a 長文 1.1週 e
一番めの長文は幼長の一~三月のものを再掲しています。
 なつあいだ、あんなにたくさん見かけみ  たカエルは、ふゆにはまったく見かけみ  なくなります。カメやヘビも、ふゆあいだ見かけみ  ません。しかし、またはるになると、姿すがた現すあらわ ようになります。カエルにしてもヘビにしても、あんなにがなくてつるつるのからだでは、さぞふゆには寒いさむ ことでしょう。それに、ふゆあいだは、エサにするむしなどの生きものい   もとても少なくすく  なります。それでは、こういう生物せいぶつたちは、寒いさむ ふゆをどうやってすごしているのでしょう。
 じつは、カエルやカメやヘビなどは、ふゆあいだ冬眠とうみんといって、地面じめんなかいけそこあななど、比較的ひかくてき暖かあたた そうで安全あんぜん場所ばしょにかくれてているのです。カエルやヘビは変温動物へんおんどうぶつといって、そと気温きおん下がっさ  てくると、自分じぶん体温たいおん同じおな ように下がっさ  てしまいます。だから、ふゆになって気温きおん下がっさ  活動かつどうできなくなると、冬眠とうみんしてしまうのです。
 この冬眠とうみんあいだは、からだなか蓄えたくわ たエネルギーを使っつか 生きい ていますから、エサを食べるた  必要ひつようがありません。いきさえしなくても大丈夫だいじょうぶなものもいるといいますから驚きおどろ ます。いきもせずに生きい られるとはちょっと生意気なまいきですね。こうして、まるで死んし だように眠りねむ 続けつづ 、カエルのいなくなった世界せかい静まりかえるしず     のです。
 はるになり、そと暖かくあたた  なってくると、眠っねむ ているカエルたちのからだもいっしょに温まりあたた  体温たいおん上がっあ  てきます。すると、カエルたちのからだ再びふたた 活動かつどう始めはじ 、「ああ、おなかがすいたなあ」と、そとてきます。そのころには、エサたちも冬眠とうみんから目覚めめざ たり、新しくあたら  生まれう  たりしてたくさんいるので、おなかいっぱい食事しょくじをすることができます。
 「眠れるねむ  もり美女びじょ」という、魔法使いまほうつか 眠らさねむ  れたお姫様 ひめさまはなしがあります。
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お姫様 ひめさま王子おうじさまのキスで長いなが 眠りねむ から目覚めめざ ますが、「眠れるねむ  もりのカエルたち」にとっては、はる暖かいあたた  太陽たいようが、まるで「王子おうじさまのキス」のように思えるおも  ことでしょう。カエルたちは、太陽たいよう暖かあたた さで次々つぎつぎわれ返るかえ のです。

 言葉ことばもり長文ちょうぶん作成さくせい委員いいんかい(τ)
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長文 1.1週 eのつづき
 昨日きのう土曜日どようびとなりいえのサトシがぼくのいえ遊びあそ にきました。サトシにはアリサという名前なまえいもうとがいます。アリサとお母さん かあ  はバレエの練習れんしゅうがあるので、サトシはお留守番るすばんです。 
 最初さいしょに、ぼくたちはベイブレードで遊びあそ ました。サトシはたくさんのベイを持っも ています。トイザラスに行くい といつも売り切れう き になっている珍しいめずら  ベイも持っも ています。ベイのかずでは負けま ているけど、ぼくは頑張りがんば ました。対戦たいせん結果けっか引き分けひ わ です。 
 そのあとは、一丁目ちょうめ公園こうえん行くい ことにしました。お母さん かあ  は、
今日きょう寒いさむ からおうちなか遊んあそ だら。」 
少しすこ 困っこま かおをして言いい ました。ぼくは、
大丈夫だいじょうぶだよ。行っい てくるね。」 
と、玄関げんかんました。そと寒くさむ て、かぜがぴゅうぴゅう吹いふ ていました。やっぱりいえなか遊べあそ ばよかったかなあと思いおも ながら、ぼくはポケットに突っ込みつ こ ました。一丁目ちょうめ公園こうえんには、タケシとシンジがいました。ぼくたちはいっしょになって鬼ごっこおに   をしました。たくさん走り回っはし まわ たのでまるでお風呂ふろあがりのようにからだがぽかぽかになりました。 
 いえ帰るかえ とちょうど三のおやつの時間じかんでした。 
「みんなでひゃくえんショップに行っい 好きす なものを買っか ておいで。」 
と、ぼくのお母さん かあ  がお財布さいふ出しだ ながら言いい ました。サトシとぼくの双子ふたごいもうとのカスミとヒカリはひゃくえんずつもらいました。ぼくだけ二ひゃくえんもらいました。どうしてかというと、お母さん かあ  が、
お母さん かあ  ぶんもひとつ買っか てきてね。」 
と、こっそり言っい たからです。 
 ぼくのいえさか降りお ていくと左側ひだりがわひゃくえんショップがあります。ぼくは四ひゃくえんのコーナーで選びえら ました。買っか たものは、どらチョコとジュースとベビースターとあわです。あわはラム
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ネのお菓子 かしです。それを食べるた  と、くちなかあわだらけになります。まるでモリアオガエルのたまごのようです。サトシもぼくの真似まねをしてあわを買いか ました。二人ふたりくち大きくおお  開けあ てカスミとヒカリに見せみ たら、
「うわあ、まずそう。」 
逃げに られました。 
「おいしいよなあ。」 
と、ぼくとサトシはかお見合わせみあ  笑いわら ました。まだ食べた たことがないから、あじ分からわ  ないのだなあとぼくは思いおも ました。お母さん かあ  にはチョコレートのお菓子 かし買っか てきてあげました。お母さん かあ  は、
「ありがとう。このお菓子 かし大好きだいす 。」 
喜びよろこ ました。ぼくはいいものを買っか たなと嬉しくうれ  なりました。楽しいたの  土曜日どようびでした。

