a 長文 1.1週 00e
 1今(いま)から六億(おく)年(ねん)くらい前(まえ)の海(うみ)には、クラゲやゴカイなどの仲間(なかま)や三葉虫(さんようちゅう)のような節足動物(せっそくどうぶつ)がくらしていました。体(からだ)がたくさんの細胞(さいぼう)で作ら(つく )れていると、体中(からだじゅう)の細胞(さいぼう)を分裂(ぶんれつ)させて自分(じぶん)の子孫(しそん)を作る(つく )わけにはいかなくなります。2そこで、ひとつの細胞(さいぼう)に自分(じぶん)の体(からだ)のすべての情報(じょうほう)を入れ(い )て、その細胞(さいぼう)が情報(じょうほう)にしたがって分裂(ぶんれつ)していき、親(おや)と同じ(おな )形(かたち)になるような方法(ほうほう)で子孫(しそん)を残す(のこ )ようになりました。これが卵(たまご)のはじまりです。
 3最初(さいしょ)に生命(せいめい)が生まれ(う  )たのは海(うみ)の中(なか)でした。生物(せいぶつ)は長い(なが )間(あいだ)、海(うみ)の中(なか)で進化(しんか)をつづけ、最初(さいしょ)の卵(たまご)も海(うみ)の中(なか)で生まれ(う  )ました。水中(すいちゅう)に産みつけ(う   )られた卵(たまご)は、まだかたい殻(から)を持た(も )ず、やわらかいゼラチン質(しつ)で中心(ちゅうしん)の細胞(さいぼう)を守っ(まも )ているだけでした。 
 4最初(さいしょ)に陸(りく)に進出(しんしゅつ)した生命(せいめい)は、藻(も)や苔(こけ)のような生物(せいぶつ)ですが、やがて、水辺(みずべ)からいろいろな生物(せいぶつ)が上陸(じょうりく)していくようになりました。ゴカイやミミズの仲間(なかま)、クモやサソリの仲間(なかま)、カタツムリの仲間(なかま)などが、水(みず)からはなれて陸上(りくじょう)でくらすようになります。5クモやサソリの仲間(なかま)からは、やがて昆虫(こんちゅう)もあらわれ世界中(せかいじゅう)に広がり(ひろ  )ました。それら動物(どうぶつ)たちは、みんな体(たい)の中心(ちゅうしん)に硬い(かた )骨(ほね)がないので、無(む)脊椎動物(せきついどうぶつ)と呼ば(よ )れています。6水(みず)の中(なか)ではなく、陸(りく)で最初(さいしょ)に卵(たまご)を産む(う )ようになったのは、こうした無(む)脊椎動物(せきついどうぶつ)でした。空気(くうき)中(ちゅう)で乾燥(かんそう)しないように比較的(ひかくてき)硬い(かた )殻(から)に守ら(まも )れた卵(たまご)は、丸かっ(まる  )たり細長かっ(ほそなが  )たり、いろいろな形(かたち)をしていました。 
 7犬(いぬ)や猫(ねこ)や人間(にんげん)などの哺乳類(ほにゅうるい)は、脊椎動物(せきついどうぶつ)と呼ば(よ )れ、体(からだ)の中心(ちゅうしん)に硬い(かた )骨格(こっかく)を持つ(も )動物(どうぶつ)です。海(うみ)の中(なか)で進化(しんか)した魚(さかな)の中(なか)から、やがて陸(りく)に上がる(あ  )ものが現われ(あら  )、それらが今(いま)の地上(ちじょう)の脊椎動物(せきついどうぶつ)の祖先(そせん)になったと考え(かんが )られています。
 8最初(さいしょ)に陸(りく)に上がっ(あ  )たのは、カエルなどの両生類(りょうせいるい)でした。カエルは、陸上(りくじょう)を歩き(ある )、肺(はい)で呼吸(こきゅう)することができますが、体(からだ)の乾燥(かんそう)には
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弱く(よわ )、水中(すいちゅう)で卵(たまご)を産み(う )、オタマジャクシとして成長(せいちょう)します。
 9この両生類(りょうせいるい)の中(なか)から、体(からだ)がもっと乾燥(かんそう)に強く(つよ )、水辺(みずべ)から離れる(はな  )ことのできる動物(どうぶつ)が進化(しんか)してきました。それが爬虫類(はちゅうるい)です。爬虫類(はちゅうるい)は地上(ちじょう)で本格(ほんかく)的(てき)に卵(たまご)を産ん(う )だ最初(さいしょ)の脊椎動物(せきついどうぶつ)です。0そのころの陸地(りくち)には植物(しょくぶつ)がおいしげり、乾い(かわ )た場所(ばしょ)でも卵(たまご)を産める(う  )昆虫(こんちゅう)などの無(む)脊椎動物(せきついどうぶつ)が大いに(おお  )栄え(さか )ていました。陸地(りくち)でもうまく生活(せいかつ)できて、子孫(しそん)を残す(のこ )ことができれば、草食(そうしょく)でも肉食(にくしょく)でも食べる(た  )ものは豊富(ほうふ)にあるのです。 
 そんな爬虫類(はちゅうるい)の仲間(なかま)から、やがて恐竜(きょうりゅう)や私(わたし)たち哺乳類(ほにゅうるい)の先祖(せんぞ)が出現(しゅつげん)してくるのです。 

