1「ドタッ、バタッ」
という音が聞こえ、私は一体何が出てくるのだろうと、嬉しいよりも怖くなってしまった。
これまでで一番印象に残っているプレゼントは、七歳の誕生日のときのことだ。なにしろ、品物でも食べ物でもなく、生き物を贈られたのだから。
2両親が買ってきたのは、アメリカンショートヘアーの子猫だった。私を驚かせようと直前まで隠していたようだが、ハウスの中で元気よく動き回る音が、廊下の向こうから響いてきていた。
3まだ小さかった私にとって、それは未知の存在に対する恐怖となり、父が運んでくるころにはその不安は頂点に達していた。喜ぶとばかり思っていた父は、私が今にも泣きそうな顔になっているのを見て、困ってしまったと言っていた。
4ハウスから出てきた子猫は、想像よりはるかに小さかった。まるで新しい住みかを確かめるかのように、まん丸の瞳で周囲をきょろきょろと見回している。よちよちとテーブルを歩き回っては、こてんと転んだりする。5そのかわいらしい姿を見て、私は「この子の面倒は私が見てあげなきゃ」と決意した。
「ロビン」という名前も、私が悩みに悩んでつけたものだ。しかし、そんなロビンとの暮らしは波乱の連続で、私は生き物を飼うことの大変さを知った。6食事やトイレのしつけはもちろんのこと、壁紙をボロボロにされたり、お風呂に入れるたびに大騒ぎになったり、脱走したまま二日間も帰ってこず、心配で倒れそうになったこともある。
さらに、抱っこしてやろうと手を伸ばせば、するりと逃げ出してしまうのだ。7いつでも手にとれるぬいぐるみとは違うのだと痛感させられる。それでいて、自分がお腹が空いたときには体をこすりつけて露骨に甘えてくるのだから、なんとも憎らしい。
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