言葉ことばもり長文ちょうぶん作成さくせい委員いいんかい ω)
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a 長文 1.2週 e
 つき青いあお ばん、アフリカの草原そうげんで、ライオンに三つ子み ごがうまれました。まるまるふとってククククとよくわらうのがコロン、ちっともわらわないのがムウ、ちょっとばかりげんきがないのがショボン……となづけられて、いくにちかすぎました。ちかくにお花 はなばたけがあるせいか、はなのさいているときにうまれたせいか、みんなひどくはなずきでした。三びきは、よく、ちかくのもりの、はなばたけにねそべりにゆきました。
 さてまたつき青いあお ばん、三びきがはなのあいだでふざけていると、かあさんライオンがやってきて、コロンをよびました。
――コロンちゃん、いっしょにいらっしゃい。
 うん、とコロンはおきあがり、クローバーを、ちょいとあたまにつけて、かあさんライオンについてゆきました。
 もりにはいると、かあさんライオンはいいました。
――きょうはね、ケモノのつかまえかたをおしえてあげるの。よくみてらっしゃいよ。そういうと、じっとからだをひくめて、しのびあしで、ツツツツツウと、すすみます。おや、ウサギがいるぞ。
――ここでね、ウンといきをすいこんで、ひととびにゆくのよ。
 かあさんは、ささやくようにコロンにおしえると、ウンと、いきをすいこみます。
 はなのあなが、三かくにひろがり、ひげがヒョロリとたれてしまって、とってもへんなかおです。みたとたん、コロンはクククククと、わらいだしてしまいました。ウサギはもちろん、ぴょんと、ひととびでサヨナラしてしまいました。
――だめじゃないの、コロンちゃん。
――だって、さっきのかあさんのかお、あんまりおかしかったんだもの。それに、あのウサギのあわてかたったら!
 そしてまた、ククククなのです。かあさんライオンは、あきらめてかえりました。
 つぎのよるは、ムウでした。
――ムウちゃん、いっしょにいらっしゃい。
 ムウは、だまってついてゆきました。もりにはいると、かあさんライオンはいいました。
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――きょうはね、ケモノのつかまえかたをおしえてあげるの。よくみてらっしゃいよ。
 そういうと、からだをしずめて、スススススと、しのびあしですすみます。おや、あそこにリスがいるわ!――ここでね、ウオーッってほえるの。そしたら、リスはびっくりして、ちぢみあがっちゃうのよ。そこを、つかまえるの。
 かあさんは、そうムウにささやくと、あごがはずれそうに大きくおお  くちをひらいて、ウオーッとほえました。
 もちろん、リスはビリリリと、でんきがかかったみたいになってうごけません。
――さあ、おたべ。
 かあさんライオンがムウにいいましたが、ムウはこたえません。じっと、リスをみつめています。そして、「さあ」と、もういちどかあさんがすすめると、ムムウと、かおをしかめるのです。かあさんはびっくりして、ムウをみました。
 へんじなし、なのです。
――どうしたの?
 それもそのはず、ムウもうごけなかったのです!
――あらあら、ムウちゃんまで!
 ごめん、ごめん。
 かあさんライオンは、あわててムウのしっぽを、ちょいとおしてやると、ムウはやっとうごけましたが、リスのほうもそのすきに、ひととびでにかけのぼりました。

「ぽけっとにいっぱい」『三びきのライオンの』より(今江いまえ 祥智よしとも)フォア文庫ぶんこ
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a 長文 1.3週 e
 ひろいせかいにでられたうれしさに、ユラは、からだじゅうウーンとのばして、はなのひらくようにひらいたのです。ところがね、おわんのようにまるいぼうしのかわりに、ユラのは四角しかく、まっ四角しかくなのです。ユラは、となりにうかんでいるなかまにたずねました。
――ねえきみ、ぼく、まるくならないんだよ。
 するとそのクラゲは、ユラをながめて、おおごえをあげました。
――おやおや、ほんとだ。おーい、みんな、みてごらん。へんなのがいるぜ。
 たちまち、なん十ぴきものクラゲたちが、ゆらゆらゆらとなみにのってきて、ユラをかこみました。
――へんなの。
――まるくないぜ。
――ぼくらとちがってらあ。
――クラゲじゃないわ。
 ユラぼうやは、びっくりしました。
――ちがうよ、ぼく、クラゲだよ。ほら、あしもみんなとおなじだけあるし、いろもこえも、おなじじゃないの。
――だって、まるくないぜ。
――四角いしかく クラゲなんてみたことないや。
 そこでみんなこえをそろえて、アッハッハとわらうのです。
 ユラはもう、なにもいえなくなり、そのままうみのあおいろのなかにとけてしまいたいとおもいました。あぶくのように、シュンときえたほうがいいなとさえおもいました。けれど、どちらもできぬこと。ユラはだまって、なかまからはなれました。そして、ちいさななみ、大きなおお  なみにゆられながら、そのよるは、ひとりでねむりました。
 あくるあさから、ユラはいっしょうけんめいに、じぶんのなかまをたずねてまわりました。
 まず、イカのところでききました。
――ね、ぼく、あんたのなかまなの?
――じょうだんじゃなぃ。四角いしかく イカなんているものか。イカは三角さんかくにきまってる。一角いっかくおおいよ。それに、きみは、ぼくみたいにはやくおよげないじゃないか。
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 そういうとイカは、ロケットみたいにシュウッとみずをふくむと、さっとおよいでいってしまいました。ふうん、と、ぼうやはまたゆられてゆきます。
 こんどはタコ。
――ね、ぼく、あんたのなかまかしら?
――なんだって。そんな白いしろ タコなんているかい。それにあしのかずだってちがうし、だいいち、このイボイボがないじゃないか。
 そういうと、コはプウウッとスミをふっかけて、いってしまいました。
 だめかなあ……ぼうやはスミをふきとりながら、またゆらゆらとはなれてゆきます。
 つぎはナマコ。
――ね、ぼく、あんたのなかまだね。
――フフフフ、きみ、あしながすぎますよ。ほら、ぼくらは、もっとずんぐりしてるんだよ。
 そういいながら、ヨタヨタと、からだじゅうであるいていってしまいました。
 クラゲのぼうやは、しかたなく、もとのところへもどるほかはありませんでした。
 けれど、みんなもなかまにいれてくれません。ユラはひとりぽつんとはなれて、ゆらゆら、ゆられていました。
 ユラは、できるだけまるくなろうとやってみました。ぜんぶのあしをつっぱって、あたまをまるくおしてみたり、プーンと、おもいきりふくれてみたり、いわにかどっこをゴツンとぶつけてみたり……でも、どうしても、まるくならないのです。そのよる青いあお 三日月みかづきが、そらにかかっていました。
 ひとりぼっちのユラは、三日月みかづきにきいてみようとおもいました。
――ね、おつきさま、ぼく、どうしてまるくならないのかしら……。
 おつきさまは、なにもこたえない。ただ、きれいにしずかに光っひか ています。でも、あおいひかりをあびていると、ユラはとてもなつかしい気もちき  になって、ひとりでに、おいのりしたくなるのでした。