 でも、陸(りく)と水(みず)の間(あいだ)にすんでいるカエルは、ときどき、「やっぱり水(みず)の中(なか)にカエルかなあ」と思う(おも )ときがあるそうです。

 言葉(ことば)の森(もり)長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(かい) 
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a 長文 1.2週 00e
 1十五のとき、信玄(しんげん)は、おとうさんといっしょに、はじめて、戦争(せんそう)にでかけました。
 しかし、敵(てき)が、しっかり城(しろ)をまもっているので、なかなか、城(しろ)をせめおとすことができません。そのうち、雪(ゆき)がどんどん、ふってきました。
 2おとうさんは、あきらめて、じぶんの国(くに)にひきかえすことにしました。
 すると、信玄(しんげん)は、おとうさんにないしょで家来(けらい)たちをあつめて、
 「この雪(ゆき)で、敵(てき)も、せめてこないとおもって、ゆだんしているだろう。3そのすきに、せめこめば、きっと、せめおとせるにちがいない。」
 そういって、敵(てき)の城(しろ)にむかい、ゆだんしている敵(てき)の城(しろ)を、せめおとしてしまいました。
 それからも、信玄(しんげん)は、いく度(ど)も戦争(せんそう)をしましたが、一度(ど)も、まけたことがありませんでした。
 4そして、とうとう、謙信(けんしん)と信玄(しんげん)は、川中島(かわなかじま)というところでたたかうことになりました。
 しかし、どちらも、つよい者(もの)どうしです。なん度(ど)たたかっても、なかなか、勝負(しょうぶ)がつきません。
 5あるとき、謙信(けんしん)は、ウマにのり、刀(かたな)をふりあげて、いきなり信玄(しんげん)の陣地(じんち)に、せめこんでいきました。
 信玄(しんげん)は刀(かたな)をぬくひまもありません。もっていた軍配(ぐんばい)で、やっと、謙信(けんしん)の刀(かたな)をうけとめました。
 「えいっ、えいっ。」
 6謙信(けんしん)は、なおも、はげしく、きりかかります。謙信(けんしん)の刀(かたな)が、信玄(しんげん)の肩(かた)にあたって、血(ち)がながれました。
 そのとき、信玄(しんげん)の家来(けらい)が、かけてきて、謙信(けんしん)ののっているウマのおしりを、びしりと、槍(やり)でたたきました。
 7「ヒヒーン」
 ウマは、おどろいて、にげだしました。
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 こうして、謙信(けんしん)は、とうとう、信玄(しんげん)をうちとることができませんでした。
 やがて、信玄(しんげん)は、ほかの国(くに)と戦争(せんそう)をはじめました。
 8信玄(しんげん)の国(くに)は、山国(やまぐに)です。塩(しお)や、さかなは、よその国(くに)から、はこんでこなくてはなりません。そこで、あいての国(くに)では、とちゅうの道(みち)をふさいで、塩(しお)やさかなを、信玄(しんげん)の国(くに)にはこべないように、してしまいました。
 9謙信(けんしん)は、その話(はなし)をきいて、信玄(しんげん)を、気(き)のどくにおもいました。そして、あいてのやり方(  かた)に、すっかり、はらをたてました。
 「生き(い )ていくのにひつような、塩(しお)やさかなをたべさせないようにするなんて、なんという、ひきょうなやり方(  かた)だろう。
 0わしと信玄(しんげん)とは、敵(てき)どうしだが、だまってはいられない。よし、すぐに、こちらからおくってやろう。」
 そういって、じぶんの国(くに)から、塩(しお)やさかなを、どっさり、信玄(しんげん)のところへおくってやりました。

 (大石真())
 「子ども(こ  )に聞か(き )せるえらい人(ひと)の話(はなし)」(実業之日本社(じつぎょうのにほんしゃ))
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a 長文 1.3週 00e
 1生徒(せいと)たちは、たがいに気(き)をつけあって、だれがどろぼうをするのかたえずちゅういしていました。すると、わかりました。おなじなかまのひとりです。
 「どろぼうといっしょに勉強(べんきょう)するなんて、いやなことだ。先生(せんせい)にそうだんして、あいつをおいだしてもらおう。」
 2なん人(にん)かの生徒(せいと)たちが、そういって、こっそり盤珪(ばんけい)先生(せんせい)のところへいきました。
 「先生(せんせい)、このあいだから、なん度(ど)も、物(もの)がなくなるのです。こっそりしらべてみると、どろぼうは、わたしたちのなかまのひとりです。3どうか、そのどろぼうを、学校(がっこう)からおいだしてください。おねがいです。」
 「そうか。よしよし、そんなわるい生徒(せいと)がいるのか、よし、わかったぞ。」
 盤珪(ばんけい)先生(せんせい)は、生徒(せいと)たちに、そういいました。
 4それから二、三日(にち)して、また、物(もの)がなくなりました。
 しかも、盤珪(ばんけい)先生(せんせい)は、いっこうに、その生徒(せいと)をやめさせるようすもありません。
 生徒(せいと)たちは、また先生(せんせい)のところにいって、いいました。
 5「先生(せんせい)、どうしてどろぼう生徒(せいと)をおいだしてくださらないのですか。わたしたちは、あいつがいるために、安心(あんしん)して勉強(べんきょう)することもできません。もし、先生(せんせい)が、どうしても、あの生徒(せいと)をやめさせてくださらないとおっしゃるなら、わたくしたちのほうで、もう山(やま)をおりようとおもいます。」
 6すると、盤珪(ばんけい)先生(せんせい)は、
 「そうか、みんなが山(やま)をおりるか。それなら生徒(せいと)を、ひとりのこらず、ここへよんできておくれ。」と、いいました。
 7(やっと、先生(せんせい)は、われわれのいうことをきいてくださったな。みんなのまえで、あのどろぼう生徒(せいと)をおいだすつもりなんだな。)
 生徒(せいと)たちは、そうおもいました。
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 やがて、生徒(せいと)が、のこらずあつまりました。
 8どろぼう生徒(せいと)も、しらん顔(かお)をしてきました。すると、先生(せんせい)がいいました。
 「このなかに、ひとの物(もの)をぬすむ、わるい生徒(せいと)がいるということだ。そして、その生徒(せいと)を学校(がっこう)から、おいだしてほしいとたのみにきた者(もの)がいる。9もし、わたしが、その不良(ふりょう)生徒(せいと)をおいださないなら、じぶんたちが学校(がっこう)をやめて、でていくといってきた。
 でていくがいいだろう。もともと、わたしはそのようにただしい生徒(せいと)たちに教える(おし  )ことはなにもないのだ。0わたしが教え(おし )たいのは、ひとの物(もの)をこっそりぬすむような、わるい心(こころ)をもっている生徒(せいと)だけでいいのだ。どろぼうをするような生徒(せいと)を、いつまでも教え(おし )て、ただしい人間(にんげん)にしたいのだ。もしそれができたら、わたしはまんぞくだ。もうなにもいうことはない。」
 生徒(せいと)たちは、しんとしてしまいました。

