこし せんもんの
会社が あります。そこに つとめている
人たちは、にもつの つめかたから はこびだし、トラックにのせる ほうほうが じょうずです。【3】ひっこしさきの いえでも、 にもつを ほどいて おさめるべきところに かぐを きちんとおいて、てきぱきと しごとを かたづけていきます。【4】これを なれない
人たちで やると、かぐや しょっきを こわしたり、きずつけたり しかねませんし、たいへんです。
3. 【5】としょかんだったら、
司書が いますね。どこに どの
本が あるのか、このべんきょうに ひつような
本は、どれをよめば いいのか、いろいろ おしえてくれます。
4. 【6】また にわの
木や こうえんの
木を かたちよく ととのえるのは、うえ
木やさんです。 みごとに かりこまれた
日本ていえんの
木を みたことがあるでしょう。【7】じゅくれんした うえ
木やさんの
手でなされた げいじゅつ
品と いっていいものです。これも なれない
人が やると、ぶかっこうなかたちに なってしまいます。
5. 【8】このように、しろうとが いくら じょうずだからといっても、せんもんかには かないません。プロの
人に まかせておくと あんしんです。
6. 【9】おとうさんは、ものおきを たてるといって しごとを はじめましたが、とちゅうで かたむいてしまいました。
7.「もちは もちやが いちばん。だから だいくさんに たのもうって いったじゃない。」
8.と おかあさんは おこっています。【0】
9. 「ことわざものがたり二
年生」(
西本鶏介著 偕成社)より
長文 6.3週
1.わざわい
転じて
福となす
2. 【1】「わざわいてんじて ふくとなす」というのは、わるい
目に あっても、それを きっかけにして しあわせに かえてしまう という ことわざです。【2】また わるいことが おこると 二どと おこらないように ちゅういするので、かえって しあわせに なれる という いみも あります。
3. 【3】こうつうじこで
入院した
人が、からだの けんさをしてもらって、 ぎゃくに びょうきが みつかったというときも、このことわざが つかえます。【4】けがをしたことは わざわいですが、ふだん いそがしすぎて やすむことも できない
人が、ゆっくりと きゅうようして、けんさを してもらって、びょうきも みつかり、けんこうになれば「さいわい」になります。
4. 【5】たいふうで いえが こわれたら 「わざわい」です。でも そのあと、みんなで ちからを あわせて あたらしい いえを つくろうとするうちに、ばらばらになっていた かぞくのこころが ひとつになれば、これは「さいわい」に なりますね。
5. 【6】「わざわいは さいわい」という ことわざも あります。これも おなじ いみです。
6. そのときは さいなんだなあと おもったことも、そのさいなんが あったことで、ほかの より
大きなさいなんから まぬがれることが できた ということも あるのです。【7】つまり さいなん(わざわい)が、しあわせのもとだった ということですね。
7. このことわざは、
中国のふるい
本『
史記』から きています。
8.【8】「ぼくは きょう いたずらをして、がっこうに のこされました。いえに かえると だれもいなくて、どろぼうが はいっていました。【9】おかあさんは 『まことが ひとりで いえに いるとき、どろぼうが きたかと おもうと、ぞっとするわ。いのこりさせられたのは、わざわいてんじて ふくとなすで ほんとうに よかったわ』と いいました。」【0】
9. 「ことわざものがたり二
年生」(
西本鶏介著 偕成社)より
長文 6.4週
1.【長文が二つある場合、読解問題用の長文は一番目の長文です。】
2.
日本には
至るところに
桜の
木が
植えてあり、
日本人は
桜の
花が
大好きです。
春、
私たちの
目を
楽しませてくれる
桜は、
夏には
次の
年の
花芽の
準備にかかります。けれど、すぐに
花は
咲かず、
秋冬を
過ごし、
春になってやっと
花が
咲くのには、
理由があります。
開花ホルモンという
指令物質が
夏には
働いていないのです。
開花ホルモンは、
気温が〇
度近くまで
一度下がり、
その後だんだん
暖かくなって
初めて、「
花を
咲かせなさい」と
桜の
木に
指令を
出します。そのため、ずっと
気温が
高い南の
島には、
桜はありません。
四季のある
地域だからこその
花なのです。
3. この
開花ホルモンは、
葉も
関係していると
考えられています。
桜の
代表的な
種類であるソメイヨシノの
場合、
花が
散ると
葉っぱだけの
葉桜になります。
葉から
花芽の
成長を
遅らせる物質が
出ているので、
葉がある
間、
花芽は
開きません。
冬が
終わり春になりかけるころの
桜には、
葉が
全くなくなり、それからやっと
花芽がふくらみます。
4. ところで、
夏から
秋にかけて、
台風などで
一気に桜の
葉が
落ちてしまうことがあります。そんなとき、
桜は「
葉が
落ちた。
花を
咲かせよう」と、
春ではないのに、
開花することもあるようです。
季節はずれの
桜の
花を
見かけたら、
葉はどうなっているか
桜の
木に
聞いてみましょう。ハっと
驚くようなハナシが
聞けるかもしれません。
5.
言葉の
森長文作成委員会(Ν)∵
6. 【1】
夜、
空を
見上げるとまんまるのお
月様が
見えることがあります。
思わず「あ、
満月だ」とうれしくなります。【2】また、
別の
日に、
同じように
見上げると、
今度はお
月様が
半分だったり、
三日月といって、
細長くなっていたりします。【3】お
月様は、
本当に太ったり、やせたりしているのでしょうか? お
月様も
食べ過ぎたり、ダイエットしたりするのでしょうか?
7. 【4】
実はお
月様は、ずっとまんまるのままです。それも
平たいのではなくて、ボールのような
形をしています。【5】ですから、
太陽と
月と
地球の
位置の
関係で、かげができたり、
明るく光ったりするのです。【6】みなさんも
実際にボールに
光を
当てて、
実験してみてください。【7】ボールに
光があたっている
面だけが
明るく見えるのと
同じで、
月が
太陽にてらされている
部分だけが
光って
見えるのです。
8. 【8】ところで、その
丸いお
月様には、
本当にウサギがいるのでしょうか。
9.【9】「お
月さん、どうですか」
10.「むーん。それはね……」(
月は、
英語でムーン といいます)【0】
11.
言葉の
森長文作成委員会 φ