「ぽけっとにいっぱい」『四角いしかく クラゲの』より(今江いまえ 祥智よしとも)フォア文庫ぶんこ
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a 長文 1.4週 e
 のうは、人間にんげんからだなか最ももっと エネルギーを必要ひつようとする器官きかんです。のうおもさは、からだ全体ぜんたいおもさのおよそ二パーセントを占めるし  言わい れています。たとえば、体重たいじゅうが五十キログラムの人間にんげんのうおもさは、一キログラムになるというわけです。それほどのおもさを占めし ているわけではありませんが、こののう大変たいへん食いしん坊く   ぼうです。人間にんげん必要ひつようとするぜんエネルギーのうち、二十パーセントもがのう使わつか れています。しかも、ただの大食漢たいしょくかんではありません。なかなかのグルメなのです。どうしてかというと、のうがエネルギーげんとして取り込むと こ のは、ブドウ糖   とうだけだからです。また、のう余分よぶんなエネルギーを蓄えたくわ ておくことができないので、絶えずた  ブドウ糖   とう補給ほきゅう続けるつづ  必要ひつようがあります。
 ご飯 はんやパンなどの穀類こくるい、ジャガイモやサツマイモなどのイモるいなど、炭水化物たんすいかぶつ呼ばよ れるものはブドウ糖   とうのもとになります。からだ動かすうご  ためや成長せいちょうのためだけでなく、のう働きはたら 活発かっぱつにするためにも、きちんと食事しょくじ取ると ことは大切たいせつだと言えい ます。眠りねむ から覚めさ 栄養えいよう不足ぶそくのうにとって、とりわけ朝食ちょうしょく最高さいこうご馳走 ちそうです。
 こんな実験じっけん結果けっかがあります。ラットを迷路めいろ放り込むほう こ と、まず一目散いちもくさん走り出しはし だ ます。しかし、人間にんげんのように高度こうど知能ちのう持たも ないラットのことですから、すぐにみち迷いまよ 、あがき始めはじ ます。あがいているラットののうないは、どんな状態じょうたいになっているのでしょう。のうなかには様々さまざま働きはたら をする場所ばしょがあり、それぞれが自分じぶん役目やくめ果たすは  ために働いはたら ています。迷路めいろ空間くうかん認識にんしきする能力のうりょく必要ひつようとします。迷路めいろ入れい られたラットののうない空間くうかん記憶きおく司るつかさど 部分ぶぶんブドウ糖   とうあたいは、通常つうじょうよりも大きくおお  落ち込んお こ でいたそうです。それだけのうがエネルギーを使っつか たということになります。注射ちゅうしゃによってブドウ糖   とう補給ほきゅうしてあげたところ、迷路めいろ抜けぬ 成績せいせき上がっあ  たという結果けっかられました。疲れつか きったのうが、ブドウ糖   とうというエネルギーを補給ほきゅうしたおかげで見事みごと元気げんき取り戻しと もど たのです。
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 歩くある 走るはし という大きなおお  動作どうさ伴うともな からだ動きうご 比べくら てみると、のう仕事しごとは、はっきりとは見えみ ません。ですから、そんなにも多くおお のエネルギーを必要ひつようとするとは想像そうぞうできないでしょう。しかし、多くおお のエネルギーが必要ひつようだということは、それだけ重要じゅうよう働きはたら をしているからにほかなりません。のう大変たいへん働き者はたら ものです。わたしたちが眠っねむ ているあいだでさえひとときも休まやす ずに働きはたら 続けつづ ます。のうなかは、神経しんけい細胞さいぼうがぎっしりとつまっていて、からだのすみずみまで命令めいれい出しだ ています。心臓しんぞう動きうご 呼吸こきゅうでさえ、のう命令めいれい出しだ ているおかげで一時いっとき休まやす ずに続けつづ られているのです。
「Oh! No.(オー、ノー)少しすこ 休みやす たいよ。」
 そう思うおも こともあるかも知れし ません。それでも、のう働きはたら 続けつづ ます。

 言葉ことばもり長文ちょうぶん作成さくせい委員いいんかい(ω)
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a 長文 2.1週 e
一番めの長文は幼長の一~三月のものを再掲しています。
 いまから五せんねんくらいむかしのことです。文明ぶんめいがさかえはじめたころの人々ひとびとは、夜空よぞら見上げみあ て、宇宙うちゅうというのは、自分じぶんたちの住んす でいるこの地球ちきゅうだけだと思っおも ていました。きらめくほしは、そらという高いたか 天井てんじょうにはりついているもので、太陽たいようつきも、そらにはりついて動いうご 行きい 、しずむと地面じめんした通っとお てまたひがしにいくと考えかんが ていたのです。
 ギリシャ時代じだいになって、宇宙うちゅうのしくみが考えかんが られるようになりました。世紀せいきごろ活躍かつやくした天文学てんもんがくしゃプトレマイオスは、天動説てんどうせつという考えかんが 唱えとな ました。それは、地球ちきゅう宇宙うちゅう中心ちゅうしんにあって、そのまわりを太陽たいようつき惑星わくせいがぐるぐる回りまわ 、いちばん外側そとがわ恒星こうせいがあるという考え方かんが かたです。まだ、望遠鏡ぼうえんきょう発明はつめいされていない時代じだいのこの考え方かんが かたは、その後  ごせんねんものあいだ人々ひとびと信じしん られました。
 十六世紀せいきになって、地球ちきゅう宇宙うちゅう中心ちゅうしんという考え方かんが かた異議いぎ唱えとな たのは、ポーランドの天文学てんもんがくしゃコペルニクスでした。コペルニクスの考え方かんが かたは、宇宙うちゅう中心ちゅうしん太陽たいようで、地球ちきゅう惑星わくせい太陽たいようのまわりを円形えんけい軌道きどうにそって回っまわ ているというものでした。地球ちきゅうほう動いうご ていると考えかんが られたことから、地動説ちどうせつ呼ばよ れています。
 はじめて望遠鏡ぼうえんきょう使っつか ほしたのは十七世紀せいき、イタリアのガリレオ・ガリレイでした。ガリレオは望遠鏡ぼうえんきょうによって、つきのクレーターや太陽たいよう黒点こくてんなどをつぎつぎと発見はっけんしました。
 ニュートンが「万有引力ばんゆういんりょく法則ほうそく」を発見はっけんすると、惑星わくせい動きうご はもっと正確せいかくにわかるようになりました。万有引力ばんゆういんりょく法則ほうそくでは、すべてのものはたがいに引き合っひ あ ていると考えかんが られました。そこで、つき地球ちきゅう地球ちきゅう太陽たいようもたがいに引かひ 合っあ ていて、まわりを回るまわ ことができるとしたのです。しかし、そのときもまだ、宇宙うちゅう中心ちゅうしん太陽たいようで、宇宙うちゅうとは太陽系たいようけいのことでした。
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 十八世紀せいきになり、イギリスの天文学てんもんがくしゃハーシェルによって、宇宙うちゅう恒星こうせい世界せかいまでひろがり、銀河系ぎんがけいというものがわかるようになってきました。わたしたちの地球ちきゅう位置いちが、銀河系ぎんがけいなかのひとつになったのです。
 二十世紀せいき入るはい と、すぐれた技術ぎじゅつ望遠鏡ぼうえんきょう次々つぎつぎ開発かいはつされ、恒星こうせいまでの距離きょり測るはか ことができるほど高性能こうせいのうになりました。この観測かんそくのおかげで、銀河系ぎんがけい大きおお さも、銀河系ぎんがけいなかのさまざまな天体てんたいのことも、そして銀河系ぎんがけい以外いがい銀河ぎんが、さらに宇宙うちゅう全体ぜんたいのすがたまでもがわかるようになってきたのです。
 人間にんげん見るみ 世界せかいは、どんどん広がっひろ  ていきます。やがて宇宙うちゅう大きおお さも超えこ 広がっひろ  ていくのかもしれません。 

