1キンコーンカンコーン、キンコーンカーンコーン。
チャイムがなるのと同時に、ぼくは教室のドアを飛び出しました。今日の中休みは、校庭で鬼ごっこをすることにしていました。少しでも長い時間遊びたかったので、一番乗りで校庭にかけつけるつもりでした。
2ぼくの教室は三階です。ドアを飛び出し右へ曲がり、階段まで全速力で走ります。階段の前で急ブレーキをかけると、キキキキーと上履きが廊下にこすれる音がしました。まるで自分が車になったような気分です。
3ここまではぼくが一番です。うしろに、ヒロトとフミヤが続きます。これは負けていられないぞ。ぼくは、心の中で思いました。
ぼくは、階段を二段抜かしで降りることにしました。二階までは順調に飛ばしました。4ところが、二階から一階へ降りる途中で、階段を踏み外してしまいました。一瞬、何が起きたのかわからないまま、ぼくは踊り場まで転がりました。
「いてえ。」
ぼくは腰を押さえながら起き上がりました。5ヒロトとフミヤは心配そうにぼくの顔をのぞき込みながら、
「大丈夫? 血が出てるよ。」
と言います。ずきずき痛い足をふと見てみると膝から血が出ていました。
「あーあ、これじゃ、保健室行きだな。ちょっと行ってくるよ。」
6ぼくはそう言って、一階にある保健室に向かいました。ぼく一人で行こうと思ったのに、ヒロトとフミヤもついてきました。
「あら、どうしたの? 怪我?」
保健室の田上先生は、ぼくとすっかり仲良しです。7どうしてかというと、ぼくはしょっちゅう怪我をして保健室に行くからです。
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