長文が二つある場合、音読の練習はどちらか一つで可。
1白いラブラドール・レトリバーが横断歩道のところで、おとなしくおすわりをしていた。信号が青になると、すっと立ち上がり、急ぐでもなく遅れるでもなく、横にいる人と同じペースで静かに歩き出した。2若い盲導犬の訓練風景を見たとき、こういう犬がいることによって外出が可能になる人も多いのだろうと感心した。盲導犬の訓練は、人間に忠実な犬の性格があるからこそできる。その証拠に、ペットとして猫を飼っている人は多いが、盲導猫というのは聞いたことがない。3獰猛猫ならたまにいるが。頼れる動物という点では、犬の右に出るものはいない。私たちは、この「頼る」ということをもっと生活に生かしていく必要がある。
その理由は第一に、頼ることで自分の本当にしたいことの能率が上がるからだ。4コンピュータ・プログラミングの世界では、「車輪を作るな」ということが言われる。人類の歴史で最初に車輪を発明した人は、最初に文字を発明した人と同じように、その後の人類の歴史に大きな貢献をした。車輪は、現在の交通手段のほとんどに欠かせないものだ。5しかし、荷車を作る人が、自分のオリジナルなものを作りたいからといって車輪を作ることから始めたら、人間の歴史は進歩しなかっただろう。先人が既に発明した車輪を前提にして、その土台の上に仕事をすることが能率のよい発展につながったのだ。
6頼ることを生かすという第二の理由は、頼りたがらないときの心理が往々にして、消極的な気持ちから来ているからだ。自信のない人ほど人に聞くのを恥ずかしがるということがある。よくわからないことは素直に聞くということが自分の向上にもつながる。7アウト・ソーシングという手法は、自分の苦手なことは他人に任せるという考えに基づいている。サッカーのようなチーム・プレーでも、自分ひとりでゴールをねらうのではなくチーム全体として勝つという発想が必要だ。
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