 (今西祐行())
 「子ども(こ  )に聞か(き )せるえらい人(ひと)の話(はなし)」(実業之日本社(じつぎょうのにほんしゃ))
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a 長文 1.4週 00e
 1「香り(かお )マツタケ味(あじ)シメジ」という言葉(ことば)にあるように、私(わたし)たち日本人(にっぽんじん)は、秋(あき)になるとマツタケを楽しみ(たの  )たいと感じ(かん )ます。マツタケご飯( はん)に、土瓶(どびん)蒸し(む )、焼(やき)マツタケ、貴重(きちょう)で高級(こうきゅう)な味(あじ)を年(ねん)に一度(いちど)味わっ(あじ  )て、心(こころ)も体(からだ)も元気(げんき)になるようです。2また、ふだんからシイタケ、エノキダケ、シメジ、ヒラタケ、マイタケ、エリンギなど、お料理(りょうり)に欠か(か )せない素材(そざい)となるきのこもあります。このように身近(みぢか)な存在(そんざい)であるきのこは、いったいいつごろから食べ(た )られるようになったのでしょう。
 3高松(たかまつ)の この峯(みね)も狭(せ)に 笠(かさ)立て(た )て
 みち盛(さか)りたる 秋(あき)の香(か)のよさ
 万葉集(まんようしゅう)に収め(おさ )られた歌(うた)です。「笠(かさ)立て(た )て」はマツタケがカサを広げ(ひろ )てはえている様子(ようす)、「秋(あき)の香(か)」はマツタケの香り(かお )のことです。4この歌(うた)に見(み)られるように、日本人(にっぽんじん)は少なくとも(すく    )奈良(なら)時代(じだい)にはきのこを食べ(た )ていたと考え(かんが )られます。更に(さら )平安(へいあん)時代(じだい)には、貴族(きぞく)たちの間(あいだ)で、季節(きせつ)をいろどる文化(ぶんか)的(てき)行事(ぎょうじ)としてマツタケ狩(が)りが行わ(おこな )れたそうです。
 5きのこは、光合成(こうごうせい)をしている植物(しょくぶつ)と違っ(ちが )て、光(ひかり)がなくても生き(い )ていくことができます。昔(むかし)は、花(はな)を咲かせ(さ  )ない植物(しょくぶつ)であるシダやコケの仲間(なかま)と考え(かんが )られていたこともありますが、今(いま)は菌類(きんるい)として植物(しょくぶつ)や動物(どうぶつ)とは違う(ちが )生物(せいぶつ)だとされています。
 6植物(しょくぶつ)や動物(どうぶつ)は、食べ(た )たり食べ(た )られたりすることでつながり、バランスが保た(たも )れています。植物(しょくぶつ)は光(ひかり)から栄養(えいよう)物(ぶつ)をつくり出す(   だ )生産(せいさん)者(しゃ)の役割(やくわり)を果たし(は  )ています。動物(どうぶつ)は、ほかの生物(せいぶつ)を食べ(た )て栄養(えいよう)を吸収(きゅうしゅう)する消費(しょうひ)者(しゃ)の役割(やくわり)を果たし(は  )ています。7その植物(しょくぶつ)の生産(せいさん)と動物(どうぶつ)の消費(しょうひ)がうまく流れ(なが )ていくように、消費(しょうひ)し切れ(き )なかったものを分解(ぶんかい)するのがきのこたち菌類(きんるい)の役割(やくわり)です。
 きのこは、「大きな(おお  )木(き)にはえる小さな(ちい  )子ども(こ  )」ではありません。8自然(しぜん)界(かい)の中(なか)では、植物(しょくぶつ)や動物(どうぶつ)とならぶような大きな(おお  )存在(そんざい)なので
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す。そう思う(おも )と、おなべの中(なか)でぐつぐつ煮え(に )ているエノキやシメジが「自然(しぜん)を大切(たいせつ)にするんだよ」と語りかける(かた    )ように思え(おも )てきます。 