 言葉ことばもり長文ちょうぶん作成さくせい委員いいんかい(μ)
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長文 2.1週 eのつづき
 二月にがつ三日みっか節分せつぶんです。ぼくたちはまめまきをしました。 
おにそとふくうち。」 
と、元気げんきよく大声おおごえをあげました。パラパラとまめ散らばりち   ます。おもしろくてどんどん投げな ました。ベランダからそと投げるな  ときは、ちょっとだけこえ小さくちい  しました。どうしてかというと、よるなので大声おおごえをあげると近所きんじょ迷惑めいわくになるからです。 
まめ片付けかたづ はチップにやらせるからじゃんじゃんまいていいよ。」 
と、お母さん かあ  笑いわら ながら言いい ました。チップというのはぼくのいえいぬです。まいたまめ食いしんぼうく     のチップがきれいに食べた てしまいます。 
 まめまきのあと、ぼくがお父さん とう  お母さん かあ  としかずだけまめ配りくば ました。 
お父さん とう  は三十一さいだから三十ね。はい。」 
そう言っい お父さん とう  まえまめ置きお ました。お母さん かあ  には、 
「はい、お母さん かあ  は三十四ね。」 
と、三十四数えかぞ ました。 
「いいなあ、こんなにいっぱい。」 
と、ぼくがうらやましそうに言うい と、
「いいでしょう。」 
と、お母さん かあ  はにっこりしました。お母さん かあ  が、 
としかずだけとって食べるた  んだよ。」 
言うい ので、ぼくとおとうとたちは自分じぶんまめ取りと ました。ぼくは六でリョウタは五。キョウタは四のはずでした。でも、ぼくはキョウタが四以上いじょうくち入れい ているのをてしまいました。キョウタのやつ、それじゃあぼくより年上としうえじゃないかと思いおも ました。リョウタはちゃんと五だけ食べた ていました。ぼくも六だけ食べた ました。ぼくとリョウタは真面目まじめだなと思いおも ました。
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 みんなに配っくば てからもまだまめ残りのこ ました。残っのこ まめはぼくが作っつく かみはこ入れい てテーブルのうえ置いお ておきました。そのまめを、お父さん とう  食べた ていました。つぎからつぎへとまめくち放り込んほう こ でいます。まるでまめほうからお父さん とう  くちふっ飛ん  と でくるみたいです。おもしろそうなのでぼくも真似まねしてばくばくと食べた てしまいました。だからぼくもとしかずよりも食べた てしまいました。どうしてとしかずだけ食べるた  のかなあと不思議ふしぎ思いおも ました。まめがきらいなひとはどうするのかなと心配しんぱいになります。としかずだけ食べるた  のじゃなくて、はじめから好きす なだけ食べるた  ことにしたらいいと思いおも ます。
 ふと、おじいちゃんとおばあちゃんのかお思い出しおも だ ました。 
「じいとばあは六十まめ食べた たのかな。」 
と、お母さん かあ  聞いき てみました。お母さん かあ  は、
「さあ、どうかな。今度こんど電話でんわ聞いき てみたらいいんじゃない。」 
言っい 笑いわら ました。 

原作げんさく しゅんのすけ 編集へんしゅう 言葉ことばもり長文ちょうぶん作成さくせい委員いいんかい ω)
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a 長文 2.2週 e
 ところがあくるあさ、かあさんゾウがをさまして、おどろきました。バオバブがいなくて、そのかわり、ぜんぜんしらないゾウが、よこにねむっているのです。かあさんゾウは、あわててとうさんゾウをおこしました。
 をこすりこすり、そのゾウをみてとうさんゾウもおおあわて。それにしても、なんというあつかましいゾウでしょう!
 いや、それよりも、バオバブは、いったいどこへいったのでしょう。
 ふたりはますますあわてて、そのゾウのおしりを、おもいきりけっとばしてやりました。もしかすると、その下じきした  になっているかもしれないではありませんか。かわいそうなバオバブちゃん!
 けれど、そのゾウはのんびりとをひらき、
――いたいなあ、とうさん……
 というのです。
――とうさんだって!
 とうさんゾウは、あきれてしまいました。こんな大きなおお  ゾウに、とうさんなんてよばれるおぼえはない。すると、かあさんゾウが、とんきょうなこえをあげました。
――まああ、とうさん、それはバオバブぼうやですよ!
――バオバブぼうやだって……。
 どうみても、ぼうやなんてからだつきではないのです。とうさんゾウより大きいおお  くらいなのですから。
――ほら、あの目の下め したのなきぼくろ……
 さすがはかあさんです。ちゃんと、むすこのとくちょうをおぼえていました。
――そうですよ、ぼく、バオバブですよ。 とうさんたら、じぶんのむすこをみわすれるなんて、ひどいなあ。
 そんなことをいったって、この大きなおお  ゾウを、どうしてきのうのかわいいバオバブぼうやだとおもえるでしょう。とうさんゾウは、じぶんのみみをひっぱってみました。
――まだあんなことをやってる。ゆめじゃありませんよォ。
 バオバブが、ふふくそうにいいました。
――ぼくだといったら、ぼくなんです。ぼくは、大きくおお  なるのがはやいだけなんですよ。
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 はやいといっても、はやすぎる、ひとばんでわしより大きくおお  なるなんてことがあるものか……と、とうさんゾウは、まだほんとうにできないようすです。
 しかし、そういうあいだにも、 バオバブは、どうやらすこしずつそだってゆくようなのです。とうさんゾウは、すこしずつのたかくなってゆくむすこをみあげなければなりませんでした。のまえのできごとです。ほんとうにするほかはありません。

 そのうちに、バオバブはとうさんの二ばいほどの大きおお さにもなってしまいました。ガスいりの風船ふうせんでなしに、なかみもちゃんとつまったほんもののゾウです。とうさんだといっても、きみわるがらずにはいられませんでした。このぶんでいったら、あしたは、どうなることでしょう。
 とうさんゾウとかあさんゾウはかおをみあわせるばかりでした。
 
