長文が二つある場合、音読の練習はどちらか一つで可。
1「大丈夫、寒くない、寒くないぞ。」
僕はドアを開けて外へ飛び出した。
もうすっかり春とはいえ、半ズボンはさすがに寒い。しかし、これに負けていてはいけないのだ。僕には自分を鍛え直して健康になるという、大きな目標があるのだから。
2僕は体が弱い。すぐに喉が痛くなって熱が出るし、お腹を壊すし、貧血になる。苦しい思いはたびたびしてきたが、今までそれで困ったことはなかった。周りもみんな気をつかって、助けてくれていたからだ。
3だが去年、僕は高熱を出してしまい、林間学校に参加することができなかった。その旅の様子は、みんなから聞いた話と、撮られた写真でしか僕には分からない。みんな最高に楽しそうな笑顔で写真に写っている。
4誰にからかわれたわけでもなかったが、自分がみじめで悔しい思いがした。だから僕は一念発起したのだ。今年は日光への修学旅行がある。それには絶対に参加するのだ、と。
そのため、手始めに僕は半ズボンをはいて通学し、寒さに慣れることにした。
5「大丈夫、恥ずかしくない、恥ずかしくないぞ。」
僕は自分に言い聞かせて、ドアを開けて教室に飛び込んだ。見慣れない僕の半ズボン姿に、友人たちは実にいろいろな反応をした。「えっ。」という表情になる人もいたし、「なに、その格好。」と笑う人もいた。6しかし、そのくらい、なんてことはない。これは目標達成のための、僕なりの努力なのだ。笑いたければ笑えばいいという感じである。
そもそも、体育のときはみんな短パンで運動しているのだ。私服の半ズボンだけ恥ずかしがることはないはずだ。7僕はいつもどおりに挨拶をして、席に座った。僕の覚悟が伝わったのか、友達もすぐに何も言わなくなった。
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