 9同じ(おな )ように見える(み  )きのこにも、いろいろな性格(せいかく)があります。のんきなエノキ、まじめなシメジ、じっとマツタケ、おいシイタケ、筋肉(きんにく)もりもりマッシュルーム。0

 言葉(ことば)の森(もり)長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(かい) μ
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a 長文 2.1週 00e
 1幸之助(こうのすけ)は、自転車(じてんしゃ)屋(や)をやめました。そして、知り合い(し あ )の人(ひと)をたよって、電燈(でんとう)会社(かいしゃ)にはいり、工夫(こうふ)になりました。ものおぼえのよい幸之助(こうのすけ)は、三年(ねん)もすると、すっかり電気(でんき)のことをおぼえてしまいました。2そして、せっせとお金( かね)をためて、こんどは、じぶんで電気(でんき)屋(や)をはじめました。
 電気(でんき)屋(や)といっても、長屋(ながや)をかりて、かんたんな機械(きかい)を買い(か )いれ、電燈(でんとう)のソケットをつくったのです。
 3でも、もともとわずかなお金( かね)しかありませんでしたし、ソケットは、おもったように売れ(う )ませんでした。
 (こまった、こまった。このままでは、せっかく買い(か )いれた機械(きかい)も、売っ(う )てしまわなければ、あしたから、たべていけないじゃないか……。)
 4幸之助(こうのすけ)は、ある日(ひ)、日(ひ)がくれるのも気づか(き  )ずに、うでぐみをしてかんがえこんでいました。すると、となりの家(いえ)から、おかあさんと子ども(こ  )が、なにかしきりにいいあっている声(こえ)がきこえてきました。
 5「電燈(でんとう)をこっちへおくれよ。本(ほん)がよめないよ。」
 「おかあさんだって、このしたてもの、どうしても、こんやじゅうに、しあげなけりゃならないんだもの、電燈(でんとう)がいりますよ。おまえが、こっちへきて、勉強(べんきょう)すればいいじゃないか。」
 6たった一つ、へやにさがっている電燈(でんとう)を、おかあさんと子ども(こ  )がとりあいっこしているのでした。
 そのころは、どこの家(いえ)でも、一つか二つの電燈(でんとう)を、あっちへひっぱり、こっちへひっぱりして、つかっていたのです。7電燈(でんとう)線(せん)をふやすには、とてもたかいお金( かね)がいりました。
 幸之助(こうのすけ)は、そのとき、ふとかんがえました。
 (もし、一つの電燈(でんとう)線(せん)から、かんたんにもう一つの線(せん)をひけるようにできたら……。8そうだ、ソケットをくふうして、ふたまたにすればいいじゃないか。ふたまたソケットをつくってみよう。)
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 あくる日(   ひ)から、幸之助(こうのすけ)はいっしょうけんめい、ふたまたソケットをつくりはじめました。
 9「ほう、これはべんりなもんだな。」
 ふたまたソケットは、どこの家(いえ)でもよろこばれ、とぶように売れ(う )ました。そして、幸之助(こうのすけ)の工場(こうじょう)は、どんどん、大きく(おお  )なっていきました。
 0むかし、自転車(じてんしゃ)屋(や)ではたらいたことも、むだにはなりませんでした。ソケットのつぎに、幸之助(こうのすけ)は、自転車(じてんしゃ)につける電池(でんち)のランプをつくって、またおおもうけをしたのです。

 (今西祐行())
 「子ども(こ  )に聞か(き )せるえらい人(ひと)の話(はなし)」(実業之日本社(じつぎょうのにほんしゃ))
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a 長文 2.2週 00e
 1「すまないなあ。おれの給料(きゅうりょう)がやすいから、おまえにくろうをかけるなあ。」
 「いいえ、そんなこと。」
 「ぬう機械(きかい)ができたら、服(ふく)をつくるのも、ずいぶんらくになるだろうな。」
 2「ええ、そうすれば、こんなにかたもこらないでしょうし。それにねえ、あなた。もし、そんな機械(きかい)を発明(はつめい)した人(ひと)は、大金持ち(おおがねも )になれるんですって。」
 「ふーん、じゃあ、ひとつ、そいつを発明(はつめい)してみるか。」
 ハウは、じょうだんでなく、そういいました。
 3びんぼうのために、学校(がっこう)へいけなかったハウは、もう、びんぼうはこりごりでした。つまや子ども(こ  )には、らくをさせてやりたいとおもいました。
 ハウは、さっそく、機械(きかい)の研究(けんきゅう)に、とりかかりました。
 4しかし、ちょっとかんがえたのでは、かんたんにできそうでしたが、どうしてどうして、なかなかむずかしいことでした。
 またたくまになん年(ねん)もたちました。だが、ハウのミシンは、できませんでした。
 5ハウは、つとめをやめて、ミシンの発明(はつめい)にうちこんでいました。ハウは、あけてもくれても、ミシンのことばかりかんがえました。
 糸(いと)のつかいかたや、はりのかたち、はりのうごかしかた……。いろいろ、くふうしてみましたが、なかなか、うまくいきませんでした。
 6ハウは、研究(けんきゅう)にゆきづまって、ぼんやり、つまのはり仕事(しごと)の手もと(て  )を、見(み)ていました。
 「おまえにらくをさせてやろうとおもったのに、かえってびんぼうさせちゃったなあ。」
 「いいのよ。あなたの成功(せいこう)をしんじているんですもの。」
 7「ぼくは、ゆうべ、こんなゆめを見(み)たよ。ぼくは、土人(どじん)につかまっちゃったんだ。土人(どじん)の酋長(しゅうちょう)が、はやくミシンをつくれ、つくらないと、ひとつきだぞって、ぼくの目(め)のまえに、槍(やり)をつきつける
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んだよ。」
 8「ほほほ、あなたが、いつも、はやくミシンをつくらなければっておもってるから、そんなゆめを見る(み )んですわ。」
 「しかも、その槍(やり)のさきにあながあいているんだよ。」
と、ハウはわらいました。ところが、そのわらいが、きゅうにハウの顔(かお)からきえたのです。
 「あっ、そうだ!」
 9ハウは、仕事場(しごとば)へとんでいきました。
 ハウはいままで、りょうはしがとがったはりのまんなかに、あなをあけて、糸(いと)をとおしていたのです。
 だが、ゆめのなかの槍(やり)のはさきのように、はりのさきに、あなをあけたらどうだろうと、かんがえたのです。
 ハウは、さっそくためしてみました。0