 バオバブは、そのちょうしでどんどん大きくおお  なりはじめました。
 とうさんゾウは、むすこのかおをみるのに、えらくなんぎしなければなりませんでした。もともとくびのないゾウのこと、みあげるのはにがてなのです。
 でも、そんなことはまだよかったのです。こまったことに、バオバブのからだが大きくおお  なるにつれて、バオバブがたべるものも、ずんずんふえてゆくのです。みるみるうちに、あたりのたべものは、きれいさっぱりなくなってしまいました。これでは、ゾウがものすごいいきおいでふえてゆくようなものでした。とうさんゾウは、いそいでとしよりたちのところへしらせにいきました。

 はなしをきいてほんきにしなかったとしよりたちも、バオバブをみると、たまげてしまいました。これが、ついこのあいだ、ほそいはなをかぜにふかれてをほそめていたゾウのあかんぼうでしょうか。
 としよりたちは、イヌがウマをみあげるようにバオバブをみあげなければならないので、すっかりあわててしまいました。そして、バオバブのたべっぷりをみて、もっとあわてました。これでは、いくらたべものがあっても、たりなくなってしまう。たいへんなゾウをかかえこんだものです。
「ぽけっとにいっぱい」より(今江いまえ 祥智よしとも)フォア文庫ぶんこ
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a 長文 2.3週 e
 すごくきれいね! トトが、かあさんをふりむいていいました。
 もりあきもりはきんいろとべにいろの色紙いろがみ細工ざいくです。もっと、あっちへいこう、――トトは、かあさんにせがみました。あぶないわ。いまは、にんげんがやまなかをあるきまわるときなのよ。かあさんがとめました。だってこんなにきれいなんだもの。トトはピョコピョコ、シカのよこっとびでかけだしました。そしてたにまへのみちにでたとたん、
――おッ!
 たちすくんだのはトト。たちどまってさっと鉄砲てっぽうをかまえたのはにんげんです。わかいりょうしです。かあさんが、ひととびでトトのよこにならびました。そしてあたまで、トトをぐいと、おしていいます。トト、おにげ! トトはにげない。トトは、とうさんのことをおもいだします。これがとうさんをいなくしちまったにんげんか! トトはなつにあったポロをおもいだします。ゾクッとからだじゅうをむしゃぶるいがはしり、トトはあたまをぐっとさげ、するどいつきで、りょうしをにらみつけました。トト! かあさんが、またおします。けれどトトは、けんめいです。ポロとおなじかまえで、さっととびかかろうとしたとたん、
――あっはっは!
 にんげんがわらいました。
――うてねえな、おまえは……。
 そのわかいりょうしは、鉄砲てっぽうのつつさきをあげていいました。
――そのちびさんが、かあさんをまもろうってんだからな。
 トトはにんげんのいってることばは、わからない。ただ、かあさんがもうおさないので、きけんがさったことは、わかりました。
――おれにゃ、うてねえよ。
 りょうしは白いしろ をみせて、かあさんに話しかけるはな    ようにいいました。
――こんなきれいなのこジカは、ころせねえ。
 かあさんはトトに、ぴったりよりそいました。
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トトはきゅうにぐったりして、そこへすわりこみたくなりました。そのとき、にんげんが、どなるようにいいました。
――おい、早いはや とこにげてくれよ! またがかわるかもしれないんだぜ。
 かあさんが、ぐいとトトをおしました。こんどはトトもひととびです。あかるい栗色くりいろの二つのてんがもりなかにきえたとき、りょうしは鉄砲てっぽうをかまえてそらにむけてうちました。
 グァアン! ……あかのかれはが、パラパラと、りょうしにふりかかりました。

「ぽけっとにいっぱい」『もりのシカ、トト』より(今江いまえ 祥智よしとも)フォア文庫ぶんこ
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a 長文 2.4週 e
 宮崎みやざきけん幸島こうじまというところにいる野性やせいのサルのむれは、人間にんげんがまいてやるサツマイモをうみなみであらって、塩水しおみず味つけあじ  をして食べるた  ことで有名ゆうめいです。 
 そのころ、日本にっぽんではまだあまりサルの研究けんきゅうをするひとがいませんでした。しかし、サルが大好きだいす だった京都大学きょうとだいがく今西いまにし錦司きんじさんたちは、幸島こうじまのサルを観察かんさつしたくてやってきたのでした。ところが幸島こうじまのサルは、りょう狩らか れたことがあったために、人間にんげんをとてもこわがっていました。そこで京都大学きょうとだいがくひとたちは、サルを安心あんしんさせようと、サツマイモをまいてやりました。そのサツマイモを、サルはあらって食べるた  ようになったのです。それまで外国がいこくでは、サルの研究けんきゅうをするとき、えさをまいてやるということはしていませんでした。 
 そのほかにも、外国がいこくひとがやっていないことを、この日本にっぽん若いわか 研究者けんきゅうしゃたちはしました。むれのサルに、一匹一匹いっぴきいっぴき名前なまえをつけて観察かんさつしたのです。たとえば、こわいボスザルには「カミナリ」、わかくてあたまのいいオスザルには「ヒヨシマル」といったぐあいです。
 日本にっぽんでの研究けんきゅうになれてくると、京都大学きょうとだいがくひとたちは、アフリカに行っい てゴリラやチンパンジーの研究けんきゅうもするようになりました。 
 そして、研究けんきゅうしたことを国際こくさい会議かいぎ発表はっぴょうしましたが、それを聞いき 世界せかいのサル学者がくしゃたちはたいへんおどろきました。日本にっぽんで、こんなにりっぱなサルの研究けんきゅうがされていたとは思っおも ていなかったのです。日本にっぽんのサルの研究けんきゅうがいちばん進んすす でいる、と世界せかいのサル学者がくしゃたちは感心かんしんしました。そんな世界せかいのサル学者がくしゃたちが最ももっと 驚いおどろ たのが、日本人にっぽんじんがサルたちに名前なまえをつけていたことなのでした。 
 世界せかい学者がくしゃたちは、サルに番号ばんごうしかつけていませんでした。それに、サルのかお性格せいかく一匹一匹いっぴきいっぴきちがうことにも気がついき   ていなかったのです。
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 西洋せいようひとは、人間にんげん動物どうぶつはまったくちがうものだと、はっきりわけて考えかんが ていました。けれど、日本人にっぽんじんむかしから、人間にんげん動物どうぶつとはあまり変わらか  ないものだという考え方かんが かただったのです。サルもタヌキもキツネも、日本人にっぽんじんにとっては同じおな むら仲間なかまのようなものでした。だから、いま時代じだいになっても、若いわか 研究けんきゅうしゃはごく自然しぜんに、サルになまえをつけたのでした。サルを番号ばんごうでよぶことのほうが、むしろやりにくかったのです。
 最初さいしょのころ、世界せかい学者がくしゃたちは、日本人にっぽんじんがサルに近いちか からそういうことができるのだと考えかんが ていました。しかし、いまでは、世界中せかいじゅうのサルの研究者けんきゅうしゃたちは、この日本にっぽん方法ほうほう使っつか て、サルたちに名前なまえをつけて研究けんきゅうするようになっています。そのほうが、サルたちの社会しゃかい生活せいかつについて、よく理解りかいできることがわかったからです。