 (長崎源之助())
 「子ども(こ  )に聞か(き )せるえらい人(ひと)の話(はなし)」(実業之日本社(じつぎょうのにほんしゃ))
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a 長文 2.3週 00e
 1わらをたばねたたわしでは、なかなかたるのすみっこがうまくあらえません。ほそいぼうのさきでほじくっては、またわらでこすって、水(みず)をながすのです。手(て)はまっかにはれあがって、かじかむし、なかなかうまくいきません。
 2(なにか、もうすこしいいものは、ないかな。)
 正左衛門(しょうざえもん)は、たるあらいをするたびに、かんがえました。あるとき、あらなわを、なん本(ほん)もみじかくきりそろえて、たばねてみました。しかし、あまりうまくいきませんでした。3わらくずが、やけにこまかくたくさんでます。
 「たばねただけではだめだ。なにかでしっかりしばって、くずれないようにしなければ。」
 そして、かんがえたのは、垣根(かきね)の竹(たけ)をしばってある、シュロなわでした。4正左衛門(しょうざえもん)は、たばねたわらを、シュロなわで、ぐるぐるまきに、かたくしばりつけました。あらなわのたばは、くずれなくなりました。
 (そうだ、シュロは、こんなにつよいのだ。5なにも、たわしは、わらでなければならないことは、ないはずだ。シュロをたばねてみてはどうだろう。そうすれば、わらくずもつかないじゃないか。)
 正左衛門(しょうざえもん)は、さっそく、シュロばかりのたわしを、つくってみました。6二つ三つつくって、なかまの小僧(こぞう)さんにも、つかってもらいました。
 「こりゃ、なかなかいいたわしだ。わらくずがくっつかなくて、らくちんだよ。だが、どうもすこしこしがよわいな。たるのつぎめや、すみっこがうまくいかないや。」
 7ともだちがいいました。そこでこんどは、シュロを針金(はりがね)でしばって、シュロのさきをブラシのようにみじかくしました。この針金(はりがね)でしばるしばり方(かた)をくふうするには、ずいぶん時間(じかん)がかかりました。8そして、さいごにしあげたのは、二本(ほん)の針金(はりがね)のあいだに、みじかいシュロの毛(け)をならべ、針金(はりがね)をぐるぐると、ねじったものでした。すると、まるでシュロの毛虫(けむし)のようなものが、できました。
 「なんだいそれは。なにをつくってるんだい。」
 9なかまが見(み)てわらいました。すると正左衛門(しょうざえもん)は、その毛虫(けむし)の
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両(りょう)はしをもって、二つにおりまげてつなぎました。
 「なーるほど。」
 みんな感心(かんしん)しました。
 0みごとにできました。わらくずはでないし、たるのすみずみまでブラシがきいて、たるあらいが、とてもらくになりました。正左衛門(しょうざえもん)は、そのかたちがカメににているので、かめのこだわしと名(な)まえをつけて売り(う )だしました。かめのこだわしは、日本(にっぽん)だけでなく、アメリカ、中国(ちゅうごく)やインドにもどんどん売れ(う )て、正左衛門(しょうざえもん)は大金持ち(おおがねも )になりました。