 言葉ことばもり長文ちょうぶん作成さくせい委員いいんかい(λ)
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a 長文 3.1週 e
一番めの長文は幼長の一~三月のものを再掲しています。
 夏休みなつやす ともといえばやはりカブトムシです。昆虫こんちゅう王様おうさま呼ぶよ にふさわしいその姿すがたは、子どもこ  たちの視線しせんをとらえてはなしません。ペットショップのカブトムシコーナーは、毎年まいとし黒山くろやま人だかりひと   ができていますし、採集さいしゅうツアーも登場とうじょうするほどです。
 いかにも丈夫じょうぶそうな姿すがたのカブトムシですが、そのいのちはそれほど長いなが ものではありません。たまごからかえり、ふゆ越しこ 幼虫ようちゅうは、さなぎへと姿すがた変えか なつになると成虫せいちゅう、つまりカブトムシへと変身へんしんしますが、成虫せいちゅうになってからのいのちはおよそ一か月 げつほどといわれています。ですから、夏休みなつやす 終わるお  ころは、ちょうどカブトムシのいのちもつきる時期じきにあたるのです。クワガタムシも、カブトムシと並んなら 人気にんきがあります。カブトムシがひとなついのちなのに対して たい  、クワガタムシの場合ばあい種類しゅるいによっては越冬えっとうできるものもあります。えっとうれしくなってしまうでしょう。
 大切たいせつ育てそだ ていたカブトムシの悲しいかな  ものですが、死んし でしまったからといってすぐに飼育しいくケースを処分しょぶんしてはいけません。ケースのなか腐葉土ふようどをそっとのぞいてみましょう。もしかしたら、小さなちい  たまご見つかるみ   かもしれません。直径ちょっけい三ミリ程度ていど白くしろ 丸いまる たまごです。孵化ふか直前ちょくぜんたまご大きおお さは五ミリ程度ていどになり、いろ黄色きいろ帯びお てきます。このたまごをじょうずに育てるそだ  ことができたら、大切たいせつにしていたカブトムシの二世にせい対面たいめんできるがやってくるのです。
 たまごからかえった幼虫ようちゅうは、おもに腐葉土ふようど食べた 大きくおお  なります。幼虫ようちゅう時代じだい摂取せっしゅした栄養えいようが、成虫せいちゅうのカブトムシの大きおお さを決定けっていけます。いったん成虫せいちゅうになってしまったら、どんなに樹液じゅえき吸っす たところでそれ以上いじょう大きくおお  はなりません。
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立派りっぱ大きおお さのカブトムシは、幼虫ようちゅう時代じだい十分じゅうぶん栄養えいよう取っと ていたのです。もしも人間にんげんがカブトムシと同じおな 性質せいしつだったらどうでしょう。成人せいじんしたらいくら食べた ても太らふと ないわけですから、ダイエットに励んはげ でいる大人おとなにとってはなんともうらやましいはなしです。
 通常つうじょう、一ぴき幼虫ようちゅうさなぎになるまでに食べるた  腐葉土ふようどりょうは、洗面せんめん山盛りやまも 一杯いっぱいぶんにもなるそうです。カブトムシは、そんな大量たいりょう腐葉土ふようどをかぶっとむしゃむしゃ食べた てしまうのです。さすがに昆虫こんちゅう王者おうじゃ驚いおどろ てしまいます。
 友達ともだち自慢じまんできるくらいの大きなおお  カブトムシを育てるそだ  ためには、良質りょうしつ腐葉土ふようど絶えずた  補充ほじゅうしてあげることが大切たいせつです。また、飼育しいくケースのなかのフンを取り除いと のぞ たり、掃除そうじをしたり、根気こんきよく世話せわ続けるつづ  ことが必要ひつようです。
 では、カブトムシとクワガタムシでは、どちらが強いつよ でしょうか。カブトムシの得意とくいわざは、カブト割りわ でしょう。クワガタムシの得意とくいわざは、もちろんクワ固めかた です。結果けっかは、カブトもクワガタも、お互い たが をムシして引き分けひ わ になりました。

 言葉ことばもり長文ちょうぶん作成さくせい委員いいんかい(ω)
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長文 3.1週 eのつづき
 先週せんしゅう日曜日にちようびに、お父さん とう  神奈川かながわスケートリンクへ行きい ました。わたしはこのをとても楽しみたの  にしていました。テレビでフィギュアスケートをて、すっかりスケートのファンになりました。フィギュアスケートは絶対ぜったい見逃しみのが ません。お母さん かあ  は、 
「どうしてあんなことができるのだろうね。」 
不思議ふしぎそうです。わたし不思議ふしぎ思うおも けれど、練習れんしゅうしたらできるかも知れし ないと思っおも ています。だから、一度いちどでいいからスケートをやってみたかったのです。 
 お父さん とう  は、学生がくせいのころにアイスホッケーをしていたそうです。わたしがスケートに行きい たいと言っい たら、 
お父さん とう  教えおし てあげるよ。」 
と、得意とくいそうに言いい ました。そして、来月らいげつ日曜にちよう行こい うと約束やくそくしてくれました。 
 スケートじょう着くつ と、すぐにスケートぐつ借りか ました。白いしろ くつです。わくわくしながら履いは てみると、思っおも ていたよりも重くおも 窮屈きゅうくつでした。まるでペンギンのような歩きある かたでスケートリンクまで歩きある ました。 
「よし、滑っすべ てみようか。ゆっくりおいで。」 
と、お父さん とう  こおりうえ待っま ています。おそるおそるこおりうえ乗っの てみました。お父さん とう  握るにぎ よりもさきにつるんと尻もちしり  をついてしまいました。ほんの一瞬いっしゅん出来事できごとです。 
「こんなに滑るすべ んだ。ああ、びっくりした。」 
と、照れて ながら言うい と、お父さん とう  は、 
「すぐに慣れるな  さ。お父さん とう  をつないで練習れんしゅうだ。」 
と、わたし起こしお  てくれました。お父さん とう  引っ張らひ ぱ れながらなんとか一周いっしゅうしました。なん転びころ そうになってドキッとしました。二しゅうでは、少しすこ 余裕よゆうてきました。みぎひだりみぎひだり
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順番じゅんばんあし出すだ ことも覚えおぼ ました。三しゅうになると、ちょっと楽しくたの  なってきました。 
「うまい、うまい。コツがわかってきたみたいだね。」 
と、お父さん とう  褒めほ てくれました。お父さん とう  をつないでなんしゅう滑っすべ たあとで、思い切っおも き 一人ひとりだけで滑っすべ てみることにしました。深呼吸しんこきゅうをして、 
「できる、できる、絶対ぜったいできる。」 
と、自分じぶん言い聞かせい き  ました。スーッと右足みぎあし出しだ て、つぎはスーッと左足ひだりあし。とてもゆっくりだけど、わたしからだ進みすす ました。 
「すごいぞう。やったな。」 
お父さん とう  こえ聞こえき  ます。お父さん とう  かお見よみ うとかお上げあ 瞬間しゅんかん、また尻もちしり  をついてしまいました。でも、痛くいた ありません。どうしてかというと滑れすべ たことが嬉しくうれ  いたさも吹っ飛んふ と でしまったからです。その後  ごも、なん転びころ ながら練習れんしゅうしました。時々ときどきお父さん とう  がひとりで滑りすべ 行くい こともあります。お父さん とう  はまるでスケート選手せんしゅのようです。わたしは、うっとりしながら眺めなが ました。わたし早くはや あんなふうに滑れるすべ  ようになりたいです。 