 (今西祐行())
 「子ども(こ  )に聞か(き )せるえらい人(ひと)の話(はなし)」(実業之日本社(じつぎょうのにほんしゃ))
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a 長文 2.4週 00e
 1「あの二人(ふたり)はまるで水(みず)と油(あぶら)のようだ」というたとえは、仲(なか)が悪い(わる )ことを表す(あらわ )のに使わ(つか )れます。この言い方(い かた)でもわかるように、水(みず)と油(あぶら)は相性(あいしょう)が悪く(わる )、まったく混じり(ま  )合い(あ )ません。2ドレッシングは、よくふって使い(つか )ますが、しばらくおいておくと、また水(みず)の部分(ぶぶん)と油(あぶら)の部分(ぶぶん)に分かれ(わ  )てしまいます。 
 ですから、手(て)に油(あぶら)汚れ(よご )がついてしまったとき、水(みず)だけでは洗い流す(あら なが )ことができません。3油(あぶら)は、水(みず)に溶け(と )ないからです。反対(はんたい)に、水(みず)に溶け(と )やすい汚れ(よご )、たとえば醤油(しょうゆ)や水性(すいせい)絵の具(え ぐ)のようなものは、簡単(かんたん)に水(みず)だけで洗い流す(あら なが )ことができます。水(みず)に溶ける(と  )ということは、水(みず)と手(て)をつなぐことができるということです。4水(みず)に溶ける(と  )汚れ(よご )は、水(みず)といっしょに洗い流さ(あら なが )れていくのです。 
 そこで、水(みず)だけでは落ち(お )ない汚れ(よご )のとき、私(わたし)たちは石鹸(せっけん)を使い(つか )ます。では、どうして石鹸(せっけん)を使う(つか )と、油(あぶら)汚れ(よご )を落とす(お  )ことができるのでしょうか。 
 5これには、水(みず)とも油(あぶら)とも仲よく(なか  )できる、石鹸(せっけん)の性質(せいしつ)が大きな(おお  )役割(やくわり)を果たし(は  )ています。石鹸(せっけん)は、水(みず)に溶ける(と  )部分(ぶぶん)と、油(あぶら)に溶ける(と  )部分(ぶぶん)の両方(りょうほう)を持っ(も )ています。6このように、水(みず)とも油(あぶら)とも手(て)をつなぐことができる性質(せいしつ)を持つ(も )ものを「界面(かいめん)活性(かっせい)剤(ざい)」といいます。石鹸(せっけん)の成分(せいぶん)は一方(いっぽう)の手(て)で油(あぶら)と手(て)をつなぎ、もう一方(いっぽう)の手(て)で水(みず)とも手(て)をつなぐので、油(あぶら)は水(みず)の中(なか)に溶け(と )、油(あぶら)汚れ(よご )も洗い流さ(あら なが )れていくのです。 
 7みなさんが日ごろ(ひ  )食べ(た )ているマヨネーズも、この界面(かいめん)活性(かっせい)剤(ざい)の働き(はたら )で作ら(つく )れているのです。マヨネーズは、たまごの黄身(きみ)と酢(す)、サラダ油(   ゆ)が主(おも)な成分(せいぶん)ですが、酢(す)と油(あぶら)はそのままではうまく混じり(ま  )合い(あ )ません。8しかし、たまごの黄身(きみ)の中(なか)に含ま(ふく )れている「レシチン」という成分(せいぶん)が界面(かいめん)活性(かっせい)剤(ざい)となり、酢(す)や黄身(きみ)の水分(すいぶん)と油(あぶら)をうまく混ぜ合わ(ま あ )せるのです。そして、あのなめらかなマヨネーズができあがるというわけです。
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 9仲(なか)が悪い(わる )人(ひと)たちの間(あいだ)に入っ(はい )て、「まあそう言わ(い )ずに仲良く(なかよ )やろうよ」とうまくまとめることができる人(ひと)は、「まるで石鹸(せっけん)みたいにえらい人(ひと)だ」とほめてあげることができるかもしれません。0

 言葉(ことば)の森(もり)長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(かい) τ
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a 長文 3.1週 00e
 1ソクラテスが、ただしいことを、わかい人(ひと)たちにとくので、わるい役人(やくにん)たちは、ソクラテスのことを、にくむようになりました。学者(がくしゃ)たちも、ソクラテスのひょうばんをねたむようになりました。
 2「ソクラテスを、このままにしておいたら、たいへんなことになる。」
 「わかい人(ひと)たちは、みんな、ソクラテスのでしになってしまうかもしれない。」
 そこで、役人(やくにん)たちは、ソクラテスをろうやにおしこめ、とうとう死刑(しけい)にすることにきめました。
 3ソクラテスのでしや、ともだちは、それをきいて、とても、しんぱいしました。
 「なんとかして、ソクラテスをたすけることは、できないものだろうか。」
 すると、ひとりが、いいました。
 4「いいことがある。ろうやの番人(ばんにん)に、お金( かね)をあげれば、にがしてくれるということだ。」
 「それでは、わたしたちで、お金( かね)をあつめて、番人(ばんにん)にわたして、ソクラテスをにがしてもらうことにしよう。」
 みんなは、よろこんで、いいました。
 5そして、クリトンという、でしが、ソクラテスにあいに、ろうやにいくことになりました。
 クリトンが、ろうやのなかに、はいっていくと、ソクラテスは、まだ、ねむっていました。
 6(こんな、りっぱな先生(せんせい)を、アテネの人びと(ひと  )は、どうして、ころそうとするのだろう。)
 そうかんがえて、クリトンの胸(むね)は、いっぱいになりました。
 そのとき、ソクラテスが、目(め)をさましました。
 7「クリトン。こんなはやく、どうして、きたのかね。」
 ソクラテスが、いいました。
 「先生(せんせい)。たいへんです。あした、先生(せんせい)は、死刑(しけい)になることにきまったのです。」
 でも、ソクラテスの顔色(かおいろ)は、かわりません。
 8「それで、みんなで、そうだんして、先生(せんせい)をたすけだすことに
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したのです。みんなで、お金( かね)をあつめて、わたしがもってきました。このお金( かね)を、ろうやの番人(ばんにん)にやれば、番人(ばんにん)は、先生(せんせい)をにがしてくれます。
 9先生(せんせい)、どうか、わたしといっしょに、ここをにげてください。」
 「なに、わたしに、にげろというのか?」
 ソクラテスは、おこったように、いいました。
 「わたしはこれまで、国(くに)できめたきまりは、まもらなくてはいけないということを、おおぜいの人(ひと)たちに、はなしてきた。0それなのに、じぶんが、死刑(しけい)になるからといって、国(くに)がきめたことをやぶってもいいだろうか。そんなことは、わたしには、できない。
 わたしは、いままで、ただしいとおもったことをいい、ただしいとおもったことをおこなってきた。いまのわたしにとって、いちばんただしいことは、国(くに)のきまりにしたがって、死ぬ(し )ことなのだ。」
 クリトンは、じっと、ソクラテスの顔(かお)を見つめ(み  )たまま、だまってしまいました。ソクラテスのほおには、赤み(あか )がさし、目(め)には、かがやきが見(み)られました。ちからづよい、あかるい声(こえ)ではなしてくれたソクラテスのことばは、クリトンの胸(むね)をゆすぶりました。

 (大石真())
 「子ども(こ  )に聞か(き )せるえらい人(ひと)の話(はなし)」(実業之日本社(じつぎょうのにほんしゃ))
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a 長文 3.2週 00e
 1李広(りこう)は、トラをさがしながら、どんどん山(やま)おくへはいっていきました。七日七夜(なぬかななよ)、やすみもしないで、トラをさがしました。けれども、トラのすがたは見え(み )ません。
 2「ああ、いったい、おとうさんをころしたトラは、どこへいってしまったのだろう。」
 八日()めのことです。李広(りこう)はふかい谷間(たにま)におりていきました。日(ひ)がくれたのもわすれておくへおくへとはいっていきました。3そのはずです。空(そら)にはまんまるのお月(つき)さんがでていて、あたりはまるで昼(ひる)のようにあかるかったのです。
 しばらくすると、ウマがぴっと耳(みみ)をたててとまりました。
 4見る(み )と、とおくの木かげ(こ  )に、大きな(おお  )、大きな(おお  )、トラが、こちらをむいて、ねそべっています。
 「あっ、ついにいたぞ。おとうさんをころしたトラにちがいないぞ。」
 李広(りこう)は、いちばん大きな(おお  )矢(や)をぬいて弓(ゆみ)につがえました。5そして、じりじりとウマをすすめてちかづきました。
 ウマをすすめると、トラも気がつい(き   )て、うごいたようにおもえました。
 「よし、いまだ。」
 李広(りこう)は、ちからいっぱい弓(ゆみ)をひきしぼり、トラの目(め)と目(め)のあいだをねらって、はなちました。
 6みごとにめいちゅうしました。一本(ほん)の矢(や)で、トラはうごかなくなったようです。
 「おとうさんのかたきをとったぞ。」
 李広(りこう)は、ウマからとびおりると、刀(かたな)をかまえて、トラのところへかけつけました。
 7ところが、どうでしょう。トラだとばかりおもっていたのはかたい岩(いわ)です。岩(いわ)が、木かげ(こ  )をとおしてさしてくる月(つき)の光(ひかり)で、トラそっくりに見え(み )たのです。しかし、おどろいたことに、矢(や)は、かたい岩(いわ)に、まちがいなくつきささっていました。
 8李広(りこう)は、ざんねんにおもうより、かたい岩(いわ)に矢(や)がささったこと
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がふしぎでなりませんでした。李広(りこう)は、岩(いわ)にむかって、もう一度(  いちど)弓(ゆみ)をひいてみました。9しかし、矢(や)は、カチンと音(おと)をたてて、はねとんでしまいました。李広(りこう)が、にくいにくいトラだとおもいこんでいたからこそ、岩(いわ)にも矢(や)がささったのです。0

 (今西祐行())
 「子ども(こ  )に聞か(き )せるえらい人(ひと)の話(はなし)」(実業之日本社(じつぎょうのにほんしゃ))
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a 長文 3.3週 00e
 1そのころのロシアは、イギリスやオランダなどの国(くに)とくらべて、いろんなところがおくれていました。
 なかでも、大帝(たいてい)のいちばんのしんぱいは、ロシアに船(ふね)があまりないことでした。ものをはこぶ大きな(おお  )汽船(きせん)も、いくさをする軍艦(ぐんかん)もほとんどないのです。
 2(こんなことでは、ロシアは大きく(おお  )はなれぬ。ゆたかな国(くに)になれぬ。)
 大帝(たいてい)はまず、船(ふね)をつくることに、いっしょうけんめいになりました。外国(がいこく)から船(ふね)のだいくをよんできて、さかんに船(ふね)をつくらせました。
 3でも、なん年(ねん)かたつと、かんがえなおしました。
 (外国(がいこく)人(じん)に、まかせっぱなしでは、いつまでたっても、ロシア人(じん)は、じぶんで船(ふね)をつくることはできない。
 船(ふね)だけでなくほかのことでも、外国(がいこく)人(じん)をよんできいていてはほんとうのことはわからない。4われわれが外国(がいこく)へいって、じかにまなんでくるほうがはやい。
 よし、できることなら、わしも船(ふな)だいくになって、船(ふね)のつくりかたぐらい、おぼえてこよう。)
 大帝(たいてい)は、このことを家来(けらい)にはなしました。
 5「とんでもございません。大帝(たいてい)はロシアをせおってたたれる、たいせつなお方( かた)です。いくら勉強(べんきょう)のためとはいえ、船(ふな)だいくになられることは、おひかえください。」
 家来(けらい)たちはとめましたが、大帝(たいてい)はききません。
 6それどころか、さっさとオランダやイギリスなどへいく人(ひと)たちをきめてしまいました。そして、二百(ひゃく)人(にん)ほどのこれらの人(ひと)のなかに、こっそり、大帝(たいてい)も名(な)まえをかくしてはいりました。
 7「よいか。これからは、わしはピョートルミハイロフというロシアの兵隊(へいたい)じゃ。大帝(たいてい)などとよんではならぬぞ。」
 「はい。かしこまりました。大帝(たいてい)。」
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 「これこれ、だから、気(き)をつけろというのだ。」
 8こうして大帝(たいてい)たちが、オランダへいったのは一六九七年(ねん)、大帝(たいてい)の二十五さいのときです。
 「なるほど。オランダは、世界(せかい)でもひょうばんの海(うみ)の国(くに)といわれるだけあって、なかなかさかんな国(くに)だ。よし、まず、このオランダの造船(ぞうせん)所(しょ)の船(ふな)だいくになろう。」
 9大帝(たいてい)はしんぱいする家来(けらい)たちとわかれて、こっそり、船(ふな)だいくのでしになりました。
 (中略(ちゅうりゃく))
 まもなく、ピョートル大帝(たいてい)のちからで、ロシアはみちがえるほどりっぱな国(くに)になったことは、いうまでもありません。0