言葉ことばもり長文ちょうぶん作成さくせい委員いいんかい ω)
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a 長文 3.2週 e
 ピピはまちのどうぶつえんに、つれてこられました。こんどあたらしくひらかれたどうぶつえんです。
 園長えんちょうさんはおおよろこびで、かかりの二郎じろうをよびました。
――二郎じろうくん、しろクマの子どもこ  だよ。きっとみんなよろこぶ。さあひがしのC26ばんにいれたまえ。
 ひがしC26のおりは、ペンギンのしまです。白いしろ 大きなおお  こおりやまがつくってあり、まわりはプールです。もっともこおりはコンクリートせいですがね。しかしペンギンは、つぎの捕鯨ほげいせんでもってきてもらえることになっているので、まだ一ぴきもいません。
 ピピがC26のおりのうらからかおをだしてその白いしろ 氷山ひょうざんをみたとき、どれほどよろこんだことでしょう! おもわず二郎じろうはなをこすりつけたほどです。さあっとからだじゅうにきれいなみずがはしり、青空あおぞらをたべたような気もちき  でした。ピピははねまわって氷山ひょうざんにとびうつり、さて、くびをペタリとつけて、ねそべってみました。きたのくにでは、いつもこうして、おひるねをしていたものですからね。
 ところが、オヤオヤオヤ、くびのところがちっともひんやりしないのです。おかしいな、とおもってピピは、もうすこししたへおりてゆき、そこでまたねそべってみました。やっぱりおなじです。ピピはおきあがって、じっと氷山ひょうざんをみあげました。まっさおななつそらにして、ぐっとつったつなつかしいふるさとの風景ふうけいとおなじです。
 おかしいな。ピピはおもいきってエイッとこおりをひっかいてみました。ジーンと、いたみがからだじゅうをつきとおって、がしびれました。なにしろ、コンクリートをおもいきりひっかいたんですからね! つめがはがれて、ピピの右手みぎては、たちまちまっかです。けれどピピは、くやしくってくやしくっていたみなどかんじません。
 だまされたのです。こんなかたい氷山ひょうざんなどこしらえて!
 ピピはそのときからずっと、おりのおくから、ちっともでませんでした。だまってをとじて、すみっこでねむっているのです。
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おりのなか冷房れいぼうがしてあります。ですから、そとのにせもののきたのくにほどのきちがいめいたあつさはありません。
 二郎じろうもこまりました。なにをもってきてもたべない。どうしてもうごかないのですからね。このままでは、まちがいなしに病気びょうきになります。
 おきゃくさんたちは、まいにち、からっぽの氷山ひょうざんをながめてかえるだけでした。
 どこかでペンギンのこえがしてバタバタと羽音はおとがきこえたようながしました。けれどピピは、もうけっしてをあくまい、からだをうごかすまい、とこころにきめていたので、じっとしていました。それから、からだがもちあげられて、どこかへはこばれるようにもおもいましたが、やはりピピは、そのままじっとしていました。

 それからずいぶん長いなが あいだ、ピピは、こんどはほんとにねむりこんでしまいました。どうぶつえんにもってこられたペンギンたちといれかえに、ピピは、ふたたびきたのくにへつれもどされていったのです。まいにちのピピのひとりぼっちのすがたをみて、がまんできなくなった二郎じろうが、ねっしんに園長えんちょうさんにたのんだのです。ふねはピピをつんで、きたきたへとはしっていました。
 ふねひとたちはこおりうえにそっとピピをおろしました。こおりのつめたさが、すこしずつピピのこころをあたためてゆきました。
――死んし じまったのかな? ひとりがつぶやきました。それから、みんなはいそがしそうにふねにひきあげてゆきました。ピピは、うっすらとをひらきました。
 こんどこそ、まちがいなしに、ほんもののこおり、ほんとのきたうみのにおいです。
 けれどピピは、もう二度とにど おきあがれませんでした。ただ、からだじゅうがかるくなって、すいすいとそらにまいあがってゆくがしました。
 ピピのからだのまっすぐうえそらから、小熊こぐまのとおいほしが、ピピのふるさとの白いしろ 世界せかいを、しずかにみおろしていました。
「ぽけっとにいっぱい」より(今江いまえ 祥智よしとも)フォア文庫ぶんこ
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a 長文 3.3週 e
 みよ子  こちゃんは、このあいだから、こっそりおもいつづけていることがあります。
――いっちゃおうかな……と、よるになるとおもいます。でも、ちょっとはずかしくって、いえないのです。けれど、きょうはほしのとくべつにきれいなよるでした。そこで、みよ子  こちゃんは、とうとう、おねだりしたのです。
――ね、おとうさん、おねがい。
 ほほう……と、おとうさんは、めずらしそうにふりむきました。
――あれ、とって。
 みよ子  こちゃんは、そらにたくさんあるほしをゆびさしました。
 あははは。おとうさんはわらって、
――あれは、だめ、ほしだもの。
 みよ子  こちゃんのかおはクシャンとゆがんで、べそをかきました。どうしてほしならだめなのかしら。
 おにいちゃんなんか、あんな高いたか ところをとんでるトンボでも、ひょいとつかまえてくるのに……。
――あれはね、とってもとおいところにあってとても大きいおお  んだ。
 けれどもみよ子  こちゃんには、おとうさんのせつめいなぞみみにはいりません。おもいつづけていたことを、やっといったのに、あははは、とわらわれちゃったんですからね。
 みよ子  こちゃんはだまっていえをでていって、うしろのおかにのぼりました。そらほしに、いっそうちかくなったのするところです。そして、そこにしゃがんでなきはじめました。
 エーンエンエンエン
 大きなおお  なみだが、ポタンポタンとおっこちて、つちにすいこまれてゆきます。すると、そのへんでへんなおとがするのです。
 コボン、コボ、コボ、ポコン
 みよ子  こちゃんはきみがわるくなって、なきやみました。そしてたちあがったとたん、ポウン……と、足もとあし  つちがはねのけられて、みょうないきものがかおをだしました。
――えへへ、ぼく、モグラだよ。
 モグラなんて、しりません。
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 けれどモグラのほうは、いっこうにへいきでつづけました。
――みよ子  こちゃんが、あんまりなみだをおとすんで、ぼくのいえのまえのみちね、そこの天井てんじょうがゆるんじまうんでね。
――あら、ごめんなさい。
――みよ子  こちゃんはあやまりました。
――だって、わたし、そんなところにおうちやみちがあるなんて、気がつかき   なかったんだもの。
 するとモグラは、みじかいをふって、いやいや、べつにあやまってもらわないでも……。そこでふたりは、はなしはじめました。そしてみよ子  こちゃんがほしのことをいうと、モグラは、なあんだ、といったかおつきでいうのです。
――ようがす。
 それからくるりとまわれみぎ、五ふんもしないうちに、またあなからかおをだすと、
――これですよ、かけらしかとれませんでしたがね。
 ひょいとさしだしたのは、つちのかたまりです。こんなつちなんて、と、みよ子  こちゃんがうけとらないでいると、モグラはいうのです。
――だってこの地球ちきゅうも、ほしの一つなんですよ。そらのむこうからみれば、あおく光っひか て、くるくるまわってるんです。
 へええ、そうなの、と、みよ子  こちゃんはおもいました。