 (神戸淳吉())
 「子ども(こ  )に聞か(き )せるえらい人(ひと)の話(はなし)」(実業之日本社(じつぎょうのにほんしゃ))
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a 長文 3.4週 00e
 1今(いま)から五千(せん)年(ねん)くらい前(まえ)の古代(こだい)ローマの時代(じだい)、「サポーの丘(おか)」というところにあった神殿(しんでん)では、いけにえの羊(ひつじ)を焼い(や )て神(かみ)に捧げる(ささ  )という習わし(なら  )がありました。この羊(ひつじ)の脂(あぶら)がしたたり落ち(お )て木(き)の灰(はい)に混じり(ま  )、土(つち)に染み込ん(し こ )でいきました。2この土(つち)が汚れ(よご )をよく落とし(お  )たことから、石鹸(せっけん)として使わ(つか )れるようになったといわれています。英語(えいご)で石鹸(せっけん)のことを「ソープ」といいますが、これは、この丘(おか)の名前(なまえ)の「サポー」から来(き)ているそうです。 
 3また、同じ(おな )ころ、現在(げんざい)のイラクのあたりで栄え(さか )ていたメソポタミア文明(ぶんめい)でも、石鹸(せっけん)の作り方(つく かた)がわかっていたようです。シュメール人(じん)が残し(のこ )た粘土(ねんど)の板(いた)には、くさび形(がた)文字(もじ)で、木(き)の灰(はい)にいろいろな油(あぶら)を混ぜ(ま )て煮る(に )と石鹸(せっけん)ができると書い(か )てあります。 
 4このことからもわかるように、石鹸(せっけん)は、動物(どうぶつ)や植物(しょくぶつ)の油(あぶら)を、灰汁(あく)などのアルカリ性(    せい)の液体(えきたい)で煮る(に )と作る(つく )ことができます。灰汁(あく)というのは、植物(しょくぶつ)の灰(はい)を水(みず)に溶かし(と  )たその上澄み(うわず )です。5しかし、アルカリ性(    せい)の液(えき)だけでも汚れ(よご )はいくらか落とせる(お   )ことから、人々(ひとびと)は洗濯(せんたく)には灰汁(あく)を使う(つか )ことが多かっ(おお  )たようです。
 6日本(にっぽん)に石鹸(せっけん)が入っ(はい )てきたのは、室町(むろまち)時代(じだい)の終わり(お  )ごろです。鉄砲(てっぽう)などと同じ(おな )ように、石鹸(せっけん)はポルトガル人(じん)が持っ(も )てきたものです。しかし、高級(こうきゅう)品(ひん)だった石鹸(せっけん)は、身分(みぶん)の高い(たか )人(ひと)たちだけのものでした。7一般(いっぱん)の人々(ひとびと)は、洗濯(せんたく)には、ムクロジという木(き)の実(み)やサイカチという木(き)の実(み)のさや、そして灰汁(あく)を使っ(つか )ていました。 
 ちなみに、ムクロジの木(き)の実(み)の種(たね)はかたく、お正月( しょうがつ)のはねつきの羽(はね)のおもりに使わ(つか )れています。8この実(み)の外側(そとがわ)の皮(かわ)を水(みず)につけてもむと、泡(あわ)が出(で)て石鹸(せっけん)のように使え(つか )たのです。 
 こんなに古い(ふる )歴史(れきし)を持つ(も )石鹸(せっけん)ですが、だれでも気軽(きがる)に洗濯(せんたく)に使う(つか )ことができるようになったのは、日本(にっぽん)では明治(めいじ)時代(じだい)の後半(こうはん)になってからです。
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 9手(て)を洗う(あら )とき、私(わたし)たちも古代(こだい)ローマのいけにえの羊(ひつじ)に、感謝(かんしゃ)しなくてはなりませんね。 

「ヒツジさん、石鹸(せっけん)のもとになった感想(かんそう)をひとこと。」
「まあ、セッケン(世間(せけん))ではそう言っ(い )ているけどね……。」
「いけにえは、もうこりごりですか。」
「そうぷ。」0

 言葉(ことば)の森(もり)長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(かい) τ
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