「ぽけっとにいっぱい」『ほしをもらった』より(今江いまえ 祥智よしとも)フォア文庫ぶんこ
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a 長文 3.4週 e
 北極ほっきょく地方ちほうは、さむさがたいへん厳しくきび  うみもほとんどこおりでおおわれています。いまでは、北極ほっきょく陸地りくちがないことがわかっていますが、むかし地図ちずなかには、北極ほっきょくてん中心ちゅうしんに四つの大陸たいりく描かえが れているものがあります。北極ほっきょくてん陸地りくちうみかということさえ、長いなが あいだ、なぞだったのです。
 十六世紀せいきに、ふねによる北極ほっきょく探検たんけん始まりはじ  ました。北極海ほっきょくかいには、あつさが天井てんじょうたかさほどもあるこおりが一めん浮かびう  、ゆっくりと移動いどうしています。北極ほっきょく探検たんけんでは、移動いどうしてきたこおりふね閉じ込めと こ られて遭難そうなんするなど、多くおお いのち失わうしな れました。
 もう一つ、探検たんけんたちに恐れおそ られていたのは、壊血病かいけつびょうという原因げんいん不明ふめい病気びょうきです。これはなかなか解決かいけつできない問題もんだいで、この病気びょうきによって隊員たいいんたちが次々つぎつぎ倒れたお ていきました。この病気びょうき原因げんいんは、ビタミンCの不足ふそくでした。航海こうかいちゅうには、野菜やさい果物くだものなどの新鮮しんせん食べ物た もの食べるた  ことが難しいむずか  ので、知らし 知らし ずのうちにビタミンCが足りた なくなっていたのです。
 十九世紀せいき終わりお  ごろから、探検たんけんたちはさまざまなルートで北極圏ほっきょくけん入りはい 地球ちきゅう最ももっと きたである北極ほっきょくてんをめざしました。ノルウェーのナンセンは、北極ほっきょくてんのすぐ近くちか までふね近づくちか  ことができました。しかし、すぐ近くちか 言っい てもその距離きょりは、東京とうきょう大阪おおさかほども離れはな ていました。また、南極なんきょく探検たんけん有名ゆうめいなアムンゼンは、大西洋たいせいようからアメリカ大陸    たいりくきた通っとお 太平洋たいへいようにぬける北西ほくせい航路こうろを、初めてはじ  通過つうかすることに成功せいこうしました。
 西洋せいようじんとして北極ほっきょくてん最初さいしょ立った たのは、アメリカのロバート・ピアリーだと言わい れています。しかし、かれ簡単かんたん北極ほっきょくてん到達とうたつできたわけではありませんでした。初めてはじ  北極ほっきょくてん挑んいど 探検たんけんだい失敗しっぱい終わりお  凍傷とうしょうによりあしゆび八本はっぽん失っうしな てしまったのです。普通ふつうだったらどうしようと途方とほう暮れく てしまうところですが、それでもピアリーは負けま ませんでした。失敗しっぱいした体験たいけん生かしい  長いなが 
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時間じかんをかけて計画けいかく練り直しね なお 再びふたた 新たあら 探検たんけんました。この探検たんけんでは、さむさに強いつよ 犬ぞりいぬ  や、イグルーというこおり作っつく いえをうまく使いつか 、ついに北極ほっきょくてん到達とうたつすることができました。十六世紀せいき北極ほっきょく地方ちほうへの探検たんけん始まっはじ  てから、やくひゃくねんもの年月ねんげつがたっていました。
 西洋せいようじんにとっては、長いなが あいだ北極ほっきょく未知みち世界せかいでしたが、北極圏ほっきょくけんには、もともと先住民せんじゅうみんぞく住んす でいました。彼らかれ はイヌイットと呼ばよ れており、何世紀なんせいきものあいだ外部がいぶとほとんど接触せっしょくをしないで暮らしく  てきました。うみ住むす アザラシやセイウチなどの狩りか 中心ちゅうしん生活せいかつ営みいとな 独自どくじ文化ぶんか作っつく ていたのです。イヌイットは、西洋せいようじんよりもはるかに北極ほっきょくのことをよく知っし ており、探検たんけんたちが、彼らかれ から学ぶまな べきことは多くおお ありました。最後さいご探検たんけんのとき、ピアリーは、厳しいきび  北極ほっきょく環境かんきょう慣れな 多くおお のイヌイットを連れつ ていました。イヌイットのちから借りか たことも、ピアリーを成功せいこうにみちびく大きなおお  要因よういんだったのでしょう。

 言葉ことばもり長文ちょうぶん作成さくせい委員いいんかい(κ)
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